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佐藤 隆司, 宮崎 浩二, 大沢 絵莉子, 茂出木 菜穂美, 喜多 晃子, 栗原 紗恵子, 川崎 友里, 小平 祐衣, 東原 正明, 高橋 ...
2013 年36 巻5 号 p.
378b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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【背景・目的】免疫性血小板減少症(ITP)の病態形成の機序は,抗血小板抗体による血小板破壊と骨髄巨核球の成熟障害が考えられている.本研究では巨核球の成熟に必須なトロンボポエチン(TPO)に対する自己抗体(抗TPO抗体)が巨核球の成熟障害に関与している可能性を想定し,ITP患者における抗TPO抗体の検出および抗体の機能を解析した.【方法・結果】抗TPO抗体はリコンビナントヒトTPO(rhTPO)を固相化したELISAで測定し,ITP患者26例中4例(15.4%)で認められた.抗TPO抗体ELISAの特異性は,抗体陽性例と高濃度rhTPOを前もって反応させる競合阻害実験で確認した.抗TPO抗体が血漿TPO濃度に影響を及ぼす可能性を検討するため,ELISAでTPO濃度を測定した.TPO濃度は抗TPO抗体陰性例と比べ抗体陽性例では低値であった.また,抗TPO抗体が巨核球の増殖に影響を及ぼす可能性を検討するため,抗TPO抗体陽性または陰性血漿から精製したIgGとTPO依存性に増殖する巨核球細胞株UT-7/TPOおよびrhTPOを加え培養し,CCK-8で細胞増殖を測定した.その結果,抗体陽性IgGを加えたUT-7/TPO細胞では増殖が抑制された.【結語】ITP患者から抗TPO抗体が検出され,その抗体は血漿TPO濃度および巨核球の増殖に影響を及ぼし,ITPの病態形成に関与している可能性が示唆された.
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向野 晃弘, 樋口 理, 中根 俊成, 寶來 吉朗, 中村 英樹, 松尾 秀徳, 川上 純
2013 年36 巻5 号 p.
379a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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【目的】シェーグレン症候群(SS)ではヒトムスカリン性アセチルコリン受容体M3(AChRM3)に対する自己抗体の関与が指摘されている.抗AChRM3抗体の検出は,細胞外領域に相当する合成ペプチドを用いたELISA法等が既に報告されている.今回,我々は複数貫通膜分子に対する抗体の検出に効果的であるカイアシルシフェラーゼ免疫沈降法(GLIP法)による抗AChRM3抗体測定系を評価した.【対象・方法】SS 37例,健常者39例を対象とし,GLIP法による測定を行った.全長ヒトAChRM3とカイアシルシフェラーゼ(GL)の融合組換えタンパク質をリポーターとしヒト血清(あるいは既製抗体)を反応させた後,プロテインGセファロースを用いて反応溶液中のIgGを回収した.免疫沈降物中のルシフェラーゼ活性の測定で,抗AChRM3抗体の有無を評価した.【結果】1.アミノ末端およびカルボキシル末端領域を標的とする2種類の既製抗AChRM3抗体でGLIP法を実施した結果,本法の抗AChRM3抗体検出における有効性を確認した.2.健常群血清を対象にGLIP法を実施し,カットオフをmean+3SDに設定した.3.SS 3例を抗体陽性と判定した.【結論】全長のヒトAChRM3を抗原に用いた新たな抗AChRM3抗体検出系を確立した.今後は各測定法によるvalidationを行うことを計画している.
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吉橋(中里) 洋子, 木村 直樹, 高村 聡人, 宮坂 信之, 上阪 等
2013 年36 巻5 号 p.
379b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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私たちの開発した多発性筋炎(PM)のマウスモデルであるC蛋白誘発性筋炎(CIM)は,CD8T細胞による筋傷害が主要な病態である.一方,I型,II型サイトカインは自己免疫性CD4T細胞応答に重要な影響を与えるとされ,関節炎モデルではI型サイトカイン欠損にてインターロイキン(IL)-17A依存性の好中球浸潤を伴う関節炎が起こると報告されている.しかし,CD8T細胞応答については明らかではない.本研究では,両型サイトカインの代表であるインターフェロンγ(IFNg)とIL-4のCIMへの関与を検討した.
IFNg欠損マウスでは,野生型マウスと比較してCIMが増悪した.また,IFNg欠損マウスでは炎症筋組織中に多数の好中球がみられた.IL-4欠損マウスでは,野生型マウスと同程度のCIMがみられた.In vitroでは,C蛋白をパルスした樹状細胞と共培養したIFNg欠損マウス由来CD4T細胞からのIL-17A産生が亢進していた.そこで,IFNg/IL-17A欠損マウスにCIMを誘導したところ,IFNg欠損マウスと同様に,好中球浸潤を伴う強い筋炎が発症した.
以上より,I型サイトカインの欠損は好中球浸潤を伴うCIMを招いたが,II型サイトカイン欠損の影響はなかった.IFNg欠損状態ではTh17細胞が活性化されるが,関節炎モデルとは異なりCIM増悪にはIL-17A作用以外の機序が関与していると考えられた.
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高原 政宏, 根本 泰宏, 松沢 優, 小林 正典, 前屋舗 千明, 仁部 洋一, 大島 茂, 渡辺 守
2013 年36 巻5 号 p.
380a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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「ワークショップ選出演題「ワークショップW1-4」抄録は330ページ参照」
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西村 啓佑, 三枝 淳, 松木 郁親, 田中 姿乃, 明石 健吾, 森信 暁雄
2013 年36 巻5 号 p.
380b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【目的】TofacitinibはJAK3阻害薬で関節リウマチ治療薬として期待されている.またMyeloid-derived suppressor cell (MDSC)はT細胞抑制能を有するheterogenousな細胞集団である.本研究は関節炎モデルマウスにおいてtofacitinibのMDSC (Gr-1
+CD11b
+)に対する作用を検証することを目的とした.【方法】SKGマウスにザイモサンAを第0日に投与し,関節炎を誘導した.第14日から第42日にかけてtofacitinibを浸透圧ポンプを用いて持続皮下投与を行い,第42日に骨髄と脾臓におけるMDSCの比率を検討した.またin vitroでマウスの骨髄細胞をGM-CSFで5日間刺激して分化させる際に,tofacitinibを添加し,MDSC及び樹状細胞の増減や,T細胞抑制能の変化について検討した.【結果】関節炎マウスの骨髄ではMDSCならびにpolymorphonuclear MDSC (CD11b
+Ly6G
+Ly6C
low)が上昇したが,monocytic MDSC (CD11b
+Ly6G
−Ly6C
high)は変化しなかった.また,tofacitinibは関節炎を有意に抑制し,tofacitinib投与群ではコントロールと比較して骨髄のMDSCとpolymorphonuclear MDSCが増加していた.in vitroで骨髄細胞をGM-CSFでMDSCに分化させる際にtofacitinibを加えると,コントロールに比してMDSCは増加し樹状細胞は減少した.さらに,GM-CSFで分化時にtofacitinibを加えた骨髄細胞は,コントロールに比し高いT細胞抑制能を示した.【結論】TofacitinibはMDSCを上昇させ,SKGマウス関節炎を抑制した.
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多田 芳史, 小荒田 秀一, 末松 梨絵, 田代 知子, 永尾 奈津美, 貞永 裕梨, 大田 明英
2013 年36 巻5 号 p.
381a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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インターフェロン調節因子5(Interferon Regulatory Factor 5,IRF5)は転写因子であり,遺伝子多型がSLEをはじめとする多くの自己免疫疾患の発症と関連しており注目されている.ループスモデルではIRF5は発症に必須な因子であることを報告したが,関節炎モデルにおける作用は明らかにされていない.今回コラーゲン誘導関節炎(CIA)におけるIRF5の作用について検討した.IRF5の欠損,ヘテロ,および野生型のマウスにCIAを誘導したところ,欠損マウスは野生型と同程度の関節炎を発症したが,ヘテロマウスでは発症率,重症度ともに有意に低下した.欠損マウスでは抗II型コラーゲン抗体価はIgG2aクラスで低下していたが,脾細胞のIL17産生は亢進していた.以上よりIRF5は関節炎の促進と抑制の両面の作用があると考えられた.IRF5の発現を抑制するsiRNAはin vitroではマクロファージのCpG刺激によるサイトカイン産生を抑制した.CIAの経過中にこのsiRNAを投与したところ,非特異的なデリバリーでは関節炎の軽快が認められたが,抗原提示細胞特異的なデリバリーでは逆に関節炎の増悪が認められた.以上よりCIAモデルにおいて,IRF5は抗原提示細胞では抗炎症的な作用が主で,それ以外の細胞,組織では主に炎症の促進に働いていると考えられた.
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瀬理 祐, 庄田 宏文, 鈴木 亜香里, 藤尾 圭志, 松本 功, 住田 孝之, 山本 一彦
2013 年36 巻5 号 p.
