雪氷
Online ISSN : 1883-6267
Print ISSN : 0373-1006
68 巻, 4 号
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  • 菊地 卓郎, 福嶋 祐介
    2006 年 68 巻 4 号 p. 267-276
    発行日: 2006/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    乱流拡散方程式を用いて吹雪の流動解析を行う場合には,底面における濃度の境界条件の設定が重要となる.境界条件としては濃度勾配や濃度フラックスを規定するが,その際雪の連行係数の概念を用いるのが有効である.雪の連行係数は,流れの特性量と雪粒子の特性量の関数となることが期待される.吹雪流の数値解析モデルとしてκ-ε乱流モデルを適用し,低温風洞実験の風速分布と飛雪流量分布のデータとの比較を行った.GarciaのパラメータZに用いる直径の算定にあたり,雪粒子の抗力と重力,浮力の釣り合いによる算出法を提案した.スノーパーティクルカウンター(SPC)を用いた直径と今回新たに求めた直径を用いて,砂の連行係数,雪の連行係数とZの関係を比較した.
  • 梶川 正弘, 佐藤 昇, 遊馬 芳雄, 菊地 勝弘
    2006 年 68 巻 4 号 p. 277-285
    発行日: 2006/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    厳冬期の北極域における新積雪の密度と圧縮粘性率に関して,降雪粒子の結晶形や粒度分布などに着目した観測を行った.得られた結果は次のように要約される.(1)新積雪密度は降雪粒子の卓越結晶形と平均降水強度に強く依存するが,立体樹枝状結晶を除き平均気温との相関はみられない.厳冬期の北極域で降雪頻度が高い,雲粒付不規則結晶の密度は他の結晶形より特に大きい.(2)新積雪の圧縮粘性率に関しては,同一密度で比較すると不規則型は他の結晶形より非常に小さい.秋田における低温室実験と比較して,雲粒付樹枝状はほぼ同じであるが,雲粒付立体樹枝状は密度が増すにつれてやや小さくなる傾向を示す.
  • 森 淳子, 曽根 敏雄, Jorge A. STRELIN, Cesar A. TORIELLI, 福井 幸太郎
    2006 年 68 巻 4 号 p. 287-298
    発行日: 2006/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    南極半島ジェームズ・ロス島リンク台地において,気温(1995~2004年)と地温(1997~2003年)の観測を行った.リンク台地の年平均気温は-6.7℃(1996~2004年)であったが,気温の変動が大きく,年間を通して気温が正になる時期があった.夏期には,地表面付近で0℃をはさんだ温度変化が頻繁に観測された.
    近年の顕著な温暖化に伴い,南極半島地域では,活動層厚が変化してきた可能性がある.そこで,リンク台地での現在の気温と活動層厚との関係と,周辺基地の過去の気温データを用いて,1971年以降の活動層厚変化を復元した.その結果,この期間に活動層厚は増加する傾向を示し,1970年代には活動層厚は60cm前後であったが,1995年が過去33年間で最も厚く80cmを超え,1996年以降は70cm前後であったと推測された.活動層が厚くなったことにより,現在の地形形成にかかわる斜面物質移動量は1970年代に比べて大きくなっていると考えられる.
  • 牛尾 収輝, 若林 裕之, 西尾 文彦
    2006 年 68 巻 4 号 p. 299-305
    発行日: 2006/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    1990年代後半から2005年までの間,南極リュツォ・ホルム湾では沿岸定着氷の崩壊・流出が頻繁に観測されている.南極沿岸海氷の変動特性を把握するために,同湾で生じる海氷流出の履歴に着目して衛星画像を解析した.その結果,流出発生の有無,つまり海氷の安定/不安定は数年間ずつ続いていること,それらの発現時期は海氷上積雪深や地上気温・風系の年々変化の傾向と符合していることが見出された.また,同湾南端に流れ込む白瀬氷河の浮氷舌の動態を加えて,過去50年間の沿岸定着氷の変動を推定したところ,1980年代初期以降の約25年間は不安定で,それ以前に長期間続いた安定な氷状と顕著に異なることがわかった.
    南極リュツォ・ホルム湾の沿岸定着氷の変動を解析した結果,以下のことがわかった.
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