耳鼻と臨床
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43 巻, 3 号
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  • 任 重
    1997 年43 巻3 号 p. 297-300
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    臨床的研究では, 側頭骨内顔面神経麻痺においては眼輪筋の方が口輪筋より受傷性が高く, その回復も口輪筋のそれより遅延する傾向があることが示唆された. 今度, モルモットを用いて急性-過性顔面神経麻痺モデルを作り, 眼輪筋と口輪筋の誘発筋電図を比較検討した. 眼輪筋の圧迫直後と圧迫前の反応域値の差が口輪筋のそれより大きく, 眼輪筋支配神経の方が口輪筋支配神経より有意に回復時間がおくれることが示された. 眼輪筋支配神経は口輪筋のそれより受傷性が高く, また口輪筋支配神経線維は圧迫に対して抵抗性が強いと結論する.
  • 糸数 哲郎, 古謝 静男, 真栄城 徳秀, 大輪 達仁, 下地 善久, 野田 寛
    1997 年43 巻3 号 p. 301-304
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1987年から1994年まで当教室で経験した舌癌のうちレーザーによる腫瘍切除術を施行したT1N0, T2N0症例28例について検討した.
    術後9例に頸部リンパ節後発転移が認められ, 全例が術後1年以内の再発であった. 頸部後発転移9例のうち, 2例を除いて頸部郭清術で腫瘍は制御可能であつた.
    頸部後発転移を来した9例のうち4例では, 摘出標本の病理組織学的検討で, 腫瘍の筋肉組織への浸潤が認められ, 2例では脈管侵襲が認められた.
    摘出標本の病理組織学的所見で, 腫瘍の筋層への浸潤や脈管侵襲が認められた症例では, 術後少なくともl年間は頸部後発転移について, 厳重な経過観察が必要であると思われた.
  • 秋定 健, 折田 洋造, 佐藤 幸弘, 半田 徹, 吉弘 剛, 河合 晃充, 武 浩太郎, 東川 康彦
    1997 年43 巻3 号 p. 305-309
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Hunt症候群は耳介, 外耳道の帯状庖疹に顔面神経麻痺, 難聴, めまいを呈するが, その臨床症状は多彩で不全型も多い. 今回われわれは耳性帯状庖疹に前庭症状のみを示した症例を経験した. 症例は13歳女性で左耳介, 外耳道に湿疹, 水庖が出現し, 翌日からのめまい, 嘔吐で入院となつた. 顔面神経麻痺はなく純音聴力検査は正常で, 眼振検査は右向き水平回旋混合性の頭位眼振を認めた. 温度眼振検査はCPであった. VZVの血清抗体価は128倍と高値を示した. ステロイド, 抗ウイルス剤, ビタミン剤などで入院3日目にはめまいは消失し歩行可能となったが, 温度眼振検査はCPで, 頭振り眼振は8ヵ月後まで出現した. 耳性帯状庖疹に前庭症状のみを呈した症例は高原ら, 調が報告しているが最近報告はなく極めて稀な症例と思われる.
  • 長山 郁生, 北 桂子, 竹下 元, 志賀 英明, 古川 仭
    1997 年43 巻3 号 p. 310-313
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    53歳男性にみられた舌下腺腺様嚢胞癌の1例を報告した. 初診時舌右半側は萎縮しており, 舌下神経への浸潤を思わせた. 下顎骨離断により術野を作成しできるだけ大きな辺縁を保ち腫瘍を摘出した後, 腓骨皮弁により口腔底を再建した. 摘出標本による病理診断は腺様嚢胞癌であつたが, 神経断端浸潤がみられたため術後照射を行つた. 術後の音声およびそしゃく機能は良好であつた. 文献的には本例は84例目に相当する.