381b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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「ワークショップ選出演題「ワークショップW1-2」抄録は329ページ参照」
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山田 久方, Backlund Johan, 小山田 亜希子, Holmdahl RIkard, 吉開 泰信
2013 年36 巻5 号 p.
382a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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II型コラーゲン(CII)に対する自己免疫はマウスに関節炎を誘導するのみならず,ヒト関節リウマチでもその病態に関与すると考えられている.DR4と同じくI-Aqを発現するマウスでは,CII260-270がドミナントエピトープになるが,1アミノ酸のみが異なる異種CIIエピトープを発現させると,異種CIIに対する反応性が著明に低下する.これから,自己CIIに対しては免疫寛容が誘導されていることが分かる.一方,同エピトープ264番目のリジン残基は,転写後修飾で糖鎖が付加されること,とりわけ関節軟骨から生成したCIIで糖鎖付加が高いことをがわかっているが,これがCIIに対する自己免疫寛容に及ぼす影響については不明であった.そこで本研究では糖鎖が付加された異種CIIを特異的に認識するTCR遺伝子導入マウス(HCQ3 Tg)を作成,解析した.HCQ3 TgマウスのT細胞は,異種CIIに強い反応性を示したが,HCQ3 Tgマウスを異種CII遺伝子導入マウスと交配すると,T細胞反応性は低下した.これから,糖鎖付加を受けたCII分子に対して自己免疫寛容が誘導されていることが明らかになった.今のところ,この免疫寛容は,主に末梢性に誘導されていることもわかっている.
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高橋 令子, 中西 貴士, 堀越 英之, 木村 文彦, 伊藤 健司
2013 年36 巻5 号 p.
382b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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CD4陽性Tリンパ球のメチル化の低下は,全身性エリテマトーデス(SLE)の重要な病態の一つと考えられている.しかし,急性骨髄性白血病や骨髄形成症候群の患者でメチル化酵素阻害薬azacitidine投与により制御性T細胞(regulatory T cell ; Treg)が増加することが報告されており,さらにTregの抑制機能維持のためにTreg-specific-demthylated regionの脱メチル化が重要であることが報告されている.我々は,ループスモデルマウスであるMRL/lprマウスにazacitidineを投与し解析した.MRL/lprマウスは,azacitidine投与により,唾液腺腫脹の改善,尿蛋白減少,脾腫,リンパ節腫脹の軽減など自己免疫病態の改善を認めた.胸腺,脾臓,リンパ節にて,Foxp3陽性細胞の増加を認めた.さらに,B,T細胞のメモリー細胞の減少,plasma cell,plasmablastの減少を認めた.一方,azacitidine投与によりMRL/+マウスが自己免疫病態を発症することはなかった.azacitidine投与で増加したTregによりこれら自己免疫病態が制御されたか,その機序とSLEなど自己免疫疾患におけるTregの意義についてさらに研究を進めている.
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江里 俊樹, 川畑 仁人, 今村 充, 神崎 健仁, 赤平 理紗, 道下 和也, 土肥 眞, 徳久 剛史, 山本 一彦
2013 年36 巻5 号 p.
383a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW1-5」抄録は331ページ参照」
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高橋 岳浩, 浅野 善英, 赤股 要, 谷口 隆志, 野田 真史, 市村 洋平, 遠山 哲夫, 佐藤 伸一
2013 年36 巻5 号 p.
383b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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Toll様受容体(TLR)はパターン認識受容体ファミリーに属し自然免疫系において病原体の認識と炎症性シグナル応答に重要とされる.TLR4は細菌感染の免疫応答に中心的な役割を果たす一方,非感染性の慢性炎症にも深く関与する.今回我々は野生型およびTLR4ノックアウトマウスを用いてブレオマイシン誘発強皮症モデルマウスを作成し,その線維化と免疫異常の病態においてTLR4が果たす役割について検討を行った.野生型マウスを用いた検討ではブレオマイシン投与により局所皮膚および肺においてTLR4は有意に発現が上昇していた.さらに,TLR4ノックアウトマウスでは野生型マウスに比較してブレオマイシン投与で誘導される線維化が有意に減弱し,線維化促進的に作用する各種サイトカイン,ケモカイン,細胞接着分子もTLR4ノックアウトマウスでは発現が有意に抑制されていた.さらに,野生型マウスではブレオマイシン投与局所皮膚の所属リンパ節中のリンパ球のフローサイトメトリーを用いた解析ではTh2/Th17系への顕著な偏倚が認められた一方,TLR4ノックアウトマウスではその偏倚は減弱されていた.ブレオマイシン投与による線維化の誘導にはヒアルロン酸などのTLR4の内因性リガンド発現によるTLR4シグナリングの活性化,線維化促進的サイトカインの発現上昇,さらにそれによる免疫異常の誘導が関与している可能性が考えられた.
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谷口 隆志, 浅野 善英, 市村 洋平, 高橋 岳浩, 遠山 哲夫, 野田 真史, 赤股 要, 佐藤 伸一
2013 年36 巻5 号 p.
384a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
全身性強皮症は血管障害と線維化を特徴とする原因不明の自己免疫疾患である.本症では転写因子Fli1の発現が恒常的に低下しており,皮膚線維芽細胞と血管内皮細胞の恒常的活性化に深く関与している.一方,Fli1+/−マウスでは強皮症を発症する上での基盤となる皮膚線維芽細胞の恒常的な活性化および皮膚小血管の機能異常と構造異常を再現できるが,強皮症の臨床症状は再現できない.今回我々は,Fli1の恒常的発現低下が強皮症を発症する上での疾病素因となっている可能性について検討するため,Fli1+/−マウスを用いブレオマイシン(BLM)誘発強皮症モデルマウスを作成し,その形質変化について検討した.Fli1+/−マウスでは野生型マウスと比較して,BLM刺激による真皮の肥厚が有意に亢進し,I型コラーゲン蛋白の発現量も有意に亢進した.Fli1+/−マウスの病変部皮膚では,BLM投与1週間の炎症期では,血管内皮細胞においてTh2/Th17に偏倚した炎症を誘導する細胞接着分子の発現変化が認められた.また,BLM投与4週間の硬化期では,皮膚線維芽細胞においてCTGFや潜在型TGF-βの活性化に重要なインテグリンαVβ3,αVβ5の発現が亢進しており,浸潤しているマクロファージではarginase-1陽性細胞の割合が有意に亢進していた.以上の結果より,Fli1の恒常的発現低下はBLM刺激に対して,様々な細胞において強皮症に特徴的な形質変化を促し,皮膚の強力な線維化を誘導することが明らかとなった.
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市村 洋平, 門野 岳史, 遠山 哲夫, 山田 大資, 増井 友里, 佐藤 伸一
2013 年36 巻5 号 p.
384b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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転写因子IRF5はToll様受容体-MyD88シグナル伝達系の下流で働く調節因子であり,これまでにマクロファージやB細胞で主要な分化調節因子としての機能を有することが知られている.今回我々はIRF5欠損マウスを用いて,本転写因子が接触皮膚炎に与える影響につき検討を行った.野生型およびIRF5欠損マウスにDNFB若しくはFITCを腹部に塗布して感作させた後,耳介に再度塗布して惹起を行ったところ,野生型マウスと比較しIRF5欠損マウスではDNFB塗布による耳介腫脹は有意に減弱していた.一方,FITCを塗布した場合は,逆にIRF5欠損マウスでは耳介腫脹は有意に増強していた.耳介組織内サイトカインmRNA発現を検討したところ,野生型マウスと比較し,IRF5欠損マウスではTh2反応が亢進していた.次に,感作した野生型もしくはIRF5欠損マウスのリンパ球を野生型レシピエントマウスに移入した後にDNFB塗布により惹起を行ったところ,野生型マウスと比較し,IRF5欠損マウスリンパ球移入群では野生型レシピエントマウスの耳介腫脹は有意に減弱していた.更に,野生型およびIRF5欠損マウスより抗原提示細胞を抽出し,野生型マウス由来T細胞と共培養を行ったところ,in vivoに合致する結果を得た.以上より接触皮膚炎モデルにおいて転写因子IRF5は感作相においてTh1反応を促進させる因子であると考えられた.
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住田 隼一, 柳田 圭介, 北 芳博, 阿部 淳, 松島 綱治, 中村 元直, 石井 聡, 佐藤 伸一, 清水 孝雄
2013 年36 巻5 号 p.
