前回の報告 (中峠・水越1979) においては, 積雪災害度の地域的差異を, 自然的条件と社会的経済的条件の双方を併せ用いて説明することを試み, 日本海沿いの各県 (北海道は支庁) の年間雪害対策経費
Mを総合的な積雪災害度の目安とした場合
M =γ
NTx-1/3という近似式が成り立つことを示した.ただし
N は各県 (または支庁) の人口,
T は各県 (または支庁) の人口最大都市にある気象台の気象資料からさきの報告 (中峠1968, 1976) で与えられた自然条件および除雪条件を考慮した雪害指数,
xは上記気象台の海岸からの距離, γは定数である.各県についてのγの値は誤差33%でほぼ一定値が得られた.今回は青森・秋田・新潟・山口など, とくに誤差が大きく現れたものを修正するために, 県内都市での災害をもたらす諸条件のばらつきによるものとして検討した.すなわち, 人口の多い上位数都市の人口をあわせてようやく県人口の1/4をこえる県については,
M =γ (nΣ
i=1
NiTi+
NeTe) として処理し, 人口最大都市のみで県総人口の1/4をこえる県については, 前出の式で処理する方法を述べた.これによって得られた各県のγ値の平均誤差は, 山口県を除くと22%に減少し, 積雪災害度がここでとりあげた諸条件によってほぼ表現できることがわかった.
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