耳鼻と臨床
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47 巻, 2 号
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  • 井口 芳明, 平山 方俊, 山本 一博, 落合 敦, 橋本 大門
    2001 年47 巻2 号 p. 75-79
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    急性乳様突起炎は小児における急性中耳炎の合併症としてよく知られる。近年抗生剤治療の発達に伴い、典型的な経過を持っ古典的な急性乳様突起炎は減少し、隠蔽型あるいは潜在型の乳様突起炎の報告が増えてきた。成人例では、本疾患は慢性中耳炎や真珠腫に続発するものが多いといわれる。われわれは基礎疾患のない、急性中耳炎に続発した、33歳男性の古典的な急性乳様突起炎を報告した。本症例は急性乳様突起炎の典型的な所見、すなわち乳様突起部の腫脹、耳介聲立、外耳道後上壁の腫脹を有していた。CTでは、真珠腫の合併が疑われ、鼓膜切開や抗生剤治療に抵抗するため、乳様突起単削開術を施行した。手術所見では真珠腫は認められず、乳様突起は肉芽で充満していた。そのため肉芽除去を行い、消炎後に二期的に創部を閉鎖した。患者は術後10日で退院した。本症例は真珠腫のない古典的な急性乳様突起炎と考えられた。
  • 2例の検討
    馬場 奨, 岩井 大, 榎木 博茂, 北尻 雅則, 池田 浩己, 宮本 真, 豊 紘, 山下 敏夫
    2001 年47 巻2 号 p. 80-84
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    反復性多発性軟骨炎の2症例を経験した。いずれも両側耳介軟骨炎、気道軟骨炎などを示し、McAdamの診断基準を満たしていた。気道軟骨障害による気道狭窄が予後を左右するとされ、厳重な長期経過観察が必要と思われた。
  • 山本 英一, 兵 行孝, 河田 信, 東 祐史, 田村 奈々子, 垣内 仁
    2001 年47 巻2 号 p. 85-89
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    いびきと仰臥位での息苦しさを主訴として受診した女性が舌根部甲状腺と頭側胸骨裂を伴っていた。Tcシンチグラムにより異所性の甲状腺が診断され、CTでは著明な石灰化が認められたため悪性化を疑い、前方からの咽頭切開により腫瘤を全摘出した。病理組織では結節性甲状腺腫であり、現在、甲状腺ホルモンの内服で良好な経過をたどっている。診断は容易で、甲状腺シンチグラムが最も有効である。手術療法としては移動させるなどの機能を保存した術式が良いが、悪性化が疑われる場合は全摘出を選択すべきと考える。合併した胸骨裂は珍しいものではなく、臨床的意義は少ないが、甲状腺と胸骨との発生から考えて、舌根部甲状腺と頭側胸骨裂は胎生第7週期までの同時期の先天異常と推論した。
  • 佐々木 治夫, 田中 映子
    2001 年47 巻2 号 p. 90-93
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    伝染性単核症に扁桃周囲膿瘍が合併することはまれなようである。しかし伝染性単核症の診断は必ずしも容易でなく、血液検査を行わないと確定診断は困難である。従って血液検査をすることもなく治療されている扁桃周囲膿瘍の中には伝染性単核症が原因疾患として存在するものもあると思われる。私どもは今回単純な細菌性扁桃炎それに続発した扁桃周囲膿瘍と思い治療を始めたところ血液検査の結果伝染性単核症に併発したものであることが判明した症例を経験した。25歳の男性で1週間ほど前から咽頭痛、発熱があるということで来院、局所所見から単純な扁桃炎の診断のもとに抗生剤、鎮痛解熱剤投与、一時若干の軽快をみたがさらに症状が悪化して8日後に再来、翌日には扁桃周囲膿瘍の所見を呈し、穿刺排膿した。血液検査の結果、伝染性単核症が認められた。セフエム系抗生剤の点滴、3回の穿刺排膿で治癒した。
  • 桜井 一生, 宮城島 正和, 加藤 久幸, 加藤 小百合, 岡田 達佳, 堀部 晴司
    2001 年47 巻2 号 p. 94-97
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    早期喉頭癌の放射線治療後にリンパ節再発を来した4症例を報告した。当科における頻度は2.8%であった。原発腫瘍の再発部位は声門2例、声門上、声門下が1例ずつであり、T分類はT13例、T21例であった。再発部位は頸部リンパ節3例、縦隔リンパ節1例であった。再発癌に対する治療は3例に頸部郭清術、1例に放射線治療を行った。転帰は頸部郭清を行った2例は無再発生存中であり、他の2例は腫瘍死した。
  • 櫻庭 実, 木股 敬裕, 内山 清貴, 斉川 雅久, 羽田 達正, 林 隆一, 崎浜 教之, 海老原 充, 朝蔭 孝宏, 海老原 敏, 波利 ...
