雪氷
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55 巻, 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 雪氷分率測定方法の開発
    北原 拓夫, 白樫 正高
    1993 年 55 巻 4 号 p. 307-315
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    雪と水との混合体,あるいは氷の粒子と水との混合体のなかに含まれる雪や氷の粒子の体積割合を計測する新しい技術の開発をすすめてきた.これは電極を用いて雪氷―水混合体の電気抵抗を測定する,いわゆる電導度法にもとづいているものである.この測定方法を実用化するにあたり,いくつかの技術的な工夫を必要とした.例えば,抵抗測定回路の改良,補助電極の併用,粒子のアスペクト比の導入などである.試作した分率測定器によりざらめ雪,角氷での分率測定試験を行った.その結果から,本測定方法は簡便でかつ実用的であることが確かめられた.この雪氷分率測定方法は,流雪溝をはじめ,管路による雪氷の水力輸送,また雪―水,氷―水スラリ等の研究や関連機器の開発に役立つものと考えられる.
  • 山形県、新潟県の地方新聞(1956年~89年冬期)による統計をもとに
    沼野 夏生
    1993 年 55 巻 4 号 p. 317-326
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    高度成長期以後,雪害の内容は大きく変化してきたが,その変化の主要な要因は社会的なものであると考えられる。本研究は山形県および新潟県を対象に,1955年から1989年までの30数年間における雪害の年次推移を検証し,その社会的背景を分析することを目的としている。人身への危害が生じた雪害を「人身雪害」と名づけ,地方新聞の記事をもとに事例の収集と類型化を行った。年による積雪の多寡の影響を考慮した偏相関の検討による分析の結果,年次推移に伴い明らかな増加傾向がみられる雪害種と,反対に減少傾向にある雪害種が見いだされた。代表的な雪害種について,このような変化動向の社会的背景を検討した結果,高齢化の進行や雪処理技術の変化などの影響要因の重要性が示唆された。地域社会の変化動向との関連から予想される近い将来の問題点として,屋根雪をはじめとする身の回りの雪処理に関わる事故の深刻化などを指摘した。
  • 酒井 孝, 栗山 弘
    1993 年 55 巻 4 号 p. 327-334
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    道路除雪の効果を定量的に評価するため,無雪期に対する積雪期(冬期)の道路機能率と社会機能率を求めた.
    また,これまで必要性を認められながら実現されなかった定量的評価手法として,道路による生産額のうち道路除雪によって免れた額と道路除雪費との比を道路除雪費用効果指数として求めるモデル式を提案した.
    モデル式により新潟県における19年間の道路除雪費用効果指数を計算したところ,平均で5.9となった.これは,道路除雪効果が除雪費用の5.9倍であることを意味する.
    これにより道路除雪効果の大きいことが判明した.
  • 鈴木 啓助
    1993 年 55 巻 4 号 p. 335-342
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    積雪底面融雪水のδ18 O,化学物質濃度の変化と積雪の化学的な層構造との関係を検討した.調査は,福島県南部の会津田島において行ない,使用した積雪ライシメータの面積は1,647m2である.ライシメータを介しての物質収支はほぼ一致し,調査方法の妥当性が認められる.会津田島における冬期降水のpHは3.89~4.36であり,酸性が比較的強い.さらに,降水時の平均気温と降水のδ18 Oとの間には相関が認められる.積雪底面融雪水の電導度は,融雪の進行に従い次第に小さくなり,δ18 Oは次第に大きくなる.積雪全層のδ18 Oは,融雪によって大きくなり,電導度は小さくなる.積雪上部にδ18 Oの大きな層,下部に値の小さな層が分布する場合には,積雪底面融雪水量の増加時に融雪水のδ18 Oが大きくなるような日変化を示す.ライシメータによって積雪底面融雪水を採取・分析するとともに,積雪層ごとに積雪を採取・分析し,積雪中におけるδ18 Oと化学物質濃度の分布が,積雪底面融雪水のδ18 Oと化学物質濃度の変化にいかに影響しているかを検討した.本研究で明らかになった点は次のようにまとめられる.1)ライシメータを介しての物質収支を見積もった結果,降雪の捕捉率を考慮すれば,水とCl-, SO 2-4については収支がほぼ一致する.しかし,NO-3については,流出率が小さい.2)会津田島における冬期降水のpHは3.89~4.36であり,酸性が強い.降水時の平均気温と降水のδ18 Oとの間には相関が認められる.3)融雪期間を通してみると,融雪の進行に従い積雪底面融雪水の電導度は次第に小さくなり,δ18 Oは次第に大きくなる.4)積雪全層のδ18 Oは,融雪によって大きくなり,電導度は小さくなる.5)積雪上部にδ18 Oの大きな層,下部に値の小さな層が分布する場合には,積雪底面融雪水量の増加時に融雪水のδ18 Oが大きくなるような日変化を示す.
  • 福嶋 祐介, 早川 典生, 村上 正人
    1993 年 55 巻 4 号 p. 343-351
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    流雪溝内の流れを固・液混相流として取扱い,連続式と流下方向の力の釣合式に基づいて,固相と液相の速度を求めた.これらの式をもとに,流雪量と流水量の関係式,雪投入による水深増加率の理論式を導いた.本モデルの適用性を検討するため,雪を投入した実験を行い,種々の雪質,水理条件での流雪能力を把握し,理論の妥当性について検討した.また,今回提案した理論を既往の経験式と比較した.以上により緩勾配地における流雪溝の可能性とその条件について考察した.
  • 小林 俊市, 熊谷 元伸
    1993 年 55 巻 4 号 p. 353-359
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    家の周りや狭隘な街路の除排雪には,流雪溝が有効な手段である.しかし,水源の得られない地域はいうまでもなく,ある程度以上の勾配が確保できない地域においても,流雪溝を設置することができない.
    そこで,パイプに取付けたノズルと水中ポンプからの水圧により,静止中の自由水面に水の噴流を噴きつけ適当な水流を発生させて流雪溝とする方法を開発し,流雪実験を行った.その結果,噴流速度19.6m/sの噴流を発生させた場合の流雪溝内の平均流速は1.2m/sとなり,その時には46t/hの流雪能力が得られた.したがって,平坦な場所でも流雪が可能であることが判明した.
    本方式は構造が簡単で,大きな動力も必要としないため,今後十分実用化が可能であると考えられる.
    一連の実験の結果,人工的に水の噴流を発生させることにより,勾配0でも通常の自然流下式流雪溝と同様に,十分雪輸送が可能であることが判明した
    本方式は構造が簡単で,それほど大きな動力も必要としないため,今後実用化の可能性は十分あると思われる.
  • 日本雪氷学会極地雪氷分科会エーシーエル計画委員会
    1993 年 55 巻 4 号 p. 361-369
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    この報告は前号(55巻,3号)に引き続きACRの研究成果の全体を現時点で集約したものである.今号では,第2章のうち2.4雪氷観測,2.5海洋・海氷観測について各課題の実施状況と成果の概要が文献とともに示されている.更に第3章では成果のまとめと評価,各観測間の相互関係,将来展望等について述べられている.
  • 納口 恭明
    1993 年 55 巻 4 号 p. 371-372
    発行日: 1993/12/30
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
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