日本臨床免疫学会会誌
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36 巻, 5 号
第41回日本臨床免疫学会総会抄録集
選択された号の論文の196件中151~196を表示しています
一般演題(ポスター)
  • 岡本 智子, 村田 美穂, 山村 隆
    2013 年36 巻5 号 p. 404a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】神経・筋疾患における免疫グロブリン療法(IVIG)の副作用に関して検討する.【方法】2008年1月1日~2012年8月31日の間で当院にてIVIGを施行した患者の臨床的背景,副作用出現患者の副作用内容とその後の臨床経過について後方視的に検討した.【結果】IVIG施行患者は計86人(男40人,女46人),疾患は慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー37人,多巣性運動ニューロパチー4人,筋疾患18人,多発性硬化症18人,視神経脊髄炎5人,その他4人だった.副作用は20人(23%)に出現しており,副作用症状は皮膚症状10人,発熱8人,頭痛7人,白血球減少3人,下腿静脈血栓症1人,徐脈2人,気分不快1人,息苦しさ1人だった.IVIG初回投与で副作用が出現した患者は16人,2回目以降の投与で新たな副作用が出現した患者は7人だった.1人は比較的新しい心筋梗塞を合併しており,IVIG後徐脈,気分不快といった副作用が出現した.副作用のため投与中IVIGを中止した患者は4人,IVIG投与量減量または対症療法を加えて再開,継続している患者は12人だった.【結論】IVIGで23%の患者で副作用が出現した.徐脈などの副作用はモニタリングしないと判明しない可能性があり注意が必要である.また副作用が出現した患者でも,IVIG投与量,投与間隔の調整と対症療法の併用などで投与が継続でき良好な治療効果が得られる場合がある.
  • 土江 健太郎, 野澤 和久, 宮下 知子, 小沼 心, 名切 裕, 天野 浩文, 森本 真司, 山路 健, 田村 直人, 高崎 芳成
    2013 年36 巻5 号 p. 404b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景】ループス腎炎に対する寛解導入療法としてミコフェノール酸モフェチル(MMF)とタクロリムス(TAC)併用療法の有効性が報告されて以降,異なる作用機序を持つ免疫抑制剤の併用療法が注目されている.今回,我々はループス腎炎の寛解導入におけるTAC,ミゾリビン(MZB)の併用療法の有効性をTAC単剤群との比較において後ろ向きに検討した.【方法】当院でループス腎炎の寛解導入において大量ステロイドに加えてTAC,MZBの併用を行った6例とTAC単剤で加療を行った6例を寛解達成率,蛋白尿,血清Alb,血清補体価,抗DNA抗体価,SLEDAIスコアの推移について比較した.【結果】併用群では12ヶ月で100%の完全寛解率を認めTAC単独群の50%と比較し有意な改善が認められた.併用群では蛋白尿,血清Alb値,血清補体価,抗DNA抗体価,SLEDAIスコア全ての有意な改善効果が認められたが,TAC単剤群では有意な差は認められなかった.TAC単剤群では1例が薬剤による重篤な副作用で内服が中断されたが,併用群では全例治療継続可能であった.TAC単剤群では1例完全寛解後に再発が認められたが,併用群では全例寛解が維持された.【結論】TAC単剤群と比較し,TAC,MZBの併用群でより高い治療効果が認められた.免疫抑制剤の併用療法はループス腎炎の新規寛解導入療法としてその治療効果が期待される.
  • 辻 英輝, 大村 浩一郎, 中嶋 蘭, 井村 嘉孝, 湯川 尚一郎, 吉藤 元, 藤井 隆夫, 三森 経世
    2013 年36 巻5 号 p. 405a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】グレープフルーツジュース(GFJ)はCYP3A4阻害作用があり,タクロリムス(TAC)血中濃度を上昇させる.我々はTAC血中濃度が有効域に達しない膠原病患者にGFJを併用し,TAC血中濃度の推移と臨床経過を検証した.【方法】当院において2010年から2013年7月の間にTAC内服中の膠原病患者6例(全身性エリテマトーデス3例,混合性結合組織病1例,皮膚筋炎1例,シェーグレン症候群1例)にフレッシュGFJ約200 cc/日を追加服用し,TAC血中濃度と臨床経過を検証した.症例は全例女性,年齢(29.7±8.9歳),観察期間(8.0±3.3月),TAC投与量(3.7±1.0 mg/日)であった.GFJ服用開始時からGFJ服用中止時もしくはGFJ服用中の直近のTAC濃度測定時までを観察期間とした.【結果】TAC投与前のTAC血中濃度(12時間値)は4.3±2.4 ng/mlで,GFJ併用によって13.8±6.9 ng/ml(3.3±0.8倍)に上昇した.症例によっては脱毛の軽減,血小板数の回復,筋逸脱酵素の低下がみられた.経過中に倦怠感,頭痛を認めた症例が1例あったが,TAC量の減量とともに回復した.有害事象のためGFJの併用を中止した症例はなかった.【結論】TACとGFJの併用はTAC血中濃度を約3倍に上昇させる.
  • 菊地 弘敏, 高山 真希, 廣畑 俊成
    2013 年36 巻5 号 p. 405b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     目的:神経ベーチェット病は急性型と慢性進行型(CPNB)に分類されるが,特に後者は進行性の小脳失調や認知障害を認める難治性病態である.これまでの研究からCPNBでは脳内炎症を反映し脳脊髄液中インターロイキン6(CSF IL-6)の持続的高値が認められ,画像検査では脳幹部の委縮が特徴である.マウス実験ではCSF IL-6が高値であると認知力の低下することや,IL-6が神経細胞のアポトーシスに関与することが示されている.今回我々は,CPNBの脳幹部面積を定量解析し,CSF IL-6の積算量と委縮率に相関があるかを検討した.方法:対象は厚労省のベーチェット病診断基準を満たし,ベーチェット病研究班で示されたCPNB診断基準を満たす10人(男性9人,女性1人).結果:初回MRI施行時の平均年齢29.3±9.1[mean±SD].中脳被蓋とCSF IL-6積算量の相関はr=0.4420,p=0.00507であったが,橋とCSF IL-6積算量の相関はr=0.7527,p=0.0024,両者を含めた脳幹部の委縮率はCSF IL-6積算量の相関はr=0.7478,p=0.0026を認めた.結語:CPNB脳幹部面積の委縮率とCSF IL-6積算量には強い相関関係を認めることから,速やかなCSF IL-6の低下とその維持が,患者の予後を改善させる可能性が示唆された.
  • 渡邉 俊幸, 神山 玲光, 岸本 大河, 峯岸 薫, 吉見 竜介, 桐野 洋平, 上田 敦久, 岳野 光洋, 石ヶ坪 良明, 井畑 敦, 長 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 406a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】FDG-およびNaF-PETを従来の画像診断所見と比較検討することで,関節リウマチ(RA)における炎症と骨代謝,骨破壊・修復との関連を明かにする.【方法】対象はRA患者12例(女性10例,年齢60.0歳,罹病期間6.8年).生物学的製剤治療新規導入時(9例),変更時(3例),両手のFDG-PET,NaF-PET,X線を撮影し,X線の変化(Genant-modified Sharp score)と疾患活動性(DAS28,SDAI)との関連を解析した.【結果】関節内局在をみると,FDGの集積の主体は滑膜,NaFは骨であった.FDGは臨床的腫脹関節に集積が強く,その集積の総和は疾患活動性と相関した.総NaF集積は疾患活動性だけでなく,HAQスコア(ADL障害度)とも相関した.個々の関節におけるFDGとNaF集積はほぼ相関するが,骨棘などのOA変化では解離を認めた.半年の経過における総Sharpスコアの変化は総FDG集積より総NaF集積とより強く相関した.そのサブ解析では,関節裂隙狭小化(JSN)が総NaF集積と相関した.骨びらんの進行を認めた関節を個々に解析すると,ベースラインのFDGおよびNaF集積陽性率はぞれぞれ62%(8/13),92%(12/13)であった.【結論】RA病変において,FDGとNaFの集積の関節内局在には違いがあるものの,個々の関節における両核種の集積度は相関し,RAにおける炎症と骨変化が一連の病理変化である可能性が示された.両核種を比較すると,骨破壊および形成性病変は,NaF-PETでより明確に描出された.
  • 中川 育磨, 渡邊 俊之, 秋田 佳奈恵, 大村 一将, 神田 真聡, 野口 淳史, 志田 玄貴, 河野 通仁, 栗田 崇史, 奥 健志, ...
