列車が降雪地帯を走行すると,台車に雪が付着し成長する.着雪が走行中に台車から落ちると,線路上の地上設備や列車などに被害が発生することがある.このような着雪被害の対策検討のために,着雪の成長を再現する着雪解析手法の開発を進めている.
本研究で開発を進めている着雪解析手法は,気流計算と軌道計算と着雪計算を組み合わせたものである.着雪解析手法では,気流計算により気流の速度分布を計算し,気流の速度分布を用いて飛雪粒子の軌道を計算し,着雪計算により対象物に対して着雪するか否かの判定を行う.対象物に一定量着雪が成長したら,気流計算に着雪形状を反映する.このような連成計算により着雪形状ならびに着雪の体積の時間変化を計算する.
本研究では,降雪風洞における2種類の着雪実験により着雪解析手法の妥当性確認を行った.まず,立方体モデルの着雪解析を行い,着雪実験の着雪の射影面積を6% の相対誤差で再現していることが確認できた.次に,フサギ板の形状が異なる2 種類の鉄道車両モデルに対して着雪解析を行い,フサギ板の違いからくる着雪抑制効果を着雪実験と一致することが確認できた.さらに,着雪解析手法を用いることで,鉄道車両モデルに着雪が発生する場所や原因を考察することができるようになった.
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