耳鼻と臨床
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43 巻, 5 号
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  • 高松 眞奈美, 北嶋 整, 高野 信也, 荒牧 元, 高松 一郎
    1997 年 43 巻 5 号 p. 579-583
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    Blow out fracture (吹き抜け骨折) の手術方法には様々な方法があるが, 耳鼻咽喉科医においては, 経上顎洞的にアプローチし, バルーンカテーテルを留置する方法が一般的である. しかしこの方法の短所としてバルーンが破れ, 圧が減少することにより目的の支持ができない事がある. またバルーン内圧が過剰になつたり, 骨折片が眼窩内眼窩内容に刺入することにより, 眼窩内合併症を生じる事もある.
    1994年1月から1996年5月までに当科で治療したblow out fracture 9症例中, 下壁骨折と内側骨折を伴つた2症例に対して, 下眼瞼切開に加えて内視鏡を用いた眼窩内容脱出部の整復術を行い, 良好な成績を得たので報告する.
  • 宿久 修, 小宗 静男, 君付 隆, 川口 博, 平川 直也, 小宮山 荘太郎
    1997 年 43 巻 5 号 p. 584-589
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    両側の耳硬化症と診断した42歳女性に右アブミ骨手術を行つた. 興味深いことに, すべての耳小骨は固着し, 病理学的に硬化病変が証明された. 初回のアブミ骨手術の際には, ツチ骨頭部・キヌタ骨短脚を上鼓室より剥離し, テフロンピストンをキヌタ骨長脚と卵円窓に留置した. しかし, 聴力の改善がなかつた. 2回目の手術でツチ骨頭部. キヌタ骨を摘出し, テフロンピストンを鼓索神経にかけ卵円窓に留置したところ, 聴力は改善した.
  • 中川 雅文, 竹澤 裕之, 渡辺 雅子, 今井 良吉, 渡邊 一正
    1997 年 43 巻 5 号 p. 590-593
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    顎下腺に発生した基底細胞腺癌の1例を経験した. 症例は25歳女性, 妊娠7カ月. 主訴は右顎下部腫瘤. 4年前に右顎下腺部の生検術の既往があり, この時の病理所見は正常唾液腺組織であつた. その後, 徐々に同部の腫脹を認めるようになり, 当院受診. 出産後手術を施行した. 手術時の病理所見は基底細胞腺腫であつたが, 2度再発を認め, 3度目の手術時の病理所見で腫瘍細胞の周囲組織への浸潤を認め, 基底細胞腺癌と診断された.
    術後, 放射線治療を施行し, その後1年4カ月再発を認めていない. 唾液腺腫瘍において基底細胞腺癌の発生は稀であり, 臨床的事項につき, 若干の文献的考察を加えて報告した.
  • 両生類, 爬虫類, 鳥類, 哺乳類の比較解剖的研究より
    豊住 頼一, 宮崎 俊巳, 平野 実, 光増 高夫
    1997 年 43 巻 5 号 p. 594-607
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭筋の系統進化は原始喉頭筋のM. taryngei ventralis et dorsalisから直接進化すると伝統的に言われてきた. しかし, 私達が観察したウシガエル, スッポン, 白色レグホンの検索では, 私達はそれと同じ種類の筋を観察できなかつた. むしろ, それらの筋とは異なる筋を観察した. したがつて, 私達の検索の結果は肺魚と哺乳類との間に, 喉頭筋の直接進化は存在しないことを示唆している. 研究方法と結論
    前記三種類の動物の生体から喉頭を摘出した後, 双眼顕微鏡下に外喉頭筋以外の喉頭筋を比較観察した. 結果は次のようであつた.
    a. 原始型 (肺魚類, 初期両生類型)
    Mm. laryngeus ventralis et dorsalis and Mm. sphincter laryngis (from Goeppert; fixer of the glottis)
    b. 移行型 (両生類, 爬虫類, 鳥類型)
    fan shaped laryngeal mescles (fixer of the glottis)
    c. 哺乳類型
    M. intrinsic laryngeal muscles (closer of the glottis)
    したがつて, 喉頭筋の進化は原始型から移行型を経て哺乳類へ進化発達することが結論された. つまり, 原始型から哺乳類への直接進化はあり得ないことが確認された.
