雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
76 巻, 3 号
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  • 竹内 由香里, 鳥田 宏行, 野口 正二, 伊豫部 勉, 平島 寛行, 小杉 健二, 根本 征樹, 佐藤 研吾, 平山 順子, 阿部 修
    2014 年 76 巻 3 号 p. 221-232
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    2010-11年冬期に岩手山西斜面で2件の大規模な雪崩が発生し,7haの森林が倒壊した.雪崩は森林に流入する前に高速になっていた可能性が高く,標高約1730mの森林限界より高所で発生した乾雪表層雪崩と考えられる.写真や積雪変質モデルの計算結果によると,雪崩は記録的な大雪となった12月31日以降1月6日までに発生したと考えられる.雪崩が亜高山帯林を流下した状況を明らかにするため,樹木の倒壊状況を2012年7月に調査した.雪崩走路上の4つの調査エリア内でアオモリトドマツ85本とダケカンバ9本を調べた結果,アオモリトドマツは上流ほど幹の細い木が多く,また上流ほど根返が少なく幹破断や幹折が多かった.一方,ダケカンバは9本中8本が根返であった.ダケカンバの方が曲げ破壊強度が大きい上に幹の太い木が多いため,根返が多くなったと考えられる.樹幹の折損状況をもとに幹が折れる曲げ応力を計算し,雪崩の速度を推定した.雪煙層(密度3kgm−3)と流れ層(密度300kgm−3)の2層構造の雪崩を仮定し,積雪深を3m,流れ層厚h2を2mまたは1mとして計算した結果,4つの各エリアにおける雪崩の速度は上流から順に21〜42ms−1,33〜53ms−1,24〜39ms−1,22〜33ms−1以上であったと推定された.
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