日本臨床免疫学会会誌
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13 巻, 2 号
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  • 猪子 英俊, 辻 公美
    1990 年 13 巻 2 号 p. 103-119
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 青木 定夫, 丸山 聡一, 野本 信彦, 小池 正, 品田 章二, 柴田 昭
    1990 年 13 巻 2 号 p. 120-126
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    白血病細胞を,厳密に選定した抗体を用いて解析したところ, hybrid acute leukemia (HAL)を高頻度に見いだした.
    対象および方法: 1988年10月から1989年5月までに解析した,骨髄または末梢血に芽球が40%以上存在する急性白血病および慢性骨髄性白血病急性転化(CMLBC)計51例を対象とした.検体は全血のままで, fluorescein (FITC)およびphycoerythrin (PE)標識モノクローナル抗体で2重染色し,抗体の組合せは, CD4とCD 2, CD 3とCD 19, CD 2とHLADR, CD 13とCD 20, CD 36とCD 14, CD 10とCD 33, CD 1とCD 21, CD 7とCD 25とした. HALの診断はGaleの定義に準じた.
    結果: 1. ALL 20例中7例にmyeloid抗原の発現を認めた. 2. CMLBC 9例中2例にmyeloid抗原の発現を認めた. 3. ANLL 22例中1例にlymphoid抗原陽性芽球の出現をみた.
    結論: ALLおよびCMLBCに,高率にHALが存在した.今後,これらの例の臨床的意義について検討したい.
  • 森 徹, 小杉 眞司, 井上 大輔, 榎本 哲也, 須川 秀夫, 井村 裕夫
    1990 年 13 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Euthyroid ophthalmopathy (EO)の臨床免疫学的検索を行った.甲状腺腫は小さく, 99m-Tc摂取率もほぼ正常であったが, TSHは3分の1の例で低値であった,抗甲状腺抗体は約3分の1に陽性で,高抗体価例もみられた.一方, TSH受容体抗体は, TBIIは30例中3例のみに陽性でいずれも低値であり, TSAbも22%のみが陽性で低活性にとどまった. EOと自己免疫性甲状腺疾患について, RFLP法を含めてHLAタイピングを行った. EOでは, B 12, B 40, DR 9およびDQw 3の増加とCw 1およびDw 15の減少が対照群に比して有意差を示した.バセドウ病でも8抗原,橋本病では4抗原に有意差がみられたが, EOと重複したのはDQw 3のみであった. 3疾患群間の比較,さらにバセドウ病の眼症例などのsubgroupとの比較においても, EOの特殊性が確認された.以上の成績からEOはしばしば甲状腺異常を示すが,亢進症を発症しないことに, TSH受容体抗体が低いことおよび遺伝的体質が異なることが関与すると結論された.
  • 溝口 靖紘, 久保井 広志, 関 守一, 小林 絢三, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1990 年 13 巻 2 号 p. 136-141
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Propionibacterium acnes (P. acnes)の加熱死菌を静注すると,約1週間後に肝組織内にマクロファージを中心とする単核細胞浸潤が認められ,さらにlipopolysaccharide (LPS)を追加静注すると,肝細胞壊死が起こる.そこで, P. acnesの単核細胞浸潤誘導の機序を解析する一端として, P. acnesの菌体成分を分析した.その結果p. acnes菌体のSepharose 6 B columnによるphenol-water抽出画分に単核細胞浸潤誘導能を有しており,その後のLPS追加静注において,急性肝不全が誘導された.
  • 森田 和之, 守内 順子, 市川 幸延, 辻 公美, 有森 茂
    1990 年 13 巻 2 号 p. 142-148
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    日本人Behcet's disease (BD)患者のHLAクラスIおよびクラスII抗原頻度とBDの種々の臨床像との関連を調査することにより, BD発症の遺伝的背景に関し検討した.その結果,眼症状を有している患者ではHLA-B51が高頻度であるとともに, DQw 1が有意に低頻度であることが判明した.この傾向は,外陰部潰瘍を有しない患者により強く認められた.一方,眼症状を有していない患者のHLA抗原頻度は,コントロールとの間に統計的に有意な差は認められなかった.さらに患者群を発症年齢により分けたところ, 30歳以下発症群では30歳以上発症群およびコントロールに比してDR 1が高頻度であることが判明した.また,患者とコントロールを男女に分け検討したところ,女性患者ではコントロールとの間に有意な差は認められなかったが,男性患者ではA 31, B 51が高頻度で, DR 2, DQw 1が低頻度であった.これらの結果はBDが単一な疾患ではなく,眼病変の有無,性,若年発症か否かで免疫遺伝学的背景が異なることを示唆している.
