本論文は, 吹雪によって視程障害が発生している中を, 安全に走行できる車の速度を視程との関係から検討を加えたものである.特に, 後続車の走行に指標となる吹雪時の自動車のテールランプ類視認距離が, 日中と夜間及び大型車と小型車の高さによって, どのように異なるのか比較検討を行った.この結果を用いて, 夜間に結氷路面を走行する場合の視程と走行時の視認性を考慮した安全速度の関係を求めた.
テールランプ視認距離の観測結果では, 透過型視程計で計測された視程100mの吹雪で夜間視認距離は約60mと短く, 視程70m以下の強い吹雪で視認性が目立って悪化する傾向を示すことがわかった。ブレーキランプの日中視認距離は, 夜間のテールランプ視認距離から見てかなり視認性が悪く, 視程60m以下の吹雪で, 実際には事故防止を目的とした指標とはならない結果を得た.また, 運転席の高い大型車は, 小型車と比較すると強い吹雪時において平均2割強程, 視程障害の影響が小さくなることが分かった.
また, 夜間, 結氷路面を走行する場合, 視程150~300mの吹雪の中をほぼ安全に走行できると考えられる速度は約40km/hであることがわかった.加えて, 強い吹雪時には日中, 夜間の区別なくほとんどの車が安全速度を上回り, 危険な走行をしている実態が明らかになった.
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