385a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
乾癬は,表皮の過増殖や角化異常を伴う難治性炎症性角化症であるが,その原因や詳細な機序についてはわかっていないことが多い.特に,乾癬の皮膚病変では,好中球が表皮・真皮に浸潤していることが特徴の一つとされるが,好中球が浸潤する詳細な機序やその病態形成における役割に関しては,あまり知られていない.そこで,我々は,マウスの背部皮膚にイミキモドクリームを塗布することで乾癬様の病態を呈するモデルを用いて,それらについて調べることとした.まず,このモデルにおけるマウス皮膚組織の分子生物学的,組織学的解析等を行ったところ,乾癬様皮疹が形成される初期段階で,好中球が重要な役割を果たしていることが明らかとなった.さらに,
in vitroの実験結果も併せて,詳細に検討したところ,MIP-2 (CXCL2)およびKC (CXCL1)とその受容体であるCXCR2が,乾癬皮膚組織への好中球浸潤に重要である可能性,さらには,エイコサノイドの一種であるロイコトリエンB4とその受容体であるBLT1がオートクリン/パラクリン的に好中球の浸潤を正に増幅している可能性が示唆された.これらの結果に加え,ヒトケラチノサイト細胞株のHaCaT細胞を用いた
in vitroの実験では,好中球浸潤が表皮の過増殖や角化異常に関与していることを示唆する結果も得られた.以上の結果は,乾癬皮膚病変における好中球の浸潤機序や役割の一端を示すものであり,今後の新規治療開発の一助となることが期待される.
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熊谷 賢一, 重松 宏昭, 江口 貴紀, 小林 浩, 濱田 良樹, 鈴木 隆二
2013 年36 巻5 号 p.
385b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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フリー
【目的】
金属アレルギーは遅延型反応の一つであるが,特異的なT細胞の同定や詳細な免疫応答は解明されていない.今回,Niアレルギーモデルマウスを製作し,Niアレルギー発症に関わる特異的T細胞を明らかにすることを目的とした.
【材料及び方法】
1)モデルマウス製作:BALB/c(6週齢,雌)各7匹の鼠径部へのNiCl2・LPS混合溶液の皮内注射で感作し,NiCl2溶液を足蹠に皮内注射することで誘導を行った.対照として,感作条件は同一で誘導時に生理食塩水を足蹠に皮内注射したBALB/c(6週齢,雌)7匹を用い,足蹠部腫脹の経時的変化及びT細胞浸潤の有無を解析した.
2)TCRレパトア解析:足蹠と膝窩リンパ節の組織からTotal RNAを抽出し,各組織中に存在するT細胞のTCRレパトア解析を行った.
3)定量PCR法:NKT細胞関連分子及び産生サイトカインの発現解析を行った.
【結果】
誘導後24時間で足蹠部の腫脹は最大となり,1週間にかけて軽減した.T細胞浸潤は,誘導7日目で最大となった.免疫組織化学的解析により上皮基底層周囲にCD3+,CD4−,CD8−のT細胞浸潤を認めた.TCRレパトア解析により,局所炎症巣においてNKT細胞に特有のV family(Vα14Jα18,Vβ8-2)を持つinvariantなT細胞の増殖を認めた.さらにNKT細胞関連分子及びIFN-γ,TNF-α,t-betは誘導後7日目で高発現を認めた.
【結論】
NKT細胞がNiアレルギー局所炎症巣に集積し,TH1偏性の細胞障害性の免疫応答を行っていることが明らかになった.
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寺尾 知可史, 吉藤 元, 木村 彰方, 松村 貴由, 大村 浩一郎, 成瀬 妙子, 佐藤 愛子, 前島 康浩, 和田 庸子, 成田 一衛, ...
2013 年36 巻5 号 p.
386a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW5-1」抄録は343ページ参照」
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中坊 周一郎, 大村 浩一郎, 寺尾 知可史, 川口 鎮司, 桑名 正隆, 田中 住明, 中嶋 蘭, 橋本 求, 井村 嘉孝, 湯川 尚一郎 ...
2013 年36 巻5 号 p.
386b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW5-2」抄録は343ページ参照」
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佐々木 貴史, 塩濱 愛子, 久保 亮治, 川崎 洋, 山本 明美, 山田 健人, 蜂矢 隆久, 清水 厚志, 岡野 栄之, 工藤 純, 天 ...
2013 年36 巻5 号 p.
387a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW1-6」抄録は331ページ参照」
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渡邉 幹夫, 富澤 理恵, 井上 直哉, 武村 和哉, 日高 洋, 早川 和生, 岩谷 良則
2013 年36 巻5 号 p.
387b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【
背景】自己免疫性甲状腺疾患であるバセドウ病の難治性や橋本病の重症度には患者による個体差が大きい.GITRはT細胞上に発現している免疫制御因子であるが,その遺伝子上の一塩基多型(SNP)と,GITR分子の発現や特定の疾患の病態との関連はほとんど報告されていない.
【
対象と方法】本研究では,
GITR遺伝子のプロモータ領域,エクソン領域,3'-UTRに存在するSNPのうち,日本人のマイナーアリル頻度が10%以上であったrs3753348,rs2298213の2多型を,バセドウ病難治群(5年以上の抗甲状腺剤治療によってTSHレセプター抗体が陰性化しない患者)41例,バセドウ病寛解群(抗甲状腺剤により5年以内に寛解し,2年以上無投薬で「甲状腺機能が正常な患者」39例,橋本病重症群(50歳以下で甲状腺機能低下症を発症した患者)58例,橋本病軽症群(50歳を超えても甲状腺機能が正常な患者)49例,健常人42例においてタイピングした.また,末梢血の制御性T細胞およびエフェクターT細胞におけるGITRの発現をフローサイトメトリーで解析した.
【
結果】rs3753348多型がCCの個体,あるいはrs2298213多型がAAの個体が橋本病重症群で軽症群よりも有意に減少しており,rs3753348多型がCCの個体では制御性T細胞やエフェクターT細胞におけるGITR発現が有意に増強していた.
【
結論】rs3753348多型は橋本病の重症度とGITRの発現量に影響し,GITRは自己免疫反応を抑制する効果を有していることが示唆された.
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浜崎 一, 今井 浩光, 前島 圭佑, 石井 宏治, 柴田 洋孝, 大橋 京一
2013 年36 巻5 号 p.
388a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】タクロリムス(TAC)の体内動態は個体間での変動が大きく血中濃度測定の対象薬物になっている.これまでに臓器移植症例においてチトクロームP450(CYP)3A5遺伝子の多型がTACの血中濃度に影響することが知られているが,膠原病疾患での報告は少ない.そこでSLE寛解維持療法中の患者において,CYP3A5遺伝子多型がTAC血中トラフ濃度や疾患活動性に及ぼす影響について検討した.【方法】6ヶ月間以上TAC 3 mg/dayを継続して内服し,かつ同時期にプレドニゾロン以外の免疫抑制剤やCYP3A阻害作用を有する薬物を併用していない腎機能正常なSLE患者を対象とした.TACトラフ濃度を測定し,PCR-RFLP法にてCYP3A5遺伝子多型解析を行った.SLEの疾患活動性はSLEDAIを用いて評価した.【結果・考察】同意が得られたSLE患者は21名,CYP3A5の遺伝子型は,*1/*1 : 3名,*1/*3 : 8名,*3/*3 : 10名であり,遺伝子頻度はこれまでの日本人で報告されている結果とほぼ同比率であった.疾患活動性と遺伝子多型との間に関連は認められなかった.CYP3A5*3/*3群と比較し,*1を有する群ではTAC血中濃度が有意に低値であり,TACのExtensive Metabolizer (EM)であることがわかった.アジア人では白人より*1の頻度が高いため,画一した投与量では有効治療域に達しない可能性も示唆された.CYP3A5の遺伝子型を評価することで,TAC治療の有効性を事前に予測することができるかもしれない.
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天野 浩文, 金子 俊之, 河野 晋也, 林 青順, 鶴井 博理, 大辻 希樹, 西村 裕之, 広瀬 幸子, 高崎 芳成
2013 年36 巻5 号 p.
388b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】B細胞や単球系細胞で抑制性のシグナルを伝えるFcγRIIBは,自己免疫疾患の発症に重要であることが知られている.このFcγRIIBを欠損するC57/BL6(B6)マウス(KO1マウス)は,関節リウマチ(RA)に類似した病態を発症する.我々は,このKO1マウスにSLEの病態を促進させる
Yaa遺伝子,NZW系遺伝子を導入することによる病態の変化の変化とその遺伝的要因を調べることを目的とした.【方法】KO1.
Yaaマウス,(KO1xNZW)F1マウスおよび(KO1xNZW)F2マウスの病態を解析した.また,(KO1xNZW)F2マウスを用いてループス腎炎およびRAの発症に関わる原因遺伝子のマッピングを行った.【成績】KO1.
