雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
63 巻, 3 号
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  • 水津 重雄
    2001 年 63 巻 3 号 p. 307-318
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    熱収支法に基づく融雪・積雪水量モデルを開発した.モデルの入力要素は日単位の降水量,気温,日照時間だけである.日降雪量,日融雪量を計算し,積雪水量を計算する.(1)降雪量は降水量と気温から推定する.(2)短波長放射収支量は降雪量,日照時間,気温から推定可能である.(3)長波長放射収支量を日照時間から推定する方法を開発した.(4)SLファクターKSLを導入することにより,顕熱・潜熱輸送量を気温から推定する方法を開発した.このモデルを用いることにより,積雪期間すべてにわたる日融雪量,積雪水量の推定が可能である.KSLは気象官署,アメダス地点で決定することが可能である.KSLは日平均風速と風速の日変化で説明され,地形からの推定の可能性も示された.この方法は,推定しやすい気象要素によって構成されていることから,広域への適用が期待される.
  • 土屋 巌
    2001 年 63 巻 3 号 p. 319-329
    発行日: 2001/05/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    鳥海山(2236m, N39°06', E140°03')南斜面に散在する吹きだまり型の万年雪(多年性残雪)のなかで,「心字雪」はその字画のように数か所に分かれている.2画目「大雪路」下部の標高約1600mにある「心字雪(S5)」は長年月にわたって消失したことがないが,その雪氷現象についての観察結果を,周辺の他の万年雪の場合と比較検討した.
    「心字雪(S5)」は「氷河の国際分類」に基づいて小氷河に分類していたが(土屋,1974),1972~2000年期間に1996年が最大で1998年が最小であったなどの規模の年々変動,基盤地形と涵養機構との関連,形態的特色等を説明した.
    「心字雪(S5)」が最小規模のときに観察できた基盤地形は,ごく小型ながら典型的圏谷地形であることを説明し,氷体が13年以上かけて圏谷底まで運んだ一つの巨礫の履歴を示す写真記録等に基づいて関連現象を考察した.
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