  • 野田 哲哉
    1997 年43 巻3 号 p. 314-317
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭や口腔の症状を訴えて田川市立病院耳鼻咽喉科を受診した患者の中で, 視診でほとんど異常を認めない者を対象として, 咽頭反射の大きさと動揺病の関係を調べた. 間接喉頭鏡を咽頭後壁に付けなくても咽頭反射が起こる場合を強い反射とし, 鏡を咽頭後壁に付けると反射が起これば中等度の反射, 咽頭後壁に付けても反射が起こらない場合を弱い反射とすると, 咽頭反射の強い者のほうが弱い者より, 有意に動揺病の経験者の割合が高かつた. また, 歯をみがく時に吐きそうになることがある者はない者より有意に動揺病の経験者の割合が高かつた. これらの結果から咽頭反射と動揺病の間に何らかの関係があることが推察された.
  • 山下 弘之, 柳内 統, 西尾 正道, 田山 二朗, 三富 夏彦, 新美 成二, 井上 鐵三, 唐帆 健浩, 柳原 尚, 森 敏裕, 進 武 ...
    1997 年43 巻3 号 p. 318-325
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉頭撮影は嚥下機能検査, 喉頭部病変の診断に有用な検査法であり, 気管支内に流入しても安全な造影剤が必要である. 従来は造影剤にディオノジールが使用されていたが, 製造・販売中止のためこれに替わる造影剤が求められている.
    われわれは, 咽喉頭撮影用造影剤として浸透圧濃度が体液と等張で, 化学毒性および局所刺激性が弱い特徴を持つイオトロラン300に注目し, 誤嚥の恐れのある患者61例を対象に本剤の安全性および有用性を検討した. コントラストは良好であり, 嚥下動態, 誤嚥などの造影所見が得られ, 嚥下訓練などのリハビリの方針決定, あるいは手術の必要性, 手術法の選択などの有用な情報が得られた. 誤嚥を認めた43例を含む全例に肺炎や発熱などの副作用は認められなかつた.
    イオトロラン300は, 安全で有用な咽喉頭撮影用造影剤である.
  • 荻野 敏, 渡邊 信一郎, 入船 盛弘, 原田 保
    1997 年43 巻3 号 p. 326-333
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎184名 (男性97名, 女性87名) においてアレルゲンの検索をCAP-RAST法を用いて行った. HD1とDFの陽性率が最も高く58%, スギ, ヒノキ, カモガヤと続いた, 性別ではほとんどのアレルゲンで男性が女性に比べ高い陽性率であり, 特にHD1, DF, RW, ネコでは, 有意に男性が高率であつた. HD1, DFでは年齢が低いほど陽性率は高かつたのに対しスギ, ヒノキ, カモガヤの花粉では21~40歳に陽性率のピークが見られた. スギの陽性者の約70%でヒノキも陽性であつた. 反対にスギが陰性の症例でヒノキが陽性であつた症例は1名に過ぎなかつた. カモガヤとの関連では, スギ, ヒノキとも陽性の症例でカモガヤの陽性率も高く, 3アレルゲン間で重複感作されている率が高かつた. CAP-RASTの単位で比較すると, スギとヒノキ間に有意な相関が認められ, 共通抗原性の存在が疑われた.
  • 白老町の調査からの一考察
    三好 彰, 馮 霓, 三邉 武幸, 鈴木 恵美子, 徳丸 敬, 程 雷, 殷 敏, 徐 其昌, 殷 明徳, 松井 猛彦, 尾登 誠, 小島 ...
    1997 年43 巻3 号 p. 334-339
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    わが国の鼻アレルギー有病率は70年代から10年間に激増したが, それ以降は増加傾向が見られないとされていた,
    しかしわれわれの北海道白老町学校健診における6年度間の, 同一検者による同一条件の被験者の経時的・系統的な観察結果では, 89年度以後も鼻アレルギー有病率は上昇し続けている.
