1. われわれは1984年より佐賀医科大学研究棟の屋上にDurhamの標準花粉検索器 (改良型) を設置して花粉の飛散状況を観察しているが, 今回スギ花粉の飛散状況と気象およびスギ花粉症の患者のRASTの結果との関連について検討した.
2. 飛散総数は1984年は1,207個, 1985年は751個, 1986年は1,234個であつた. 飛散総数と前年7月の平均気温および平均湿度との間には相関が認められなかつた.
3. 1986年においては, スギ花粉は2月半ば過ぎより平均気温が上昇した日に散発的に飛散していたが, 3月4日よりの平均気温の急激な上昇と共に本格的に飛散し始め, 10日までは平均気温も高く日照時間も長い日が続き多量の飛散がみられ, 10日にはピークに達しているが, 10日夜より降雨が続くと共にその後は急激に減少し, 降雨がなく日照時間が長い日は一時的に多数の飛散がみられた日もあつたが, 飛散数は徐々に減少してゆき4月7日には終了していた. 風速, 風向 (平均最多風向) および平均湿度と飛散数との間にははつきりした関係は認められなかつた.
4. スギ花粉症のRASTのPRU値の平均値は, 1984年は1985年および1986年より有意に高かつた.
抄録全体を表示