1989年1月から2004年6月までに当院で根治手術を行った頸部食道癌38例を対象に、治療成績と臨床病理学的因子の関連についての検討を行った。1) 全体の5年死因特異的生存率は47%であり、T別ではT4が32%であり不良であった。2) 前方進展9例中3例 (33%) に転移を認めた。一方側方あるいは後方進展10例中9例 (90%) に転移を認め、両者間に統計学的に有意な関係を認めた (
p=0.01)。3) 前方進展9例中3例 (33%) に再発を認めた。一方側方あるいは後方進展10例中9例 (90%) に再発を認め、両者間に統計学的に有意な関係を認めた (
p=0.01)。4) 前方進展例の5年生存率は54%であった。側方あるいは後方進展例は11%であり、前方進展例に比べ悪い傾向があった。頸部食道癌他臓器浸潤症例の治療方法を考える上で、側方、後方進展症例の成績が極めて悪く、quality of life (QOL) の観点から保存的治療を考慮する余地があると考えられた。
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