耳鼻と臨床
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49 巻, 4 号
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  • 山本 馨, 伊藤 恵子, 佐竹 研一, 高橋 優宏, 佃 守
    2003 年 49 巻 4 号 p. 213-215
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    聴神経腫瘍による難聴は徐々に進行するものが多いとされているが近年突発難聴を呈するものも少なくない。1996年4月から2002年3月までの過去6年間に当院を受診した突発難聴症例のうち側頭骨MRIで聴神経腫瘍と診断された6例につき検討を行った。主訴として耳鳴が全例に認められ、聴力低下5例、眩暈は1例であった。聴力像にて3例が谷型を示した。SISItestは陽性1例、陰性3例であった。突発難聴に対し施行したステロイド治療に反応を示したもの (回復以上) は2例であった。
  • 宇高 毅, 藤吉 達也, 平木 信明, 森尾 崇, 吉田 雅文, 牧嶋 和見, 土生 秀明
    2003 年 49 巻 4 号 p. 216-221
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中咽頭に発生した髄外性形質細胞腫を報告した。本症例は、生検病理組織検査で形質細胞腫が疑われたものの、免疫組織化学染色でモノクローナル免疫グロブリンの証明が行えなかったため、診断確定に苦慮した症例であった。このため、EMPとの確定診断は、尿中Bence Jones蛋白陽性等、その他の臨床検査所見と併せて総合的に行った。また所属リンパ節転移を伴い、放射線治療に抵抗性を示す難治例であったが、有効な化学療法の選択が行えたため良好な結果が得られた。EMPは腫瘍が小さく摘出可能な症例では、手術と放射線治療が有効とされているが、手術困難な症例ではそれらに加えて適切な化学療法を選択することで根治可能であることが示唆された。
  • 平尾 隆, 吉積 隆, 佐竹 文介, 杉原 史朗
    2003 年 49 巻 4 号 p. 222-226
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1972年から2000年の約28年間に当科で治療された喉頭原発悪性腫瘍は650例であったが、小細胞癌は初めての経験であった。原発部位は喉頭蓋で、頸部リンパ節転移を認めた。治療として喉頭摘出、甲状腺左葉切除、両側頸部郭清術を行ったが、4カ月後に頸部リンパ節再発を認め、それに対し転移リンパ節摘出術を行った。しかし、再度の頸部リンパ節再発、多発性骨転移を認めたため化学療法を行ったが、初診から11カ月の経過で死亡した。本症例では初回治療の前に生検を行わず、通常の扁平上皮癌と同様の治療を行ったことが反省点と思われた。剖検の結果、腫瘍の転移は血行性リンパ行性の経路で全身に広がっていることが分かった。また免疫組織化学や電顕所見から腫瘍は神経分泌系由来の腫瘍と考えられた。
  • 浜野 巨志, 多田 直樹, 中川 のぶ子, 南 豊彦, 井野 千代徳, 山下 敏夫
    2003 年 49 巻 4 号 p. 227-230
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    難治性咽頭潰瘍にGERDが合併した症例を報告した。症例は41歳の男性で36歳の時に難治性咽頭潰瘍の診断を受けている。今回も同様に左梨状窩と披裂部に潰瘍が認められステロイドの点滴を受けたが改善が認められず当科を紹介された。当科でも異なったステロイドの投与を行ったが無効であり、症状よりGERDを疑いRIを用いて胃食道の逆流現象を調べたところ強い逆流が確認され、PPIを投与したところ速やかに症状、所見の改善が認められた。筆者らは、難治性咽頭潰瘍にGERDが合併して治癒が遷延したものと考えた。
  • -広範囲切除の適応-
    千々和 秀記, 梅野 博仁, 中島 格
    2003 年 49 巻 4 号 p. 231-234
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中咽頭上壁扁平上皮癌症例の治療成績と広範囲切除後の嚥下機能について検討した。1971年から2001年の31年間に久留米大学病院耳鼻咽喉科で治療を行った中咽頭上壁扁平上皮癌一次治療31例を対象とした。全体の5年生存率は56%、5年局所制御率は49% (stageI50%、stageII60%、stageIII80%、stageIV0%) であった。広範囲切除後の嚥下機能は6例全例が粥食もしくは普通食を摂取でき、1例のみごく軽度の嚥下障害を認めた。stageII、stageIII症例を中心として積極的に広範囲切除を行っていく必要があると考えられた。
  • 鈴木 さおり, 後藤 さよ子, 西嶋 文美, 篠 昭男, 吉原 俊雄
    2003 年 49 巻 4 号 p. 235-238
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    マイクロデブリッターで吸引鉗除された組織を用い正確な病理組織学的診断が可能か、通常の鉗子操作で切除した組織と比較し検討した。対象は、当科で施行した内視鏡下鼻副鼻腔手術6例 (内訳は鼻茸を有した慢性副鼻腔炎5例、副鼻腔乳頭腫1例) と、従来の切除術による上顎癌1例、鼻中隔癌1例、アデノイド増殖症1例の計9例であった。すべての症例で、マイクロデブリッターで吸引除去された微少組織においても正確な病理組織学的診断が可能であった。免疫染色においても、通常の鉗子標本と同様に染色された。電子顕微鏡レベルでは細胞間の拡大は見られたが、細胞自体の形態は保たれていることが確認された。
  • 澤木 修二
    2003 年 49 巻 4 号 p. 239-248
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    過去8年間に耳鼻咽喉科関連の専門医学雑誌に掲載された漢方療法の治療成績を要約し、耳、鼻、口腔咽頭喉頭と部位別に大分類し、さらにそれらに属する疾患別にまとめ、総説を試みた。漢方薬は耳鼻咽喉科の種々の疾患に繁用され、それぞれ良い効果を得ているが、なかでもアレルギー性鼻炎に多く使われている小青竜湯の効果を二重盲検法で検定した結果、偽薬との間に有意差を示す効能が証明されたのが注目された。
