皮膚の科学
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15 巻, 5 号
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症例
  • 八尋 知里, 鷲尾 健, 中村 文香, 錦織 千佳子, 河端 暁子, 湯 華民, 森 康子
    2016 年 15 巻 5 号 p. 327-331
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/19
    ジャーナル 認証あり
    症例は40歳代女性で,てんかん発作の後にカルバマゼピンが投与された1ヶ月後より感冒様症状があり,頸部リンパ節の腫脹や発熱を伴って全身に紅斑が拡大したため当科入院となった。薬剤性過敏症症候群と考えプレドニゾロン 60mg/日より高用量ステロイド内服治療を行うも,皮疹および低ガンマグロブリン血症が遷延し,膵逸脱酵素の上昇も持続的に認められた。また,カルバマゼピンでパッチテスト陽性を示したが,薬剤リンパ球刺激試験では病初期のみ陽性を示した。自験例では経過中にヒトヘルペスウイルス6の再活性化を認めず,抗サイトメガロウイルス IgM が高値を持続したことから,サイトメガロウイルス感染が遷延する病態に寄与したのではないかと推定した。(皮膚の科学,15: 327-331, 2016)
  • 河平 一宏, 木原 綾子, 谷口 彰冶
    2016 年 15 巻 5 号 p. 332-336
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/19
    ジャーナル 認証あり
    第1例:40歳代,女性。10歳頃よりアトピー性皮膚炎と診断され,治療を受け寛解・増悪を繰り返していた。41歳時に,四肢と背部に小丘疹が出現し,増悪したため当院を受診した。第2例:30歳代,女性。幼少期よりアトピー性皮膚炎と診断され治療を受けてきた。両下腿に丘疹が出現し増加した。症状が増悪したため当院を受診した。2例とも病理検査にてアミロイド苔癬と診断し,ステロイド内服・外用,抗ヒスタミン剤を内服したが,改善しなかったため,シクロスポリンを投与したところ短期間で改善した。本邦においてシクロスポリンの著効例の報告は少ない。自験例より,シクロスポリンはアトピー性皮膚炎に合併したアミロイド苔癬の治療の選択になり得る可能性が示唆された。(皮膚の科学,15: 332-336, 2016)
  • 寺田 葵衣, 谷崎 英昭, 兪 明寿, 黒川 晃夫, 森脇 真一
    2016 年 15 巻 5 号 p. 337-340
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/19
    ジャーナル 認証あり
    60歳代,女性。当院消化器内科にてB型肝炎による肝細胞癌(stage II)と診断され,肝動脈化学塞栓術および腹腔鏡下肝部分切除術が施行された。2年後,S3 に肝細胞癌の再発を認めラジオ波焼灼術が施行された。5ヶ月後,S3,S5,S7 に肝細胞癌の2度目の再発を認め,再びラジオ波焼灼術が施行された。術後1ヶ月目より電極針刺入部に一致して皮下腫瘤を触知し,肝細胞癌皮膚転移が疑われ当科受診となった。同部位から生検した病理組織学像では淡明な細胞を有する肝細胞癌類似の異型細胞の集積がみられ,肝細胞癌の皮膚転移と確定診断した。悪性腫瘍に対する経皮的操作の普及に伴い,医原性の悪性腫瘍皮膚転移が増加することを念頭に置く必要があると考えられた。(皮膚の科学,15: 337-340, 2016)
  • 鵜飼 佳子, 藤井 紀和, 高橋 聡文, 藤本 徳毅, 中西 元, 田中 俊宏
    2016 年 15 巻 5 号 p. 341-344
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/19
    ジャーナル 認証あり
    20mm 大の下口唇の静脈湖に対して,炭酸ガスレーザーとロングパルスダイレーザーを組み合わせて治療を行ったところ,徐々に腫瘍は縮小し瘢痕や水疱形成を認めず患者の満足が高かった。静脈湖に対するレーザー治療法については,現時点では標準的なプロトコールはなく,さまざまなレーザー治療が行われている。今後は,種々のレーザー治療を比較した大規模なランダム化比較試験が期待される。(皮膚の科学,15: 341-344, 2016)
  • 松岡 潤子, 深井 和吉, 林 大輔, 立石 千晴, 上間 優香, 松村 泰宏, 大霜 智子, 國本 奈津子, 濱口 儒人, 鶴田 大輔
    2016 年 15 巻 5 号 p. 345-350
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/11/19
    ジャーナル 認証あり
    皮膚筋炎では悪性腫瘍の合併が知られており,筋炎の筋症状が咽頭や頸部に及ぶと嚥下障害が生じる。今回我々は嚥下障害と早期胃癌を合併した皮膚筋炎の1例を経験したので報告する。【症例】70歳代,女性。平成27年7月より顔面に紅斑が出現し,9月末より頭部,四肢体幹に拡大,筋肉痛を自覚した。その後四肢脱力感が出現し,著明な全身倦怠感,歩行困難があり10月末に入院した。両眼瞼に浮腫性紅斑,手指関節背側に角化性紅斑と爪囲紅斑がみられた。筋把握痛があり,頸部と四肢近位筋優位に筋力低下を認めた。血液検査で筋酵素の上昇があり皮膚筋炎と診断した。PSL 50mg/日内服を開始し筋症状と皮膚症状の改善がみられた。入院後嚥下障害が出現し,遷延したため IVIG を1ヶ月毎に3回施行したところ,嚥下機能が回復した。また悪性腫瘍の検索で早期胃癌が発見された。筋炎特異的自己抗体は抗 TIF1 抗体が陽性であった。【結論と考察】ステロイド抵抗性の嚥下障害に IVIG は試みる価値がある。嚥下障害を伴った皮膚筋炎では悪性腫瘍合併率が高く注意が必要である。筋炎特異的自己抗体は病態の把握や治療方針の決定に有用である。(皮膚の科学,15: 345-350, 2016)
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