雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
76 巻, 4 号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
  • 阿部 修
    2014 年 76 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    表層雪崩のすべり面となる弱層の中にはごく薄いものが存在することがある.このような薄い積雪層の密度を測定するには,その層より薄いサンプラーが必要となる.しかし,弱層のように脆い場合は,サンプラーが薄くなると採雪が困難となり,正確な密度測定ができなくなる.そこで,一般に用いられている試料厚3cm,内容積100cm3の角型スノーサンプラーを用いて,薄い弱層の密度を求める方法を考案した.最も簡便で誤差を最小にする場合の測定項目は,弱層とこれに接する上下の積雪層のいずれかを対象とし,①弱層を完全に含む層の密度,②弱層を全く含まない層の密度,および③弱層の厚さである.ただし,弱層に接する積雪層の密度は採雪範囲内で均一であると仮定した.この方法により,弱層の厚さを1mm の誤差で測定した場合の密度に与える影響を計算したところ,密度の誤差は,弱層に接する積雪層と弱層自身の密度差が大きいほど,また弱層が薄いほど,大きくなることがわかった.密度の誤差を10%以内にするのに必要な弱層の厚さは,密度差50kg m-3では約5mm以上,密度差100kg m-3では約10mm以上であり,これらの条件を満たせば,この方法は野外調査の使用に十分耐えうるものといえる.
  • 霜垣 永, 島田 亙, 望月 重人, 小杉 健二
    2014 年 76 巻 4 号 p. 275-283
    発行日: 2014年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    冬季山岳地の稜線上や崖の風下側には巨大な雪庇が成長することがあり,これが雪崩の原因となることもある.本研究では,低温室内で降雪装置と横風発生装置を用いて平坦部を持つ模型斜面上に人工的に雪庇を成長させ,その成長過程を微速度撮影し,形成した雪庇の断面を調べた.降雪粒子の形状,斜面角度そして風速を変化させて実験した結果,雪庇の成長条件として降雪粒子の形状では樹枝状に近い形が,斜面角度では45°よりも30°が有利であることがわかった.さらに斜面上端の雪面上5cmの風速では,3.0ms−1の場合が最も雪庇が大きく成長することがわかった.雪庇の成長量は,風速により減少する平坦部の積雪高,成長中の雪庇上部の傾斜角と雪庇成長距離により決まることがわかった.これらは,ある風速以上で発生する平坦部雪面の削剥とそれに伴う飛雪強度の増加によって支配されていると考えられる.
feedback
Top