  • 田中 信三, 大森 孝一, 楯谷 一郎, 伊藤 壽一
    2003 年 49 巻 4 号 p. 251-255
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ファイバースコープ下の喉頭手術のために、外径4.9mm、内径2.6mmで先端の屈曲を制御できる可撓性チューブを試作した。使用方法は、両側鼻腔と咽喉頭に局所麻酔を施した後に、一方の鼻腔から喉頭ファイバースコープを挿入してビデオモニターしつつ、他方の鼻腔から可撓性チューブを声門上まで挿入する。可撓性チューブから鉗子を押し出し、先端の屈曲度と挿入の深さを調節しながら鉗子を病変に近付ける。病変を注意深く鉗子で切除する。これまで、声帯ポリープや喉頭腫瘍などの9例に本法を行った。良好な手術の視野が得られ、比較的大きな組織の鉗除が可能であった。本法は外来で行う非侵襲的な喉頭手術の一つになり得ると考えられた。
  • 田口 亜紀, 山形 和彦, 本吉 和美, 兵頭 政光
    2003 年 49 巻 4 号 p. 256-259
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    声帯の固定位が経時的に変化した外傷性両側反回神経麻痺症例を経験した。症例は18歳男性。2001年3月27日バイクで走行中にロープを首にかけて転倒し、気管断裂にて気管縫合術を他院で受けた。受傷2カ月後に当科を受診したが、両声帯はほぼ中間位に固定し、声門間隙が広く高度の気息性嗄声を呈していた。外来にて経過観察していたが、9月頃より嗄声が改善し、労作時に息切れが生じ始めた。12月15日呼吸困難のため当科緊急入院した。入院時両側声帯はほぼ正中に固定し、声門間隙はわずかだった。12月25日にEjnell法による左声帯外方移動術を施行し、呼吸困難は軽快した。
    声帯の固定位が変化したことについての若干の考察を加えて報告する。
  • 花本 美和子, 土師 知行, 末廣 篤, 竹林 慎治, 守屋 真示, 堀 龍介, 山本 達之, 八木 伸也
    2003 年 49 巻 4 号 p. 260-263
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    全身麻酔下に披裂軟骨内転術を施行した一側声帯麻痺例12例のうち、二期的に甲状軟骨形成術I型を併用した例5例と内転術のみを施行した例5例について音声の改善の程度を空気力学的、音響学的指標を用いて検討した。高度の声門閉鎖不全のある一側声帯麻痺の症例では、披裂軟骨内転術施行後に甲状軟骨形成術I型を併用することにより十分な音声の改善を得ることができた。全身麻酔で内転術を行い大まかな声帯内転を図った後、必要なら二期的にI型を追加し、音声や声帯のモニタリングを行いながらさらに細かく声帯の内方移動を図ることにより、手術のストレスの軽減と嗄声の効果的な改善が得られる。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 松原 尚子, 小山 徹也, 小宮山 荘太郎
    2003 年 49 巻 4 号 p. 264-270
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    陳旧性喉頭外傷の1例を経験した。症例は18歳女性、受傷後挿管され、抜管後声門部を中心とした狭窄を認め、当科紹介受診、受傷後約2カ月にて喉頭載開、瘢痕除去、分層植皮、コアモールド留置を行った。術後1カ月にてT-チューブと入れ替え、さらにその2週間後にT-チューブを抜去したが、再狭窄等もなく、その約8カ月後に気管孔を閉鎖した。術前後の音声機能を比較したところ、phonogramおよび音響分析において改善を認めていた。原則に従った確実な治療により音声は改善すると考えられた。
  • 東川 雅彦, 大城 康司, 竹中 洋, 辻 求
    2003 年 49 巻 4 号 p. 271-274
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    膜様部全長にわたって生じた声帯嚢胞2例の治療経過を呈示した。声帯嚢胞の治療は手術による完全摘出である。しかし完全摘出ができないケースや、完全摘出がなされたにもかかわらず音声改善に結びつかないケースを時に経験する。そのようなケースへの対応策について考察した。嚢胞が大きいほど問題点が露呈しやすいので、より慎重な対応を要求すべきと考えた。
  • 宇野 敏行, 岡野 博之, 板東 秀樹, 豊田 健一郎, 廣田 隆一, 馬場 均, 小池 忍, 只木 信尚, 久 育男
    2003 年 49 巻 4 号 p. 275-278
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは、両側声帯麻痺に対する手術には、Ejnell法を第一選択として積極的に施行している。しかし、症例を重ねるに従いいくつかの問題点が明らかになってきた。そこで、これらの問題点と、その対策法について検討した。1. 癒着・瘢痕を伴う例では、糸の牽引だけでは十分な声門開大が得られないことがあるので、適応には慎重を期すべきである。2. 甲状軟骨上の針の刺入位置、刺入方向を的確に決定し、刺入回数を減らすように注意する。3. 刺入位置の決定には、喉頭内腔から針を刺すことができるendo-extralaryngeal needle carrierが有用である。4. 牽引糸の固定には、スペーサーが有用である。われわれの用いているバイオセラム製ボタンは、薄いため違和感が少なく、糸を確実に結紮固定でき、非金属なのでCT、MRIなどの検査に支障を来さないことから、スペーサーに適している。
  • 2003 年 49 巻 4 号 p. 279-281
    発行日: 2003/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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