耳鼻と臨床
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35 巻, 6 号
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  • 減感作療法,抗アレルギー剤予防投与,CO2レーザー季節前照射
    吉見 龍一郎, 今里 滋, 小島 未知郎
    1989 年 35 巻 6 号 p. 977-981
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症に対して減感作療法,抗アレルギー剤予防投与,CO2レーザーによる下甲介粘膜への予防照射を行い治療効果を比較検討した.いずれの治療方法も未治療群に比べるとスギ花粉症発症時期における自覚症状を改善したが減感作療法は効果がやや劣つていた.他覚所見についてはCO2レーザー照射群が明らかな改善を示し特に鼻閉に対して有用であつた.副作用はCO2レーザー照射群で軽度認められたのみで減感作療法,抗アレルギー剤投与では認められなかつた
  • その特長と生体内反応について
    吉田 義一, 田中 康政, 斎藤 龍也, 平野 実, 森松 稔, 中島 亨, 吉沢 昌夫
    1989 年 35 巻 6 号 p. 982-988
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    水酸化アパタイトの線維化に成功し紹介した.線維化した水酸化アパタイトは本来の物性には変化ないが綿状にしたことから非常に軽量となり人工物としてのmassが小さくてすむ.その上,手術時の操作性も従来の物に較べて格段に良好となつた.生体との反応をみるためネコの脛骨埋め込み実験を行い,(1)従来の報告と同様のbiocompatibleさらにbioaffinityであることが確かめられた.(2)特にこれまでにない形状が生体組織との接触面積が大きく,かつ組織の侵入を容易に受け入れる点が注目された.現状でも埋め込み部位,条件,生体接着剤との併用を考慮すれば応用範囲が広い.今後さらに改良を行い,他の素材とコンポジット形成を図り,親水性,粘弾性を持たせると優れた生体材料となることが分かつた.
  • 朝隈 真一郎, 朝隈 郁夫
    1989 年 35 巻 6 号 p. 989-993
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ステロイドによる治療で聴力改善のみられた, 4例の陳旧性原因不明感音難聴を報告した.それほど多くはないが,陳旧性原因不明感音難聴のなかにもステロイドの有効な症例がある.個々の症例について,ステロイドの有効性を予め予測することは困難である.したがつて,原因のわからない感音難聴症例には,一度はステロイドを使用してみることを提案した.
  • 有働 幸弘, 中島 格, 勝田 弥三郎
    1989 年 35 巻 6 号 p. 994-998
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    47才男性で,左頸部腫脹を初発症状とした好酸球性筋膜炎を経験した.67Gaシンチグラムにて,左頸部に異常集積像を認めたため,悪性リンパ腫が疑われたが,生検の結果は好酸球浸潤の著明な肉芽組織であり,悪性リンパ腫に特徴的な所見は認められなかつた.
    そこで診断・治療をかねて左頸部腫瘤摘出術を施行,術後の病理診断より好酸球性筋膜炎との結果が得られた.頸部に発生した好酸球性筋膜炎は,本邦では初めてと思われるのでここに報告する.
  • 小野 勇, 海老原 敏, 吉積 隆, 大山 和一郎, 斉川 雅久, 大田 洋二郎
    1989 年 35 巻 6 号 p. 999-1004
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    国立がんセンターにおいて1962年より1980年までの約19年間に治療した上顎洞扁平上皮癌224例について,特に動注療法併用の意義について検討し,次の結果を得た.
    1.動注併用例(106例),非併用例(118例)の5年累積生存率はそれぞれ44%, 43%であり, 10年累積生存率では41%, 31%であり両群に差を認めなかつた.
    2.しかし,動注併用により5年生存者の全摘回避率は向上した.
    3.臨床的あるいは組織学的に頸部リンパ節転移が認められた症例はきわめて予後不良であつた.
    4.再発例の手術成績はきわめて不良であつた.
    5.治療不成功の原因の多くは,原発巣の制御の不成功であつた.
    6.原発巣の再発部位は,初診時の主進展方向のいかんにかかわらず上方,後方,側方に多かつた.
  • 花田 武浩, 河野 もと子, 原口 兼明, 昇 卓夫
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1005-1008
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    抗腫瘍剤により発生したと考えられたStevens-Johnson症候群の1例を報告した.症例は, 69歳男性,舌癌(T2N1M0)で,副作用として本症候群を生じる一方で,腫瘍縮小率93%と著効を奏した.しかし,硬結と潰瘍が完全消失しないので70Gyのradiationと;LASER hyperthermiaを追加施行した.
  • 山岸 益夫, 中村 英生, 鈴木 正治, 長谷川 聡, 中野 雄一
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1009-1013
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    外傷性嗅覚障害患者2例より嗅粘膜を生検し,免疫組織化学的に観察した.いずれの症例も機能している嗅細胞はなく,支持細胞と基底細胞のみの変性した嗅上皮に移行しており,予後は不良であると思われた.嗅粘膜生検とその免疫組織化学的検索は外傷性嗅覚障害の診断,予後の判定,詐病との鑑別などに有用であると考えられた.
