理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
39 巻, 6 号
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表紙
会告
目次
原著
  • 上田 泰久, 中俣 修, 佐野 達也
    2024 年39 巻6 号 p. 265-268
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕本研究では脊柱・上肢のアライメントを変化させた座位姿勢と僧帽筋・肩甲挙筋の筋硬度の関係について検証することを目的とした.〔対象と方法〕対象は,健常な成人男性25名(左右50肩).測定肢位は,条件1(脊柱:直立,上肢:下垂),条件2(脊柱:直立,上肢:結帯),条件3(脊柱:後弯,上肢:下垂),条件4(脊柱:後弯,上肢:結帯)の座位姿勢とした.測定機器は生体組織硬度計を用い,僧帽筋と肩甲挙筋の筋硬度を測定した.〔結果〕僧帽筋の筋硬度は条件間で有意な差を認めなかったが,肩甲挙筋の筋硬度は条件1と比較して条件2・条件3・条件4で有意に低い値を示した.〔結語〕肩甲挙筋は脊柱・上肢のアライメント変化による影響を受けやすいが,僧帽筋はアライメント変化の影響を受けにくいことが示唆された.

  • 松本 直樹, 山﨑 茉林, 望月 優人, 鈴木 佑奈, 廣瀬 昇
    2024 年39 巻6 号 p. 269-274
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕運動肢位の違いが血行動態に加えて,下肢筋活動および心負荷に及ぼす影響を明らかにすること.〔対象と方法〕健常成人男性7名を対象に,運動強度を中等度に設定した座位エルゴメーター運動(Sit Ex群)と仰臥位エルゴメーター運動(Sup Ex群)を行わせ,10分間の定常運動中の血行動態を両運動で測定し,比較した.〔結果〕下肢血流速度はSup Ex群で有意に速かった.二重積はSup Ex群で有意に低かった.下肢筋活動および自覚的運動強度に有意差は認められなかった.〔結語〕本研究の結果,仰臥位エルゴメーター運動は安全な運動療法であることが示唆された.

  • ─肘屈曲位と肘伸展位の比較─
    辰田 明紀, 端 歩実, 高倉 諒, 廣津 昴, 石束 友輝, 尾形 恵, 古川 龍平, 森原 徹
    2024 年39 巻6 号 p. 275-279
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕肩峰下インピンジメントを予防することを目的に,肘屈曲位と伸展位における肩関節他動挙上時の肩峰骨頭間距離(AHI)を比較した.〔対象と方法〕健常成人15例30肩を対象とした.対象者を60°側臥位とし,肘屈曲位および伸展位において,他動的に肩甲骨面上で挙上させた.AHIは超音波診断装置を用いて,肘屈曲位および伸展位における各挙上角度(30°,60°,90°)で測定した.〔結果〕30°,60°,90°における 肘伸展位でのAHIが,肘屈曲位と比較し高値であった.〔結語〕他動挙上の可動域練習では肘伸展位で実施することが,肩峰下インピンジメントを予防するうえで効果的である可能性がある.

  • 平島 賢一, 樋口 由美, 鶯 春夫, 澁谷 光敬
    2024 年39 巻6 号 p. 280-286
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕シニアカーの公道での試乗体験が,シニアカーのユーザビリティに及ぼす効果について検討した.〔対象と方法〕対象は,地域高齢者の外出支援に関心を有する専門職群38名とし,地域高齢者46名を比較対象として位置づけた.方法は,シニアカーのユーザビリティ(有効性・効率性・満足度)に関しての自作した自記式アンケートを試乗体験前後で実施した.アンケートはリッカート尺度(5件法)を用いて点数化し,体験前後で比較検討した.〔結果〕シニアカーの試乗体験は,シニアカーのユーザビリティのうち効率性と満足度を有意に向上させた.〔結語〕地域高齢者の外出支援に関わる専門職者に対するシニアカーの公道での試乗は,シニアカーに対するユーザビリティを向上させ,シニアカーの普及と高齢者の外出支援の一助となる可能性がある.

