耳鼻と臨床
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55 巻, 2 号
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原著
  • 君付 隆, 賀数 康弘, 松本 希, 小宗 徳孝, 野田 哲平, 梅野 好啓, 野口 敦子, 堀切 一葉, 小宗 静男
    2009 年55 巻2 号 p. 49-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    内耳機能検査の中で、時間的な患者への負担が少なく実際の外来業務で施行しやすい DPOAE 検査、SISI 検査、MCL・UCL 検査を 112 名、203 耳に施行し比較した。DPOAE 検査の異常率は 1 kHz で 41%、4 kHz で 69%、SISI検査の陽性率は 1 kHz で 20%、4 kHz で 53%、MCL・UCL検査の陽性率は 1 kHzで 43%、4 kHz で 54%であった。4 kHzで聴力レベルの程度による各検査の陽性率 (異常率) を比較すると、各検査とも約 20 dBより陽性を示したが、DPOAE 検査では 35 dBで 90%以上が陽性となったのに対して、SISI 検査、MCL・UCL 検査では上昇は緩やかで 55 dB で約 90%が陽性となった。軽度の感音難聴では DPOAE のみ異常となることが多いという結果を得た。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松原 尚子
    2009 年55 巻2 号 p. 55-61
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    当科における喉頭角化症症例について検討を行った。当科ではストロボスコピーを中心とした評価により初診時の悪性度を評価しているが、加えて、確実な病理検査が重要であることが明らかとなった。また、加療により音声の改善は認められるが、その後の音声の改善のためには禁煙が非常に重要であると思われた。
  • - 鼓膜の血行再建について -
    高野 信也
    2009 年55 巻2 号 p. 62-68
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    Narrow Band Imaging (NBI) は OLYMPUS メディカルシステム株式会社が開発した光源装置である。光源から供給される光を血液中に含まれるヘモグロビンに吸収されやすい特定の波長 (415 nm および540 nm) に限定することにより、従来の光源による内視鏡検査に比べて粘膜表層の毛細血管や微細構造を強調表示する光学的強調技術である。これまで、消化管の悪性腫瘍鑑別へ応用されその有用性についての記載も数多くなってきている。今回われわれは慢性中耳炎術後の血行再建の状態を NBI で観察した。術後 2 週目から後上方から血行が再建されることが分かった。
  • 五島 史行
    2009 年55 巻2 号 p. 69-73
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    メニエール病患者が耳痛を訴えることはまれではない。インターネットを用いてメニエール病患者における耳痛、その特徴などについて検討を行った。インターネット上で 2008 年 2 月から 4 カ月間の間に  “メニエール病と耳痛について”  のアンケートに回答を得た 59 例のデータを解析した。耳痛は耳鳴りに随伴することが多かった。痛みの頻度は毎日から週 1 回という高い頻度であり持続時間は短時間から長時間なこともあった。診断治療については医師には話していない例も多く、積極的な治療を行っている例は無かった。片頭痛の合併が 30 %に認められ、メニエール病の耳痛が片頭痛発作と類似した機序で起こっている可能性が示唆された。インターネットアンケートのため患者の偏り、および診断の正確さの問題があるが、メニエール病患者における耳痛はメニエール病の病態、治療を考える上で重要であると推察された。
  • 安松 隆治, 平川 直也, 白土 秀樹, 中島 寅彦, 橋本 和樹, 古後 龍之介, 小宗 静男
    2009 年55 巻2 号 p. 74-78
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    孤立性線維性腫瘍は間葉系由来の腫瘍であるが鼻、副鼻腔での報告はまれである。中鼻甲介を基部とした孤立性線維性腫瘍の 1 例を経験したので報告する。症例は 59 歳、女性で徐々に出現した鼻背部の腫脹を主訴に当科を受診した。生検で孤立性線維性腫瘍の診断であった。易出血性であったが Denker 法に内視鏡を併用することによって安全に摘出可能であった。術後病理で悪性所見を認めず、12 カ月経過した。現在再発は認めていない。
  • 上薗 健一, 伊藤 彩, 小山 徹也, 熊本 芳彦, 中島 豊, 小宗 静男
    2009 年55 巻2 号 p. 79-85
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/08/01
    ジャーナル フリー
    頭頸部領域において、clear cell carcinoma (CCC) は非常にまれである。われわれは舌根部 CCC の症例を経験した。症例は 56 歳の男性で、検診時に上部消化管内視鏡検査で中咽頭腫瘍を指摘された。経口腔的に摘出術を行い、CCC の診断を得た。CCC は低悪性度の明細胞性腫瘍で、診断には十分な病理学的鑑別を必要とする。現在術後 20 カ月で局所の再発や遠隔転移は認めていない。非常にまれな疾患であり、治療や長期予後に関する報告が少ないため報告する。
臨床ノート
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