  • 安田 宏一, 中島 元雄, 稲光 まゆみ, 高木 東介, 上加世田 和文
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1014-1021
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    典型的なメニエール病の発作をくりかえし, 間歌期には難聴以外の症状は全くみられなかつた症例で, 脳のCTとMRIで直径1.0cmの聴神経腫瘍を認め, 手術により摘出した. 初回の発作から腫瘍の発見まで10年の経過があつた.
    腫瘍でありながらメニエール病様発作をくりかえすものを, 小脳橋角部腫瘍による一時的メニエール病と呼んだが, 「一時的」という時間が10年にも及ぶ症例のあることを知つた.
  • 平出 文久
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1022-1027
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    突発難聴を主訴として来院し, 初診時に突発性難聴と診断されたが, その後の精査により肝細胞癌の側頭骨転移癌によることが判明した1例を報告した. 患者は57歳の男性で, 1987年6月右突発難聴, 耳閉塞感が発現し, 近くの病院で突発性難聴と診断され, 副腎皮質ホルモン療法を受けたが症状は改善されなかつた. 耳X線検査で右内耳道近辺の不整像が観察され, 聴神経腫瘍などの脳腫瘍が疑われた. 同年8月精査を希望し当科を受診, CTおよびMRI検査により右側頭骨底から後面にかけて大きな腫瘍塊が認められた. 右骨部外耳道底に出現した小さな腫瘍の生検によりこれらの腫瘍塊は肝細胞癌の転移癌であることがわかつた. この症例ではほかに同側の顔面神経麻痺, 反回神経麻痺が認められたが, 突発難聴とともに多発性脳神経症状が発現した場合には側頭骨転移癌の可能性も考慮すべきである.
  • 森本 賢治, 久々湊 靖, 志藤 文明, 形浦 昭克
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1028-1032
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    外耳道に発生する色素性母斑の報告は数少ない. 外耳道黒色腫と呼ばれたこともあるが, 現在はこの名称が広く用いられている.
    1978年7月より1988年6月までの10年間に, 市立江別総合病院耳鼻咽喉科および札幌医科大学耳鼻咽喉科において, 10例の外耳道色素性母斑を経験したので, これを報告するとともに若干の文献的考察を加えた.
  • 児玉 広幸, 志藤 文明, 朝倉 光司, 河合 範雄
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1033-1037
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻骨に発生した血管腫の一例を報告した. 単純X線所見によつて, 特徴的な“soap bubble”像といわれる陰影がみられた. 外科的に腫瘍を切除し, 欠損部には腸骨移植を行つた. 本疾患の特徴を調べるため, 過去の症例につき検索を行つた.
  • 調 賢哉, 調 信一郎
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1038-1043
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 抗生物質の普及した現在においては, 稀と思われる前頭洞膿嚢胞から眼窩蜂窩織炎を生じ, さらに高度の視力障害をきたした2例, および失明に至つた1例を報告した.
    2. 視力が僅かに残つていた2症例とも, ただちに前頭洞篩骨洞根治手術を行い, 新セフェム系抗生剤点滴静注および抗菌剤内服を行うことによつて視力も回復し, 治癒した. しかし, 最初から視力を完全に失つていた1例は遂に回復しなかつた.
    3. 第1, 第2例においては, CT所見 (水平断, 冠状断) により, 眼窩上内側, 浅部より深部に至るまで膿瘍があり, その周辺に蜂窩織炎があると診断していたが, 手術所見によつて確認された.
    4. 前頭洞炎から視力障害をおこすことは比較的稀であるが, この3症例の高度の視力障害の原因としては, 術前CT所見および手術所見によつて知り得たように, 眼窩深部にまで及んでいた膿瘍および蜂窩織炎による匐行性浮腫か, または化膿性炎症の視神経への直接波及であろう.
    5. 眼窩膿瘍および蜂窩織炎の治療としては, CTによつて知り得た病巣の広がりによつては保存的治療が可能である. 視力が一度完全に失われると回復は非常に困難であるので, 視力障害があれば, ただちに根治手術を行うべきである.
  • 西川 邦男, 伊達 零子, 木下 心, 小川 晃弘, 小出 郁雄
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1044-1047
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻中隔に原発した未分化扁平上皮癌の一例を報告し, 文献的考察を行つた. 鼻中隔癌腫の治療法, 予後について考察するとともに正常組織を広範囲に含めて腫瘍をen bloc摘出し, さらに放射線療法, 化学療法を施行する必要があると考えられた.
  • 荻野 仁, 林治 博, 松永 亨, 石田 稔, 田矢 直三, 野入 輝久, 吉田 淳一, 服部 賢二, 吉野 邦俊, 馬谷 克則, 八田 千 ...
