雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
32 巻, 3 号
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  • 佐伯 正夫, 松岡 広雄
    1970 年 32 巻 3 号 p. 43-54
    発行日: 1970/05/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    この研究は, 新潟県魚野川流域の空中写真 (1964年無雪期, 1964.'65年3月融雪初期撮影) を用いて, 新潟県南魚沼郡湯沢町および同県中魚沼郡中里村周辺において, 主として斜面の積雪面上に出現する若齢林木の立木密度から, 全層なだれの発生関係を求め, 広範地区の全層なだれの発生危険地を推定したものである.つぎに得られた成果について概要を述べる.
    1.各斜面における全層なだれの発生条件は, 積雪深・傾斜・斜面長・地表状態・植生の種類によって異なる. (a) 斜面長50m以上を有する斜面について見ると, 草地では, 斜面傾斜23度を越えると, 斜面積雪に割れ目が発生しはじめる.また, 立木の雪面出現密度0の幼齢広葉樹林 (灌木林) では, 斜面傾斜25度付近から斜面積雪に割れ目の発生が見られ, 27度付近を越えるところから, 全層なだれの発生が見られる.なお, 30度を越えるところでは, ほとんど全層なだれの発生に至る. (b) おのおのの斜面における立木出現密度の多少により, 割れ目の発生は異なり, 若齢広葉樹林 (雪面出現樹高2~5m, 雪面上の直径約2~5cm) では, 斜面傾斜30度で約200 (株/ha) 35度で500 (株/ha) 40度では800~900 (株/ha) 以上の立木出現密度を有する場合は, 各斜面の積雪は安定した.
    2.全層なだれの発生度合い, あるいは発生時期は各箇所ごとに異なるが, 斜面に発生した割れ目・既なだれ発生地の状態・雪面出現株数, 斜面傾斜などを積雪期の空中写真を用いて判読すれば, 全層なだれ発生危険地の概略の判定がほぼ可能であると考えられる.この方法によって推定した広範地域の全層なだれの発生危険地の1例を図一4に示した.
    3.推定された全層なだれ発生危険地の斜面方位別の分布を求めると, S~SW向き斜面は, 面積・箇所数ともに少なく, N~NE向き斜面に多く分布する傾向が見られ肉 (表-3)
  • 杉山 利治
    1970 年 32 巻 3 号 p. 55-62
    発行日: 1970/05/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    山地流域における雪水流出の解析資料をうるため, 林業試験場宝川森林理水試験流域 (約20km2) において, 空中写真により積雪分布の測定を行なった.積雪時・無雪時の写真を用い, 100m間隔の方眼の交点の積雪深を算出した.
    従来の地上における積雪調査だけでは求められなかった試験流域の積雪分布の特性が明らかにされた.今後の積雪調査の簡略化のための資料として利用されよう.
    ある区域面積の平均積雪深は, 標高あるいは脊梁山脈からの距離を指標とした簡易式で表現できたが個々の地点の積雪深は複雑に変化し, 簡易式による表現は困雑で, 記述的方法によって表現された.
  • 小林 文明, 富士野 昭典
    1970 年 32 巻 3 号 p. 63-70
    発行日: 1970/05/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    筆者らは先に偶発的ななだれ発生を防止して交通の安全を確保するために, ダイナマイトを硬質塩化ビニールパイプに装てんし, 時間差をつけて爆破させ斜面の積雪を崩落させる人工なだれ工法 (発生工法) を開発した (雪氷Vol.31 No2に掲載).この工法によって任意の時期に法面を痛めずに斜面の積雪を取除くことができるようになったが, 落下する雪塊の衝激や除雪作業によって, ロックフェンス, ガードレールなどの諸設備が破損し, 作業中に交通制限をしなければならなかった.
    これらの欠点を避けるために, 人工的に積雪を崩落させるのとは逆に, 爆破によって法面に積雪を留めて融雪させる圧縮工法 (発生防止工法) を研究した.この工法は傾斜30°~40°の斜面に適用でき, 積雪の安定している降雪期~厳寒期に施工するのが効果的で, ダイナマイト装てん作業における安全性も高い.
  • 高橋 延男, 魚津 博
    1970 年 32 巻 3 号 p. 71-77
    発行日: 1970/05/30
    公開日: 2009/07/23
    ジャーナル フリー
    降雪量観測に用いられている円筒型雪量計は, 雪質と気象条件によって降った雪がそのまま入らない.
    今回, 雪量計自身の影響による受雪口上の吹き上げ気流と雪片の落下速度を考慮して, 捕集率の実験式を求め, 一方, 野外観測を行なってこの式を検討してみた.
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