先行研究は前身市場からの参入を考慮せず参入行動の要因を議論してきたため、前身市場の動向が前身市場の企業の事業分析にどのように関与するかはわかっていない。この課題に対し、本研究は事例分析としてPDA企業のスマートフォン市場への参入行動を扱い、事業分析の根拠に着目しつつ分析を行った。結果、売上予測では、企業は前身市場の技術開発の進め方を踏まえ、前身の商品と新市場参入の商品コンセプトとの親和性を判断し、過去の売上が新市場の売上予測の根拠にできるかを判断していた。また費用予測では、企業は前身市場の技術開発の進め方に基づき、前身市場の補完技術と新製品のコア技術の親和性を判断し、補完技術をコア技術に転用する際の費用を見極めていた。
日本の経営学分野では、学生の多くが国内の博士課程に進学するため、海外の博士課程の様子はあまり知られていない。本稿では、イギリスのインペリアル・ビジネス・スクールの博士課程に進学した私が、そこでの体験から、海外の博士課程がどのように運営されているのかを紹介する。特に、教育、学生生活、そして受験といった、日本の博士課程と大きな違いのある物事について詳しく説明していく。