    2013 年36 巻5 号 p. 406b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景】抗好中球細胞質抗体関連血管炎(AAV)において,血栓症は重篤な臓器病変の一つである.【目的】AAVにおける血栓症発症の危険因子を明らかにする.【方法】2000年1月から2012年12月の間で当科に入院し,副腎皮質ステロイド単剤あるいは免疫抑制剤との併用で治療を開始した初発のAAV(顕微鏡的多発血管炎,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,多発血管炎性肉芽腫症)の患者56例(女性39例,男性17例)を対象とした.血栓症の発症をエンドポイントとし,患者背景,初診時の疾患活動性,内服薬や動脈硬化促進因子などと血栓症との関連を後ろ向きに解析した.【結果】56例の年齢中央値は66歳(IQR 58-70歳),観察期間中央値は38ヶ月(IQR 11-57.5ヶ月)であった.10例(17.8%)が血栓症を発症し,その内訳は動脈血栓症4例(脳梗塞2例,眼動脈分枝閉塞症1例,網膜中心動脈閉塞症1例),静脈血栓症6例(深部静脈血栓症5例,下大静脈血栓症1例)であった.血栓症の危険因子について,Cox比例ハザードモデルを用いて多変量解析を行い,疾患活動性の指標であるfive factors score (FFS)1点以上(p=0.016),免疫抑制剤の非使用(p=0.010)が抽出された.【結語】初診時でのFFS1点以上は血栓症のリスクであった.免疫抑制剤の使用は,血栓症を予防する可能性が示唆された.
  • 佐藤 正夫, 竹村 正男, 斉藤 邦明
    2013 年36 巻5 号 p. 407a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】関節リウマチ(RA)患者の血中可溶性IFNαβ-receptor (sIFN-R),IL-18,Fas Ligand (Fas-L), 可溶型Fas (sFas),可溶型TNF-RII (sTNF-RII),CRP,IL-6,MMP-3,抗CCP抗体を測定し検討した.【方法】RA 57例,変形性膝関節症(OA)16例を対象とした.sIFN-R,IL-18,Fas-L,sFas,sTNF-RII濃度はELISA法にて,CRP,MMP-3は自動分析機器,IL-6,抗CCP抗体は高感度免疫化学発光法で測定した.RA症例は男性11例,女性46例で,31~85歳(平均61.2歳),stageはII:2例,III:17例,IV:38例,classは2:23例,3:28例,4:6例であった.罹病期間は5~35年(平均18年)で,経口抗リウマチ薬で治療されており,生物学的製剤は使用していない.OA症例は16例全例が女性で,31~75歳,(平均57.1歳)であった.【結果】sIFN-R濃度(ng/ml)は,RA群(2.1±1.2)で,OA群(1.4±0.7),健常者群(1.0±0.5)と比較して有意(p<0.001)に高値であった.sIFN-Rとの相関係数(r)はIL-18 (r=0.456),sFas (r=0.649),sTNF-RII (r=0.752),IL-6 (r=0.324),抗CCP抗体(r=0.329)で相関(p<0.05)が認められた.CRP (r=0.223),Fas-L (r=−0.202),MMP-3 (r=0.193)については相関が認められなかった.【考察】sIFN-R濃度とその他のマーカーとは,可溶性蛋白と強い相関が認められた.また.sIFN-RはRAの治療効果判定に用いられているCRPやMMP-3との相関関係が低く,Apoptosis関連のTNF,Fasの可溶性蛋白と高い相関にあった.
  • 野崎 正行, 小野 綾子, 高橋 俊司, 中村 厚志, 神田 真聡, 嶋村 沙苗, 近藤 真, 向井 正也
    2013 年36 巻5 号 p. 407b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】抗核抗体検査の間接蛍光抗体法(以下IF法)は多くの施設で実施されているが,健常人でも陽性となるケースが増えている.今回我々はIF法のカットオフ値について検討を行なったので報告する.【検討内容】健康検診検査で協力検診者531名(女性474名 平均37.9歳,男性57名 平均42.6歳)とELISA法でSSA,SSB,RNP,Sm,dsDNAのいずれかが陽性となった438名の患者血清を用い通常通りIF法を実施した.尚,IF法はMBL社のフルオロHEPANAテストを使用し,落射蛍光顕微鏡BX50-34-FLA-2を用いて3名で判定を行った.【結果】健診者ではIF法抗体価40倍で26.4%が陽性,抗体価80倍で16%が陽性であった.また陽性となった染色パターンは均一型のものが多かった.ELISA法陽性の患者血清では殆んどがIF法抗体価80倍以上であった.SSAやdsDNA陽性患者で抗体価40倍が比較的多く認められたが,その多くは治療中で経過も良好な症例であったが,初診の症例も少数存在した.【考察】今回の検討からはIF法の健常人における特異度は抗体価40倍で74%,抗体価80倍で84%であり,ELISA法で陽性となった各種疾患における感度の平均は抗体価40倍で93.6%,抗体価80倍で88.7%であった.以上からカットオフ値は抗体価40~80倍の間が適当であると考えられた.カットオフ値を抗体価80倍まで引き上げるのにはまだ問題があるため,健常人でも抗体価40倍では約1/4が陽性となることを理解しておく必要がある.
  • 小野 綾子, 野崎 正行, 高橋 俊司, 中村 厚志, 神田 真聡, 嶋村 沙苗, 近藤 真, 向井 正也
    2013 年36 巻5 号 p. 408a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】抗DNA抗体検査は膠原病,特にSLEの診断には極めて重要な検査である.今回我々はコスミック社製dsDNAのELISAキットを使用する機会を得たので臨床的な評価を中心に報告する.【検討内容】患者血清160症例(SLE79例,RA65例,その他16例)を用い,本キットのSLEでの感度,特異度,正診率についてA社のssDNA,dsDNA各ELISAキット,B社のRIA法と比較検討を行った.【結果】SLEでの感度,特異度,正診率は,本キットでは75.6%,84.1%,80.0%であり,A社dsDNAでは41.0%,95.1%,68.6%,A社ssDNAでは97.4%,3.7%,49.4%,B社RIA法では61.5%,72.5%,67.1%であった.またキット間の陽性・陰性結果の一致率は,本キットとA社dsDNAとでは69.4%,本キットとB社RIA法とでは76.3%,A社dsDNAとB社RIA法とでは70.6%であった.【考察】本キットはA社のキットやRIA法よりも感度や正診率ですぐれており,RIA法との一致率もA社より良好であった.また本キットは測定値の値が大きく設定されており,測定レンジも幅が広いことから陽性,陰性の区別が他社よりも明瞭になっていることも大きな特徴であった.【まとめ】本キットは感度,特異度,正診率ともに良好でSLEの診断には有用であると思われた.
  • 黒木 茜, 神田 真聡, 河野 通仁, 秋田 佳奈恵, 大村 一将, 中川 育磨, 野口 淳史, 志田 玄貴, 渡邊 俊之, 栗田 崇史, ...
    2013 年36 巻5 号 p. 408b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景】ループス腸炎は,全身性エリテマトーデス(SLE)患者に生じる腸炎のうち,感染性腸炎が除外され,下痢や腹痛などの臨床症状を呈し,画像上小腸病変を有するものとされる.免疫複合体が小動脈の血管壁に沈着し,血管炎が生じることが原因とされ,局所の虚血による粘膜浮腫や漿膜炎を起こす.ループス腸炎の疫学や病態は依然不明な点も多く,臨床的検討も少ない.
    【目的】当科におけるループス腸炎の特徴を明らかにする.
    【方法】2008年4月から2013年3月までの間に,当科でループス腸炎と診断された患者を後ろ向きに解析した.
    【結果】9名(女性8名,男性1名)のループス腸炎患者が抽出された.ループス腸炎診断時の年齢は33(18-41)歳,SLE発症からループス腸炎診断までの期間は1.9(0-15)年,観察期間は2.1(0.5-5.8)年であった.ループス腸炎の診断時のSLE disease activity indexは15(4-21)であり,腹水貯留5例(56%),胸水貯留2例(22%),膀胱炎を3例(33%)で合併していた.また,9例中3例(33%)で再発し,再発までの期間は,それぞれ5ヶ月,67ヶ月,67ヶ月であった.再発例と非再発例の臨床症状,検査所見を検討したところ,再発例では3例中2例で初発時に結腸,直腸粘膜浮腫を伴っていたが,非再発例では1例も結腸,直腸粘膜浮腫は認めなかった.
    【結語】9例のループス腸炎を経験した.初発時に結腸,直腸粘膜浮腫を伴う場合には再発に注意が必要と考えられた.
  • 丸山 暁人, 長嶋 孝夫, 石澤 彩子, 室崎 貴勝, 本根 杏子, 釜田 康行, 永谷 勝也, 吉尾 卓, 岡崎 仁昭, 岩本 雅弘, 簑 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 409a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】当科におけるSLE患者のループス腸炎合併例の臨床的検討を行った.【方法】2001年1月~2012年12月までに入院したSLE患者431例中,ループス腸炎と診断した16例(3.7%)(再発含め延べ22例)を対象とした.ループス腸炎の診断は,画像で腸管壁の肥厚を認め,副腎皮質ステロイドによる治療を要した症例とした.【結果】ループス腸炎発症時の年齢(35歳,18~66歳)(中央値,範囲),SLE発症からループス腸炎発症までの期間(5年,0~19年),臨床症状は腹痛が19/22例,下痢が17/22例,悪心・嘔吐が16/22例であった.白血球減少 0/22例;血小板減少 1/22例;貧血 2/22例;低補体血症 15/22例;抗ds-DNA抗体上昇 15/22例,抗SS-A抗体陽性 11/16例,抗RNP抗体陽性 5/16例,CRP(0.81 mg/dl,0.01~17.5 mg/dl),SLEDAI(8.5,0~23)であった.腸管浮腫の部位は小腸+大腸が最も多く17/22例.腹水 18/22例,水腎症 7/22例を認めた.治療は15/22例にステロイドパルス療法が併用され,免疫抑制薬の併用は3例であった.再発は5/16例に認めた.【結論】当科におけるループス腸炎の特徴は,抗SS-A抗体陽性例が多く,血球異常はほとんど認めず,治療経過は良好であった.
