耳鼻と臨床
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原著
症例報告
  • 井野 千代徳, 大津 和弥, 花田 巨志, 井野 素子, 田邉 正博
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 66 巻 5 号 p. 144-153
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    CT 画像上で顎下腺が萎縮・消失していることを確認することで診断・治療が進んだ 2 例を報告した。1 例目は 79 歳男性で深頸部膿瘍の症例である。熱発が無く、CRP は陰性、白血球数の増加も認めず不可解な経過であったが、頸部 CT で両側顎下腺の萎縮・消失を確認することでシェーグレン症候群(SS)を疑った。膠原病では、ある種のサイトカインの影響で炎症があっても CRP などの通常の炎症指標に反映されないことがあることより、このような結果になったのではないかと思われた。経過中の検査で潜在性シェーグレン症候群(Subclinical sjoegren 症候群、SCSS)と診断された。2 例目は 83 歳女性で心不全を持つ症例であり、慢性心不全の増悪があり、利尿剤を投与されたが改善せず、さらに悪化したため当院内科に入院した。画像診断で誤嚥性肺炎が疑われ、食事中に喉頭周囲でゴロ音が聴取されることより喉頭周囲の観察と嚥下評価を兼ねて当科に紹介された。口腔・咽頭粘膜の高度の乾燥と内科で撮影された CT で顎下腺の萎縮を確認できたことより SS を疑うことで、症状の理解が進んだ。嚥下機能評価では障害は軽度と判定されたことより口腔・咽頭の粘膜の乾燥が嚥下障害の原因と推察した。患者は慢性心不全の増悪で利尿剤の投与を受けてさらに体調の悪化があり、同薬剤を中止することで症状の改善があったことより SS で粘膜乾燥が存在する状態に薬剤負荷でその増悪を来して嚥下障害・誤嚥性肺炎に至ったものと推測した。入院中の検査で SS と確診された。耳鼻咽喉科頭頸部外科では必然的に頸部 CT を眼にする機会が多い。そこで顎下腺の萎縮に気付くことで病態の理解が進み、診断・治療の展望が開けることがある。口内乾燥の有無にかかわらず、常に意識を持って読影に臨む必要性を強調した。当科での検討では SS の約 70%が顎下腺の高度萎縮以上であったことも併せて報告した。

  • 宮本 佑美, 永野 広海, 大堀 純一郎, 黒野 祐一
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 66 巻 5 号 p. 154-160
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は過去には Histiocytosis X とされ、病状に応じて Letterer-Siwe 病、Hand-Schüller-Christian 病、好酸球性肉芽腫に分けられていたが、現在はすべて LCH と表現されている。本疾患は腫瘍性疾患と炎症性疾患の両方の特徴を併せ持つ特異的な疾患である。LCH はさまざまな臓器で組織傷害を来す疾患であるため、症状は発熱、皮疹、難治性の中耳炎、難聴、骨痛など多岐にわたる。耳鼻咽喉科領域では、天蓋部を除く頭蓋顔面骨の病変は中枢神経晩期合併症を来し得る中枢神経リスク病変である。これまでの報告では側頭骨領域が多く、眼窩、篩骨洞領域は症例報告が散見されるのみで極めてまれである。今回われわれは、当初顔面外傷による眼瞼腫脹が疑われ当科受診し、眼窩から篩骨洞に原発した限局性病変の LCH の診断に至った症例を経験したため、若干の文献的考察を加えて報告する。

