耳鼻と臨床
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38 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 蔦 佳尚, 井野 千代徳, 加藤 真子, 大西 純夫, 山脇 利朗, 友田 幸一, 山下 敏夫, 熊沢 忠躬
    1992 年 38 巻 1 号 p. 1-3
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    抜歯後に発症した顔面神経麻痺2症例を経験した. 症例1は抜歯直後に, 症例2は抜歯後1日を経て発症したものであるが, 保存的治療にて完治しえた. 文献的考察も加えてその因果関係, 発症機転を検討した. また同時に歯科処置後にもまれではあるが末梢性顔面神経麻痺のおこり得ることを, 歯科医のみでなく耳鼻咽喉科医も再認識する必要性を強調した.
  • 古謝 静男
    1992 年 38 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1977年1月から1987年12月までに当科で治療された下咽頭癌患者69例を対象に統計的観察を行い, 以下の結果を得た.
    1. 対象患者の男女比は66: 3で, 年齢範囲は41~88歳 (平均年齢63.5歳) であつた. 発生部位は梨状陥凹55例 (79.7%), 後壁11例 (15.9%), 輪状後部3例 (4.3%) であつた.
    2. 進展度はT3症例が30例 (43.5%) と最多で, 以下T221例 (30.4%), T110例 (14.5%), T48例 (11.6%) の順であつた. Stage別にStage IVが47.8%と最も多く, Stage III+IVが72.5%を占めていた.
    3. 治療は放射線と抗癌剤の組み合わせが31例, 手術と放射線, 抗癌剤の組み合わせが18例, 放射線のみが18例であつた. 2例では化学療法のみを行つた.
    4. 5年生存率はStage I+IIは44% (N=16), Stage IIIは25% (N=17), Stage IVは16% (N=31) であった.
  • 久 和孝, 山隈 正人, 小宗 静男, 新里 祐一
    1992 年 38 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    正中過剰歯を伴つた14歳, 女性の上顎洞内萌出歯牙症例を経験した. 上顎洞内の萌出歯は, 型によるものと思われ, その萌出方向は, いわゆる逆生歯とは異なり, 歯冠を下方に, 歯根を上方に向けた順生歯であつた. 一側性の副鼻腔炎を合併しており, 上顎洞節骨洞根治術を施行, 歯牙を摘出し, 良好な経過を得ることができた. 上顎洞上壁に植立している若年層の順性歯症例では, たとえ炎症所見がなくても, 将来歯根部が眼窩内へ進展する可能性のあるため, 除去したほうがよいと思われた.
  • 山本 英一, 河合 晃充, 林 琢巳, 吉弘 剛, 藤田 浩志, 佐藤 幸弘, 秋定 健, 折田 洋造
    1992 年 38 巻 1 号 p. 15-18
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部に発生した化膿性肉芽腫10例を経験し, 以下の結果を得た.
    1. 年齢は10歳から81歳まで, 性別は3: 7で女性優位.
    2. 発生部位は口腔内5例, 鼻腔が3例, 中咽頭, 喉頭が各々1例.
    3. いずれも短期間に増大し, 出血や腫瘤のため癌を心配して受診.
    4. 病歴 (外傷, 妊娠, 手術), 部位 (癌の好発部位と異なる), 外見からある程度診断可能であるが, 最終診断は病理結果.
    5. 治療は確実な切除.
  • 林 琢巳, 山本 英一, 秋定 健, 吉弘 剛, 河合 晃充, 折田 洋造
    1992 年 38 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当教室において経験した鼻腔内逆生歯牙5例につき報告した. 成人2例と10歳以下の小児3例. 分類は正常歯1例, 過剰歯4例で, うち非常にまれな両側性症例1例を認めた. 成因として口蓋裂等の奇形が重要視されている. 先天性奇形の既往は認めないが, 1例に頭蓋骨形成異常があり, 融合不全が何らかの形で逆生歯牙の発生に関与していると考えられる. 診断には未萌出の場合, X線撮影が必要だが, 特に他の正常歯との位置関係を知るうえでパノラマX線撮影が有用である.