  • 有沼 良幸, 菊地 弘敏, 小川 英佑, 和田 達彦, 永井 立夫, 田中 住明, 廣畑 俊成
    2013 年36 巻5 号 p. 409b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【方法】ループス精神病(diffuse psychiatric/neuropsychological syndrome)を呈した全身性エリテマトーデス患者53例を対象とした.過去の病歴より頭部MRI所見を含むデータの抽出し後ろ向きに解析を行った.【結果】53例中25例(47.2%)において頭部MRI異常所見(皮質病変5例,白質病変18例,髄膜病変3例,小脳脳幹病変1例,出血性梗塞2例)を認めた.経時的なMRI所見が得られた17例中では,治療後全例精神症状の改善を認めたが,7例(41.2%)ではMRI所見の改善はなかった.頭部MRI所見の有無と診断時年齢には明らかな関連を認めなかったが,頭部MRI異常を有した患者はSLE罹病期間が有意に長期であった(p=0.0284).MRI所見の有無と,抗DNA抗体,抗Sm抗体,抗RNP抗体,抗リボソームP抗体および抗リン脂質抗体陽性との間には有意な相関を認めなかった.一方,髄液中のIL-6値は頭部MRI異常を有する患者において有意に上昇していた(p=0.0223).また頭部MRI異常を有する患者ではその後の観察期間における死亡率が有意に高かった(p=0.0348).【結論】以上より,ループス精神病おける頭部MRI異常所見の出現には複数の病態が関与していると考えられる.さらに,頭部MRI所見を有する患者はより重症の病態を呈していることが示唆された.
  • 趙 継東, 山岡 邦宏, 久保 智史, 中山田 真吾, 田中 良哉
    2013 年36 巻5 号 p. 410a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     Although the role of lymphocytes in the pathology of Sjogren's Syndrome (SS) has been investigated, the role plasmacytoid dendritic cells (PDCs) and mast cells (MCs) remains poorly understood.Lip biopsy specimen from 178 SS and 7 Sicca syndrome (Sicca) were analyzed for histological scores and density of PDCs and MCs. Lymphocytes infiltration, acinar atrophy and intralobular fibrosis were observed with increased pDCs and MCs in SS compared to Sicca patients. Positive correlation was observed in pDCs density with lymphocytes infiltration and MCs density with intralobular fibrosis in primary SS but not in secondary SS. Within the primary SS, CXCL13+ cells density positively correlated with lymphocyte infiltration and pDCs density. Double staining with anti-CXCL13 and anti-CD68 revealed that majority of CXCL13+ cells are macrophages, and that pDCs and CXCL13+ cells are localized at the surrounding area of the duct. Our data suggests the role of PDCs in lymphocyte infiltration and MCs in intralobular fibrosis in primary SS. Moreover, CXCL13 expression suggests the involvement of multiple lineage cells in the early stage of the disease, and MCs in the mid to late stage.
  • 吉村 俊祐, 中村 英樹, 寶來 吉朗, 前田 泰宏, 向野 晃弘, 中田 るか, 中嶋 秀樹, 白石 裕一, 本村 政勝, 川上 純
    2013 年36 巻5 号 p. 410b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】視神経脊髄炎(neuromyelitis optica, NMO)に合併したシェーグレン症候群(SS)の病態について小唾液腺の組織染色を行いその特徴を検討する.
    【方法】同意をえられたNMO-SS合併例4例,NMO spectrum disorderの症例から小唾液腺を生検しAQP4およびAQP5抗体を用い免疫組織染色を行った.対照として正常例3例,Typical SSの5例についても同様の検討を行った.
    【結果】AQP4については唾液腺組織での発現は認めず,Typical-SS,NMO-SSでも同様の結果であった.AQP5抗体を用いた染色では,正常唾液腺組織において既知の報告通り管腔側にAQP5が強く発現していた.Typical SSとNMO-SSにおける変化を画像解析ソフトを用い定量を行ったところ,正常唾液腺組織と比較してTypical SSとNMO-SSでは有意差をもって管腔側の局在性が損なわれていた(P<0.01).Typical SSとNMO-SSでは有意差は認めなかった.また,サクソンテストとAQP5の染色性の変化は相関を認めており,AQP5の局在性と唾液腺機能の関連が示唆された.また,局在性の変化の原因としてTNFα抗体での蛍光染色を行ったところ,正常ではTNFαの発現は認められなかったが,Typical-SS,NMO-SSでは腺房周囲から間質にTNFαの発現を認めた.
    【結語】NMO-SSにおいて唾液腺でのAQP-蛋白の関連は低く,AQP5については通常のシェーグレン症候群と同様の発現分布異常を認めた.その発現の変化についてはTNFαの関与が示唆された.
  • 竹下 梢, 筋野 智久, 三上 洋平, 水野 慎大, 三枝 慶一郎, 松岡 克善, 佐藤 俊朗, 久松 理一, 金井 隆典
    2013 年36 巻5 号 p. 411a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景】腸内細菌が炎症性腸疾患(IBD)の発症や病態への関与を示唆する研究が近年相次いで報告されている.IBD患者ではClostridium coccoides groupが減少しているなど,特定の細菌について疫学的挙動は明らかになってきているが,各菌種がIBDの病態に与える影響については未だ不明な点が多い.今回我々は,活動期IBD患者腸内細菌叢で偏性嫌気性グラム陽性桿菌であるFusicatenibacter saccharivorans (FS)が減少していることを見いだし,FSの腸炎に対する免疫学的影響について検討した.【方法・結果】当院IBD患者と健常者の便検体を用いて16s rRNA系統解析法で腸内細菌叢を解析したところ,FSの減少を認めた.また,潰瘍性大腸炎(UC)患者において,活動期患者では寛解導入後にFSの増加を認めた.そこで,UC患者大腸手術検体の腸粘膜固有層単核球(LPMC)を各種細菌と共培養し,上清中のサイトカインを測定したところ,FSではEnterococcus faecalisと比較して有意にIL-10産生亢進を認め,FSの抗炎症効果が示唆された.FSの腸炎抑制効果を検討するため,Dextran sulface sodium腸炎マウスにFSを投与したところ,腸炎の抑制効果を認めた.【結語】IBD患者の活動期で減少しているF. saccharivoransは,大腸LPMCからのIL-10産生の誘導を介して腸炎抑制効果を示すことが示唆され,今後新規治療薬開発につながると考えられる.
  • 相葉 佳洋, 小森 敦正, 伊東 正博, 右田 清志, 八橋 弘, 中村 稔
    2013 年36 巻5 号 p. 411b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    「ワークショップ選出演題「ワークショップW4-3」抄録は341ページ参照」
  • 林 絵利, 千葉 麻子, 多田 久里守, 山路 健, 田村 直人, 高崎 芳成, 三宅 幸子
    2013 年36 巻5 号 p. 412a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】強直性脊椎炎(AS)は主に脊椎,仙腸関節,末梢関節や靭帯の骨への付着部の炎症から骨の強直を来すリウマチ性疾患である.AS患者の90%以上でHLA-B27が認められることが知られているが,HLA-B27トランスジェニックラットはジャームフリーな環境では関節炎を発症せず,微生物の存在下では発症すること等から感染,特に腸管免疫の関与が示唆されている.また,免疫抑制剤や抗TNFα抗体など生物学的製剤が治療効果を発揮することからも免疫学的機序が病態に関与すると考えられるが,その病因および病態については不明な点が多い.今回我々はAS患者末梢血中の自然リンパ球,B細胞,単球について解析を行った.【方法】 ASおよび健常者より末梢血単核球を分離し自然リンパ球(NK細胞,MAIT細胞,γδT細胞,CD56highNK細胞,NKT細胞),B細胞(形質芽細胞,B-1細胞),単球についてフローサイトメトリー法を用いて解析しAS群と健常者群を比較した.【結果・考察】AS患者群では健常者群と比較しMAIT細胞の頻度が低下することが示され,腸管粘膜に多く存在するMAIT細胞がASの病態に関与する可能性が示唆された.他の自然リンパ球,B細胞,単球の頻度について差は見られなかったが,これらの細胞について機能や関節リウマチ患者との違いについて検討中である.
  • 橋本 篤, 川上 美里, 松井 利浩, 當間 重人
    2013 年36 巻5 号 p. 412b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景・目的】近年,関節リウマチ(RA)の治療は生物製剤を中心として治療選択肢が拡がり,強力に疾患活動性を制御できるようになったが,その最も重要な副作用は感染症であり,これを予測・予防することがRAの臨床において肝要である.
