このレポートの目的は, 急勾配の長尺瓦棒葺き屋根から滑り落ちる雪を融かす経済的で, かつ効果的な方法を提案することにある.
新潟県栃尾市においては, 約60度の屋根勾配を採ると, 密度約0.1g/cm
3のベタ雪が付着しても7~10cmで崩落してしまう.この崩落する雪を軒の両端より1m長く, 幅2m, 水深60cmの大きさの池で受け止め, 2~3℃の河川水を使って融雪することが可能かどうか, 検討したものである.
池の大きさの他に, 放水及び, 池の水の流体運動と熱作用などに検討を加え, 実際に「融雪池」を造り, その効果実験を行なってみた.
176.1
l/m
2の水を貯えている池の中へ2~3℃という極めて低い水温の水を0.804
l/m
2・min入れ続け, 密度0.360g/cm
3のヌレザラメ雪をコブシ大100φ程度に砕き投入したところ, 24.1kg/m
2・h融雪できた.
生活雑排水の混入などにより河川水が汚れており, ヘドロなどの除去に苦労したが, この方法で北陸ベタ雪豪雪帯地における独立住宅の屋根雪処理を経済的に行う実用的な可能性が得られたと思う.
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