雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
75 巻, 1 号
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  • 秋山 一弥, 関口 辰夫
    2013 年 75 巻 1 号 p. 3-17
    発行日: 2013年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル オープンアクセス
    新潟県・長野県の県境付近に位置する苗場山・鳥甲山の周辺において,1997,2001,2002年の融雪期に撮影された空中写真を用いて,雪崩の発生から移動,堆積までの地形的な要素と発生規模の数値的な特徴について調査を行った.空中写真判読で得られた1139個の雪崩のうち,表層雪崩は30個,全層雪崩は1109個であり,発生区の勾配はいずれも40〜45°が最も頻度が高く,直接見通し角は全層雪崩で38〜40°付近を頂点とする正規分布に近い形であった.到達距離は落差に対して,回帰分析では表層雪崩が約1.7倍,全層雪崩が約1.3倍であり,到達距離が1kmを超える雪崩も発生していた.実際の雪崩が流下した距離と,雪崩が雪の動摩擦角である32°で流下した場合の到達距離の差である超過距離は雪崩の流動性を表すが,一部の表層雪崩は超過距離が大きくなるものの,ほとんどの雪崩は0m付近か負の値であった.雪崩発生区の面積や到達距離を雪崩の規模として発生数との関係を調べると,べき乗則(power-law)に従って減少する関係があり,その減少割合は冬期別に違いはないが,区域別や雪崩種類別では差異がみられた.
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