    【方法】当院通院中のRA患者のうち,2009年4月から2012年3月までの3年間に感染症で入院した症例(感染例)の臨床データをretrospectiveに集計し,感染症の種類,患者背景,治療薬などの関連を検討,感染入院のリスク因子を抽出した.
    【結果】3年間で全5442人年の通院RA患者中,186件の感染入院があり年度毎に増加傾向であった.年齢は感染例が非感染例より有意に高く(中央値70.5 vs 65歳),高齢者(70歳以上)の割合が高く,男性が多かった.感染部位は呼吸器系が約50%(重複あり)と最多で,以下腎尿路系(11.3%),皮膚関節軟部組織系(8.6%),消化器系(8.1%),帯状疱疹(7.5%).治療薬の使用率は感染例で非感染例よりステロイド剤,生物製剤が高く,メトトレキサートは低かった.多変量解析により抽出された感染入院の有意なリスク因子は男性,高齢,ステロイド剤,生物製剤であり,メトトレキサートは負のリスク因子であった.
    【結語】上記感染リスク因子を踏まえて治療を選択し,リスク因子のある症例については特に注意すべきである.
  • 海江田 信二郎, 吉田 直実, 日高 由紀子, 井田 弘明
    2013 年36 巻5 号 p. 413a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    「ワークショップ選出演題「ワークショップW4-5」抄録は342ページ参照」
  • 金城 武士, 上原 綾子, 熱海 恵理子, 山里 代利子, 屋良 さとみ, 比嘉 太, 健山 正男, 藤田 次郎
    2013 年36 巻5 号 p. 413b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     びまん性肺疾患の診断には気管支肺胞洗浄(BAL)が有用であり,BAL液中の細胞分画(マクロファージ,リンパ球,好中球,好酸球の割合)や微生物学的検査の結果が,診断および治療方針を決める上で非常に重要な情報となる.しかし問題点として,上述した従来の検査項目のみでは診断をある程度絞ることはできても,診断確定までは至らないことも多いことが挙げられる.また,BALは気管支鏡検査下に施行されるため患者への負担が大きく,また呼吸状態の悪い患者ではBALが施行できないケースもあり,診断を絞れないまま治療に踏み切ることが多いのも事実である.当科では,上述した従来の検査項目に加え,BALリンパ球のフローサイトメトリー解析(CD3,CD4,CD8,CD25,CD56)を行っており,また原則として,BAL施行症例のBAL上清と血清はすべて保存している.本研究の目的は,(1)これまで蓄積してきたBALリンパ球解析結果を疾患別に比較して,疾患特異的な所見がないか検討すること,(2)BAL上清および血清中の種々のサイトカインを網羅的に測定し,疾患特異的な診断マーカーが存在しないかを検討することである.研究対象は2009年以降のBAL施行症例とし,サイトカイン測定はBD社のCytometric Bead Array Systemを用いる.
  • 谷川 真理, 東 賢一, 宇野 賀津子, 東 実千代, 萬羽 郁子, 高野 裕久, 内山 巌雄, 吉川 敏一
    2013 年36 巻5 号 p. 414a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景と目的】いわゆる化学物質過敏症(Multiple chemical sensitivity : MCS)は現代の環境がひきおこした後天的疾患である.日常的にさまざまな化学物資に曝されることに反応して神経系,免疫系,内分泌系をはじめ全身の多様な症状が起こり,通常の社会生活にも支障をきたすようになる.しかしその病態の詳細は解明されておらずMCS有訴者は診断を受けることも困難な状況に置かれている.MCSの病態解明を目的として免疫学的機能検査を実施し解析した.
    【方法】2009年10月以来百万遍クリニックのシックハウス外来に通院するいわゆる化学物質過敏症の有訴者(患者)の協力を得て,一般的な血液検査と多種の免疫機能検査を測定し解析した.
    【結果】18人のMCS有訴者と17人の健常成人の比較の結果,MCSではNK活性が統計学的有意に高かった.リンパ球サブセットではMCSではNKT細胞の割合が高く,CD3とCD4が低かった.多種のサイトカイン産生能の測定ではIL-2,IL-4,IL-13,GM-CSFが有意に低かった.
    【結論】MCS患者では自然免疫系が高めに保持されている一方,Th2型サイトカインが低い傾向で,アレルギーとは異なる病態と考えられる.
  • 高島 健浩, 今井 耕輔, 森尾 友宏, 水谷 修紀, 石井 榮一
    2013 年36 巻5 号 p. 414b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     高IgE症候群は黄色ブドウ球菌を中心とする細胞外寄生細菌による皮膚膿瘍と肺炎,新生児期から発症するアトピー性皮膚炎,血清IgEの高値を主徴とする免疫不全症である.そのうち,1型高IgE症候群はSTAT3分子のdominant negative変異に起因し,特有の顔貌,脊椎の側弯,病的骨折,骨粗鬆症,関節の過伸展,乳歯の脱落遅延などの骨・軟部組織・歯牙の異常を合併する.今回,我々は当院で診断された1型高IgE症候群9例における臨床症状,検査所見,遺伝子解析についての検討を行った.また,multi color flowcytometryによる末梢血リンパ球解析ならびにT細胞・B細胞の新生能を反映するTRECs (T cell receptor excision circles)およびKRECs (kappa-deleting recombination excision circles)の定量などの免疫学的解析を行ったので併せて報告する.
  • 加藤 環, 釜江 智佳子, 満生 紀子, 小原 明, 林 正俊, 野口 恵美子, 久保田 健夫, 本間 健一, 小原 収, 今井 耕輔, 野 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 415a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【はじめに】ICF症候群とは,Immunodeficiency,Centromeric Instability,Facial anomalyを3主徴とする常染色体劣性遺伝病である.【症例】症例1は28歳女性.両親が近親婚で,気道感染を反復し,CVID (common variable immunodeficiency)と診断した.Exome解析でDNMT3B遺伝子変異を認め,Centromeric Instabilityも認めたためICF type1と診断した.症例2は症例1の1卵性双生児の姉で,幼少時にCVIDと診断されていたが,18歳時にインフルエンザ罹患後,回復期に突然死した.症例3は15歳女児.両親が近親婚で,乳児期から感染症を反復し,眼間解離,言語発達遅延を認めた.症例4は症例3の弟で,姉弟共にCentromeric Instability及びDNMT3B遺伝子変異を認めICF type1と診断した.症例5は8歳女児.気道感染を繰り返し,CVIDと診断した.低身長,言語発達遅延,全身のカフェオレ斑,眼間解離を認め,exome解析及びSNParray解析よりZBTB24遺伝子変異を認めICF type2と診断した.【考察】ICF症候群国内5症例を経験した.低ガンマグロブリン血症は共通して認めたが,2症例で顔貌異常が明らかではなく,CVIDの鑑別としてICF症候群を疑う必要性があると考えられた.
  • 石村 匡崇, 高田 英俊, 瀧本 智仁, 土居 岳彦, 今井 耕輔, 金兼 弘和, 森尾 友宏, 野々山 恵章, 宮脇 利男, 原 寿郎
    2013 年36 巻5 号 p. 415b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     近年,原発性免疫不全症の予後は改善し成人例も増加しており,2008年の疫学調査では成人例(20歳以上)は263名(28.4%)が報告された.これまで成人例に関する報告はわずかしかなく,疫学調査結果より成人例の追加解析を行い,特に成人例の多いX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)と分類不能型免疫不全症(CVID)を中心に解析した.成人と小児例を比較すると,XLAでは成人例で気管支拡張症・難聴の合併が多くみられたが,CVIDでは悪性疾患,自己免疫疾患,気管支拡張症などの重篤な合併症の差はみられなかった.一方CVIDでは15歳未満での発症例が重篤な合併症を持つ傾向にあったが,15歳未満発症例では罹病期間が長く,合併症との関連が示唆された.QOLや予後にかかわる気管支拡張症はXLA(11/133例)と比べCVID(20/92例)で合併が多く(p=0.0038),罹患率は高率であった(CVID:0.016/年,XLA:0.007/年).CVIDではXLAと比べ診断から気管支拡張症発症までの期間が短く(p=0.04),抗体不全以外の免疫異常や診断の遅れが背景にあると考えられた.
