耳鼻と臨床
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36 巻, 5Supplement6 号
選択された号の論文の25件中1~25を表示しています
  • 中島 幹夫, 生駒 尚秋, 宮澤 裕, 谷本 俊次, 松尾 聡
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1057-1062
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鳥取大学耳鼻咽喉科教室で1987年1月から1989年9月までに実施した視標追跡検査を集計した. 症例は382例で波形のパターン分類, 混入するsquare wave jerks, およびmean velocity gainを分析項目とした.
    高齢者の末梢性めまい疾患で失調様, 階段状の中枢障害パターンをとる症例を認め, 年齢による影響と考えられた.
    square wave jerksは末梢性めまい疾患, 中枢性めまい疾患両方に認められた. その出現頻度は中枢性めまい疾患で高かつた. 健康成人でもsquare wave jerksの出現頻度は加齢とともに増加するが, 脊髄小脳変性症では各年齢層の平均値より有意に高い出現頻度を示した.
    脊髄小脳変性症のmean velocity gainは健康成人に比較して低下していた.
  • 藤田 和寿, 木村 寛, 中元 雅典
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1063-1068
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科耳鳴外来を受診した症例のうちむち打ち損傷による耳鳴と考えられた10例について耳鳴問診表, 耳鳴検査所見について検討した. 受傷から発症までの期間で急性期と慢性期に分類した. 耳鳴の増悪因子として肩こり, 曇天・雨天が重要であつた. うつ状態の合併率が高かつた. Residual inhibition陽性率が高く, リドカイン静注の効果が低かつた. 治療に抵抗性であつた.
  • 石津 吉彦, 生駒 尚秋, 長谷川 賢作
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1069-1074
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 幼稚園児, 小学生および中学生あわせて第1回287名, 第2回229名について,ティンパノグラムを記録し第1回は幼稚園児の11.9%, 小学1年の11.8%がB型を示したが第2回は小学1年で6.9%に減少していた.
    2. 両側ともC2, B型を示したものは低学年に多くみられ, 学年があがると片側のみC2, B型を示したものが多かつた.
    3. 第1回の幼稚園児のA, C1, C2型それぞれのピーク値は小学3年以上のそれと比較し,有意に低かつた.
    4. C1,C2, B型を示したものの推移をみると小学1年, 中学1年で有意の改善, 小学3年で有意の悪化を, C2, B型に限ると小学1, 5年で有意の改善を認めた.
    5. ほぼ同時期に当科を初診し, 鼓膜所見とティンパノグラムで異常を認めた小児のC2型15耳中9耳, B型51耳中50耳に貯留液を認めた.
  • 山田 理, 中島 幹夫, 谷本 俊次, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1075-1081
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭位変換時の垂直性下眼瞼向き眼振より小脳, 下部脳幹の障害が疑われた43歳女性の1例を報告した. X線学的検査およびMRIによりbasilar impressionと診断され, 手術治療により症状は軽快し, 術後に垂直性下眼瞼向き眼振はみられなくなつた. また, basilar impressionの神経症候と垂直性下眼瞼向き眼振の意義について検討した. さらに積極的な検査, 治療の必要性を強調した.
  • 小川 真滋, 藤原 敏浩, 長谷川 賢作
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1082-1086
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    自発性垂直性下眼瞼向き眼振を示し小脳脳幹部の病変が疑われ, MRIの矢状断撮影によりArnold-Chiari奇形の確定診断を得た1例を経験した. 本症例における自発性垂直性下眼瞼向き眼振の責任病巣は, 眼振の特徴などより下部脳幹が最も有力であると思われた. 本症例ではMRIが非常に有用であつた. またその前段階としての神経耳科学的検査法の重要性も示された.
  • 長谷川 賢作, 中島 幹夫, 小川 真滋, 宮澤 裕
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1087-1092
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    起立性低血圧症の患者がめまいを訴える例は多く知られているが, 起立負荷時に眼振所見と血圧の関係を記録した報告は少ない. 症例は23歳男性で注視方向性眼振を認め, さらに起立性低血圧症を有する患者である. この症例に起立負荷試験を施行したところ, 注視方向性眼振に加えて下眼瞼向き眼振の重複を認めた. 下眼瞼向き眼振は小脳正中部を中心とした橋下部におよぶ障害で生ずるとされているが, 本症例ではCTおよびMRIでこれを明らかに証明することができなかつた. しかし, 自律神経系の検査および平衡機能検査によつて, 中枢性障害なかでも小脳正中部から橋下部の障害を疑わせる所見が得られた.
