2016年11月30日の富山県射水市上空において,大気中の過酸化水素(H
2O
2)濃度の測定を,ヘリコプターを利用して実施した.二酸化硫黄(SO
2)やホルムアルデヒド(HCHO)は地表付近で高濃度であったが,H
2O
2濃度は上空で高かった.観測されたH
2O
2濃度は,これまでに夏季に観測された濃度よりも非常に低かった.また,SO
2濃度よりもH
2O
2 濃度が低く,SO
2の液相酸化が抑制されているものと考えられる.同時期の立山・室堂平(標高2450m)で採取した新雪中のH
2O
2濃度と気象条件から計算された大気中のH
2O
2濃度と,ヘリコプターで観測した上空のH
2O
2濃度とを比較した結果,両者の値がほぼ一致し,山岳域での新雪中のH
2O
2濃度の測定から,上空大気中のH
2O
2濃度を推定できるものと考えられる.
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