  • 正木 康史, 川端 浩, 高井 和江, 小島 勝, 佐藤 康晴, 中村 栄男
    2013 年36 巻5 号 p. 416a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    「ワークショップ選出演題「ワークショップW5-4」抄録は344ページ参照」
  • 粟屋 昭
    2013 年36 巻5 号 p. 416b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【目的】著者は花粉飛散数と川崎病KD患者数の12年間の交差相関解析,回帰分析によりKDは,遅延型過敏性の花粉惹起疾患(Pollen-Induced Diseases : PID)であり,花粉被曝→免疫→花粉再感作→遅延型過敏反応のゆっくりとした亢進→全身性血管炎KDの発症という過程が,flu流行期,介入を受けて発症が抑制される現象も2003年以来報告してきた(The Open Allergy Journal, 2012, 5, 1-10, Biomed. &Pharmaco. 2004等).またKDのような重症の疾患に比べ皮膚病変の程度が軽症のHFMDや伝染性紅斑も花粉数増加に連動して患者数が増大することを報告した.【方法・結果・考察】多発性硬化症治療剤IFN-βの脳血管系への作用の他,冠動脈病変対応心血管虚血モデルでの効果に着眼して上記疫学的知見と融合した.東京都定点週報と花粉dataを解析した.13年26週まで,定点当たり患者数は,KD,HFMDとも91年or90年以降最大であり,AMも91年以降98年に次ぐ激増である.00年14週からの全AM患者の年齢分布は,6か月未満が11.5,1歳児が3.1,6か月以上~9歳までは5歳が最大で5.1,9歳までの合計は43.9各%であった.HFMDは1歳を中心に,KDよりやや年長に発症分布がある.KD,HFMD,AMの3疾患に重複罹患する乳幼児がいるか臨床疫学的検討が待たれる.3疾患患者から花粉抗原感作リンパ球が検出できればbreakthroughである.花粉曝露後アレルギーマウス等がエンテロウイルス属virusに易感染性となるか検証が必要である.
  • 原 亮祐, 佐久間 裕子, 有沼 良幸, 荘 信博, 谷 名, 松枝 佑, 安部 学朗, 和田 達彦, 永井 立夫, 田中 住明, 廣畑 俊 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 417a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     19歳女性.2013年2月1日より難治性口内炎に対しPSL 15 mg/日を開始された.2月10日昼寝後より,食べ物を取ろうとしてスプーンを取ってしまう,突然泣き出すなどの異常行動が出現.さらに夕方になると意識障害も出現したため当院受診.髄液検査で蛋白,細胞数の増加を認め髄膜脳炎が疑われ入院した.アシクロビル,デキサメタゾン投与にて意識障害は速やかに改善した.入院時検査にて血球減少,抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体陽性よりSLEと診断した.また髄液中の抗神経細胞抗体1.02 U/ml,抗グルタミン酸受容体抗体0.5 U/mlおよびIL-6 37.1 pg/mlと高値であったことから精神症状はSLEによる急性昏迷状態と診断した.PSL 50 mg/日を開始後より多幸感,幻覚が出現した.発熱も認めたためループス精神病の増悪を疑い腰椎穿刺および脳波施行の後ステロイドパルス施行した.パルス後解熱するもむしろ興奮状態となった.脳波所見は入院時と比較し徐波の改善を認め,髄液抗神経細胞抗体0.63 U/ml,IL-6 1.7 pg/mlと共に低下していたためステロイド精神病と診断した.ステロイドは定型的漸減にとどめ精神症状に対してはリスペリドンにてコントロールした.本症例はループス精神病の治療経過中にステロイド精神病を発症しており,両者は二律背反ではなく異なる機序により発症すると考えられる.
  • 遠藤 裕子, 有沼 良幸, 荘 信博, 谷 名, 松枝 佑, 原 亮祐, 安部 学朗, 和田 達彦, 永井 立夫, 田中 住明, 廣畑 俊成
    2013 年36 巻5 号 p. 417b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     27歳男性.主訴は右半身麻痺.22歳より蝶形紅斑,脱毛,頭痛,両眼視力低下が出現.リンパ球減少,抗核抗体,抗DNA抗体,抗Sm抗体陽性より全身性エリテマトーデスと診断.両眼底に血管炎を認め髄液蛋白・細胞数増加,IL-6 83.7 pg/mlと上昇を認めた.ステロイドパルス後プレドニゾロン(PSL)60 mg/日開始.シクロフォスファミドパルス(IVCY)7回施行後タクロリムス(TAC)併用しPSL 7.5 mg/日まで漸減.24歳時,皮疹増悪と頭痛にて入院.頭部CTおよびMRI上2年前には認めなかった両側尾状核の石灰化病変が出現していた.PSL 40 mg/日へ増量TACをメトトレキサートへ変更IVCY3回併用し軽快.26歳時PSL 12 mg/日内服中に自己中断.皮疹,関節炎が増悪しPSL 40 mg/日再開,MRIで右尾状核石灰化病変は拡大していた.PSL 15 mg/日内服中の27歳時,右下肢麻痺が出現.2ヶ月で進行し右上肢の麻痺も出現し入院.CTでは左放線冠に石灰化が新たに出現.MRI拡散強調画像で同部位に高信号,T1強調画像でGd増強効果を認めた.髄液細胞数増加はないがIL-6 6.8 pg/mlと上昇.以上より脳血管炎による麻痺と診断.ステロイドパルス,PSL 60mg/日へ増量,アザチオプリンを併用し麻痺は徐々に改善した.従って本症例の神経病変は血管炎によるreversible neurological deficitと考えられた.また基底核のみならず白質にも石灰化をきたしておりGd増強効果を認めたことから石灰化の原因として血管炎が関与することが示唆された.
  • 石森 加奈, 高桑 由希子, 大慈彌 久絵, 吉岡 拓也, 前田 聡彦, 大岡 正道, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    2013 年36 巻5 号 p. 418a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     背景:従来Lupus腸炎と言われてきた中でLupus mesenteric vasculitis (LMV)は,悪化すると腹膜刺激症状を呈して腸壊死に至ることがある重篤な合併症である.腹部CTで腸管壁の全周性肥厚と腹水貯留を認めることで診断される.腸壊死に至る症例はSLE活動性と相関することが多く,治療はステロイドパルスとシクロスフォスファミド間歇静注療法を必要とする.今回,LMV様所見を合併した3症例を経験したので報告する.症例1:47歳女性.主訴は腹痛と嘔吐.腹膜刺激症状と,腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,ステロイドパルス,プレドニゾロン(PSL)50 mg/日とアザチオプリン併用にて寛解.症例2:40歳女性.主訴は軟便,腹痛,嘔吐.腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,PSL 50 mg/日にて寛解.症例3:39歳女性.主訴は腹痛と下痢.腹膜刺激症状と腹部CTで典型的なLMV様所見を呈し,ステロイドパルス,PSL 50 mg/日とタクロリムス併用にて寛解.3症例とも診断時にSLE disease activity index (SLEDAI)の上昇は認めなかった.結語:3症例ともLMVと矛盾しない所見を呈したが,PSL反応性良好であり,重篤な経過を辿らなかった.LMV様の所見を呈しても,SLEDAIが上昇していない症例では,比較的予後良好であることが示唆された.
  • 亀田 智広, 尾崎 洋基, 土橋 浩章, 島田 裕美, 中島 崇作, 竹内 洋平, 泉川 美晴, 横山 倫子, 洲崎 賢太郎, 松永 卓也
    2013 年36 巻5 号 p. 418b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【症例1】37歳女性,1998年SLEと診断.副腎皮質ステロイド,シクロホスファミドで寛解導入.201X年バセドウ病合併,チアマゾール(MMI)開始.経過中プロピオチオウラシル(PTU)に変更.PTU変更後6ヶ月で低補体,抗ds-DNA抗体上昇あり.8ヶ月で皮疹,発熱,尿検査異常,MPO-ANCA,PR3-ANCAが上昇.腎生検でループス腎炎4G(A/C)(ISN/RPS)診断.ANCA関連血管炎(AAV)を強く示唆する所見なし.PTU中止で改善なく,ステロイド+タクロリムスで治療も腎不全進行.IV-CYにて改善し免疫学的活動性も低下.【症例2】32歳女性,1999年SLEと診断.副腎皮質ステロイドで寛解導入.201X年バセドウ病合併,PTU開始.その後2ヶ月で白血球減少,皮疹,尿検査異常出現.PTU中止しステロイド増量,MMI開始.ステロイド増量1ヶ月で疾患活動性安定.【考察】AAV発症メカニズムの一部にNeutrophil extracellular traps (NETs)の異常が関与すると報告がある.PTUが異常なNETsの産生を誘導すること,誘導されたNETsのマウス移入によるAAVの惹起が報告されている.SLE患者でのNETs分解障害の報告があり,これが抗体産生を含め病態に関与すると報告されている.今回の2症例もNETs形成異常と分解障害が関与した可能性があり興味深い.
