耳鼻と臨床
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47 巻, 6 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 森合 重誉, 唐崎 玲子, 金谷 健史, 原渕 保明
    2001 年 47 巻 6 号 p. 431-434
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    肝炎治療に対するIFNの副作用と考えられた48歳男性の両側高度難聴症例を報告した。聴力障害はステロイドを中心とした治療で改善された。聴力の改善傾向は血小板の増加と時期的にほぼ一致していた。従って本症例におけるIFNの内耳障害は、血小板減少による内耳微小循環障害が原因である可能性が示唆された。IFN使用頻度の増加に伴う副作用としての内耳障害に、われわれ耳鼻咽喉科医は十分注意が必要であると感じた。
  • 平川 仁, 宇良 政治, 大輪 達仁, 中村 由紀夫, 我那覇 章, 野田 寛
    2001 年 47 巻 6 号 p. 435-438
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    琉球大学における最近10年間の18歳以下の鼓室形成術98症例109耳について検討し以下の結果を得た。1) 年齢分布では中学入学前11-12歳をピークとした山型を示しながら小学校入学前の6歳で17耳と突出していた。2) 109耳中89耳 (82%) で聴力改善を認めた。3) 105耳中95耳 (90%) で術後の鼓膜の状態は良好であった。4) 7歳未満の低年齢であっても手術成績に差はなかった。以上より小学校入学前の4-6歳の低年齢における鼓室形成術は就学環境を整える意味でも積極的に勧められると考える。
  • 黒木 岳人, 橋本 清, 松田 洋一, 上田 祥久, 伊藤 信輔
    2001 年 47 巻 6 号 p. 439-443
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1989年から98年の10年間に、久留米大学病院耳鼻咽喉科で初回手術を行った、15歳以下の中耳真珠腫症例53例について検討した。53例中11例に再発がみられた。軽快例と再手術による軽快例をあわせた46例中36例で聴力改善に成功した。真珠腫が高度に進展した症例では段階的手術を行っているが、一期的手術症例に比べ再発率、聴力改善成功率とも遜色はなかった。高度の真珠腫でも、根気よく段階的手術を繰り返せば、真珠腫の根治と聴力の改善を両立できると考えられた。
  • 小山田 幸夫, 木下 澄仁, 定永 恭明, 宮山 東彦, 中野 幸治, 湯本 英二
    2001 年 47 巻 6 号 p. 444-449
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    抗生物質の発達した近年においても深頸部感染症はまれな疾患ではなく、その報告は年々増加傾向にある。今回われわれは深頸部感染症の2症例を経験した。症例1は扁桃周囲膿瘍から深頸部に感染を起こし、敗血症から呼吸不全に至ったものの適切なドレナージにより救命し得た。症例2は深頸部膿瘍に対し、頸部ドレナージ、気管切開を施行、強力な化学療法を行ったにもかかわらず、縦隔炎、線維素性心外膜炎を来し死亡した。深頸部感染症では早期発見と早期治療が重要であることを強調したい。
  • 造影剤経口投与CTを用いた診断の工夫
    中本 哲也, 大礒 正剛, 松本 裕孝, 緒方 憲久, 増山 敬祐, 湯本 英二
    2001 年 47 巻 6 号 p. 450-455
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    下咽頭梨状陥凹瘻は先天性奇形の一つであり急性化膿性甲状腺炎の発症を機に発見されることが多く、下咽頭食道透視による漏洩像にて確定診断が得られる。今回、われわれが経験した2症例のうち1症例では造影剤の経口投与下のCT撮影にて瘻管の部位、甲状腺との位置関係を的確に把握することができた。術前画像診断、術中顕微鏡下喉頭直達鏡検査からの情報を基に瘻管摘出術および甲状腺左葉上極切除術を施行した結果、瘻管の完全摘出ができた。下咽頭梨状陥凹瘻の発生起源に関しては諸説あるが、われわれの1症例では第4咽頭嚢由来であることが示唆された。