  • 酒井 昇, 佐藤 公輝, 石川 和郎, 犬山 征夫, 田中 克彦
    1992 年 38 巻 1 号 p. 23-26
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    胎児, 新生児, 成熟モルモットの喉頭, 気管粘膜上皮を走査電顕で観察し次の結論を得た.
    1. 新生児モルモットの声帯や声門上部に見られる短く, 不規則な配列の線毛は消失過程にあるものと考えられた.
    2. 成熟モルモットの喉頭蓋喉頭面, 仮声帯, 喉頭室には線毛細胞がみられず, ヒトとのspecies differenceがあると思われる.
    3. モルモットの声帯や声門上部の扁平上皮の分化度および声門下部や気管にみられる杯細胞の発育度は, ヒトに比べて遅いことがわかつた.
  • 高橋 秀明, 堀内 正敏, 飯田 政弘, 三宅 浩郷
    1992 年 38 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    臨床症状を呈するような扁桃結石に遭遇することは極くまれである. われわれは咽頭異物感を主訴とした大きな扁桃結石の2例を経験したので報告する. そして過去の扁桃結石に関する報告例をまとめるとともに, 成因等について若干の文献的考察を加えた.
    症例1: 63歳女性. 赤外吸収スペクトル法による分析の結果, 結石成分はリン酸カルシウム (83%), 炭酸カルシウム (6%), 塩基性炭酸マグネシウム (微量), タンパク質 (9%) であつた.
    症例2: 28歳女性. 小児期より存在していた反復する扁桃炎は, 結石摘出後消失している.
    両症例とも結石摘出のみ施行し, 現在再発は認められない.
  • pneumoceleとの関連について
    川井田 政弘, 甲能 直幸, 川崎 順久, 猪狩 和子, 福田 宏之
    1992 年 38 巻 1 号 p. 32-36
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    47歳女性で左側の片側性鼻腔閉塞や左鼻根部の疼痛などの症状を訴えて来院した. 局所所見としては左側の中鼻甲介の著明な肥厚を認めた. X腺検査やCTscan検査で左中鼻甲介蜂巣における限局性の膨張性異常含気腔拡大を呈していた. 点鼻薬の外用や鎮痛薬などの投与により自覚症状の軽減がみられた. 本症例は弁状機構に起因する内圧上昇を原因とするpneumoceleが考えられたが, 詳細な検索を行えなかつたため, 副鼻腔全体の良好な気胞化に伴う異常気胞化 (pneumosinus dilatans) の部分症というべき病態も否定できなかつた. 副鼻腔における含気腔の異常拡大を呈する病態の発生機構に関して考察した.
  • 馬場 駿吉, 宮本 直哉, 山本 真一郎, 川端 五十鈴, 田部 浩生, 河村 正三, 市川 銀一郎, 江渡 篤子, 小野 一郎, 浅井 俊 ...
    1992 年 38 巻 1 号 p. 37-55
    発行日: 1992/01/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域感染症の治療におけるPanipenem/betamipron (PAPM/BP, CS- 976) の, 基礎的・臨床的検討を行った. 各種臨床分離株に対するPAPMのMIC80S. aureus, S. pyogenes, S. pneumoniae, B. catarrhalisでは≦0.025μg/ml, CNS, H. influenzaeでは0.39μg/ml, P. aeruginosaでは6.25μg/mlであつた. PAPM/BP500 mg/500mg点滴静注後のPAPMの中耳粘膜, 上顎洞粘膜, 扁桃組織への移行は, 良好であつた. 主治医判定による臨床効果は, 中耳炎76.9%, 副鼻腔炎75.0%, 扁桃炎 98.6%, 扁桃周囲炎100%, 扁桃周囲腫瘍94.1%など全体として89.7%の有効率であつた. 細菌学的効果は, 全体で91.5%と極めて高い消失率を示した. 副作用は計6例 (2.5%), 臨床検査値の異常は計23例 (13.9%) に認められた. 以上の成績から, 本剤は中耳炎, 副鼻腔炎, 扁桃炎 (扁桃周囲炎・扁桃周囲腫瘍) を始めとする耳鼻咽喉科領域の各種感染症に対して有用性の高い薬剤と考えられた.
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