  • 吉藤 康太, 太田 峰人, 菊池 賢, 小田 智三, 篠原 樹彦, 長坂 憲二
    2013 年36 巻5 号 p. 419a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     症例は61歳男性.54歳時SLEと診断.プレドニゾロン60 mg/日より開始し漸減,3 mg/日で維持治療中であった.9日間続く発熱・悪寒・戦慄で入院.経食道心エコー検査で大動脈弁前尖に径6 mmの疣贅あり,血液培養にてらせん菌が同定されたため,感染性心内膜炎と診断.メロペネム1.5 g/日で4週間治療後に退院.らせん菌はHelicobacter cinaedi-specific PCR陽性であったが,16S ribosomal RNA遺伝子の塩基配列の解析ではHelicobacter cinaediと離れた進化位置にあった.治療終了1ヶ月後,再び発熱・悪寒・戦慄あり,入院.腹部CTで左腎嚢胞の拡大と壁肥厚を認め,CTガイド下ドレナージ術を行った.左腎嚢胞穿刺液と血液から各々Helicobacter属が培養され,遺伝子解析では初回と同種の細菌であることが確認された.再発性の菌血症および腎嚢胞感染症と診断し,メロペネム3 g/日,ミノサイクリン200 mg/日で治療開始.症状は軽減したが味覚障害のためミノサイクリンをドキシサイクリン200 mg/日に変更.メロペネムは4週間で終了し,再発性の経過と感受性結果を考慮しドキシサイクリン+メトロニダゾール1500 mg/日を継続した.Helicobacter cinaediは繰り返す菌血症の原因菌として知られ,本症例はHelicobacter cinaedi感染症の経過と類似していた.しかし,起因菌は細菌学的にはH. fennelliaeにむしろ近く,遺伝子解析から新菌種の可能性が考えられた.
  • 大谷 一博, 野田 健太郎, 浮地 太郎, 金月 勇, 今留 謙一, 黒坂 大太郎
    2013 年36 巻5 号 p. 419b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     今回我々は難聴,発熱で発症し,強膜ブドウ膜炎,大血管炎,無菌性髄膜炎などの膠原病様症状を呈した慢性活動性Epstein-Barr virus感染症(CAEBV)の1例を経験した.CAEBVはまれな疾患であり,経過および症候からはベーチェット病やCogan症候群との鑑別が困難であったので,文献的考察を加えて報告する.
    症例)35歳,男性
    主訴)発熱,難聴,眼球結膜充血
    現病歴)2012年3月より両側聴力低下,めまい,耳鳴りが出現し,近医にてメニエール病と診断された.同年8月より夜間37度台の発熱を認めた.同年9月より右眼球結膜の充血を認め,当院眼科にて前部ブドウ膜炎と診断された.同年12月末より38度台の発熱を認め近医を受診した.発熱の原因となるような所見はなく,精査加療目的で当科紹介,入院となった.
    既往歴)2002年帯状疱疹,2004年,2010年伝染性単核球症
    入院後経過)入院後精査にてHLA-B51陽性,強膜ブドウ膜炎,無菌性髄膜炎,腹部大動脈から大腿動脈にかけての血管炎を認めた.またEBVCAIgG1280倍と異常高値を認め,CAEBVが疑われEBVDNAの定量を行った.全血球中のEBVDNAの上昇を認め,CD19陽性リンパ球およびCD3陽性リンパ球に感染していた.以上の所見よりCAEBVと診断した.明らかな腫瘍性病変はなく,EBV感染細胞の臓器浸潤も認めないと考えられたため,プレドニゾロン1 mg/kg/dayにて治療を開始した.症状は改善を認め,現在までにEBVDNAの上昇は認めていない.
  • 竹田 加奈子, 河合 利尚, 中澤 裕美子, 庄司 健介, 小室 久子, 森田 久美子, 大矢 幸弘, 宮入 烈, 石黒 精, 小野寺 雅史
    2013 年36 巻5 号 p. 420a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【背景】インターフェロンγ(IFNγ)は,細胞内寄生菌や非定型抗酸菌に対する生体防御作用を誘導する中心的役割を担う.今回,BCGワクチン接種後に多発性Bacille Calmette Guerin (BCG)骨髄炎をきたしたIFNγ受容体1(IFNγR1)部分欠損症の1例を経験したため報告する.【症例】1歳女児.BCGワクチン接種から6カ月後に腋窩皮下膿瘍と多発性骨髄炎を発症し,同部位からBCGが検出された.母親も幼児期に抗酸菌による多発性骨髄炎の既往があり,遺伝的素因が疑われた.遺伝子解析でIFNγR1遺伝子にヘテロ4塩基欠損を認め,母子ともにIFNγR1部分欠損症と診断した.BCG骨髄炎に対して,リファンピシンとイソニアジド内服を開始したところ,治療2週間後に発熱と,全身に薬疹が出現した.その後,減感作療法を行いイソニアジド,リファンピシン,エタンブトールによる3剤併用抗結核治療を開始したが,骨髄炎は遷延したため,IFNγ治療を開始したところ,骨髄炎は徐々に改善した.【結語】本疾患ではIFNγR1の変異によりIFNγのシグナル伝達が障害される.しかし,高用量IFNγにより細胞内シグナルが伝達されることから,本症例ではIFNγ投与による治療効果が得られた可能性がある.今後,症例を蓄積し本疾患におけるIFNγ治療の用法,感染予防効果などさらなる検討が必要と考える.
  • 坪内 康則, 井上 拓也
    2013 年36 巻5 号 p. 420b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【症例】86歳女性.慢性胃炎で近医通院中であったが,2012年6月下旬より発熱,両肩,臀部痛を認めたため7月10日血液検査を施行されたところCRP 20.92 mg/dlと高値であったことから抗生物質(パセトシン750 mg)を投与されるも7月16日21.77 mg/dlと改善せず,7月18日当院紹介入院となる.血清プロカルシトニン11.58 ng/mlと高値であったが細菌感染症は否定的であった.全身検索を行なったところ甲状腺左葉に腫瘤を認めたが穿刺吸引細胞診でClass2であったため線種様甲状腺腫と考えられた.Birdらの診断基準をすべて満たし自己抗体陰性,造影MRI検査で肩関節周囲炎,肩峰下滑液包炎を認めたことからリウマチ性多発筋痛症を疑い,7月31日より少量ステロイドを開始したところ自覚症状はすみやかに改善,8月17日CRP陰性化したため8月29日退院となった.退院後約1年経過しているが血清プロカルシトニン5~10 ng/mlで推移している.【考察】リウマチ性多発筋痛症の経過として矛盾しない症例であるが,血清プロカルシトニン高値であることから細菌感染症が否定できずステロイド導入までに時間を要した.全身精査で唯一甲状腺腫を指摘されたが2回の穿刺吸引細胞診で悪性細胞は検出されなかった.しかし血清プロカルシトニン高値が持続しているため甲状腺髄様癌の可能性を考え,引き続き耳鼻咽喉科でもフォローアップ中である.
  • 松井 聖, 阿部 武生, 荻田 千愛, 横山 雄一, 吉川 卓宏, 石津 桃, 古川 哲也, 片嶋 有希, 高田 美樹, 田中 克典, 関口 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 421a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     巨細胞動脈炎は高齢者に発症するANCA陰性の動脈炎で大動脈炎症候群との異同が議論になっている.今回,側頭動脈炎を起こした2症例の検討を行ったので報告する.【症例1】70歳,女性【主訴】頭痛【現病歴】2011年10月初旬再び頭痛と両側側頭部に腫瘤状のものを触知したため12日に当院総合内科を受診,19日に精査目的で当科紹介となった.両側側頭部に側頭動脈に沿って腫瘤状で3 cmにわたり触知し圧痛を認めた.【検査所見】CRP 2.3 mg/ml ESR 49 mm/hと炎症所見は認めたがMPO-ANCA陰性,PR3-ANCA陰性であった.右側頭動脈生検を行った.その結果,血管炎と多核巨細胞を認め側頭動脈炎と診断した.【臨床経過】生検の結果を待っている11月下旬には投薬なしでCRPは陰性化し頭痛も軽快した.【症例2】78歳,女性【主訴】頭痛【現病歴】シェーグレン症候群で経過観察中,側頭動脈に腫瘤を触れるようになり,頭痛を訴えるようになった.【検査所見】CRP 6.5 mg/ml ESR 103 mm/hと炎症所見は認めたがMPO-ANCA陰性,PR3-ANCA陰性であった.右側頭動脈生検を行った.その結果,血管炎と多核巨細胞を認め側頭動脈炎と診断した.【臨床経過】プレドニゾロン(PSL)20 mg/日で軽快し,CRPは陰性化し頭痛も軽快した.【考察】症例1は生検後自然軽快した.症例2はPSLで軽快し減量中である.2症例とも高齢者発症であり,自然軽快または低容量のプレドニゾロンで軽快した動脈炎であった.
  • 狩野 皓平, 中川 育磨, 秋田 佳奈恵, 大村 一将, 神田 真聡, 野口 淳史, 志田 玄貴, 渡邊 俊之, 河野 通仁, 栗田 崇史, ...