  • 谷本 俊次, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1093-1097
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    左側頭部に発生した悪性線維組織球腫 (malignant fibrous histiocytoma) の1例を報告した. 症例は70歳女性で左側頭部腫瘤を主訴とし, 生検によりliposarcomaと診断された. 腫瘍全摘出術を行い術後の病理組織検査により悪性線維組織球腫と診断された. 1年を経過した現在も健在である. 症例の経過を示すとともにそのエコー像, CT像, 病理組織所見の特徴について報告した.
  • 門脇 敬一, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1098-1100
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は64才, 女性で右耳介に基底細胞癌が認められた. 聴器癌の中では基底細胞癌はまれであり, 基底細胞癌が耳介に発生することもまれである.
    治療は, neo-adjuvant chemotherapyとして, CP療法2クール施行後, 腫瘍摘出術を行なつた. 術後4ヵ月経過しているが経過良好である.
    耳介にはまれな基底細胞癌を経験したので文献的考察を加え報告した.
  • 宮澤 裕, 岩下 和人, 門脇 敬一
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1101-1104
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当教室で1987年2月から1988年7月までに経験した3例の頸部リンパ節結核を報告した. ツベルクリン反応を施行した2例は強陽性であり, 胸部X線上陳旧性病巣を認めた. 術前に頸部リンパ節結核と診断された症例はなく, 病理組織学的検査で診断が確定した. 頸部腫瘤の鑑別診断上, 頸部リンパ節結核も考慮すべきと思われた.
  • 鈴木 健男, 竹内 裕美, 石津 吉彦, 岩下 香代子, 伊藤 和行
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1105-1110
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ハウスダスト鼻アレルギーにおける減感作療法の長期継続例について検討し以下の結果を得た. 1. 症状スコアでは季節変動を思わせる観察月での差はなかつた. 2. 重症度において一時改善は2ヵ月以内に53.4%, 1年以内に93.2%, 2年以内に96.1%, 安定改善は2ヵ月以内に23.3%, 1年以内に49.5%, 2年以内に64.1%, 安定軽症化は2 カ月以内に9.7%, 1年以内に31.1%, 2年以内に43.7%にみられた. 一時改善の時期が早いほど安定改善が得られやすい結果であつた. 3. 症状スコアは減感作療法開始後 2, 3ヵ月で改善しており, 以後ほとんど変化がなかつた. 一時改善の時期が遅い群では維時量決定時に鼻閉スコアの低下が小さかつた. 鼻誘発テストのスコア改善は症状に比べて遅く, 維持量決定時以降も低下の傾向は続くが, 必ずしも症状の経過と一致しなかつた. 4. 13歳から15歳が自然治癒を期待できる年代と考えられた.
  • 竹内 裕美, 鈴木 健男, 伊藤 和行, 石津 吉彦, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1111-1114
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻アレルギーの主症状である鼻閉の治療として保存的治療後に外科的治療を行つた症例14例と早期に外科的治療と急速減感作療法を併用した症例13例の半年後と一年後の治療効果を比較検討した. 半年後, 1年後の治療効果は, 手術法により差を認めたが, 全体としてはそれぞれ半年後92.9% (13例/14例), 92.3% (12例/13例), 1年後92.9% (13例/14例), 100% (12例/12例) と両群間に差を認めなかつた. 治療効果の点, また患者を長期間鼻閉で悩ませない点からも, 早期に外科的治療を行い急速減感作療法を併用することは鼻アレルギーの鼻閉に対する有効な治療法と考えられる.
  • 伊藤 和行, 鈴木 健男, 竹内 裕美, 石津 吉彦, 岩下 香代子
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1115-1119
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ハウスダスト (house dust, HD)・ダニ鼻アレルギーに対して急速減感作療法 (rush immunothepapy, rush IT) を行い, その安全性について検討した.
    1. 全身的副作用として喘息様発作およびじんま疹が認められた.
    2. 全身的副作用はいずれもHD 10-1液注射後30分以内に認められた.
    3. 喘息の既往がない症例においても喘息様発作が認められた.
    4. 局所反応と全身的副作用の関係は明らかでなかつた.
    rush ITは有用な治療法であるが, 医師の十分な監視が条件であり, またHD 10-1液における抗原投与法の再検討が必要であると考えられた.
  • 竹内 裕美, 鈴木 健男, 伊藤 和行
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1120-1122
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉飛散開始日と1月1日からの日平均気温・日最高気温積算値の関係を, 1982年から1989年までの米子地方のスギ花粉飛散データをもとに検討した.
