2021/2022年冬期に札幌で観測された4度のまとまった降雪のうち,2022年1月11日から1月12日にかけて起こった降雪は降雪密度が大きかったことが報告されている.本研究ではこの事例において降雪密度が大きくなった理由と,過去の降雪事例に対する特異性について,AMeDAS観測データ,自己組織化写像,雲粒の成長過程を追跡できる気象モデルを用いて解析した.AMeDAS観測データを用いた解析から,同事例は2005年から2022年の17年間で最も降雪密度が大きい事例であることが明らかになった.また自己組織化写像による解析から,特定の気圧配置の時に降雪密度が大きくなるわけではないことが明らかになった.さらに気象モデルによる解析から,過去17年間に観測された降雪密度の大きい事例は,雲粒付結晶に代表される雲粒捕捉成長によって生じた降雪粒子による降雪が直接的な原因ではなく,気温,湿度の高い条件下で発生した湿った雪(霙や降雨と降雪の混在)で説明できる可能性が高いと考えられた.