    2013 年36 巻5 号 p. 421b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     症例は21歳女性.20XX年3月25日から発熱,頭痛と両下肢に紫斑と紅色丘疹が出現した.その数日後には右4,5指の疼痛と運動困難,左下肢のしびれが出現した.4月11日に前医を受診し,下腿の皮膚生検では白血球破砕性血管炎の所見であった.プレドニゾロン(PSL)50 mgで治療が開始されたが皮疹と神経症状は改善せず,精査加療の目的に当科へ入院となった.神経伝導速度検査(NST)では右尺骨神経,左脛骨神経の振幅低下を認めた.下腿紫斑からの皮膚生検を再度行い,真皮下層の小動脈にフィブリノイド壊死を伴う血管炎の所見を認め,結節性多発動脈炎(PN)と診断した.入院後,左尺骨神経領域にも新たに知覚異常が出現しており,進行性の神経症状に対して寛解導入療法としてステロイドパルス療法とシクロフォスファミド間欠静注療法(IVCY)を開始した.治療開始後,皮疹およびNSTでの振幅低下において改善傾向を認めている.全身性血管炎の治療においてはステロイドとIVCYの併用による有効性が大規模臨床試験において確認されている.一方,中枢神経症状やその他の重要臓器病変を伴わず,末梢神経症状のみに限局した非全身性血管炎においては,ステロイド単剤での治療における再燃例は少なくない.進行性の神経症状を呈する血管炎に対しては,発症早期からの積極的な治療介入を行うことが神経学的予後を改善する上で重要であると考える.
  • 萩野 昇
    2013 年36 巻5 号 p. 422a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     症例は75歳男性,著患を指摘されたことなし.受診ヶ月前に前立腺癌を指摘され,放射線化学療法の目的で当院を紹介受診した.ゴセレリン(ゾラデックス)皮下注射とビカルタミド(カソデックス)内服による加療開始後1ヶ月半で発熱・全身倦怠感が出現した.炎症反応の上昇とともにMPO-ANCA陽性(227EU)を認め,両側大腿の筋肉MRIでは斑状の高信号域を認めた.ANCA関連血管炎による発熱・筋障害と診断し,筋生検翌日よりステロイドパルスを開始したが,3日間のパルス療法終了翌日に突然の心肺停止を来たした.原因精査目的で撮影された胸腹部CTで管腔外出血を認め,腹腔内血管造影で左胃動脈の破綻ならびに上腸間膜動脈の狭窄並びに狭窄後拡張を認めた.コイリングによって一旦止血されたものの,循環動態は安定せず,翌日再度心肺停止しご永眠された.ANCA関連血管炎は2012年改訂Chapel-Hill分類で細小血管炎を主体とし,時として中血管の炎症を伴うものとして命名されたが,腎炎や肺胞出血など細小血管炎の所見を伴わず腹腔内出血を来した症例の報告は稀である.また本症例では,前立腺癌に対するCombined Androgen Blockade (CAB)を開始した時期に一致してANCA関連血管炎を発症しているが,CAB中に自己免疫疾患を発症した症例の報告も希少である.貴重な症例と考え,文献的考察とともに報告する.
  • 清原 裕貴, 久松 理一, 松岡 克善, 長沼 誠, 亀田 秀人, 金井 隆典
    2013 年36 巻5 号 p. 422b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     今回我々はアダリムマブ投与中に大動脈炎を発症したクローン病の一例を経験したので報告する.症例は23歳女性.2013年3月に発熱,下痢,血便,関節痛を認め,前医へ入院した.大腸内視鏡で終末回腸から直腸まで非連続性で一部縦走傾向のある潰瘍を認め,クローン病が疑われたためメサラジン3 g/日を開始し当院へ転院した.小腸造影では遠位回腸に縦走潰瘍瘢痕がみられ小腸大腸型クローン病と診断した.発熱の遷延と関節痛の悪化を認め,病勢悪化と考え4月中旬にアダリムマブを導入した.160 mg,80 mg,40 mgの寛解導入療法で臨床的寛解導入に成功しCRPも陰転化し5月上旬に退院した.アダリムマブ導入後6週目で発熱,CRP 5 mg/dLの上昇を認めた.CT上クローン病の活動性悪化や膿瘍形成は認めなかったが,胸腹部移行部の大動脈壁肥厚を認め大動脈炎が疑われた.Gaシンチもこれに矛盾しない所見であった.導入10週目よりアダリムマブを一度中止し,大動脈炎に対し,PSL 40 mgを開始した.1週間後にはCRPの陰転化を認め,PSLへの反応は極めて良好であった.以後PSLを漸減し,再燃を認めていない.アダリムマブ投与開始後早期に大動脈炎を合併した例は稀であり文献的考察を加えて報告する.
  • 石川 雄一, 齋藤 和義, 中山田 真吾, 山田 彩, 齋藤 昌大, 吉成 紘子, 宮崎 佑介, 久保 智史, 福與 俊介, 園本 格士朗, ...
    2013 年36 巻5 号 p. 423a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     症例は66歳女性.2006年腎障害,上気道症状(鼻閉,鼻出血),胸部浸潤影,PR3-ANCA高値よりGPAと診断.PSL投与されるも効果なく,シクロホスファミドパルス6コースを施行され改善.2012年4月よりアザチオプリン併用下でPSL 4 mgまで漸減された.しかし2013年1月,CRP及びPR3-ANCA上昇を認め,ミゾリビン150 mgが追加されたが改善なく,鼻閉・鼻出血の再燃,急激な胸部浸潤影の増大を来したためGPAの再燃と診断した.疾患活動性が高く,重要臓器障害合併を認めるGPAに対しステロイド大量療法(PSL 60 mg)を再開した.しかし,既存治療抵抗例で,かつフローサイトメトリーにてメモリーB細胞の増加と活性化が確認されたことから,RTX(500 mg/weekly)を導入した.RTX 3回投与後,胸部浸潤影および副鼻腔病変は劇的に改善,PR3-ANCAは陰性化,約1カ月でPSL 30 mgまで漸減し得た.以上,RTXは既存治療抵抗性のGPAに対する有効な治療法であり,治療前のリンパ球活性化の評価が治療選択に有用である可能性が考えられた.
  • 井汲 菜摘, 長澤 洋介, 杉山 海太, 野崎 高正, 猪股 弘武, 白岩 秀隆, 横江 勇, 原岡 ひとみ, 北村 登, 松川 吉博, 武 ...
    2013 年36 巻5 号 p. 423b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【症例】40歳 女性【現病歴】平成18年12月よりレイノー現象があり当科初診.平成19年両手指に浮腫性硬化を認め,強皮症浮腫期の診断でプレドニゾロン20 mg/日より開始し漸減,平成21年9月で中止した.平成21年6月より軽度の間質性肺炎(IP)を認め,平成23年9月には咳嗽,呼吸困難が増悪し,KL-6上昇,胸部CTでIP増悪があり,エンドキサンパルス(IVCY)を導入,計8回施行した.その後皮膚硬化及びIPは徐々に増悪を認めた.平成25年初旬より咳嗽が増え,末梢気道病変の可能性が指摘されβ2刺激薬吸入を開始した.5月20日に気管支喘息発作を起こし,呼吸不全を呈したため加療目的に入院した.ステロイド及びテオフィリン治療にて軽快し9日目にステロイドは中止した.ステロイド中止後発熱,心嚢液貯留,呼吸不全を呈し,胸部CTにてIP増悪を認めた.ステロイドパルス療法,エンドトキシン吸着療法,免疫グロブリン大量静注療法,シルベスタットNaによる治療を行い,呼吸状態が改善した.さらにRodnan scoreも改善した.【考案】IVCY治療を行うも増悪を認めた全身性強皮症のIP急性増悪に集学的治療が有効であった.さらに皮膚硬化に対しても有効であった.文献的考察を加え報告する.
  • 楠 芳恵, 日高 悠葵, 工藤 雄大, 田口 博章, 大曽根 康夫, 岡野 裕
    2013 年36 巻5 号 p. 424a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【症例】17歳,男性【主訴】右眼球結膜充血【現病歴】生来健康であったが,X-1年2月,38℃台の発熱とともに両視力低下,頭痛が出現.A病院に入院し前部ぶどう膜炎と診断されたが,発熱と頭痛の原因は不明であった.B病院で,多関節炎,仙腸関節炎,HLA-B27を認めHLA-B27関連脊椎関節炎と診断された.ステロイド,メトトレキサートで経過は良好であったが,同年12月より通院を自己中断した.X年4月17日,右眼球結膜充血と霧視が出現,22日当院受診,CRP 1.1 mg/dlを除き,有意な血液検査異常を認めず,右前部ブドウ膜炎の診断で点眼薬が開始された.4月24日,発熱,頭痛,嘔気が出現し入院した.【経過】弛張熱,頭痛,嘔気が強く,髄膜刺激症状はなかったが,髄液検査で初圧190 mmHg,細胞数34/3(多核球4,リンパ球30),より無菌性髄膜炎の併発と診断した(蛋白・糖は正常範囲).アシクロビルを投与するも無効で,自己免疫性の髄膜炎を考え,プレドニゾロン50 mg/日を開始したところ速やかに軽快した.なお,当院初診時の眼底には異常はなかったが,第8病日に右網膜の白斑が確認され,後部ぶどう膜炎の併発と診断した.【考察】HLA-B27関連脊椎関節炎で後部ぶどう膜炎(網膜炎)の合併や無菌性髄膜炎の併発例は極めてまれであり,文献的考察を含めて報告する.