Yaaマウス,(KO1xNZW)F1マウスにおいて6~8ヶ月齢で関節炎の発症は認めず,ループス腎炎に類似した糸球体腎炎を発症した.血清中抗CCP抗体,抗ds-DNA抗体は,どちらもB6,KO1マウスと比較して有意に上昇していた.(KO1xNZW)F2マウスの解析では,ループス腎炎が約33.7%,唾液腺炎が約27.6%,RA類似関節炎が6.1%に認められ,これらの病態を重複して発症するマウスの存在も認められた.F2マウスを用いたQTLマッピングでは,第1,4,7,9,13,17番染色体の領域にループス腎炎に関連した遺伝子群を認め,第12番染色体領域にループス腎炎,RA,唾液腺炎を合併する遺伝子がマップされた.【結論】第1染色体FcγRIIBの欠損に加え,
Yaa遺伝子,NZW系遺伝子が加わることでRA類似の病態はSLE類似の病態へ変化した.
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満生 紀子, 今井 耕輔, Xi YANG, 金兼 弘和, 小阪 嘉之, 高田 英俊, 水谷 修紀, 小原 収, 森尾 友宏
2013 年36 巻5 号 p.
389a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【背景】BTKはB細胞分化に必須のチロシンキナーゼで,その遺伝子変異によりX連鎖性無ガンマグロブリン血症(XLA)を引き起こす.XLAは末梢血B細胞が著減し全クラスの血清グロブリン低値が特徴である.今回IgA単独欠損症例でBTK変異を見出し,その影響について解析を行った.【症例】3歳男児.乳児期より反復性の肛門周囲膿瘍,急性中耳炎や気管支炎等の細菌性感染と発疹をみとめていた.白血球数12800/mm
3(リンパ球50%),IgG 1335 mg/dl,IgA<4mg/dl,IgM 20 mg/dl,麻疹・風疹特異抗体産生とTRECs/KRECs正常.CD19+細胞4.7%(of lym),B細胞分画は正常でT・NK・樹状細胞分画も異常はなかった.【解析】Exome解析及び家族解析にてBTKにde novo変異(Thr316Ala)をみとめた.BTKの発現は低下していた.BCR刺激後のCa influxは正常範囲だが,PLCγ2のリン酸化は低下,CD40刺激後のNFκBのリン酸化は正常だった.In-vitroの抗体産生はIgA優位に低下していた.好中球では他のXLA症例と同様ROSの過剰産生をみとめた.【考察】本症例はB細胞が存在しIgA単独欠損例であったが,解析の結果,BTK変異が原因であることが示唆され非典型XLAと診断した.IgA欠損や分類不能型免疫不全症と考えられている症例の中にはBTK異常をみとめるものがあり,BTKがIgA産生にも重要な役割をもつ可能性が示唆された.
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高田 英俊, 石村 匡崇, 瀧本 智仁, 井田 弘明, 原 寿郎
2013 年36 巻5 号 p.
389b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
諸言:家族性地中海熱は,MEFV遺伝子異常による常染色体劣性遺伝性疾患であり,数時間から3-4日持続する発熱が周期的に見られ,発熱発作時に腹痛や胸痛,関節痛,皮疹などを伴うことを特徴とする.今回,2世代および3世代にわたって認められた2家系について報告し,その遺伝的背景について考察する.家系(1):父63歳.31歳頃から胸痛,腹痛を伴う発熱発作が持続している.発熱発作は24時間程度持続するが,周期は不定.娘35歳.10歳頃から同様の発熱発作が持続.家系(2):3世代にわたって5名に胸痛や腹痛を伴う発熱発作が持続している.方法:direct sequenceによって,MEFV遺伝子変異を検討した.また,優性遺伝形式をとっている可能性を考慮し,MEFV遺伝子全長をpcDNA3にクローニングし,MEFV遺伝子変異を解析した.結果:患者全員において,heterozygousなE148QおよびM694I変異を確認した.クローニングしたMEFV遺伝子の解析結果より,家系1では,この2つの変異の複合ヘテロ変異であり,家系2では,1つのアリル上に2つの遺伝子変異が存在していた.家系1はpsuedo-dominant inheritanceであり,また,家系2で示すように,今回国内患者では初めて,常染色体優性遺伝形式の家族性地中海熱患者を明らかにした.
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石村 匡崇, 土居 岳彦, 高田 英俊, 瀧本 智仁, 山元 裕之, 白石 暁, 吉田 健一, 小川 誠司, 小島 勢二, 大賀 正一, 原 ...
2013 年36 巻5 号 p.
390a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
症例は在胎36週0日,体重1455 gで出生し,体重増加不良と発達遅滞があり,頭部MRIで小脳低形成を認めた.1歳時にE. coliによる敗血症罹患後より汎血球減少と低γグロブリン血症が進行し,2歳4ヶ月時に当科に紹介された.骨髄像は低形成髄で,Flow-FISH法によりテロメア長の短縮を認め,先天性角化不全症の最重症型であるHoyeraal-Hreidarsson症候群と診断した.3歳時に汎血球減少症が進行したため,骨髄非破壊的前処置による臍帯血移植を施行したが,移植後TMAを発症し,頭蓋内出血により生着確認前に死亡した.
先天性角化不全症では,これまでテロメア関連遺伝子の変異により発症すると報告されているが,本症例では既知の原因遺伝子に変異は認めなかった.そのため,whole-exome sequenceによる原因遺伝子検索を行ったところ,
RTEL1 (Regulator of telomere elongation helicase 1)遺伝子の複合へテロ遺伝子変異を同定した.RTEL1はテロメアの維持・複製,およびDNA二本鎖切断修復に関与しており,本年,先天性角化不全症の新規原因遺伝子として報告されている.本症例は本邦初の
RTEL1遺伝子変異によるHoyeraal-Hreidarsson症候群と考えられた.
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中川 権史, 西小森 隆太, 井澤 和司, 河合 朋樹, 八角 高裕, 河合 利尚, 梅林 宏明, 武井 修治, 小林 法元, 小原 收, ...
2013 年36 巻5 号 p.
390b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
Cryopyrin-associated periodic syndrome(CAPS)は,
NLRP3遺伝子の機能獲得型変異によりIL-1βの過剰産生が惹起され,炎症を生じる自己炎症性疾患である.CAPSには,家族性寒冷蕁麻疹(FCAS),Muckle-Wells症候群(MWS),CINCA症候群/NOMIDが含まれる.これら3つの疾患は,遺伝子型と表現型にある程度の相関が見られ,軽症型のFCASから最重症であるCINCA症候群/NOMIDへと一連の症状群として捉えることができる.近年我々は,
NLRP3遺伝子にgermline変異が認められないCINCA症候群/NOMIDの約70%が
NLRP3体細胞モザイクで発症することを国際多施設共同研究で示した.CINCA症候群/NOMID以外のCAPSにおいても
NLRP3体細胞モザイクが病因となる可能性が推測されたため,今回我々は臨床的にMWSが疑われるもののSanger法でgermline変異が認められない患者に対し,次世代シーケンサーを用いて
NLRP3体細胞モザイクの検索を行った.
結果,上記の“変異陰性MWS患者”56人のうち7人に
NLRP3体細胞モザイク変異を認めた.認められた変異は6種類で,うち3種類は新規変異であった.新規変異については,2つの機能解析の系において,いずれの変異も病的変異であると考えられた.また抗IL-1製剤が投与された症例では全症例でその効果が確認された.
CINCA症候群/NOMIDだけでなくMWSが疑われる症例においても,Sanger法にて
NLRP3変異が認められない際には,
NLRP3体細胞モザイクの検索が必要と考えられた.
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神崎 秀嗣
2013 年36 巻5 号 p.
391a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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臨床検査技師育成校においても遺伝子検査学に力を入れているが,基礎科目の履修後でなければ理解しづらく,分子生物学や臨床遺伝学さらには遺伝学的実習を含むことから,卒業後すぐに即戦力にはなり得ないようである.限られたカリキュラムの中で遺伝子検査学の一環として遺伝学的実習も行っているが,どこまで理解に寄与しているのか不明であった.今回実習による理解度の増加の有無と遺伝子検査学の臨床検査技師国家試験への貢献を検討した.遺伝子実習を止め,検査センターで日常的に実際に染色体遺伝子検査に従事している講師を招いて,現場の実情について,感染症,生活習慣病,がん遺伝子についての染色体遺伝子検査を中心に講義して頂いた新たな試みを行った.そこ結果,染色体遺伝子実習は単純には理解度の向上には寄与しないように思われた.遺伝子多型・遺伝子異常はHLAのタイピングにも有用である.免疫学と臨床遺伝学の関連性も顧慮しながら,今後とも現場の意見を積極的にカリキュラムに取り入ることによって学生の興味を喚起し,国家試験の点数に反映されるようにして行きたい.「ゲノム診断士養成」プログラムにも役立てたい.
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松岡 貴子, 千葉 麻子, 荒浪 利昌, 荒木 学, 中村 雅一, 三宅 幸子, 山村 隆
2013 年36 巻5 号 p.
