雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
79 巻, 2 号
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  • 佐藤 威, 小杉 健二, 根本 征樹
    2017 年 79 巻 2 号 p. 211-224
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    板状の障害物の風上に形成される吹きだまりの密度とその風速依存性について,新雪,こしまり雪,しまり雪(いずれも人工雪)を用いた風洞実験と野外観測を行った.風洞実験によれば,吹きだまりの全層密度は位置により異なり,風下(障害物)に向かって単調に減少する場合と,風下に向かって一度増大し極大となった後に減少する場合があった.野外における吹きだまりの表層密度にも同様の傾向が見られた.新雪とこしまり雪を用いた実験では,吹きだまり頂部付近の全層密度と設定風速には正の相関関係が見られた.新雪を用いた実験では全層密度と局所風速に一定の関係があったが,こしまり雪を用いた実験では一定の関係はなかった.吹きだまりの密度が風下に向かって減少することの理由として,吹きだまりの風上側で中程度の大きさの飛雪粒子の収束(堆積)が大きく,堆積した飛雪粒子の粒径の多様性が生じることがあり,また,新雪を用いた実験では,風上側では雪面に平行に堆積する飛雪粒子が多く,風下では雪面に対して角度をもって堆積する飛雪粒子が多いこともある.これらはいずれも障害物に近づくにつれ弱まる風と飛雪粒子の運動の相互作用によって生じる現象である.
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