雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
78 巻, 3 号
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  • 梨本 真, 小林 卓也, 石井 孝
    2016 年 78 巻 3 号 p. 127-141
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    富士山亜高山帯の生態系の動態に大きな影響を及ぼしている積雪環境を明らかにするため,山体四方位の標高1600〜2500mの斜面に標高100m 毎の定点調査地(合計40 地点)を設置し,1999/2000〜2014/2015年の16冬季の年最大積雪深を簡易最大積雪深計で測定した.各斜面の積雪深(16年平均)を亜高山帯下部(標高1600〜1900m),同上部(同2000〜2400m),森林限界付近(同2500m)に分けてみると,東面:85cm,152cm,344cm,南面:44cm,102cm,259cm,北面:68cm,90cm,109cm,西面:21cm,36cm,54cmの順に小さかった.各斜面の亜高山帯下部から上部までの積雪深には高度依存性がみられたが,標高の増大に伴う積雪深の増加率と森林限界付近の高度依存性の変化は斜面で異なっていた.北面の標高2220mの雪崩跡地で,2002/2003〜2014/2015年の13冬季の積雪日を地表面温度から推定した結果,積雪日が連続した期間は135.7±21.9日(平均値±標準偏差,111〜181日)で,年によって最大約70日の違いが認められた.富士山の積雪環境は斜面の方位や高度,年によって大きく変化しており,生態系への影響を考える場合にはこれらについて十分留意することが重要である.
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