391b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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【背景】これまでに当研究部は,視神経脊髄炎(neuromyelitis optica, NMO)において抗アクアポリン4抗体産生細胞プラズマブラスト(plasmablast, PB)の生存がIL-6受容体シグナル伝達に依存することを示した.これを受けて立ち上げたヒト化抗IL-6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ(Tocilizumab, TCZ)のNMOにおける安全性と効果を評価する調査研究で,TCZ投与後にNMO患者のPB減少が認められ,TCZの標的の一つはPBである可能性が示唆された.【目的】内因性IL-6は多様な免疫細胞の機能に影響し免疫平衡を崩しうるため,NMOにおけるTCZ治療の免疫平衡是正効果について解析した.【方法】5人のNMO患者に8 mg/kgのTCZを毎月1回,6ヶ月間投与し,各回投与前と初回投与後5日目の血液検体を採取した.フローサイトメトリーでCD56
high制御性ナチュラルキラー細胞(CD56
high NK),粘膜関連インバリアントT細胞(MAIT),CD25陽性制御性T細胞(Treg)を解析した.【結果】5人のNMO患者のうち3人で,TCZ治療によりCD56
high NKが漸増した.また,TregとMAITも漸増していた.【結論】これらの結果は,IL-6受容体シグナル伝達の遮断により,NMOの制御性細胞の異常や無調整状態にあった免疫ネットワークが是正された可能性を示唆すると考える.
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中村 雅一, 松岡 貴子, 荒木 学, 林 幼偉, 佐藤 和貴郎, 岡本 智子, 村田 美穂, 三宅 幸子, 荒浪 利昌, 山村 隆
2013 年36 巻5 号 p.
392a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW5-5」抄録は345ページ参照」
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佐藤 正夫, 竹村 正男, 斉藤 邦明
2013 年36 巻5 号 p.
392b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】トシリズマブ(TCZ)治療が,リンパ球NK亜分画に与える影響を検討した.【方法】TCZ治療を行った関節リウマチ(RA)40例(男性6例,女性34例)を対象とした.平均年齢58.1歳,平均罹病期間8.8年であった.評価は治療開始時(0週),12週,52週の3ポイントで行った.リンパ球亜分画はCD4+/CD25+high,CD8+/CD11+,CD8+/CD57+,CD8−/CD57+を,さらに血清中のIL-6濃度を測定した.【結果】52週時における,DAS28改善度からみた有効例は34例,無効例は6例であった.40例全体における0週と52週の2群比較(mean±SE)で,IL-6濃度(22.7±35.6 pg/ml,31.8±40.1 pg/ml : NS),CD3(68.2±11.7%,65.2±11.2% : NS),CD19(12.5±8.1%,14.3±8.7% : NS)であり,リンパ球%には大きな変化は認められなかった.各亜分画は0週と52週の2群比較(mean±SE%)で,CD4+/CD25+highは有効例(6.5±0.4,5.6±0.42),無効例(7.5±1.2,9.6±3.8)で,無効例において52週で最も高値であった.同様にCD8+/CD11+:有効例(14.3±1.6,14.3±1.7),無効例(19.4±2.8,22.0±2.9),CD8+/CD57+:有効例(12.5±1.4,13.1±1.5),無効例(11.2±2.7,17.0±3.7),CD8−/CD57+:有効例(7.7±1.1,8.6±1.0),無効例(4.1±0.7,6.9±0.9)であった.【考察】リンパ球亜分画は有効例においては0週と52週で大きな変化は認められず安定していたが,CD8+/CD57+,CD4+/CD25+highの分画の変動が無効例において認められた.
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片桐 彰, 岡田 隆, 村山 豪, 山田 雅人, 高崎 芳成
2013 年36 巻5 号 p.
393a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
「ワークショップ選出演題「ワークショップW5-6」抄録は345ページ参照」
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北村 登, 白岩 秀隆, 猪股 弘武, 野崎 高正, 井汲 菜摘, 杉山 海太, 長澤 洋介, 松川 吉博, 武井 正美
2013 年36 巻5 号 p.
393b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】生物学的製剤治療の初期治療無効例に対する薬剤変更は明らかな見解が得られていない.今回我々はTNF阻害薬無効例に対しトシリズマブ(TCZ)を使用し,その有用性,安全性を前向きに検討した.【対象】1987年ACRの分類基準を満たしたRA患者で既存のTNF阻害薬を3か月以上投与しても効果がDAS28-ESR(4)が3.2以上の中疾患活動性を示す患者で,本研究の対し同意が文章で得られた患者を対象とした.【方法】TCZ 8 mg/kg/月の点滴を行い24週後の腫脹,圧痛関節,炎症反応,DAS28,SDAI,CDAI等の活動性指標,mHAQ等を検討した.(結果)症例は11例(男性1例,女性10例)で,平均罹病期間7.4年,投与直前のDAS28-ESR(4)は5.39と高疾患活動性を示した.【成績】腫脹,圧痛関節共にTCZ投与後24週で有意に低下し,DAS28-ESR(4)も有意に低下した.しかし,mHAQやMMP-3は統計学的に有意差はなかった.現状ではTNFαモノクローナル抗体と可溶性TNFα受容体間の差は認めなかった.有害事象は2例肺炎を合併したが,いずれも投薬一時休止後抗菌薬投与で軽快した.【考察】TNF阻害薬無効例に対するTCZへの変更は有用である事が示唆されたが,TNF阻害薬の種類の相違による有効性の相違ははっきりせずさらなる症例の蓄積と検討が必要であると思われた.
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吉田 広人, 位高 美香, 鈴木 美穂, 田中 圭介, 松本 功, 住田 孝之, 松本 義弘
2013 年36 巻5 号 p.
394a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【背景】臨床で関節リウマチに認められる骨量減少をマウス関節炎モデルで再現でき,この骨量減少はIL-6シグナル阻害によって抑制できることをこれまでに明らかとしてきたが,この時の骨代謝マーカーの変動は明らかではない.【目的】関節炎モデルにおいてIL-6シグナル阻害による骨代謝マーカーへの影響を解析する.【方法】コラーゲン誘導関節炎に対し抗マウスIL-6受容体抗体(MR16-1)をDay0と21に投与した.一方,TNFR-FcはDay0から週3回投与し続けた.関節炎ピーク(Day35)に尿と血清を採取し,尿中骨吸収マーカー(CTX,DPD)と血清中骨形成マーカー(P1NP)をELISAで測定した.Day56に腰椎と後肢を採材しμCTにて骨量を測定した.【結果】関節炎マウス(対照群)の骨量は後肢,腰椎ともに正常群に比べ有意に減少した.MR16-1群は両部位で骨量減少を抑制したが,TNFR-Fc群は後肢の骨量減少のみ抑制した.CTX,DPD共に対照群では正常群に比べ有意に上昇したが,どちらの薬剤ともCTX,DPDの上昇を抑制していた.P1NPは対照群で正常群に比べ有意に減少し,MR16-1群はP1NPを有意に上昇させた.一方,TNFR-Fc群は対照群と有意な差がなかった.【考察】関節炎マウスでは骨吸収が亢進しているにも関わらず骨形成が抑制されている状態にあり,抗IL-6受容体抗体は骨吸収の亢進を抑制し,骨形成を促進させることでアンカップリング状態を改善し,骨量減少の抑制作用を発揮している可能性が考えられた.
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久保 智史, 山岡 邦宏, 近藤 真弘, 山形 薫, 趙 繼東, 岩田 慈, 田中 良哉
2013 年36 巻5 号 p.
394b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
背景:JAK阻害薬であるtofacitinibは関節リウマチに対して高い治療効果を示す.JAKの樹状細胞(DC)における機能は不詳でありtofacitinibを用いた検討を行なった.
方法:ヒト単球由来DC(MoDC)を用いて,リポポリサッカライド(LPS)刺激による成熟化とnaive T細胞との共培養によるT細胞刺激能へのtofacitinibの影響を検討した.
結果:tofacitinibはLPS刺激によるMoDCのクラスター形成やTNF,IL-6,IL-1β産生を抑制したが,細胞毒性は示さずTGF-βとIL-10産生に影響しなかった.LPS刺激により誘導されたCD80/CD86(共刺激分子)発現を濃度依存的に抑制したが,HLA-DR発現には影響しなかった.LPS刺激時の抗I型IFN受容体抗体添加により共刺激分子発現はほぼ完全に阻害され,LPSにより誘導されたI型IFN産生と転写因子IRF7の活性化をtofacitinibは抑制したが,NFkBとPU.1の活性化には影響しなかった.これらの結果として,tofacitinib存在下でLPS刺激を行なったMoDCのT細胞増殖とサイトカイン産生誘導能は減弱していた.
結語:tofacitinibは,ヒトDCに作用し,LPS刺激によるI型IFN産生とIRF7抑制を介して共刺激分子発現を抑制しT細胞の増殖刺激能を減弱させた.これらの結果はtofacitinibの新たな作用機序を介した抗炎症作用と副作用機序の解明に有益と思われた.