  • 野口 雅章, 岩森 正男, 平野 隆雄, 小林 茂人, 橋本 博史
    1990 年 13 巻 2 号 p. 149-157
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    異なる表面マーカーのT細胞株(P 12, Jurkat, Hut 78), B細胞株(Wa)を抗原とする細胞酵素抗体法を用いて, SLE患者88例,健常人15例の血清中抗リンパ球抗体の力価を測定し検討した.その結果,健常人に比し, SLE患者では,用いたすべてのT, B細胞株に対する抗体が高力価の血清を多く認めた. IgMクラス抗リンパ球抗体に比し, IgGクラス抗リンパ球抗体が高力価の傾向を示した. IgGクラス抗リンパ球抗体の力価とリンパ球減少および低補体価との間に有意な相関を示した. TLCイムノステイニング法を用いた検討の結果,一部のSLE患者血清群で,リンパ球膜表面の特定の糖脂質と反応する抗体を認めた.以上より, SLE患者血清中の抗リンパ球抗体はT, B細胞表面マーカーを問わず,多様にリンパ球表面(一部糖脂質)と反応することが判明した.また, IgGクラス抗リンパ球抗体は, SLEの疾患活動性の指標として臨床的応用が期待された.
  • 片山 正哉, 河本 英作, 高石 知明, 内橋 正仁, 深見 隆則, 岡本 良三, 岩崎 正憲
    1990 年 13 巻 2 号 p. 158-164
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    妊娠,分娩後に多発性筋炎を発症,自然寛解した1症例を経験した.症例は28歳主婦,昭和62年6月,初回双胎妊娠.妊娠25週羊水過多のため切迫早産, 2児とも周産期に死亡.産褥後3~4日目ころより下肢脱力感を自覚し,上肢にも波及し整形外科受診. CPK 10,089mU/mlを示し筋電図の筋原性変化を指摘され9日後内科入院,筋生検にて確定診断した.入院時,四肢の筋力低下と各種の筋原性酵素の上昇を認めたがCPK 3,474mU/mlとすでに低下しており,無治療で筋力も回復した.発熱などの先行する感染症状もなく,ウイルスの関与は否定的で,トキソプラズマ抗体も陰性.発症前に使用した薬剤を再投与したが反応はなく,免疫抗体,ホルモンの異常は検出されなかった.妊娠と多発性筋炎の合併はきわめてまれで,大半は筋炎の診断後に妊娠している.本例のごとく妊娠,分娩を契機に発症した筋炎の報告は内外にもみられず,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 前廣 康平, 菅原 正弘, 橋本 博史, 廣瀬 俊一
    1990 年 13 巻 2 号 p. 165-169
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    γ部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization; PSE)を施行した著明な血小板減少を伴う全身性エリテマトーデス(SLE)の1例を報告する.
    患者は30歳女性でplatelet associated IgG (PAIgG)およびLupus anticoagulant (LAC)陽性のSLEでsteroid療法を施行していたが, steroid剤の減量とともに血小板数が著しく減少し, 1.0×4l以下となった.このため, betamethasone 50 mg/日3日間のセミパルス療法, γ-globulin大量療法を3回ずつ施行したが一時的な効果しか得られなかった.脾摘術を行うには危険性が高いためPSEを施行した. PSE施行後は, 1年を経ても血小板数は3.0×104l~5.0×104l程度を維持している. steroid抵抗性の血小板減少を伴った腎機能低下のあるSLEで内科的治療が無効な場合, PSEは比較的侵襲が少なく有効な治療法であると考えられる.
  • 長岡 章平, 千場 純
    1990 年 13 巻 2 号 p. 170-175
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    AOSDの病因は,現在のところ不明である.今回, AOSDの経過中に, ASOおよびASKの高値を認め, AOSDの病態との関連性が臨床的に示唆されたので報告する.症例は38歳,女性.弛張熱,関節炎,筋肉痛,赤桃色の紅斑,白血球増多,血沈充進, CRP強陽性,高ガンマグロブリン血症,正球性正色素性貧血,肝機能障害,抗核抗体陰性,リウマチ因子陰性などよりAOSDと診断した.入院時, ASO 1,280 Todd unit, ASK 20,480倍であった.上記AOSDの諸症状はステロイド治療により,すみやかに改善した. ASOおよびASK値は,これより遅れて8ヵ月経過して正常に復した.溶連菌感染の直接的証明は得られなかったが, AOSDの経過中に, ASOおよびASK値の上昇を認めた症例はまれであると考え報告した.
