雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
83 巻, 5 号
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  • ─実験から導き出した着雪発達条件を用いた 着雪解析手法の検証─
    室谷 浩平, 中出 孝次, 鎌田 慈
    2021 年 83 巻 5 号 p. 465-487
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/16
    ジャーナル フリー
     列車が降雪地帯を走行すると,台車に雪が付着し成長する.着雪が走行中に台車から落ちると,線路上の地上設備や列車などに被害が発生することがある.このような着雪被害の対策検討のために,着雪の成長を再現する着雪解析手法の開発を進めている.  本研究で開発を進めている着雪解析手法は,気流計算と軌道計算と着雪計算を組み合わせたものである.着雪解析手法では,気流計算により気流の速度分布を計算し,気流の速度分布を用いて飛雪粒子の軌道を計算し,着雪計算により対象物に対して着雪するか否かの判定を行う.対象物に一定量着雪が成長したら,気流計算に着雪形状を反映する.このような連成計算により着雪形状ならびに着雪の体積の時間変化を計算する.  本研究では,降雪風洞における2種類の着雪実験により着雪解析手法の妥当性確認を行った.まず,立方体モデルの着雪解析を行い,着雪実験の着雪の射影面積を6% の相対誤差で再現していることが確認できた.次に,フサギ板の形状が異なる2 種類の鉄道車両モデルに対して着雪解析を行い,フサギ板の違いからくる着雪抑制効果を着雪実験と一致することが確認できた.さらに,着雪解析手法を用いることで,鉄道車両モデルに着雪が発生する場所や原因を考察することができるようになった.
  • 福山 貴史
    2021 年 83 巻 5 号 p. 489-505
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
  • 藤本 明宏, 河島 克久, 渡部 俊, 村田 晴彦
    2021 年 83 巻 5 号 p. 507-522
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,大雪時のスタック発生メカニズムの解明を目的に,大雪による車両滞留時の路面圧雪調査および圧雪路面での停車試験,タイヤ空転試験および車両発進試験を実施した. 路面圧雪調査では,大雪による車両滞留時の圧雪路面に窪みや波打つような凹凸の発生を確認した.停車試験およびタイヤ空転試験より,タイヤの輪荷重,熱および回転は圧雪を融解や圧密させ,タイヤを圧雪に沈ませると同時に,タイヤ直下のすべり摩擦係数を低下させることが分かった.車両発進試験より,輪荷重が大きいほどスタックは発生し難いことが分かった. 上記の研究より,車両のスタックは以下のメカニズムで発生することを明らかにした.大雪時には車両の走行性が低下し,停車時間や発進回数が増える.停車時間や発進回数の増大は,圧雪路面の窪みの発生やすべり摩擦係数の低下を誘発する.これらがタイヤの空転を助長し,それが圧雪路面の窪みの拡大やすべり摩擦係数のさらなる低下を引き起こす負の循環を生じさせ,スタック車両の発生に至る.本論文では,このメカニズムを踏まえて,タイヤが圧雪窪みに嵌った状態からスタックに陥る場合とスタックを回避する場合のフローチャートを示した.
  • 桶谷 洸太, 松元 高峰, 河島 克久
    2021 年 83 巻 5 号 p. 523-532
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/02/16
    ジャーナル オープンアクセス
    森林における冠雪の落下と気象条件との関係を明らかにするために,福島県の山地にあるオオシラビソ林において,タイムラプスカメラを用いた1 時間ごとの連続撮影により,林冠下部の枝葉からの冠雪の落下現象の観測を行った.1 時間に確認される落雪の発生数をもとにして,冠雪の落下現象を,一部の枝から局所的に落雪する「タイプⅠ」と,多くの枝から同時多発的に落雪する「タイプⅡ」の2 つに分類した.タイプⅡはさらに,見かけの時間あたりの落雪量が多い「タイプⅡ-A」と,少ない「タイプⅡ-B」の2 つに区分した.調査地近傍のアメダスの気象観測データを用いて,タイプごとに落雪時の気象条件を分析した結果,タイプⅠは,およそ気温0℃以下で発生しており,タイプⅡは,その多くが気温0℃以上で発生していた.そして,気温が2℃前後までの場合にはタイプⅡ-B が,それよりも高くなった場合にはタイプⅡ-A が主として発生していることが分かった.その一方で,風速や日射量には落雪のタイプによる大きな違いが見られなかった.以上より,森林内における冠雪の落下とその形態に影響を及ぼす気象要素は,主に気温であるということが明らかとなった.
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