雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
72 巻, 2 号
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  • 竹内 由香里, 鳥田 宏行, 西村 浩一, 坂本 知己, 萩野 裕章, 後藤 義明, 村上 茂樹, 遠藤 八十一
    2010 年 72 巻 2 号 p. 115-125
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    妙高山域の幕ノ沢で2008年2月17 日に大規模な面発生乾雪表層雪崩が発生し,多数の樹本が倒壊した.森林の表層雪崩に対する減勢効果を検証するために,スギ人工林を対象として林相や樹木の折損状況を調査した.スギの折損は雪崩が流入した林縁付近で最も甚大で,林内へ入るにつれて軽微となり,雪崩の痕跡は林縁から130mほどの林内で途絶えたことがわかった.樹幹の折損は曲げ応力による曲げ破壊であることもわかった.観測した枝折れ高や折れた幹の直径にもとづいてスギの幹が折れる応力から雪崩の速度変化を推定した.スギ林へ流入した雪崩の運動形態を低密度の雪煙層とした場合と,雪煙層(密度3kgm-3)と流れ層(密度300kgm-3)の2層構造とした場合の2通りについて速度を計算し,考察を行なった.その結果,この雪崩は高さが17mに達する雪煙層と厚さ2m以下の流れ層の2層構造で26~31ms-1以上の速度でスギ林に流入したと推定された.雪崩は林内を進みながら減速し,推定速度がOms-1となったのは林縁から約130mの位置であり,調査の結果と一致した.
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