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園本 格士朗, 山岡 邦宏, 久保 智史, 前島 圭佑, 齋藤 和義, 田中 良哉
2013 年36 巻5 号 p.
395a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【背景】Janus kinase(JAK)阻害剤Tofacitinibは関節リウマチ(RA)に対し劇的な効果を示す一方,既存薬剤では見られなかった有害事象も懸念される.TofacitinibのRA患者における作用機序を明らかとする目的で,Tofacitinib使用中RA患者の臨床データ,末梢血リンパ球を解析した.【方法】当施設でTofacitinib治験参加した患者44例(女性35例,54.3歳,罹病期間84.3ヵ月)を52週間追跡し,RAに対する臨床効果,感染症発症を調査した.同意の得られた23例において0週,52週で末梢血リンパ球解析を行い,効果,有害事象との関連を検討した.【結果】44例中39例が52週の試験を完了した.simplified disease activity index (SDAI);36.5→6.5と著明に改善し,16例が臨床的寛解へ至った.Tofacitinib投与により総リンパ球およびそのサブセット(CD4,CD8,CD20)の絶対数は変化しなかった.一方で,CD3/CD28刺激に対する末梢血CD4+細胞の増殖,血清IgG濃度が有意に低下し,SDAI改善と相関がみられた.40例の感染症が観察されたが,上記リンパ球機能抑制との相関は見られず,0週のCD8+細胞≦211/μlが感染症発症の予測因子として検出された.【結論】Tofacitinibのリンパ球機能抑制を介した作用機序とともに,CD8+細胞数は感染症発症の予測因子となる可能性が示された.
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佐藤 正夫, 竹村 正男, 斉藤 邦明
2013 年36 巻5 号 p.
395b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】アバタセプト(ABT)が,リンパ球NK亜分画に与える影響を検討した.【方法】ABT治療を行った関節リウマチ(RA)32例を対象とした.男性6例,女性26例,平均年齢は62歳,平均罹病期間10.0年であった.生物学的製剤naïve症例16例,スイッチ症例16例であった.導入前(0週),4週後,12週後,24週後,52週後の5ポイントで,CD8+/CD57,CD8+/CD11b+,CD4+/CD25+を検討した.【結果】導入時におけるstage別でのリンパ球サブセット(%)はCD8+/CD11b+(mean±SE)がII:13.2±1.8,III:15.7±2.2,IV:22.0±3.1,CD8+/CD57+がII:12.9±1.9,III:18.0±3.1,IV:19.5±3.9であり,stageが進行している症例で高値である傾向があった.CD4+/CD25+はII:26.9±2.9,III:25.4±2.5,IV:26.3±3.1でstage間での変化は認められなかった.0週と52週では,CD8+/CD11b+:16.7±1.6,12.1±1.1(p<0.02),CD8+/CD57+:16.9±1.9,10.2±1.1(p<0.004)で,52週で有意に低下していた.一方,CD4+/CD25+:26.4±1.6,28.1±1.6で有意な変動は認められなかったが,CD4+/CD25+high発現細胞はnaïve症例では52週目まで漸減したが,スイッチ症例では12週目より上昇していた.【考察】CD8+/CD57,CD8+/CD11b+はRAのstage進行と関連があり,この傾向は52週後も同様に保たれ,各症例では52週間で低下していた.このことからCD8+/CD57,CD8+/CD11b+の変動はABT治療を反映している可能性がある.
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福與 俊介, 中山田 真吾, 岩田 慈, 久保 智史, 山岡 邦宏, 齋藤 和義, 田中 良哉
2013 年36 巻5 号 p.
396a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【目的】RA治療におけるアバタセプト(ABT)の標的細胞と病原性を同定する.【方法】健常人,RA患者の末梢血T細胞サブセットとABT治療前後における臨床病態との関連を解析した.【結果】治療前のCD4+細胞上のCD28発現量は疾患活動性(DAS28,SDAI),治療反応性(ΔDAS28,ΔSDAI)と正に相関した.RAではCD4+CD28−細胞の割合が増加しており,投与24週後の非寛解達成例は達成例と比較してCD4+CD28−細胞の割合が高かった.RAではCD4+CXCR5+T細胞(Tfh)およびCD4+CXCR3+T細胞(Th1)の割合が増加しており,CD4+CD28+細胞はnaïve及びTCM phaseの活性化したTfh,Th1であり,Tfhの割合はACPA陽性例で高く,Th1の割合は疾患活動性と相関した.一方,CD4+CD28−細胞はTEM phaseのTh1が主体で疾患活動性と関連性はなかった.ABT24週後ではCD4+CD28+細胞中のTfh細胞が減少したが,Th1は変化しなかった.【考察】CD28を発現しているCD4+T細胞はnaïve及びTCM様のTfh細胞の割合が多く,自己抗体産生に寄与しておりABTの治療標的と考えられた.一方で,CD28を発現していないCD4+T細胞はeffector・TEM様のTh1細胞の割合が多く,ABTの治療抵抗性に関与する可能性が示唆された.
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菊池 潤, 小川 祥子, 高岡 初誉, 亀田 秀人, 吉本 桂子, 竹内 勤
2013 年36 巻5 号 p.
396b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
フリー
【目的】生物学的製剤にも不応の関節リウマチ(RA)難治例の免疫学的病態を解析し,難治性RAの免疫学的特徴を明らかにするとともに,次なる治療標的の選択に役立てること.【方法】生物学的製剤投与下でも中等度以上の疾患活動性が持続したRA患者16例と健常コントロール12例の末梢血単核球を用いて,Th1,Th2,Th17,Tregを含むCD4陽性T細胞,CD8陽性T細胞,B細胞,単球,NK細胞の活性化を,フローサイトメトリーにより細胞表面マーカーで解析した.【結果】RA患者は平均年齢63.5歳,平均罹病期間142か月,TNF阻害剤不応11例,IL-6R阻害剤不応5例であった.CD4陽性Th1,Th17,CD8陽性T細胞,単球,サイトカイン産生CD56
highCD16
dimNK細胞において,活性化マーカーHLA-DR陽性細胞の割合はいずれのサブセットにおいても,健常コントロールと比較してRAで有意に高値であった.また,CD4陽性細胞上のOX40発現の割合もRAで有意に高値であった.【結論】生物学的製剤不応のRA患者末梢血では,多岐にわたる細胞サブセットが活性化しており,それらが協調的にRA活動性を持続させていることが示唆され,様々な治療標的が選択肢となりうると考えられた.
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Okamoto Tadao, Baker Terry, Kevorkian Lara, Nesbitt Andrew
2013 年36 巻5 号 p.
397a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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【背景】セルトリズマブ ペゴル(CZP)は,従来型TNF阻害剤[インフリキシマブ(IFX),アダリムマブ(ADA),エタネルセプト(ETA)]とは異なる3つの構造的特徴[ポリエチレングリコール(PEG)化,Fc-free,一価]を有している新規TNF阻害剤である.昨年の本学会で,妊娠ラットにおいてPEG化Fab'抗体の胎児への移行性は,完全型抗体(15.25%)に比べ非常に低い(0.12%)ことを報告した.【目的】このPEG化Fab'抗体の胎児移行性の顕著な低減は,Fc-freeであることから,胎児性Fc受容体(FcRn)を介したトランスサイトーシスが起こらないためであると考えられる.そこでCZPと従来型TNF阻害剤のヒトFcRnへの親和性およびヒトFcRn介在性のトランスサイトーシスについて比較検討した.【方法】各TNF阻害剤のヒトFcRnへの親和性はBiacoreを用いて測定し,FcRn介在性のトランスサイトーシス量は,ヒトFcRn発現MDCK II細胞の単層培養系における4時間の透過量で評価した.【結果】ヒトFcRnへの結合の強さ(Kd)は,IFX(132 nM)>ADA(225 nM)>ETA(1,500 nM)であり,CZPはFcRn へ結合しなかった.また,ヒトFcRnを介してトランスサイトーシスされた量は,IFX(249.6 ng/mL)>ADA(159.5 ng/mL)>ETA(81.3 ng/mL)であったのに対し,CZPは3.2 ng/mLと著しく少量であった.【結論】PEG化Fab'抗体の胎児移行性の顕著な低減は,FcRnへ結合しないため,FcRn介在性の能動輸送が起らないことに起因することが示唆された.
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土橋 浩章, 亀田 智広, 森本 尚孝, 森下 美智子, 光中 弘毅, 洲崎 賢太郎, 泉川 美晴, 竹内 洋平, 中島 崇作, 島田 裕美 ...
2013 年36 巻5 号 p.
