日本教科教育学会誌
Online ISSN : 2424-1784
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45 巻, 3 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 齊藤 暁子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 45 巻 3 号 p. 1-12
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル 認証あり

     主に,1906年から満鉄沿線付属地で進められた手工教育の変遷を追い,特に南満州教育会機関誌『南満教育』と満州教育研究所月刊誌『満鉄教育たより』を中心に掲載された,手工教育にまつわる記事の収集分析から,手工科の導入,再教育による教員養成,手工研究会の開催記録について考察した。その中で,1929年から1935年教育研究所に赴任した鈴木定次が,初等教員養成・教員再教育において,手工科を推し進める中心的教員の一人として,どのように活動し,手工科の普及をなしたのか。その原動力となった手工教育観の変遷を含めて,実態を明らかにした。

  • 片岡 実
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 45 巻 3 号 p. 13-23
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は,大村はまの教育観の形成に影響した初任校である諏訪高女の校風や,校長の初任者指導を概観し,大村の指導観や指導方法形成の源流の一つを明らかにする。

     研究の結果,諏訪高女の初任者指導には,岩垂今朝吉校長から脈々と受け継がれてきた生徒や教師の個性を生かすことが重視され,生徒間に生じる差へも配慮するよう指導が徹底されている。それらの指導は時代の流れに順応しながらも,根底にある個性の尊重は揺らぐことなく,三村安治校長以降も代々の校長によって受け継がれ,大村はまの実践に影響を与えた。

  • 桒原 知恵, 伊藤 圭子
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 45 巻 3 号 p. 25-36
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル 認証あり

     本研究は,家庭科の授業の中でも調理実習授業に焦点をあてて,自己調整学習を援用した授業モデルを試案し,それを授業実践して実証的に検討することを目的とする。

     研究方法は,Zimmermamが提唱した自己調整の循環的段階モデル(予見段階,遂行段階,内省段階)を援用して,中学生を対象に調理実習授業を開発した。そして,授業前・後に,授業に参加した中学生を対象に質問紙調査を実施した。その結果,対象者は3群(高得点群・中得点群・低得点群という)に大別された。自己調整学習方略得点は高得点群,中得点群,低得点群の順に高かったが,授業前後の得点差は低得点群,中得点群,高得点群の順に高かった。 内省段階の記述枚数は高得点群,中得点群,低得点群の順に多く,記述内容に違いがみられた。

  • 斉藤 仁一朗, 後藤 賢次郎
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 45 巻 3 号 p. 37-50
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル 認証あり

     本研究の目的は,これまでの社会科教育法関連科目の模擬授業研究の論文の特徴を整理,考察した上で,社会科教員養成課程におけるこれからの模擬授業研究に示唆を得ることである。その結果,模擬授業を行う意図,位置づけによって4つの類型を導くことができたが,社会科の目的や授業の理論との関連が希薄であったり,理論から実践への有機的な繋がりを説明できていないなど,いずれも模擬授業の効果や意義を研究としては検証できていない課題が明らかになった。この課題は,教員養成課程における模擬授業が,社会科教育研究の学問的な知見と,実際に授業ができることに関わる経験的・感覚的な知見との葛藤を表出する場であることを示唆している。このことから,今日の学校教育や教員養成・教師教育の議論を踏まえ,社会科教育研究と教員養成の両立を模索する主戦場として模擬授業を捉え,模擬授業研究を社会科教育研究の範疇におく必要があると考える。

資料
  • 森田 大輔
    原稿種別: 資料
    2022 年 45 巻 3 号 p. 51-65
    発行日: 2022/12/20
    公開日: 2024/05/24
    ジャーナル 認証あり

     本稿の目的は,我が国における数学教師教育研究(和文学術誌に掲載された,日本の数学教師の力量形成に関する研究)に関する一連の先行研究群をシステマティックレビューによって分析し,数学教師教育研究が何を対象にしてきたか,またそれらがどのように研究されてきたかを明らかにし,研究上の課題を導出することである。そのために,本稿では先行研究を分析するための視点として,「数学教師教育研究の対象(キャリア,学校種)と焦点(教師の力量)」と「数学教師教育研究の方法」を定めた。これらの観点に即して,「査読を経て公表された,我が国における数学教師教育研究に関する原著論文」と同定された59本の論文に対してシステマティックレビューを行い,研究の動向や偏りを明らかにした。また,今後行う必要がある研究として,数学教師教育者の研究,高等学校の教員養成・現職教育の研究,日本の数学教師に対する社会学的研究の3点を指摘した。

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