耳鼻と臨床
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55 巻, 6 号
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原著
  • 久保田 和法, 君付 隆, 白土 秀樹, 松本 希, 小宗 静男
    2009 年 55 巻 6 号 p. 229-235
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    側頭骨 CT で蝸牛瘻孔を認めた 5 症例を経験した。過去の文献では蝸牛瘻孔は真珠腫を原疾患とする報告が多い。しかし、今回の蝸牛瘻孔 5 症例の原疾患は癒着性中耳炎が 4 例、コレステリン肉芽が 1 例であり、真珠腫症例はなかった。手術で明視下に蝸牛瘻孔の手術操作を行った症例は術後聾になり、手術中蝸牛瘻孔を確認しなかった症例では術後聴力が保たれた。癒着性中耳炎では、術前 CT にて蝸牛瘻孔の確認が必須で、術中は瘻孔を明視下に置かない操作が重要であると考えられた。
  • 古西 隆之, 川崎 聡大, 小野田 友男, 福島 邦博, 千田 益生, 西崎 和則
    2009 年 55 巻 6 号 p. 236-242
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    喉頭全摘出後の TE シャントを用いた代用音声の有用性について検討を加えた。日常生活場面におけるコミュニケーションレベルの説明変数として CADL 簡易版を改変して用いた。対象は喉頭癌および下咽頭癌術後患者 5 名 (TE 例) と喉頭部分摘出を行った患者 1 例の 6 名である。TE 例のうち 4 例は主たるコミュニケーション手段として代用音声が機能した。TE 例のうち非良好であった 1 例ではシャント不良により有効な発声持続が確保できなかった。その要因としては永久気管孔の閉鎖困難、食道後壁への圧迫といった要因が挙げられる。TE 良好例では CADL スコアも部分摘出例に比し良好に保たれた。訓練に要した期間はおおむね 10 週間程度であり、さらに部分摘出例に比して TE 良好例では明らかに発話に伴う疲労度が小さいという結果を得た。コミュニケーション手段として TE シャントによる代用音声が有効な手段の一つであることが示された。
  • - Narrow Band Imaging (NBI) による下鼻甲介微細構造の観察 -
    高野 信也, 森川 敬之
    2009 年 55 巻 6 号 p. 243-248
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    1 %ヒスタミン (シグマ社製) を点鼻負荷し、その後 5 分間の下鼻甲介表層粘膜の血管構築を自然光および NBI で 1 分おきに観察した。1 ) アレルギー性鼻炎症例の全例で平均 1.0 分から下鼻甲介毛細血管拡張を認め、間質浮腫を平均 2.2 分から認めた。2 ) アレルギー性鼻炎症例では即時相反応の発現が早かった。3 ) 非アレルギー性鼻炎症例の全例で平均 2.0 分から下鼻甲介毛細血管拡張を認め、3 例 (42.8%) で平均 3.0 分から間質浮腫を認めた。4 ) 非アレルギー性鼻炎症例ではアレルギー性鼻炎症例に比べて即時相反応の発現が遅かった。
  • - Narrow Band Imaging (NBI) による下鼻甲介微細構造の観察 -
    高野 信也, 森川 敬之
    2009 年 55 巻 6 号 p. 249-256
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    自律神経薬を鼻粘膜に負荷し、鼻粘膜微細血管構築の変化を自然光および NBI で観察した。(1)エピネフリン負荷で 13 例全例において平均 1.8 分で血管収縮が始まり、平均 4.4 分で血管拡張が始まった。(2)硫酸サルブタモール負荷で、アレルギーを認めない症例では反応を認めない。(3)硫酸サルブタモール負荷で、鼻汁型アレルギー症例の 25%で負荷後 5 分に血管拡張を認めた。(4)硫酸サルブタモール負荷で、鼻閉型アレルギー症例全例において平均 4.0 分で血管拡張が始まった。(5)鼻閉型アレルギー症例において、β-アドレナリン刺激剤はロイコトリエン等に対しては促進的に働き、鼻閉を出現させている可能性がある。(6)抗コリン薬負荷で、アレルギー性鼻炎症例の 85.7%で血管拡張を認めた。(7)アレルギー性鼻炎症例において、ムスカリン受容体での過剰反応が起きている可能性がある。
  • 谷本 洋一郎, 松根 彰志, 黒野 祐一
    2009 年 55 巻 6 号 p. 257-263
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    初診時の急性進行性の視力障害より鼻性視神経炎も否定できず、緊急手術を行った Miller Fisher 症候群 (以下 MFS) の 1 例を報告した。MFS は本症例のように症状や画像所見より鼻性視神経炎を必ずしも否定できないことがある。その他、本疾患はめまい、ふらつきを主訴に耳鼻咽喉科を受診する可能性もあり、耳鼻咽喉科の日常診療において留意すべき疾患であると思われる。
  • 三好 彰, 中山 明峰, 三邉 武幸
    2009 年 55 巻 6 号 p. 264-267
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    われわれは、変動する難聴を呈し、三叉神経知覚異常を呈した聴神経腫瘍の 1 症例を経験した。最終的に、MRI にて小脳橋角部の腫瘍を確認し診断に至ったが、聴神経症状に加えて三叉神経症状の把握が重要であった。耳鼻咽喉科外来診療における 12 脳神経の基本的検査の必要性について、再認識させられた。
  • 君付 隆, 高岩 一貴, 小宗 静男
    2009 年 55 巻 6 号 p. 268-273
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/11/01
    ジャーナル フリー
    中耳手術前には、できるだけ耳漏を停止させ、炎症のない乾燥した状態で手術をすることが望ましい。しかし、手術直前になって感染が再燃する症例もまれではなく、術前の処置が十分にできない症例も多い。新しく発売されたキノロン系抗菌剤であるメシル酸ガレノキサシンは、耳鼻咽喉科領域感染症の主要起炎菌に対して強力な抗菌活性を示し,有効性においても優れた早期改善効果が期待される。鼓室形成術直前に耳漏や肉芽増生などの炎症所見を認めるも、メシル酸ガレノキサシンが有効であった慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎、中耳肉芽腫性炎の 3 症例について報告する。
臨床ノート
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