鼻アレルギー患者のイヌ. ネコ上皮の抗原特異的IgE値を測定し (AlaSTAT法), イヌ・ネコ抗原に対する感作状況を検討した.
イヌまたはネコの飼育経験のある鼻アレルギー患者50例の検討では, ネコの飼育経験のある患者のうち, ネコ上皮の陽性例は27例中9例 (33%), イヌの飼育経験のある患者のうちイヌ上皮の陽性例は38例中1例 (3%) であった. 飼育期間が短か症例にも感作を認めた. 喘息の既往と感作の間には関連を認めなかった. イヌ上皮にくらベネコ上皮に感作された症例が多かった. また, ハウスダストとダニに感作されている症例に, ネコ上皮に対する感作例が多かった.
ハウスダストとダニに強く感作されている鼻アレルギー患者51例の検討では, ネコ上皮の陽性例は31例 (61%), イヌ上皮の陽性例は7例 (14%) であった. この内, 6例はイヌ上皮とネコ上皮ともに陽性であり, イヌ上皮のみが陽性であったものは1例だけであった.
鼻アレルギー患者のイヌ・ネコ抗原に対する感作状況は, 今までに報告されてかる喘息患者の感作状況と差がなく, イヌ・ネコ抗原は, 鼻アレルギーにおいても重要な原因抗原と考えられる. また, 飼育の有無にかかわらず, 日常生活の中で何らかの経路で, イヌ・ネコ抗原に感作されている可能性があり, 特に, ハウスダストとダニに強く感作されている個体は, イヌ・ネコ抗原に感作されやすいことが示唆された.
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