    2001 年47 巻2 号 p. 101-104
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    舌全摘症例においては、以前は喉頭合併切除が一般的であったが、近年ではより高い術後のquality of lifeを得るために喉頭を温存するようになってきた。1982年から1998年までに国立がんセンターにおいて、喉頭を温存して舌全摘術を行った30症例の、嚥下障害に対する対策について報告した。当院では、舌全摘術後の再建方法の工夫により、30例中21例 (70%) の症例で喉頭機能の温存が可能であった。しかし、喉頭温存が不可能であった9症例においては、口峡部における皮弁の容量不足、広範囲の合併切除、術前から存在する脳機能低下などが問題点として挙げられた。今後これらの問題に対しては、複合皮弁の利用や、喉頭挙上術などの追加手術、知覚皮弁の利用といった術式の工夫に加えて、再建の限界を知ることも必要と思われた。
  • 高齢者での適応拡大
    藤本 保志, 長谷川 泰久, 中山 敏, 松浦 秀博
    2001 年47 巻2 号 p. 105-109
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科では口腔癌・中咽頭癌の広範囲切除後の嚥下障害に対する舌骨喉頭挙上術.輪状咽頭筋切除術の適応を高齢者に対して拡大した。その効果を検証するため、術後の嚥下造影所見と摂食状況を検討した。拡大適応の条件は、60歳以上の患者で舌半切以上 (舌根を含む切除) 、あるいは2亜部位以上の切除を要する中咽頭広範囲切除例とした。1994年10月から1996年までを対照群(11例)とし、1996年10月から1998年11月までを拡大適応群(7例)とした。適応拡大群では全例で経口摂取が可能であった。術後の嚥下造影検査において、誤嚥の程度と梨状窩の貯留所見では対照群に対し、適応拡大群で改善がみられた。高齢者での適応拡大は有効であった。食道入口部の開大を積極的に改善でき、誤嚥のリスクを軽減できる。
  • 小泉 純子, 岩本 俊彦, 高崎 優
    2001 年47 巻2 号 p. 110-114
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    近年、高齢人口の増加並びにQOL向上を目的とした在宅医療の推進運動に伴って、在宅医療における気切高齢者管理の重要性は高まる。そこで、高齢者の特殊性を考慮しながら、その在宅管理における問題点を検討した。対象は肺結核後遺症の3例、肺気腫の1例で、以下の特徴と問題点が浮き彫りにされた。すなわち、基礎疾患からの経過が長く、患者は呼吸不全の後、HOTが導入された。経過中に肺炎や心不全が合併し、気切された。気切時の年齢は62-71歳で、予後は不良であった。気切後、譜妄、機器の使用困難、意思疎通の困難等の要因によって気切管理に支障がみられた。また、一人暮らし、高齢配偶者等の家族の構成が多く、気切管理やトラブル発生時の対応に問題が残った。以上より、気切患者の在宅管理には、現状の把握とともに在宅管理のシステム作り等、早急な対策が不可欠と考えられた。
  • 下咽頭梨状陥凹癌部分切除例
    吉田 知之, 堀口 利之
    2001 年47 巻2 号 p. 115-118
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 食道癌術後の嚥下障害
    河野 辰幸
    2001 年47 巻2 号 p. 119-121
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    食道癌術後における嚥下障害は、主に食道期に相当する段階での問題が関与している。食道癌手術例では、嚥下にかかわる咽頭期機能は食道や気管が手術操作により剥離されたり、食道経路が変更されることなどに影響されるものと推測されるが、障害の症状としては一過性である。しかし、反回神経麻痺や喉頭挙上不良など手術合併症にかかわることが原因となれば、やや繁雑な治療が必要となるため予防が最も大切である。しかしその場合でも、嚥下の訓練により誤嚥が臨床的に重大な問題であり続けることはまれである。従って、食道領域における嚥下障害への取り組みは、今後も主に代用食道の機能に関するものになると考えられる。
  • 訪問看護ステーションがかかわる現状と問題点
    高砂 裕子
    2001 年47 巻2 号 p. 122-125
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    在宅医療が1994年に法制化され、高齢者社会やQOLを求める人々の生活の変化により地域医療システムの整備とともに推し進められいる。訪問看護ステーションは、在宅医療を推進するために制度化され、小児から高齢者までまた、種々の疾病や障害を持った方へ必要な訪問看護サービスを提供している。その訪問看護サービスは、心身の状況の観察や機器の管理等の直接看護に加え、対象者をとりまく主治医をはじめとする、多種の在宅支援サービス機関との有機的な連携を実践するためのケースマネジメントまで幅広く実践している。在宅気管切開患者が、在宅でどのように生活しているかを、訪問看護ステーションのかかわりの中から報告し、問題点を示唆し課題を述べる。
  • 在宅気管切開患者のケアーの現状と問題点
    藤沢 勉, 平林 秀樹, 田中 利明, 生野 登, 馬場 廣太郎
    2001 年47 巻2 号 p. 126-129
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    在宅で介護を受けている多くの患者さんは、われわれが専門である聴覚、嗅覚、味覚、咀嚼、嚥下、音声、言語、呼吸などの障害を少なからず持っている。耳鼻咽喉科気管食道科医は、在宅医療に積極的に参加しなければならない時代が訪れた。当科における在宅気管切開患者は成人19例、小児26例である。成人の在宅年数が平均2年6カ月なのに比し、小児例では平均3年4カ月と長い。また、気道管理上認められる合併症発現率は、成人(19例)で73.7%に比し、小児(26例)で96%と高く家人への気道管理の教育を含め、医療関係者の慎重な対応が望まれる。また、合併症の一つとして認められる気管口周囲の肉芽は、在宅での治療を想定した場合、カニューレ抜去困難となる前に除去することが大切で定期的な経過観察が必要である。使用するカニューレは嚥下障害の程度、呼吸状態、原因疾患、年齢などにより異なり、カニューレの種類と特徴を把握しておく必要がある。
  • 2001 年47 巻2 号 p. 130-133
    発行日: 2001/03/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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