表層雪崩のすべり面となる弱層の中にはごく薄いものが存在することがある.このような薄い積雪層の密度を測定するには,その層より薄いサンプラーが必要となる.しかし,弱層のように脆い場合は,サンプラーが薄くなると採雪が困難となり,正確な密度測定ができなくなる.そこで,一般に用いられている試料厚3cm,内容積100cm
3の角型スノーサンプラーを用いて,薄い弱層の密度を求める方法を考案した.最も簡便で誤差を最小にする場合の測定項目は,弱層とこれに接する上下の積雪層のいずれかを対象とし,①弱層を完全に含む層の密度,②弱層を全く含まない層の密度,および③弱層の厚さである.ただし,弱層に接する積雪層の密度は採雪範囲内で均一であると仮定した.この方法により,弱層の厚さを1mm の誤差で測定した場合の密度に与える影響を計算したところ,密度の誤差は,弱層に接する積雪層と弱層自身の密度差が大きいほど,また弱層が薄いほど,大きくなることがわかった.密度の誤差を10%以内にするのに必要な弱層の厚さは,密度差50kg m
-3では約5mm以上,密度差100kg m
-3では約10mm以上であり,これらの条件を満たせば,この方法は野外調査の使用に十分耐えうるものといえる.
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