日本における北極環境研究の推進体制は,時代とともに変化してきている.1990 年頃から活発になってきた研究の一つの大きな転換は2000年代初頭にあり,それは分散型の体制からAll-Japan の連携のとれた集結型の体制への転換であった.その過程の中で研究コミュニティーの有志が設けた「北極域研究検討委員会」の活動があり,2005 年から2011 年まで続いた.その活動からAll-Japan の性格を持つ日本地球惑星連合(JpGU)の「北極域の科学」のセッションが始まり,また国際北極研究シンポジウム(ISAR)も始まった.そしてその活動は,その後の日本の北極評議会参画や文部科学省の北極プロジェクト(GRENE, ArCS),北極環境研究コンソーシアム(JCAR)の形成などに一定の影響を及ぼしたと考えられる.本報告では,2005年から2011年までの「北極域研究検討委員会」の活動と貢献の内容を中心に,その背景や波及効果を含め,北極環境研究推進体制の転換の時期の経過を振り返る.
抄録全体を表示