雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
57 巻, 2 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 仲山 智子
    1995 年 57 巻 2 号 p. 125-132
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,現実的な気温変動に伴う永久凍土の厚さの変化を推定することである.これまで,永久凍土の厚さの変化は定常現象として扱われ,その推定には一般に解析的な手法が用いられていた.そのため,地表面の温度変化はステップ的あるいはべき乗則で与えられ,現実的なものではなかった.そこで,本論文では永久凍土の厚さの変化を非定常現象として扱い,潜熱の発生を考慮した非定常一次元熱伝導モデルを導入することにより,連続的な温度変化に伴う永久凍土の厚さの経時変化を推定した.計算は北海道・大雪山の山岳永久凍土に関して,最終氷期最寒期以降の2万年について行った.その結果,永久凍土の厚さは,2万年前から現在まで地表面温度の変化に追従して変化し,およそ5000年前に11.5 mと最も薄くなった後,現在は30.1 mに達していることなどが推定できた.この結果から,大雪山の永久凍土は氷期以降も融けきることなく存在し続けていたこと,気候最適期以降,再度成長したことが示された.また,永久凍土の厚さの変化は,土壌水分量及び地殻熱流量に対して敏感であるという結果も得られた.
  • 佐藤 篤司, Edward E. ADAMS
    1995 年 57 巻 2 号 p. 133-140
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    積雪の有効熱伝導率におよぼす微細構造の影響を調べるために等大氷球の集合よりなるモデル積雪を考えた.積雪中の熱流を氷球の結合部を通る熱,水蒸気の昇華・凝結に伴う潜熱による熱流,空隙を通る熱の3通りの和とし,熱抵抗をそれぞれ求めて計算した.
    その結果,密度および結合部/粒子径の比が大きくなると,氷球の結合部を通る伝導が大きくなり全体の熱伝導率に占める割合が増大することを示した.また卓越熱伝導を示すダイヤグラムを作成し,結合部と粒子径の比が小さい場合に水蒸気による寄与が卓越すること,温度の低下と共にこの領域が狭くなって行くことを示した.
    結合部/粒子径の比が小さいときは温度が変わってもほとんど伝導率に違いがなく,比が大きいと温度の低い方が大きな熱伝導率を示すことがわかった.すなわち,積雪の熱伝導率は氷粒子間の結合の太さ,密度,温度等により卓越メカニズムが代わること,またその結果,積雪の熱伝導率は積雪の密度のみならず微細構造すなわち氷粒子間の結合の太さに強く支配されていることを明らかにした.
  • 小林 俊市, 熊谷 元伸
    1995 年 57 巻 2 号 p. 141-148
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    人手に頼らずに,新雪を対象として少量ずつ落雪させる新しい屋根雪処理機械を開発した.本機は,90Wのモータを動力源とし,棟をまたぐ逆V字形の切削滑落板を,屋根上に固定したレール上で横方向へ滑動させることにより屋根雪を切削し,切削滑落板上から軒下へ雪を滑り落として処理するものである.長岡市における小雪年での試験の結果,地上積雪深が59cmの時,切削滑落板の下端から75cm程度までが埋雪(最深8cm)し,これを切削することになったが,その時の除雪抵抗力は11.3kgf(切削滑落板1枚当り5.7kgf)で,屋根雪をスムーズに処理できることを確認した.
  • 宮崎 伸夫, 原田 俊之, 近藤 茂, 長谷 美達雄
    1995 年 57 巻 2 号 p. 149-154
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    雪の資源的ポテンシャルを多目的に活用するために,"スクリューフィード方式&quotの小型雪圧縮機を開発した.この雪圧縮機は,集めた雪をスクリューで筒内に押し込み,テーパーのついた筒の先端から円柱あるいは四角柱に圧縮・成型された雪を連続的に排出する仕組みになっている.また,この圧雪塊は着色することもできる.圧雪塊の力学試験から,実用上十分な強度と保存性があり,雪祭りや雪室の貯雪などの各種の材料として利用できることを明らかにした.この方式の特徴は,機械が小型で小動力で作動すること,操作が容易でかつ安全であり,経済性に優れた点も併せ持っていることである.
  • 坊城 智広, 長田 俊明, 小山 嘉紀, 松田 宏, 富樫 香流, 榊原 美智恵
    1995 年 57 巻 2 号 p. 155-162
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    林木の雪崩抑止効果を明らかにするために,従来から幼齢林木を対象として,積雪による樹幹の傾倒変形の調査が行なわれているが,本調査では今までより大きな壮齢林木も含めて落葉広葉樹の傾倒変形を測定し,樹高・直径との関係を数式化した.
    さらに,樹幹のヤング率を求め,将来,落葉広葉樹の樹種別間で,あるいはスギなどの針葉樹も含めて,撓屈抵抗による雪崩抑止効果を比較するための基礎資料とした.
  • 東 信彦
    1995 年 57 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    南極やグリーンランド氷床では場所によって特異なファブリックが発達し,氷床氷の力学的性質も等方性氷とは全く異なることが,最近の深層掘削によって採取された氷コアの研究から明らかになった.氷床のモデリングやダイナミックスの研究に於いてGlenの流動則が使われているが,この流動則は多結晶氷の塑性が等方的であることを前提としたもので,特異ファブリックを持つ氷床氷には適用出来ない.筆者は最近,任意のファブリックを持つ多結晶氷に適用できる流動則を導出し,この流動則が氷床氷の流動特性をうまく記述することを示した.次にファブリック発達のメカニズムについて考察し,氷床中では粒内滑りによる結晶回転がファブリック発達を支配していることを示した.最後に何が氷床の流動を律速するかについて問題を提起した.
  • 氷コア中の空気の研究
    内田 努
    1995 年 57 巻 2 号 p. 173-174
    発行日: 1995/06/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top