北見工業大学構内の屋外凍上実験フィールドにおいて,2002年10月から2003年5月までの凍結期を挟んだ期間に,地盤の外気温,土中温度,凍結深さ,凍上量,土中水分量(凍土中では不凍水量)及び熱流量の測定を継続して行なった.測定の結果,地盤凍結の進行にともなう水分の移動,不凍水量,さらに熱伝導率の経時的変化を定量的に捉えることが出来た.
凍結が進行すると,未凍土側の含水比は漸減していくが,凍結面が近くなると急減する.また,この含水比の減少は凍結面へ水分が吸い寄せられるために生ずる現象であり,凍結面の通過後は氷成分も含めた含水比は,凍結前よりも大きくなる.また,温度変化に対応した不凍水量の変化過程も明らかにされた.
地盤の熱伝導率は水分の移動や相変化のために,凍結の進行によって変化する.とくに凍結面が通過する時点では特徴的な変化を示す.また,今回測定された熱伝導率は凍結時と未凍結時でほぼ同じ値になった.この結果はこれまで多く行なわれている室内実験での結果とは異なるものであり,実地盤で実際に起こっている現象をとらえることの重要性が示された.
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