雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
72 巻, 4 号
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  • 上野 健一, 大門 亮太, 足立 幸穂, 清水 悟
    2010 年 72 巻 4 号 p. 237-253
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    長野県菅平高原における積雪深に,雪面が1日で急激に低下し,その後,一定に保持される期間を経て急上昇する特異的な変化が観測された.この“凹型”の雪面変動は温帯低気圧の通過に伴い厳冬期にも発生しており,菅平高原に限った現象では無い.簡易的な熱収支解析および断面観測より,低気圧の暖域通過に伴う断続的な顕熱による融雪と,その後の積雪上部での再凍結が主原因であると判断した.積雪深の長期記録によると,顕著な凹型積雪深変動は日本海沿岸で暖冬に伴う少雪が顕著となる1980年代後期から散発的に出現している.客観解析データ上で検出されるPNA・WP遠隔伝播パターンと列島周辺の低気圧頻度との関係も同時期以後は変調し,低気圧経路により北進成分が強まる傾向にあることが示唆された.菅平の冬期降水量が増加する年は,日本海上を通過する低気圧の中心気圧が低くなる傾向も示された.しかし,凹型積雪深変動の出現と低気圧活動の年々変動に有意な対応関係は見出せなかった.中部山岳域での雪氷圈変化に関する長期観測態勢の確立が望まれる.
  • 松元 高峰, 河島 克久, 外狩 麻子, 島村 誠
    2010 年 72 巻 4 号 p. 255-270
    発行日: 2010年
    公開日: 2022/07/31
    ジャーナル オープンアクセス
    融雪期における斜面崩壊の危険度予測への適用を目的として,積雪底面流出量の短時間変化を推定する簡便な形式のモデリング手法の提案を,2007/08年冬季に新潟県で実施した融雪観測の結果に基づいて行った.表面融雪量の推定には,Konya et al.(2004)の提案した,気温と日射量とを変数とするモデルを適用した.入力日射量として,Yang and Koike(2005)の「locally calibrated Angstrommodel」によってAMeDASの日照時間データから推定した値を用いた場合の有効性も検討した.また積雪層内の鉛直浸透過程については,中津川ら(2004)による飽和浸透を仮定した線型貯留関数モデルの形式を用い,モデルの貯留係数を積雪深の関数とする方法と,積算暖度の関数とする方法との2種類をそれぞれ適用することで,積雪底面流出量の推定を試みた.その結果,融雪期後半においては,気温・日射量(あるいは日照時間)・雨量という3種類のデータが得られれば,積雪底面流出量の時間変化をよく再現できることが明らかになった.
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