第35回西日本音声外科研究会
原著
  • 髙島 寿美恵, 金子 賢一
    原稿種別: 原著
    2020 年 66 巻 5 号 p. 163-167
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    経鼻的に軟性内視鏡、経口的に鉗子等を挿入して局所麻酔下に喉頭・下咽頭病変に対し手術や生検を行う手技は、低侵襲で外来でも施行可能であり、当科では術者と助手の 2 名、または術者単独で行っている。この経口的喉頭内視鏡手術の有用性、安全性について検討した。対象は 2015 年 1 月 − 2019 年 11 月に長崎大学病院耳鼻咽喉科にて局所麻酔下に本術式を行った 78 名で、疾患は喉頭・下咽頭疾患 79 例(腫瘍 33 例、一側性声帯麻痺 16 例、声帯ポリープ 8 例、喉頭肉芽腫 7 例、声帯結節 5 例、その他 10 例)である。結果は、これらに対し声帯内注入 79 件、生検 35 件、腫瘤切除 24 件、嚢胞切開 4 件、レーザー蒸散 1 件の計 143 件(重複 3 件)を行い、助手と 2 名で 83 件、術者単独で 57 件を施行しそれぞれ 98.8%、94.7%といずれも高い完遂率であった。合併症は喉頭浮腫と血管迷走神経反射が各 1 例みられたが、いずれも軽症であった。本術式は、有用で安全な術式であると考えられた。

症例報告
  • 江原 浩明, 福原 隆宏, 森崎 剛史, 片岡 英幸, 竹内 裕美
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 66 巻 5 号 p. 168-171
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    われわれは、喉頭外傷により輪状軟骨骨折を生じた 25 歳男性例を経験した。喉頭内視鏡検査では声門下狭窄を認め、CT では輪状軟骨の多発骨折を認めた。できるだけ早期に、輪状軟骨整復術を行った。術野を展開する際、Alexis®ウーンドリトラクターを使用した。 その後、喉頭截開を行い、輪状軟骨の多発骨折を確認した。輪状軟骨板を特徴的な針付縫合糸を用いて縫合固定した。その針は、狭い喉頭腔でも操作しやすく、針と糸の連結部が滑らかであり、鋭利な部分がなく、糸が重なることもないため、軟骨が裂けることなく縫合可能であった。骨折した輪状軟骨板を縫合固定するのに、音声手術用針付縫合糸®が有用であった。

  • 金子 賢一, 髙島 寿美恵
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 66 巻 5 号 p. 172-176
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    生活習慣の改善とともに自然寛解に至った成人型再発性喉頭乳頭腫例を経験したので報告する。症例は 47 歳、男性。2 年来の嗄声を主訴として来院。喉頭乳頭腫と診断し、喉頭微細手術下に声帯膜様部の乳頭状腫瘤を切除した。同時にヨクイニンの内服を開始した。以後両側声帯に再発を繰り返し、そのたびに手術により切除した。6 回目の手術を行ったあと、いったん再発した腫瘍が縮小に転じた後に消失し、以後その状態を維持している。本人によると、直近の手術直後から健康管理を目的として食生活の改善と運動を開始しており、以後体重が適正となり、便通も改善して、体調が非常によくなったとのことであった。喉頭乳頭腫を含むヒト乳頭腫ウイルス(HPV)感染症に自然寛解例があることは知られているが、一般的に細胞性免疫能が向上すれば HPV による病変は制御されると考えられる。本症例では免疫状態の評価はされておらず、腫瘍の消失と生活習慣の改善との因果関係も不明ではあるが、再発を繰り返す成人型の難治例においても症例によっては自然寛解に至ることが分かった。

  • 田口 亜紀, 兵頭 直樹, 玉井 東代, 河島 早苗
    原稿種別: 症例報告
    2020 年 66 巻 5 号 p. 177-180
    発行日: 2020/09/20
    公開日: 2021/09/20
    ジャーナル フリー

    変声障害にて音声機能外科手術を施行した症例に対して音声治療を行い、音声が改善した。41 歳男性、主訴は声の翻転。中学生より声のピッチが高かった。仕事で高齢者に声が聞き取りにくいと言われ、他院で甲状軟骨形成術Ⅲ型を施行するも、術後 3 カ月経過しても声のピッチが安定しないため、音声治療を施行した。音声訓練はハミングを中心に行った。低音発声では声の翻転が著明だったため、やや高めのピッチ発声で安定させた後、徐々に低音に誘導した。音声治療後、声の翻転は消失しピッチも従来の話声位に安定した。

抄録
臨床ノート
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