    70年代の鼻アレルギー有病率激増は, 見かけ上増加要因の加味された増加であつたとされる. それに対し80年代の有病率増加の停止は, 見かけ上増加要因の消失によってもたらされたものであり, その間も実質的増加傾向は不変だつた可能性も高い.
    わが国の鼻アレルギー有病率増加傾向は, 70年代から現在まで継続しているものと推測される.
  • 馬場 駿吉, 宮本 直哉, 市川 銀一郎, 山川 卓也, 中村 美弥子, 板橋 隆嗣, 石井 哲夫, 高山 幹子, 吉原 俊雄, 坂本 裕, ...
    1997 年43 巻3 号 p. 340-352
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Prulifloxacin 200mg単回投与時の抗菌活性本体UFXの副鼻腔粘膜組織内濃度は, 投与後70~120分で1.13~1.47μg/gであり, 各組織濃度の対血清濃度比は上顎洞粘膜0.51~1.85, 節骨洞粘膜1.46~2.63, 鼻茸0.80~1.00であった.
    本剤200~600mg/日投与時の疾患別有効率は, 急性副鼻腔炎94%, 慢性副鼻腔炎の急性増悪71%で, 副鼻腔炎全体では84%であつた. X線改善率は57%であつた.
    細菌学的効果はグラム陽性菌単独感染95%, グラム陰性菌単独感染89%, 嫌気性菌単独感染100%の消失率であつた. 一方複数菌感染の消失率は86%であつた.
    副作用は発疹1例, 下痢1例が認められたが, 投与継続または減量により症状は消失した. 臨床検査値異常変動は認められなかった.
  • 馬場 駿吉, 宮本 直哉, 市川 銀一郎, 山川 卓也, 中村 美弥子, 板橋 隆嗣, 石井 哲夫, 高山 幹子, 吉原 俊雄, 坂本 裕, ...
    1997 年43 巻3 号 p. 353-365
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Prulifloxacin 200mg単回投与時の抗菌活性本体UFX濃度は, 口蓋扁桃組織において投与後60~300分で1.10~1.79μg/g, 唾液腺組織においては投与後70~120分で1.23~4.13μg/gであつた. 口蓋扁桃組織濃度の対血清濃度比は0.50~4.37であつた.
    本剤200~600mg/日投与時の疾患別有効率は, 扁桃炎85%, 咽喉頭炎75%, 化膿性唾液腺炎67%であつた.
    細菌学的効果は扁桃炎90%, それ以外の疾患で80%の消失率であつた. 扁桃炎での分離菌別消失率は92%であつた.
    副作用は皮疹, 嘔気, 軟便各1例が認められたが, 投与継続中または終了後に症状は消失した. 臨床検査値異常変動は好酸球増多2例, 総ビリルビン上昇1例が認められた.
  • 馬場 駿吉, 宮本 直哉, 市川 銀一郎, 山川 卓也, 中村 美弥子, 板橋 隆嗣, 石井 哲夫, 高山 幹子, 吉原 俊雄, 坂本 裕, ...
    1997 年43 巻3 号 p. 366-378
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Prulifloxacin 200mg単回投与時の抗菌活性本体UFXの中耳組織内濃度は, 投与後2~3時間で5.24~8.00μg/g, 投与後約9時間でも8.25μg/gが認められた.
    本剤200~600mg/日投与時の疾患別有効率は, 急性中耳炎100%, 慢性中耳炎の急性増悪63%, 外耳炎75%であつた.
    細菌学的効果は中耳炎72%, 外耳炎83%の消失率であつた. 中耳炎での分離菌別消失率はグラム陽性菌74%, グラム陰性菌86%であった.
    副作用はめまい1例, 下痢・嘔気1例が認められ, いずれも投与中止により症状は消失した. 臨床検査値異常変動は好酸球増多, S-GOT・S-GPT上昇, 血清K上昇各1例が認められた.
  • 1. 講演 (特別講演)
    1997 年43 巻3 号 p. 381-385
    発行日: 1997/05/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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