  • 宮崎 佑介
    2013 年36 巻5 号 p. 424b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     症例は63歳女性.2012年11月に腰背部痛を自覚し,近医整形外科を受診.MRIにて胸椎Th9~Th11周囲の軟部腫瘤を認めた.PETにて腫瘤への集積を認めるとともに多椎体炎,仙腸関節炎を認め,診断確定目的に3月当科紹介入院となった.レントゲンにてbamboo spine形成,仙腸関節の骨硬化像,PETにて多椎体炎,仙腸関節炎,脊椎骨強直を認め,強直性脊椎炎(AS)と診断した.同時にIgG4 235 mg/dlを認め,IgG4関連疾患(RD)による炎症性偽腫瘍が疑われた.傍胸椎腫瘤に対する胸腔鏡下肺生検にてIgG4/IgG比50%以上のIgG4陽性形質細胞浸潤を認め,IgG4RDと診断した.その後,掌蹠膿疱症を発症し,SAPHO症候群およびIgG4-RDと診断した.腫瘤は増大傾向となり,2013年7月,SAPHO症候群,AS,IgG4RDに対しメトトレキサートおよびインフリキシマブを導入した.IgG4RDにおいては肺内の炎症性偽腫瘍や後腹膜線維症が一般的で,傍胸椎腫瘍は稀である.また,SAPHO症候群や強直性脊椎炎にIgG4関連疾患が合併した報告はない.さらに,IgG4関連疾患に対するTNF阻害剤の効果は未知で,IgG4関連疾患の病態,治療法を考察する上で啓蒙的な症例と考えられる.その後の治療経過を含め報告する.
  • 柴田 洋史, 河合 朋樹, 八角 高裕, 西小森 隆太, 平家 俊男
    2013 年36 巻5 号 p. 425a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
    【緒言】抗MDA5抗体は成人の無筋炎型皮膚筋炎のマーカーとされ,陽性例では急速進行性間質性肺炎(AIP)の発症リスクが高い事が知られている.一方で,小児の陽性例の臨床像に関する報告は未だ少ない.【症例】11歳女児.手指の朝のこわばり,腫脹・疼痛を主訴に近医受診し,ゴットロン兆候,爪周囲炎,両手指の関節炎を指摘され,リウマチ性疾患疑いで当院紹介となった.筋症状は伴わず,関節症状が主体で,外来でNSAIDと抗生剤を開始したが,発熱・炎症反応上昇も伴うようになり,精査加療目的に入院となった.胸部CTで右S6に浸潤影を認めたが,呼吸症状は認めなかった.皮疹部の皮膚生検では皮膚筋炎に矛盾しない結果で,関節エコー・MRIでは手指・手根部に広範な活動性の増殖性滑膜炎の所見を認めた.安静のみで皮膚・関節症状は軽減し,炎症反応も低下傾向となり入院17日目に一旦退院となった.しかし退院翌日より関節症状が再燃し,高熱,皮膚症状の増悪を認め退院10日後に再入院となった.再入院後7日目に抗MDA5抗体陽性が確定し,胸部CTでもS6の浸潤影に改善がなく,AIP発症ハイリスクの皮膚筋炎と診断し,mPSLパルス+シクロスポリンで加療した.その後は解熱し,肺野の浸潤影は消退傾向となり,皮膚・関節症状も消失した.【結語】筋炎症状を欠き,増殖性滑膜炎に肺病変を伴った抗MDA5抗体陽性の女児の一例を経験した.上記加療でAIPの発症なく,臨床症状の改善が得られている.
  • 大慈彌 久絵, 高桑 由希子, 村上 義彦, 御影 秀徳, 土田 興生, 吉岡 拓也, 前田 聡彦, 大岡 正道, 山田 秀裕, 尾崎 承一
    2013 年36 巻5 号 p. 425b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     背景:腫瘍随伴症候群(PNS)は標的臓器の一つとして皮膚や関節があり,悪性腫瘍の初発症状として出現する事があるため,他疾患との鑑別が必要になる.今回,我々は難治性の強皮症(SSc)として転医を繰り返し,診断に時間を要したpalmar fasciitis and polyarthritis syndrome (PFPS)の一例を経験したので,報告する.症例:52歳女性.2013年1月に近医で間質性肺炎と皮膚硬化を指摘.抗セントロメア抗体陽性,レイノー現象を認め,SScと診断された.3月より,手指の多関節痛,嚥下困難が出現し,急速に悪化したため,原因精査のため転医を繰り返したが,SScに伴う関節痛と逆流性食道炎と考えられていた.多関節痛は急速に進行し,手指の拘縮に至ったため,精査目的で当科受診となった.多関節炎と手掌腱膜炎,皮膚硬化,嚥下障害を呈し,胸腹部CTで下部食道,噴門部近傍に腫瘤影,傍大動脈リンパ節腫大,上部消化管内視鏡検査で下部食道に半周性の隆起性病変を認めた.以上の所見から,食道扁平上皮癌T3N1M1,StageIVと診断した.fluorouracilとcisplatinを投与し,腫瘍の縮小と共に多関節炎は改善した.結語:本症例は食道癌によりPFPSを発症したと考えられる.嚥下障害と多関節痛がSScの一症状と判断されたため,食道癌の診断に時間を要した.従来,SScは年単位で進行する結合組織疾患であるので,急速に進行するPFPSを認める時は,PNSを鑑別に挙げるべきであるという教訓的な症例であった.
  • 池谷 紀子, 有村 義宏, 片岡 郁穂, 磯村 杏耶, 遠藤 彰子, 駒形 嘉紀, 要 伸也, 山田 明
    2013 年36 巻5 号 p. 426a
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     62歳男性.X年8月に強膜炎,副鼻腔炎,急速進行性糸球体腎炎を認め入院.PR3-ANCA960EU,半月体形成性糸球体腎炎を認めたことからGPAと診断.Cr 6.5 mg/dlまで上昇したが,ステロイドパルス療法および後療法PSL 50 mg/day,IVCY治療にて,PR3-ANCAは低下し,慢性腎不全の状態(Cr 3~4 mg/dl)で寛解した.IVCYについては,遷延性の血球減少が出現したため,CPA 300 mg/回で月1回投与,半年間使用した.X年12月にPR3-ANCA抗体値が再度上昇傾向となり,再燃の危険を考慮しX+1年4月にAZPの併用を開始した.しかし血球減少のため中止.PR3-ANCA高値持続のため,X+1年7月に一時的にPSL 30 mg/dayまで増量すると,両側高度大腿骨頭壊死およびステロイド骨粗鬆症による胸腰椎圧迫骨折を認めたため,PSLは漸減し,CyA 100 mg/日を併用した.ところが,X+3年1月からPR3-ANCA,CRP上昇とともに右肺上葉に結節影が出現し急速に増大した.GPAの再燃と診断し,IVCY 300 mg/回投与行うも肺結節影はさらに増大した.このため,4月からPSL 30 mg/dayへ増量するとともに,リツキシマブ375 mg/m2を週1回,計4回施行した.リツキシマブ投与開始後,肺結節影は縮小し,CRPは陰性化,PR3-ANCA値は低下傾向にある.本例は,CPA,AZPによる血球減少,CyA無効の難治性GPAであり,慢性腎不全とステロイド骨粗鬆症合併のため免疫抑制療法に苦慮した.本例に於いてリツキシマブは有効かつ安全に使用することができた.
  • 猪股 弘武, 長澤 洋介, 杉山 海太, 井汲 菜摘, 野崎 高正, 白岩 秀隆, 北村 登, 松川 吉博, 武井 正美
    2013 年36 巻5 号 p. 426b
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/31
    ジャーナル フリー
     38歳男性.主訴は発熱,呼吸困難.平成20年10月17日より40℃の発熱を認め,咳嗽,鼻汁も出現.24日に近医受診しセファゾリンの点滴を行ったが軽快せず,27日に同院に入院.炎症反応高値と胸部レントゲン上両側肺野にびまん性浸潤影を認め肺炎と診断.アジスロマイシン投与も軽快せず,低酸素血症が進行し精査加療目的で当院紹介入院.聴診上,両肺野で呼吸音の減弱を認め,触診上肝脾腫を認めた.検査所見では白血球11400/μl,ESR 83 mm/h,CRP 7.8 mg/dlと炎症所見を認め,sIL2-R 12400 U/ml,フェリチン2310 ng/mlと高値であった.レントゲン上両側肺野にびまん性網状影を認め,CTにて肝脾腫をみとめたが明らかなリンパ節腫脹を認めなかった.各種日和見感染マーカーは陰性であったがHIV抗体ELISA法で陽性であり,その後のHIVRNA定量3.9×105/ml,CD4 79 copy/μlで後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断した.EBVは抗VCAIgG 160倍,抗VCAIgM(—),抗EA-DRIgG 160倍,EBNA 10倍であった.第1病日から加療開始も呼吸状態悪化し,ステロイドパルスを施行したが改善得られず第8病日死亡した.生前の骨髄穿刺所見,剖検時の所見で血球貪食症候群が証明され,EBVの抗体価よりEBVのreactivationが疑われ,さらにHIV感染も認める事より,それに伴うVAHSである事が疑われた.VAHSに伴う急性肺障害を認める事が報告されており,今回の症例はVAHSに伴うARDS/SIRSが死因であった可能性が示唆された.
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