397b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【背景】近年,膠原病(CTD, Connective Tissue Disease)の病態形成におけるB細胞の役割および重要性が明らかにされつつある.更に,CTDに対するB cell depletionを主な作用機序としたRituximab(RTX)の有効性も多数報告されている.一方で,CTDには溶血性貧血や血小板減少症などの血液合併症がしばしば認められ,治療はステロイドをはじめとする免疫抑制療法が中心となるが,治療抵抗例も存在する.特にCTDに合併する血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は血漿交換療法の有効性は乏しく,難治性であることが少なくない.【目的】CTD合併TTPに対するRTXの効果と長期予後について検討する.【方法】香川県の膠原病診療基幹病院においてRTXを使用したCTD合併TTPを対象に,ADAMTS13活性,RTXによる治療効果までの期間,再発の有無などについて検討した.【結果】RTXを使用したCTD合併TTP症例は6例であった.ADAMTS13活性は全例で著明な低下を認めなかった.また,RTX投与後全例で速やかに血球改善を認めた.精神症状はRTX投与から1ヶ月後程度で改善した.全例で6ヶ月以上再発を認めなかった.【結語】CTD合併TTPに対するRTX療法は投与後速やかな効果発現,寛解維持ができる可能性があり,CTD合併TTPにおける第一選択にもなり得ることが示唆された.
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南家 由紀, 八子 徹, 川本 学, 小橋川 剛, 山中 寿, 小竹 茂
2013 年36 巻5 号 p.
398a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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[目的]我々は関節リウマチ(RA)滑膜からヒト破骨細胞分化を促進あるいは抑制する新規因子の同定を目的として実験を行い,T cell leukemia translocation-associated gene (TCTA)蛋白由来の29 merの新規ペプチドがヒト破骨細胞分化を抑制することをみいだした(Kotake et al Bone 2009).今回このペプチドがRA患者由来線維芽細胞様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocytes, FLS)の増殖を抑制するか検討した.[対象と方法]5名のRA患者のTKA時の滑膜組織より,in vitroにてFLSを分離し,5×10
3/wellのFLSを培養しCell proliferation kit (XTT based)を用い細胞増殖を定量化.TCTA蛋白の細胞外ドメインのGQNを含む29 merの新規ペプチドおよびそのコントロールとして29 merのscrambledペプチドを合成しこの培養系に添加し細胞増殖への効果を判定.[結果]1,5,10 micro g/mlの新規ペプチド添加により,ほぼ濃度依存的にFLSの増殖は抑制された.scrambledペプチド添加では濃度依存性の抑制は全く認められなかった.[考察]新規ペプチドはFLSの増殖を抑制し,低濃度でヒト破骨細胞分化を抑制する.今後,FLSの増殖抑制および破骨細胞による骨吸収抑制の両者に有効な点からのRAの治療への応用が期待される.[結語]RA滑膜由来新規ペプチドはRAFLSの増殖を抑制した.
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山崎 聡士, 遠藤 功二, 熊谷 和彦, 野島 祟樹, 杉山 英二
2013 年36 巻5 号 p.
398b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【目的】関節滑膜組織は表層からlining層とsub-lining層に区別され,その深層には脂肪組織が存在する.関節リウマチ(rheumatoid arthritis : RA)においては,骨髄の脂肪組織とともに関節腔近傍の脂肪細胞が減少するという変化を認める.線維芽様滑膜細胞(fibroblast-like synoviocyte : FLS)はサイトカインおよびプロテアーゼを産生するため,RAの治療標的細胞と位置づけられている.同様に間葉系幹細胞(mesenchymal stem cell : MSC)は骨髄中に存在し,FLSと同様にIL-6分泌能があり,RAにおいても骨髄中の炎症維持や破骨細胞活性化に寄与すると考えられる.FLSとMSCは,共に間葉系細胞への分化能を有する.我々はFLSとMSCの脂肪分化誘導により,同細胞のサイトカイン産生やプロテアーゼ産生といったRA促進的機能を抑制できないか検証した.【方法】FLSとMSCの脂肪分化を誘導し,サイトカインとプロテアーゼの発現をmRNA及び蛋白質レベルで評価した.【成績】FLS,MSCいずれも脂肪分化誘導によりIL-6産生が劇的に抑制されるが,誘導されるインターロイキンは皆無であった.FLSにおいて脂肪分化誘導後にMMP-1とMMP-2の発現低下が確認された.【結論】FLSとMSCの脂肪分化誘導は,同細胞の炎症促進性あるいは組織破壊性の性格を抑制し,RAにおける滑膜あるいは骨髄での炎症や組織破壊の抑制効果が期待される.
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道下 和也, 川畑 仁人, 神崎 健仁, 赤平 理紗, 江里 俊樹, 山本 一彦
2013 年36 巻5 号 p.
399a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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背景関節リウマチにおいてB細胞除去の臨床的効果は周知であるが,B型肝炎の再活性化や結核の再燃化など問題点も多い.病原特異的なB細胞の除去により種々の問題は解決されると考え,ペプチドテトラマーを用いた薬剤を関節炎発症モデルマウスに投与することで臨床効果を検討した.方法DBA1Jマウスに2型コラーゲン(C2)の免疫を行い,関節炎を発症させた.ペプチドはC2のC1 epitope (CIAC),C1 epitopeをシトルリン化したもの(CIA1)を使用し,それぞれ毒性を有するテトラマーを調整した(以後CIACtet,CIA1tetと表記).対照として,細胞毒性を有さないCIA1によるテトラマー(Str-tet),抗CD20抗体,抗CD79β抗体,PBSを用い,初回投与からブースト直前まで2回に分けて投与して,ブースト後の評価を行った.結果CIA1tet投与群ではCIA1に対する抗体発症を制御し,抗原特異的なB細胞の除去が示された.またCIA1tet,抗CD20抗体と抗CD79抗体投与群では関節炎の発症の遅れが示された.考察・結論修飾自己抗原テトラマーは抗原特異的B細胞の除去とともに関節炎の発症を抑制した.一部のマウスでは関節炎が発症したが,他の抗原epitopeが発症に関与していたためと考えられた.
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近藤 真弘, 山岡 邦宏, 園本 格士朗, 福與 俊介, 尾下 浩一, 岡田 洋右, 田中 良哉
2013 年36 巻5 号 p.
399b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
ジャーナル
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【目的】間葉系幹細胞(MSC)は多分化能を有するため関節リウマチ(RA)の破壊関節への再生治療ツールとして期待される.IL-17はRA病態に寄与し,軟骨基質の分解や軟骨細胞のアポトーシスを誘導するが,軟骨細胞分化への作用は不明である.そこで,IL-17によるMSCの軟骨細胞分化に対する作用を評価した.【方法】ヒト骨髄由来MSCを軟骨分化誘導培地(CIM)で21日間ペレット培養することで軟骨細胞分化を誘導した.【結果】CIMによる軟骨細胞分化誘導の初期過程でIL-17受容体の発現は増強され,軟骨基質と軟骨マーカー遺伝子発現が誘導された.これに対して,IL-17の添加により軟骨基質と軟骨マーカー発現は抑制された.軟骨細胞分化のマスター転写因子であるSOX9はCIMによる分化誘導過程において発現の増強と共に顕著なリン酸化が誘導されたが,IL-17はリン酸化のみを抑制した.また,SOX9をリン酸化するprotein kinase A (PKA)活性はCIMで誘導され,IL-17により抑制された.さらに,PKA阻害薬であるH89は,軟骨基質と軟骨マーカー遺伝子の発現を顕著に抑制した.【結論】PKAとSOX9の活性化はMSCの軟骨細胞分化に重要であり,IL-17はこれらの活性化抑制を介して軟骨細胞分化を阻害することが示唆された.RA患者において,MSCを用いた細胞治療により効率的に軟骨を再生するためには,関節液中のIL-17活性を抑制しておくことが重要であると考えられた.
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池田 徳典, 高松 孝太郎, 西村 泰治, 千住 覚
2013 年36 巻5 号 p.
400a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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「ワークショップ選出演題「ワークショップW4-6」抄録は342ページ参照」
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張 香梅, 山岡 邦宏, 園本 格士朗, 佐竹 真, 兼子 博章, 山本 由香, 近藤 真弘, 山形 薫, 趙 継東, 福興 俊介, 岡田 ...
2013 年36 巻5 号 p.
400b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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Mesenchymal stem cells (MSCs) possess immunoregulatory ability with multipotency which makes this cells an ideal tool for treatment of rheumatoid arthritis (RA). Aiming clinical use, the effect of MSCs combined with nano-fiber poly-lactic-co-glycollic acid sheet scaffold (nano-sheet) was assessed. MSCs were injected intra-articularly (IA) or intra-peritoneally (IP) or seeded on nano-sheet and implanted into ankles (IMP) of collagen induced arthritis (CIA) rats. IA or IP treatment demonstrated no effects whereas, IMP significantly suppressed arthritis evaluated by arthritis score and body weight. X-ray, micro-CT and histological analysis revealed markedly suppressed joint destruction with IMP but not with IA or IP. Furthermore, draining lymph nodes were decreased in size and IL-1β expression, serum anti-type II collagen IgG and proliferation of T cell ex vivo was significantly suppressed. Culture of MSCs on Nano-sheet in vitro increased TGF-β1 production while IL-6 was decreased compared to MSCs cultured on plate. Local delivery of MSCs with nano-sheet scaffold efficiently suppressed immune response in CIA. These data suggest the efficacy of nano-sheet with MSCs for RA.