  • 足立 靖, 一柳 伸吾, 中田 雅之, 杉山 敏郎, 近藤 吉宏, 菅 充生, 今井 浩三, 上條 桂一, 矢花 剛, 谷内 昭
    1990 年 13 巻 2 号 p. 176-183
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    悪性貧血と橋本病は共に,臓器特異性を有する自己免疫疾患の代表的な存在とされ,しばしば他の自己免疫疾患を合併することが知られている.ここに,両疾患を合併した54歳の女性を報告する.入院時に舌炎・白髪・知覚異常を認め,骨髄穿刺により有核細胞数28万,巨赤芽球15.2%を認め,ビタミンB12吸収障害,抗内因子抗体および抗壁細胞抗体陽性のA型胃炎を認め,悪性貧血と診断した.さらにMeuthyroid struma(3度・弾性硬)を認め,抗microsome抗体陽性であり,画像診断も含めて橋本病と診断した.両疾患の合併は欧米ではまれではないが,筆者らの集計では本邦報告例は26例と少ない.合併例は女性に多発し,好発年齢は30歳代と50~60歳代であり, 12例は橋本病が先行し, 9例は同時期に見いだされた.本症の病因および合併の機序について,免疫学的知見を含め,文献的考察を加えた.
  • 吉尾 卓, 森 正樹, 隅谷 護人, 狩野 庄吾
    1990 年 13 巻 2 号 p. 184-189
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    40歳の女性症例が入院時SLEおよびループス腎炎によるネフローゼ症候群と診断された.入院時より著明な腹水貯留が認められ, SLEによる腹膜炎に,さらにネフローゼ症候群による低蛋白血症が重なったために大量の腹水が出現したと考えられた. SLEに対する治療としてベータメサゾン8mg/日の投与を開始したが腹水は全然減少せず,さらに連日の利尿剤とアルブミン製剤投与,パルス療法,メチルプレドニゾロンの腹腔内投与,体外式限外濾過法による除水も試みたがすべて無効であった.そこで利尿剤とアルプミン製剤投与にドパミン製剤を併用し, 3μg/kg/minの濃度で連日投与したところ尿量が増大しドパミン製剤の投与開始前の体重53.5kg,腹囲93cmが42日後にはそれぞれ41.0kg, 70cmと減少し,腹水は完全に消失した.本症例の腹水が副腎皮質ホルモン剤などに反応せずドパミン製剤に反応した真の理由は不明である.
  • 武田 智, 星 智
    1990 年 13 巻 2 号 p. 190-196
    発行日: 1990/04/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    抗好中球細胞質抗体陽性を認めたWegener肉芽腫症の1例を経験したので報告する.症例は42歳の女性で昭和63年9月に鼻痛,鼻閉感,鼻出血が出現し鼻の変形に気づいた,某耳鼻科で加療し症状が軽快したが12月に再び同様な症状が出現した.その後平成元年3月には微熱,右耳難聴が,さらに咳嗽,右眼球結膜の充血,肘,足,膝関節痛が出現したため4月7日精査のため入院となった.鞍鼻,咳嗽,鼻痛などの上気道炎様症状,強膜炎,強度の炎症所見,抗好中球細胞質抗体陽性,蛋白尿,沈渣異常を認め,また鼻粘膜生検にてラングハンス型巨細胞を伴った類上皮肉芽腫と肉芽形成期の血管炎の所見を認めたためWegener肉芽腫症と診断した. Prednisolone 60mg/日, cyclophosphamide 100mg/日で治療を開始し臨床症状は著明に改善したが腎機能が急速に悪化し, pulse療法とplasmapheresisを併用した.現在は寛解の状態である.抗好中球細胞質抗体は入院時は32倍,臨床症状や腎障害の改善が認められ感染症を併発した6月下旬や,さらにWegener肉芽腫症の活動性がおさまっていた7月中旬は陰性であった.このことは抗好中球細胞質抗体がWegener肉芽腫症の診断や感染症の鑑別など疾患の活動性を判断する指標として有用な免疫学的検査であることを示唆するものである.
  • 1990 年 13 巻 2 号 p. e1a
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 1990 年 13 巻 2 号 p. e1b
    発行日: 1990年
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
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