  • 安田 京, 藤田 繁俊, 山本 洋平, 南場 淳司, 佐々木 亮, 高畑 淳子, 阿部 尚央, 太田 修司, 新川 秀一
    2001 年 47 巻 6 号 p. 456-460
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは、右鼻出血・鼻閉で発症した70歳男性の上顎洞血瘤腫症例を報告した。上顎洞血瘤腫は鼻出血、頬部腫脹といった悪性腫瘍類似の臨床症状を呈し、また画像上骨破壊を伴うことも少なくない。そのため、悪性腫瘍との鑑別は非常に困難であるが、MRIで上顎洞粘膜が明瞭に造影されるという特徴があり、悪性腫瘍との鑑別点として有用である。本症例においても上顎洞粘膜は明瞭に造影され、過去の報告と一致していた。確定診断は病理組織学検査によるが、MRI所見は片側性の上顎洞占拠性病変の悪性腫瘍と瘍鑑別に非常に有用であると思われ、このような症例に対し積極的に内視鏡的アプローチを試みるべきと考えられた。
  • 小坂 和己, 野中 学, 渡辺 健一, 嘉村 恵理子, 青木 秀治
    2001 年 47 巻 6 号 p. 461-464
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭蓋底髄膜脳瘤は、非常にまれな疾患である。今回われわれは、髄膜炎を契機に発見された経蝶形骨洞型髄膜脳瘤の1例を報告した。症例は、67歳男性で奇形や外傷の既往はなく、髄液鼻漏と髄膜炎を繰り返していた。CTおよびMRI検査は、髄膜脳瘤の診断に非常に有用であった。経頭蓋内法による切除を行い、術後1年経過した現在髄膜脳瘤の再発、髄液鼻漏および髄膜炎の再発は認めていない。
  • 生見 薫子, 小畑 敦, 中野 幸治, 湯本 英二
    2001 年 47 巻 6 号 p. 465-469
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    外転神経麻痺と視野障害にて発症し、広範囲に頭蓋底骨の欠損を認めた蝶形骨洞アスペルギルス症の1例を報告した。手術は鼻内から内視鏡下に蝶形骨洞の開放、泥状膿汁の完全除去を行った。現在術後2年を経過するが経過良好である。骨欠損を伴う副鼻腔真菌症の治療に際して組織浸潤、骨破壊を伴うinvasive typeとこれらを欠くnoninvasive typeを鑑別することは極めて重要であり、本症例のようなnoninvasive typeに対しては洞内の開放、清掃のみで完治し得る。
  • 馬場 明子, 菊地 俊彦, 穐山 直太郎, 加瀬 敬一, 高野 潤, 小林 俊光
    2001 年 47 巻 6 号 p. 470-475
    発行日: 2001/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    血瘤腫は鼻・副鼻腔において出血と器質化を繰り返し腫瘤状となった状態と考えられるが、その病態はまだ解明されていない。本論文においては、最近経験した上顎洞血瘤腫症例におけるCTおよびMRI画像を検討し、その診断的有用性について解析を行った。CTでは、上顎洞内に一側性の軟部組織陰影を認め、上顎洞内側壁を中心に骨欠損像を認めた。一部の症例では上顎洞後壁にも拡張性の骨変化を認めた。MRI T1強調画像では低信号強度の充実性かつやや不均一な軟部組織陰影を認めた。造影後のMRI T1強調画像では不均一に造影される腫瘤陰影が認められ、周囲には炎症性に肥厚した上顎洞粘膜が観察された。MRI T2強調画像でも造影後のMRI T1強調画像と同様に、不均一な腫瘤陰影と上顎洞粘膜の肥厚像が観察された。病変は上顎洞膜様部を中心として上顎洞および鼻腔に及んでおり、存在部位の確認には前額断画像が極めて有用であった。
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