皮膚の科学
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7 巻, 1 号
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綜説
  • 植松 智, 審良 静男
    2008 年 7 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    自然免疫は侵入してくる病原微生物に対して第一線の防御を行う。自然免疫応答は微生物が持つ特徴的な分子パターンを認識するパターン認識受容体によって誘導される。Toll-like receptors (TLRs)は細胞表面またはエンドソームに局在し,細菌,寄生虫,真菌,ウイルスといったあらゆる病原体の認識を行い,自然免疫の活性化における主要な部分を担う。一方,細胞質内に寄生する細菌やウイルスは,NOD-like receptor (NLR)やRIG-like receptor(RLR)といった自然免疫受容体によって認識される。自然免疫におけるパターン認識受容体の機能とシグナル伝達経路について概説する。
症例
  • 濱 雅世, 磯貝 理恵子, 川田 暁, 小塚 雄民
    2008 年 7 巻 1 号 p. 28-33
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    Imiquimodはイミダゾールとキノリン骨格をもった,分子量240.3のイミダゾキノリン誘導体である。外陰部疣贅に対しては1997年,日光角化症・表在型基底細胞癌に対しては2004年に米国FDAで認可されている外用剤である。ImiquimodはToll-like receptor7,8に作用し,炎症性サイトカインを誘導し抗ウイルス活性を惹起する。高濃度ではミトコンドリアを介して抗腫瘍作用を示すことが証明されている。その他cyclic-AMPを減少させることにより抗ウイルス作用を示すことも最近報告されている。日本ではまだ認可されていない薬剤であるため,患者に文書で同意を得た上で,外陰部疣贅,日光角化症,足底疣贅の症例にimiquimod外用療法を施行した。その結果,全例とも数ヵ月で瘢痕を残さず病変は消退した。その後の再発は認めていない。
  • 葛城 麻実子, 浅田 秀夫, 山科 幸夫, 宮川 幸子
    2008 年 7 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    51歳,男性。顔面,舌,上肢の色素沈着,全身倦怠感,急激な体重減少を主訴に近医内科を受診し,副腎結核によるアジソン病と診断された。ハイドロコルチゾン,イソニアジド,リファンピシン,エタンブトールによる治療開始後約2ヵ月ごろから,色素沈着が増強し,そう痒感も伴ってきたため,当科を紹介受診された。色素沈着の強い部分より生検術を施行したところ,扁平苔癬の組織像を認めた。抗結核薬を中止したところ,そう痒感の消失,角化の軽快を認めた。パッチテスト,DLSTでは陰性であったが,エタンブトールによる内服誘発試験にて皮疹が誘発されたことより,エタンブトールによる苔癬型薬疹の可能性が示唆された。
  • 松永 晶江, 原 弘之, 福田 直純, 清水 秀直, 照井 正
    2008 年 7 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    85歳,女性。2ヵ月前から両下腿に疼痛を伴う紅斑が出現し,近医を受診した。ステロイド内服により加療されたが軽快しなかった。その後前腕や大腿にも拡大し,当科を受診した。初診時,有痛性の浸潤を伴う紅斑が上下肢と臀部に多発していた。右側腹部に圧痛を認め,腹部CTを施行したところ,膵頭部腫瘍と多発性肝転移を示唆する所見が得られた。血中リパーゼは上昇していた。皮膚生検の結果,いわゆるghost-like cellsを伴う脂肪壊死の所見が得られ,膵癌に合併した皮下結節性脂肪壊死症と診断した。
  • 黄原 久美子, 森原 潔, 岸本 芳久, 益田 浩司, 竹中 秀也
    2008 年 7 巻 1 号 p. 44-47
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    37歳,男性。糖尿病などの易感染状態はないが,たびたび両腋窩の細菌性リンパ節炎を起こしていた。2007年6月,左腋窩の腫脹,疼痛及び発熱が出現した。翌日,上記の症状に加え左側胸部へ激しい疼痛を伴う淡い紅斑が拡大してきたため,当院皮膚科を受診した。初診時,左腋窩から左側胸部にかけて発赤腫張があり,左腋窩リンパ節の腫張,疼痛も認めた。血液検査で白血球,CRP,CKの著明な上昇を認め,壊死性筋膜炎を疑い同日深夜,全身麻酔下にデブリードマンを施行した。血液培養,壊死組織培養,膿汁培養ともにA群溶連菌が検出され起炎菌と考えた。術後,呼吸不全,循環不全,播種状血管内凝固症候群,呼吸不全の重篤な状況に陥ったため,初診日翌日にヘリコプターで京都府立医科大学附属病院皮膚科へ緊急搬送した。再度のデブリードマンで救命しえた。
  • 臼井 真理子, 木村 雅明, 大橋 則夫, 関東 裕美, 林 健, 伊藤 正俊
    2008 年 7 巻 1 号 p. 48-52
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    14歳,女性。2006年2月下旬より右脛骨部に疼痛を伴う虫刺され様の皮疹が出現。初診時,径2cmの圧痛のある浸潤の強い紅斑がみられ,排膿を伴っていた。病理組織学的に,真皮内に肉芽腫性病変を認めた。膿よりMycobacetrium abscessusが検出された。塩酸ミノサイクリンの内服を試みたが,めまいの出現により中断。病変部を切除した。本菌による皮膚感染症は本邦では稀であり報告した。
  • 杉浦 啓二, 杉浦 真理子
    2008 年 7 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    ナローバンドUVB療法を併用したアトピー性皮膚炎患者124例を検討した。アトピー性皮膚炎は,紫外線に対し過敏なことがあり,尋常性白斑や尋常性乾癬と同様に照射すると赤みやかゆみが強くなる場合がある。そのため開始照射量は,25%-16.6%MEDの照射量で開始し,症状により10-15%の適宜増量とした。有効例は,82例(66%)であった。照射間隔は2週間に1回が最も多く,また2週間隔での照射例は,他の照射間隔に比し有効な症例が多かった。有効例では,ステロイド内服やステロイド外用剤の減量又は中止が可能となった。ナローバンドUVB療法は,治療に難渋する症例に対し有効な治療法であると考えた。
  • 松永 佳世子, 早川 律子, 板見 智, 石井 正光, 伊藤 正俊, 安永 千尋, 庄司 昭伸, 藤本 美穂, 鈴木 真理, 流田 妙子, ...
    2008 年 7 巻 1 号 p. 61-73
    発行日: 2008年
    公開日: 2010/12/06
    ジャーナル 認証あり
    敏感肌用化粧品dプログラム®のメーククレンジングオイル,マスク,美白美容液について,接触皮膚炎の既往を有する患者と軽症から中等症のアトピー性皮膚炎患者を対象とした4週間の使用試験を実施し,安全に使用できるか否かを検討した。試験終了まで使用継続できた症例の割合は,メーククレンジングオイル98.3%,マスク99.1%,美白美容液97.4%であり,本敏感肌用化粧品は,敏感肌に対して安全に使用できるものと考えられた。
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