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1048-1056
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    新経口用セフェム剤Cefteram pivoxil (CFTM-PI) の急性陰窩性扁桃炎に対する有用性の検討を行ない, 次の結果を得た.
    1. 急性陰窩性扁桃炎49例に対する臨床効果は, 著効9例, 有効38例, やや有効2例で, 有効率は95.9%であつた.
    2. 細菌学的効果は, 分離された40株は, すべて除菌され, 除菌率は100%であつた.
    3. 副作用は, 1例に下痢が認められたのみであつた.
  • 特に鼻閉に対して
    前山 忠嗣, 岩永 康成, 古川 満, 南 泳蘇, 粕谷 尚男, 麻生 正美, 渡辺 滋之, 伊東 敏雄, 三橋 勝彦, 桧垣 雄一郎, 黒 ...
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1057-1067
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    久留米大学, 佐賀医科大学を中心とする9施設において鼻閉を伴う通年性鼻アレルギー患者に対するセルテクトの臨床的有用性を検討し, 次の結果を得た.
    1. 投与4週間後の全般改善度は中等度改善以上が66%, 軽度改善以上が84%であつた. また, 安全性を加味した有用度も有用以上68%, やや有用以上85%であつた.
    2. 鼻閉については4週後に84%の改善率が得られ, 1週毎の改善度推移でも速効性が認められた. 重症例においても3週後には全例改善した.
    3. 鼻閉以外の各症状についてはくしゃみ発作65%, 鼻汁66%, 嗅覚異常67%, 日常生活の支障度70%とそれぞれの改善率が得られた.
    4. 鼻所見については下甲介粘膜の腫脹, 色調, 鼻汁量, 鼻汁の形状それぞれの改善率は66%, 35%, 55%, 35%であり, 色調, 鼻汁の性状に対する効果は低かつた.
    5.95例中9例 (9%) に軽度の副作用が見られたが主たるものは眠気であり, 投与中止に至つた症例は1例もなかつ
  • 大山 勝, 福田 勝則, 上野 員義, 松崎 勉, 大野 文夫, 松山 博文, 伊東 一則, 河村 正三, 板橋 隆嗣, 渡辺 洋
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1068-1077
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    急性副鼻腔炎8例, 慢性副鼻腔炎11例の計19例に対するDKBの臨床的検討を行い, 以下の成績を得た.
    1. 主治医判定による改善率は, 57.9%であつた.
    2. 統一効果判定基準による改善率は, 73.7%であつた.
    3. X線所見の改善率は43.8%であつた.
    4. 分離菌の消失率は78.6%であつた.
    5. 本試験による副作用は全く認められなかつた.
    以上の成績から, DKBは副鼻腔炎に対し有用な薬剤であると結論された.
  • Cefotiamとの比較対照試験
    馬場 駿吉, 小林 武弘, 加藤 真二, 伊藤 靖浩, 海野 徳二, 内藤 義弘, 北南 和彦, 佐々木 亨, 柳内 統, 和田 哲治, 杉 ...
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1078-1102
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    化膿性中耳炎 (急性および慢性の急性増悪症) に対するCZONの有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, CTMを対照薬として比較試験を実施した. 薬剤はいずれも1回1gを1日2回, 原則として7日間one shot静注した.
    1. 総症例における臨床効果は, 主治医判定でCZON群68.7% (68/99), CTM群62.4% (58/93), 委員会判定で, それぞれ66.7% (66/99), CTM群63.4% (59/93) の有効率であり, いずれの判定においても, 両薬剤間に有意差はみられなかつた.
    病態別にみると, 主治医判定, 委員会判定ともに, 急性中耳炎ではCTM群が, 慢性中耳炎急性増悪性ではCZONがそれぞれ高い有効率を示したが, いずれの病態においても有意差は認められなかつた.
    2.3日後および7日後における全般改善度, 自覚症状, 他覚所見の改善度ともに, 両薬剤群間で有意の差はみられなかつた.
  • 渡邉 悟
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1103-1105
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 臨床と病理学的検査の対比
    調 輝男
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1106-1111
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中枢性のめまいは橋延髄境界部の第4脳室底に存在する前庭神経核と, それからの出力線維である前庭脊髄線維, 前庭小脳線維, 前庭中脳線維, 前庭視床線維が直接的および間接的に障害されることにより生じる.
    これらの部位を侵す疾患としては多数のものがあるが, 特に, 脳血管障害の特別なものとしてミトコンドリア脳筋症を, 最近認識されてきた脳腫瘍として神経細胞腫を, 悪性単相性多発性硬化症とされるMarburg病について述べ, 炎症性疾患の飯塚型脳幹脳炎と神経Behget症候群との異同について論じた. また変性疾患では, 起立性低血圧により立ちくらみをきたすShy-Drager症候群は疾患単位というより臨床的症候群と考える方が妥当であることを指摘した.
  • 竹下 研三
    1989 年 35 巻 6 号 p. 1112-1115
    発行日: 1989/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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