    普通年と暖冬年を分けることにより, 飛散開始日としては1個/cm2以上の飛散を認めた日が気温との関係が強かつた. 普通年では日最高気温積算値が200℃以上, 暖冬年では日平均気温積算値が270℃以上, 日最高気温積算値が350℃以上になるとスギ花粉の飛散開始を認めた.
    以上の結果より日平均気温・日最高気温積算値かちスギ花粉飛散開始日を予測できる可能性が示唆された.
  • 門脇 敬一, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1123-1125
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    76歳, 男性で, 鼻尖部にTrichilemmomaがみられた症例を経験した. Trichilemmomaは顔面, 特に鼻, 眼瞼周囲, 頬そして上口唇に発生することの多い腫瘍である. 毛包を構成する各subunitのうちlower follicleに由来する腫瘍と考えられている. 臨床的には無症候性で孤立性の良性腫瘍である. 摘出術を施行し, 皮膚欠損部を左鼻唇溝部よりnasolabial subcutaneous pedicle flapを用いて形成術を行つた. 術後経過は良好で経過観察中である.
  • 天野 孝志, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1126-1131
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    鼻腔内逆生歯の1例を報告し, 1976年以降の本邦報告例を集計し, 文献的考察をした.
    1. 男女比は1.18: 1で著明な男女差は認めなかつた.
    2. 鼻腔内逆生歯は20歳未満が67.5%と若年者に多かつた.
    3. 正常歯より過剰歯のほうが多かつた. 文献的には正常歯と過剰歯の比率はほぼ同じであつた.
    4. 形態的には, 正常歯の逆生では切歯と犬歯が多く, 過剰歯の逆生では犬歯が過半数を占めた.
    5. 左右別では左側に多発していた.
    6. 今回の集計では梅毒との関連を記載したものはなく, 口唇口蓋裂との関連が10.8%認められた.
    7. 症状は鼻閉, 鼻出血が多かつた.
    8. 鼻腔内逆生歯は手術的に摘出するのが望ましいと思われた.
  • 稲賀 潔, 岩下 和人, 辻田 哲朗
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1132-1136
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ヒト口蓋扁桃において, 抗体産生細胞である形質細胞の機能的形態を検討するために, 走査型電子顕微鏡による観察を行つた.
    扁桃実質濾胞間領域の形質細胞で, ミトコンドリア, 粗面小胞体, ゴルジ装置などの細胞内小器官が立体的に観察され, 症例によつて異なつた形態を示していた.
    これらの細胞内小器官は形質細胞の持つ抗体産生機能の変化に応じて形態変化しているものと考えられた.
  • 藤原 敏浩
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1137-1143
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口腔・咽頭癌術後の症例のリハビリテーションのために, 発語明瞭度検査用の20音節リストを選定した. 無意味100音節リストは検査に時間がかかるので臨床に適さず, 日常会話に使用しない音節を多く含む. そこで日常会話でよく使う20音節を, 徳川夢声対談「問答有用」15,496音節の頻出率から選び20音節リストを選定した. 20音節リストは 「あ」,「い」 「う」 「お」,「か」,「こ」,「し」,「す」,「た」,「て」,「と」,「な」,「に」,「の」,「も」,「ら」,「る」,「わ」,「が」および「で」である. この20音節リストは, 無意味100音節リストよりも日常会話の評価に適した.
  • 門脇 敬一, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1144-1146
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は48才, 男性で胃癌 (Borrmann III型) 術後, 約1年4カ月後, 両側口蓋扁桃にに転移癌がみられた. 転移性扁桃癌はまれであり, 胃癌から口蓋扁桃に転移したものは非常にまれである. 転移経路としては, 明らかな肺転移はみられなかつたが, 頸部リンパ節転移もないことから血行性転移と考えた. 治療目的で, 減荷手術として両側口蓋扁桃摘出術を行つた. しかし, 転移巣発見後, 約8カ月で死亡した. 非常にまれな口蓋扁桃転移癌を経験したので, 文献的考察を加え報告した.
  • 岩下 和人, 竹内 裕美, 宮澤 裕, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1147-1149
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    新生児耳下腺膿瘍は近年の抗生剤の急速な進歩, 新生児医療施設の整備によりきわめて希な疾患となつた. われわれは生後39日男児の新生児耳下腺膿瘍の1例を報告した. 本症例では初診時炎症所見に乏しく腫瘍との鑑別が必要であつた. 新生児にも容易に行える超音波エコー法は病変の性状, 耳下腺との関係を知り腫瘍との鑑別に有用であつた. 感染経路はリンパ行性感染が疑われた. 膿瘍の穿刺排膿を行い, 膿汁の細菌学的検査結果より原因菌は黄色ブドウ球菌であつた.