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林 啓太朗, 遠藤 仁, 安西 尚彦
2013 年36 巻5 号 p.
401a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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L-type amino acid transporter 1 (LAT1)は必須アミノ酸を細胞内に取り込むトランスポーターである.その発現は,正常組織においては一部の限られた組織に極僅かにみられるのに対し,癌細胞においては非常に高いことがわかっている.このような知見から,LAT1は癌細胞に重要な必須アミノ酸トランスポーターとして考えられている.一方,我々は抗CD3抗体及び抗CD28抗体により完全活性化されたヒト末梢血T細胞が,LAT1の発現を顕著に上昇させることを見出した.しかし,抗CD3抗体のみ又は抗CD28抗体のみではLAT1の発現上昇はみられなかった.さらに,LAT1の発現上昇はNF-kB及びAP-1の阻害剤により顕著に抑制された.そこで,LAT1の活性化T細胞における役割をLAT1特異的阻害薬JPH203を用いて調べたところ,JPH203によりアミノ酸の取り込み,及びサイトカイン産生が顕著に抑制されることもわかった.さらに,JPH203により活性化T細胞における転写抑制因子DDIT3の発現が上昇し,DDIT3がNF-kB及びNFATの機能を阻害する事によりサイトカイン産生が抑制されることも明らかとなった.以上の結果から,LAT1阻害薬が既存の薬物とはメカニズムが異なる新しい免疫抑制剤として臨床応用できる可能性が示唆された.
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遠山 哲夫, 浅野 善英, 高橋 岳浩, 市村 洋平, 谷口 隆志, 野田 真史, 赤股 要, 門野 岳史, 佐藤 伸一
2013 年36 巻5 号 p.
401b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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全身性強皮症は血管障害と皮膚および内臓諸臓器の線維化を特徴とする原因不明の膠原病で,その発症には免疫異常の関与が示唆されている.Am80は急性前骨髄球性白血病治療薬として承認されている合成レチノイドで,近年ループス腎炎や血管炎など各種膠原病に対する有用性が臨床試験や動物実験により示唆されている.今回我々はAm80が全身性強皮症の病態に及ぼす影響について,ブレオマイシン(BLM)誘発強皮症モデルマウスを用いて検討した.Am80はBLM刺激により誘導される真皮の肥厚およびI型コラーゲン蛋白の発現を有意に抑制した.また,病変部皮膚におけるI型コラーゲン遺伝子のmRNAの発現量を有意に抑制し,MMP1遺伝子のmRNAの発現量を有意に亢進させた.更に,Am80は病変部皮膚においてCTGF,TGF-β,ICAM-1,IL-17A,TNFα,IFNg,MCP-1遺伝子のmRNAの発現量を有意に抑制した.一方,培養強皮症皮膚線維芽細胞およびTGF-β刺激で活性化された培養正常ヒト皮膚線維芽細胞において,Am80はI型コラーゲン遺伝子の発現を有意に抑制し,MMP1遺伝子の発現を有意に亢進させた.以上の結果より,Am80は皮膚線維芽細胞に対する直接的作用と,各種成長因子,細胞接着因子,サイトカイン,ケモカインの発現調節を介した間接的作用により,皮膚において抗線維化作用を示すことが明らかとなった.
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崎元 暢, 大西 貴子, 石森 秋子
2013 年36 巻5 号 p.
402a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【目的】我々は過去にヒト培養角膜上皮細胞(HCEC)においてTNFレセプター(TNFR)1の細胞外ドメインシェディングがみられることを報告した.また,P2Y2レセプター刺激が細胞内Ca2+濃度依存性にTNFR1シェディングを亢進することが報告されている.今回,TNFR1シェディングが実際にTNF-α標的細胞でのシグナル阻害効果を有するか,臨床的意義についても検討した.【方法】シェディング促進剤としてUTP,peptidoglycan (PGN),またはphorbol myristate acetate (PMA)を用いた.HCEC上清中に(1)TNF-α単独投与,(2)UTP/PGN/PMA刺激後にTNF-αを添加した群,(3)TNF-α processing inhibitor投与後に(2)を行う群の3群にわけ,細胞内リン酸化Iκβ発現をwestern blot法で検討した.また,P2Y2受容体アゴニストであるジクアホソルナトリウム点眼が適応であるドライアイ症例5例9眼に対し,同点眼を1か月間行い点眼前後の涙液を採取し可溶性TNFR1濃度をELISA法で測定した.【成績】(1)ではリン酸化Iκβを発現した.(2)ではリン酸化Iκβ発現は抑制された.(3)ではリン酸化Iκβを再び発現した.ジクアホソルナトリウム点眼によって涙液中TNFR1濃度は有意に上昇した(点眼前;1306.9±587.2 pg/mL,点眼後;1640.3±707.8 pg/mL,p<0.01).【結論】膜上皮細胞におけるTNFR1細胞外ドメインシェディングは,TNF-αシグナルの細胞内伝達を阻害するという生理的意義を持つ可能性が示された.
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牧野 聖也, 池上 秀二, 狩野 宏, 浅見 幸夫, 伊藤 裕之, 鈴木 良雄, 河合 祥雄, 澤木 啓祐, 長岡 功, 竹田 和由, 奥村 ...
2013 年36 巻5 号 p.
403a
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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【目的】我々は
Lactobacillus delbrueckii ssp.
bulgaricus OLL1073R-1(1073R-1乳酸菌)で発酵したヨーグルトがマウスにおいてインフルエンザ感染後の生存日数を延長すること,肺洗液中のインフルエンザ特異的な抗体価を上昇させることを既に報告している.本研究では本ヨーグルトの摂取がインフルエンザワクチン接種後の抗体価に与える影響を評価することを目的にヒトを対象とした二重盲検並行群間比較試験を実施した.【方法】男子大学生49名を2群に分け,1073R-1群には1073R-1乳酸菌で発酵したドリンクヨーグルト,プラセボ群にはプラセボ酸乳を1日1本(112 ml),冬季休暇の前8週間と後2週間摂取させた.また,摂取開始3週間後には被験者全員にインフルエンザワクチンを接種した.さらに,摂取開始時,ワクチン接種1週間後,5週間後,約8週間後,約10週間後(摂取終了日)に採血を行い,接種したワクチン株に特異的な抗体価をHI法で測定した.【成績】インフルエンザA型H3N2に対する抗体価はワクチン接種後にプラセボ群に比べて1073R-1群で有意に高値となった.また,A型H1N1,A型H3N2ではワクチン接種後の抗体陽転率がプラセボ群に比べて1073R-1群で有意に高値となった.B型についてはワクチン接種後の抗体保有率が1073R-1群でのみ有効性の基準である70%を上回った.【結論】1073R-1乳酸菌で発酵したヨーグルトの摂取は,インフルエンザワクチン接種の効果を増強する可能性が示された.
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吉岡 拓也, 高桑 由希子, 内田 晶子, 品川 尚志, 大慈彌 久絵, 石森 加奈, 村上 義彦, 大岡 正道, 山田 秀裕, 尾崎 承一
2013 年36 巻5 号 p.
403b
発行日: 2013年
公開日: 2013/10/31
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背景:難治性の皮膚筋炎(DM),多発性筋炎(PM)に対し,γグロブリン大量点滴静注療法(IVIG)が有効であることが報告されているが,しばしば再燃することが知られている.目的:ステロイド治療抵抗性の筋炎に対してIVIGを施行した17例について,再燃と関連する因子を見出すことを目的とした.IVIG治療後にCKが低下し,再上昇のない場合を寛解,CKの再上昇を認めた場合を再燃と定義した.結果:17例の平均年齢55.1歳,平均罹病期間25.8ヶ月,IVIG治療前の平均CK 555 IU/L,IVIG治療1ヶ月後の平均CK 273 IU/Lであった.17例中,IVIGの寛解例が12例(DM6例,PM6例),再燃例が5例(DM1例,PM4例)であり,再燃例は全例IVIG治療後12箇月以内に再燃を認めた.寛解例は,12例中,9例が診断時に心筋逸脱酵素の上昇を認め,7例は治療後低下(2例は治療後未検).再燃例は,5例中4例が診断時に心筋逸脱酵素上昇を認め,治療後も心筋逸脱酵素の上昇が有意に高頻度に残存していた(p<0.05).結語:再燃例は,PMが多く,心筋逸脱酵素が低下しない症例が有意に多かった.IVIGの無効因子として,心筋逸脱酵素の持続高値は有用である可能性が示唆された.
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