耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
55 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
原著
  • -重症度・糖尿病合併の有無による比較-
    中原 はるか, 前田 恵理, 坂田 阿希, 松崎 真樹, 室伏 利久
    2009 年 55 巻 5 号 p. 175-182
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    2004 年 4 月から2006 年 12 月までの 2 年 9 カ月の間に、発症後 1 カ月以内に受診し、クリニカルパスに沿って一定の入院加療を行った突発性難聴に対する治療経過を報告した。症例は、50 名(51 耳)、男性 25 名(26 耳)、女性 25 名(25 耳)であった。患側は、左 25 耳、右 26耳、年齢は、15 歳から 81 歳で平均 52 歳であった。突発性難聴での重症度基準 5) によるgrade 1 では、治療開始 2 週間後で聴力改善はほぼ飽和したが、grade が上がるにつれて、聴力が改善する期間もより長期にわたるようになり、grade 4 では 2 カ月に及んだ。いずれの重症度でも高音部の改善は得られにくかった。また糖尿病合併症例では、高音部の聴力低下が著しく、また高音部の低下は治療による改善も得られにくい傾向を認めた。
  • 山内 盛泰, 力丸 文秀, 檜垣 雄一郎, 冨田 吉信
    2009 年 55 巻 5 号 p. 183-188
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    九州がんセンター頭頸科で一次治療を行った頭頸部扁平上皮癌 724 例のうち、一次根治後の後発遠隔転移症例 44 例について検討した。重複癌がない初回遠隔転移再発例は全例が stage III または IV であった。遠隔転移は一次治療開始後平均 16 カ月で出現し、肺転移が 28 例と最多であった。95 %が 2 年以内に初回遠隔転移を生じていた。TN 制御後の肺転移単独に対する初回化学療法の効果は 5-FU /CDDP 投与群 で PR または NC が 6 例中 5 例であった。
  • 古後 龍之介, 安松 隆治, 中島 寅彦, 白土 秀樹, 門田 英輝, 小宗 静男
    2009 年 55 巻 5 号 p. 189-193
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    鼻副鼻腔乳頭腫の根治治療は手術である。手術法としては犬歯窩アプローチや鼻外切開によるアプローチが一般的であったが、近年、鼻内内視鏡手術が本疾患に用いられている。1990 年- 2008 年に九州大学病院耳鼻咽喉科において鼻副鼻腔乳頭腫の診断で根治手術を施行した 30 例について検討した。術前 MRI による腫瘍の進展範囲の推定と術中所見と相違を認めたのは 1例 (8%) のみで MRI は腫瘍の進展範囲の推定に非常に有用であった。治療方法は Krouse 分類の T1、T2 症例は ESS や犬歯窩アプローチで、T3、T4 症例は主に外切開で腫瘍の摘出を行っていた。T3 症例でも 2 例において ESS の腫瘍の摘出が可能であった。再発は 3 例 (10%) に認められた。癌合併は 6 例 (20%) に認められ、T4 症例では 3 例中 2 例 (67%) と高率であった。
第24回西日本音声外科研究会
原著
  • 荒木 謙三, 梅野 博仁, 原口 正大, 深堀 光緒子, 千年 俊一, 上田 祥久, 中島 格
    2009 年 55 巻 5 号 p. 197-204
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    一側声帯麻痺に対する声帯内シリコン注入術後に、シリコン周囲に肉芽腫が増生した症例を経験した。症例 : 62 歳、男性。主訴 : 嗄声・喉のつかえ感。現病歴 : 1993 年に他院で左副咽頭間隙の神経鞘腫摘出術を受け、術後に左迷走神経麻痺が出現した。嗄声と嚥下障害の改善目的で当科を紹介され、1994 年 11 月 11 日に外来で左経皮的声帯内シリコン注入術を受けた。術直後は嗄声と嚥下障害の改善を認めたが、徐々に嗄声の増強と喉のつかえ感が出現した。2008 年 7 月に他院で左声帯と仮声帯の腫脹を指摘され、当科を紹介された。CT、FDG-PET では左 paraglottic space に腫瘍を認め、悪性腫瘍の可能性を否定できなかった。MRI では喉頭内の肉芽腫を示唆された。8 月 26 日に甲状軟骨左板を開窓し、声帯傍間隙を明視下におくと、注入されたシリコンの周囲に硬い肉芽腫の増生を認めた。シリコンと肉芽腫の一部を切除し手術を終了した。術後は嗄声の若干の改善と喉のつかえ感の改善を認めた。病理組織検査の結果も肉芽腫で悪性所見はみられなかった。
  • 安達 一雄, 梅崎 俊郎, 片岡 和子, 松原 尚子, 小宗 静男
    2009 年 55 巻 5 号 p. 205-209
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    われわれは小児の声門および声門下狭窄症例の治療後の音声について検討を行った。いずれの症例も発声可能となったが、発声経験のあるものに比べ、ない症例では音声獲得までの期間を要する傾向にあった。また、喉頭截開を行った症例も音声獲得までの時間がかかる傾向を認めた。音声の質に関してはいずれも良好であった。
  • 二藤 隆春, 溜箭 紀子, 山岨 達也
    2009 年 55 巻 5 号 p. 210-215
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは、声門下狭窄に対してマイクロデブリッダーによる瘢痕切除を行った後、再狭窄予防のため 0.04%のマイトマイシン C を塗布し、術後 10 カ月目に気管孔を閉鎖することができた症例を経験した。喉頭・気管狭窄に対して、欧米を中心にマイトマイシン C が使用されているが、否定的な意見もみられ、いまだ評価が確立していない。病変部や塗布の条件により経過が異なる可能性があり、さらに症例を増やし検討する必要がある。
  • 田口 亜紀, 本吉 和美, 兵頭 政光
    2009 年 55 巻 5 号 p. 216-220
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/09/01
    ジャーナル フリー
    今回われわれは Ejnell 法による声帯外方牽引術を 3 度要する経過に至った両側声帯麻痺の1例を経験したので報告した。症例は 68 歳、男性。2002 年 3 月 2 日呼吸困難を主訴に近医受診。両側声帯麻痺にて緊急気管切開術を受けた。その後、左声帯にわずかに可動性を認めたため気切口を閉鎖するも、2004 年 1 月再び呼吸困難が増悪。再気管切開後、1 月 22 日右 Ejnell 法を施行された。しかし、右声帯が正中位に戻ったため、4 月 28 日右披裂軟骨摘出術と右声帯切除術を施行された。以後良好であったが再度呼吸困難増悪したため、2008 年 2 月 27 日当科紹介となった。3 月 4 日全麻下に右声帯内筋切除術と右 Ejnell 法を施行した。経過観察していたが 8 月中旬より喉頭の異和感が出現。喉頭内視鏡で前回手術時の牽引糸の断裂が疑われ、10 月 3 日、当科にて気管切開術後、3 回目の右 Ejnell 法を施行した。本例の治療経過に考察を加えて報告した。
抄録
臨床ノート
feedback
Top