  • 秋元 恵理, 牧原 由紀子, 山口 将希, 西田 裕介
    2024 年39 巻6 号 p. 287-292
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕知覚運動制御を必要とする歩行課題が,パーキンソン病患者の体幹律動性に与える影響を3軸加速度計による体幹加速度を用いて明らかにすること.〔対象と方法〕対象は,健常若年者・健常高齢者・パーキンソン病患者とした.間隙なし/ありの2条件にて歩行課題を行わせ,体幹律動性(左右/上下/前後)を算出した.健常若年者・健常高齢者の2群にて年齢による影響の検討後,健常高齢者・パーキンソン病患者の2群にて疾患有無での比較を行った.〔結果〕パーキンソン病患者群において,間隙あり歩行では間隙なし歩行と比較して,上下方向の体幹律動性に有意な低下を認めた.〔結語〕パーキンソン病患者では,知覚的な運動制御を要する歩行課題において,上下方向の体幹律動性が低下することが示された.

  • 鈴木 誠也
    2024 年39 巻6 号 p. 293-300
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕模擬患者への歩行動作指導において行われる教示やフィードバックが,理学療法士と学生とでどのように違うかを検討した.〔対象と方法〕10名の理学療法士と8名の大学生を対象とし,模擬患者への歩行動作指導を行わせた.対象者は,その様子を録画した動画の視聴前後で自己評価を行った.動画から教示,フィードバックに関する指標の頻度を解析した.〔結果〕理学療法士は学生より教示やフィードバックの頻度が高かった.ビデオ視聴後の学生の自己評価は,理学療法士に比べて有意に低かった.〔結語〕理学療法士は内的焦点による教示を使い,学生に比べてフィードバック頻度が高い傾向を示した.

  • ─三次元と二次元動作解析の関連─
    平野 正広, 内之倉 真大, 加藤 宗規
    2024 年39 巻6 号 p. 301-307
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕体幹または骨盤の回旋動作が膝関節の内反および外反に及ぼす影響について,膝関節外反角度を三次元と二次元解析で調べ,その関連性を検討する.〔対象と方法〕健常成人女性9名を対象に,足幅条件と体幹または骨盤の左回旋動作後の姿勢条件の違いを,膝関節外反角度を指標にして三次元と二次元で解析し,その結果の相関関係を調べた.〔結果〕右膝関節は三次元で内反位,二次元解析で外反位であった.骨盤20°左回旋動作で右膝関節は外反した.三次元と二次元の膝関節外反角度は足幅20%の骨盤10°左回旋動作後の姿勢における右膝関節のみ有意な負の相関を認めた.〔結語〕骨盤左回旋が右膝関節外反に影響し,三次元と二次元解析による膝外反角度は異なった.

  • 近藤 修輔, 山田 裕三, 小川 卓也, 岡本 道雄
    2024 年39 巻6 号 p. 308-313
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕内側開大式高位脛骨骨切り術(OWHTO)とhybrid closed wedge HTO(HCWHTO)術後の足関節機能を調査した研究はほとんどない.本研究の目的はHTO後の足関節筋力を評価し,筋力回復の特徴を明らかにすることである.〔対象と方法〕OWHTO(10人),HCWHTO(8人)を受けた18名を対象とした.足関節背屈と底屈筋力を術前,術後3ヵ月,6ヵ月で評価した.〔結果〕OWHTO後,背屈筋力は変化しなかったが底屈筋力は術後6ヵ月で有意に増加した.HCWHTO後,術後3ヵ月で底背屈筋力ともに減少傾向を示し,6ヵ月で有意に増加した.各時期で両術式に有意差は認めなかった.〔結語〕足関節筋力はOWHTO後に着実に増加し,HCWHTO後にV字型の回復を示した.

  • 松野 悟之, 上田 達哉, 執行 陽介, 辻本 健斗, 長尾 彩理, 中川 茉子
    2024 年39 巻6 号 p. 314-317
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/12/01
    ジャーナル オープンアクセス

    〔目的〕家庭用体組成計と業務用体組成計の全身筋肉量および体幹筋肉量の一致性を検証すること.〔対象と方法〕若年成人38名を対象とし,家庭用および業務用体組成計を用いて全身筋肉量と体幹筋肉量を計測した.一致性の検証は,2つの機器の測定値の級内相関係数およびBland-Altman分析を用いた.〔結果〕全身筋肉量と体幹筋肉量ともに,固定誤差と比例誤差が認められず,全身筋肉量の級内相関係数は0.995,体幹筋肉量の級内相関係数は0.963であり非常に高かった.〔結語〕全身筋肉量と体幹筋肉量ともに固定誤差と比例誤差が認められず高い一致性が認められたため,家庭用体組成計による代用が可能と考えられる.

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