  • 浅生 宏, 鈴木 健男, 門脇 秀夫
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1150-1153
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    3歳男性の耳下腺結核の1症例を報告した. 1カ月前より無痛性の腫脹をきたし, 浅葉摘出術によつて摘出した. 病理組織学的診断によつて結核症と診断された. 術後に抗結核剤を使用し再発はない. 1950年以降, 耳下腺結核は増加しているが, 小児の占める割合は逆に減少している. 耳下腺の腫脹を診断する時に耳下腺結核を考慮すべきである.
  • 村上 博, 竹内 裕美, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1154-1157
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 54才性の左耳下腺に発症した腺房細胞腫について報告した.
    2. 全身麻酔下に腫瘍を浅葉の一部と共に全摘出した.
    3. 病理組織学的診断にて腺房細胞腫と確定診断されたが, 手術的に十分な切除が行えたと判断し, さらに治療は加えなかつた.
    4. 現在患者は経過良好であり, 局所再発, 遠隔転移などを認めていない.
    5. 腺房細胞腫は, low grade malignancyに属し予後不良の腫瘍であり, 厳重な経過観察を行う必要がある.
  • 浅生 宏, 鈴木 健男, 門脇 秀夫
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1158-1161
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    54歳女性の耳下腺悪性黒色腫の1症例を報告した. 3カ月前より右耳下腺の腫脹をきたし, 同時に左頭頂部にも腫瘍を認めた. 右耳下腺亜全摘術と右機能的頸部郭清術および脳腫瘍摘出術を行い, その後化学療法を行い再発はみられない. 耳下腺悪性黒色腫はほとんどが頭部や頸部の皮膚からの転移と言われてる. 文献的考察を加えて報告した.
  • 松尾 聡, 藤田 和寿, 生駒 尚秋
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1162-1165
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性で, 初診前1カ月前に摂食後嚥下痛が出現し, 持続するため近医耳鼻 咽喉科を受診し咽頭腫瘍を疑われて1989年4月25日当科に紹介された. 咽頭所見では右側口蓋扁桃を中心に白苔を伴つた潰瘍性病変を認めた. 喉頭蓋粘膜は不整で一部白苔を伴つていた. また左顎下部に硬い母指頭大のリンパ節を触知した. 胸部X線検査で両側上肺野に陰影を認めた. 栄養はやや不良で1カ月で約15kgの体重減少があつた. 右側口蓋扁桃から生検し, 乾酪肉芽腫が証明された. 6カ月間の入院で, イソニアジド・リファンピシン・ストレプトマイシンの3者併用療法を行い, 臨床症状と局所所見は消失して, 退院となつた.
  • 中島 幹夫, 生駒 尚秋, 鈴木 健男, 竹内 裕美, 神崎 裕士, 槙野 博規, 杉原 三郎, 太田原 舜一, 堀江 貴, 麻木 宏栄, ...
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1166-1170
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳鼻咽喉科領域の感染症と術後感染予防に対するSunbactam/Cefoperazoneの臨床効果と安全性について検討した.
    1. 感染症に対する有効率は88.3%であつた. とくに重症感染症には94.1%の有効率を認めた.
    2. 術後感染予防投与における有効率は94.7%であつた.
    3. 副作用の発現率は1.0%であり, 重篤な副作用は認めなかつた.
    以上の結果によりSulbactam/Cefoperazoneは耳鼻咽喉科領域の感染症と術後感染予防にたかい有用性と安全性を持つと考えられる.
  • 鈴木 健男, 竹内 裕美, 伊藤 和行, 岩下 香代子
    1990 年 36 巻 5Supplement6 号 p. 1171-1176
    発行日: 1990/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    小児ハウスダスト, ダニ鼻アレルギーに対し減感作療法導入期にセルテクトを投与し, 非投与群との比較検討を行い以下の結果を得た.
    1. 重症度よりみた改善率は投与群で40%, 非投与群で45%であつた. 投与群において, くしやみ消失例が多く, 鼻誘発テストで改善率が高かつた.
    2. 患者背景別の重症度改善率はセルテクト併用の有無で大きな差はなく, 減感作療法を含め治療の違いによらず症状が改善しやすい例としがたい例があるものと考えられた.
    3. 副作用は下痢が1例に見られたが投与継続で消失した. セルテクトは小児鼻アレルギーに対しても安全で効果が期待できる薬剤と考えられた.
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