  • 朝隈 真一郎
    1997 年 43 巻 5 号 p. 608-613
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1987年から1995年までに行つた鼻汁好酸球検査, 5048例を分析した. 検査件数は3月に急増した. 鼻疾患が3月に増えることを示している. 検査結果をみると, 好酸球検出症例, 好中球検出症例がともに増加していた. すなわち, アレルギーと感染の両方の鼻疾患が増えると思われる. 鼻疾患の治療では, その原因がどちらの原因によるものかの鑑別が必要であり, 鼻汁好酸球検査が重要である.
  • 初期第II相臨床試験
    奥田 稔, 冨田 寛, 臼井 信郎, 形浦 昭克, 朝倉 光司, 戸川 清, 岡本 美孝, 松崎 全成, 寺田 修久, 五十嵐 常雄, 佐藤 ...
    1997 年 43 巻 5 号 p. 614-630
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    通年性ハウスダスト鼻アレルギーに対するONO-1078の有効性, 安全性および有用性を検討するため封筒法による群間比較試験を実施した.
    総症例数は, 150mg/日投与群 (L群) 33例, 450mg/日投与群 (H群) 31例の合計64例であつた.
    最終全般改善度は中等度改善以上でL群48.4%, H群60.7%であり, 両群間に有意な差はなかつたが, H群の改善率が高かつた. 症状別では特に鼻閉に対する改善率が高く, L群は2週後50.0%, 4週後61.3%に対し, H群はそれぞれ69.0%, 73.1%の改善をみた. また他覚的にも, 抗原誘発による鼻腔通気抵抗の増加を抑制した. 鼻粘膜腫脹の改善も4週後で50.0%にみられた. 概括安全度は「安全である」はL群90.9%, H群90.3%であつた. 副作用の発現頻度はL群で9.1%, H群で9.7%であつた. 発現した副作用の程度はいずれも軽度であり, 投与終了または中止により消失しており, 特に重篤なものではなかつた. 有用度は有用以上でL群43.8%, H群58.6%であり, 両群間に有意な差はなかつたが, H群の有用率が高かつた.
    以上の結果より, ONO-1078は通年性ハウスダスト鼻アレルギーに対して特に鼻閉に有効あり, 安全に使用される薬剤であることが示された.
  • 3用量比較による多施設共同二重盲検比較試験 (用量設定試験)
    奥田 稔, 海野 徳二, 和田 哲治, 犬山 征夫, 間口 四郎, 形浦 昭克, 朝倉 光司, 寺田 修久, 高坂 知節, 稲村 直樹, 中 ...
    1997 年 43 巻 5 号 p. 631-657
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    通年性鼻アレルギーに対するONO-1078 (プランルカスト水和物) の有効性, 安全性および至適用量を検討するために, プランルカストの3用量を用いた多施設共同による二重盲検比較試験法を実施した.
    総症例数は, プランルカスト75mg/日群 (L群) 66例, 225mg/日群 (M群) 68例, 450mg /日群 (H群) 64例の計198例であつた.
    最終全般改善度はL群44.8%, M群46.7%, H群64.3%であり, 3群間に用量依存性が認められ, H群がL群に比し有意に高い改善を示した. 鼻アレルギー日記の集計では, L群, M群, H群ともにくしゃみ, 鼻みず (鼻漏), 鼻づまり (鼻閉) の三主徴が経時的に, かつ有意な減少を示し, 鼻みず, 鼻づまりではH群がL群に比較し有意に優れていた. 概括安全度は, 「安全である」でL群93.8%, M群86.6%, H群88.5%, 副作用発現頻度でL群4.6%, M群13.4%, H群11.5%と3群間に用量依存性を認めなかつた. 有用度はL群44.1%, M群45.9%, H群59.6%であり, 用量依存性を認めた.
  • 横山 正人, 三富 夏彦, 手塚 克彦, 田山 二朗, 新美 成二
    1997 年 43 巻 5 号 p. 661-665
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    若年および高齢の正常者各8例と高齢の咽喉頭異常感症患者8例に対して咽頭食道透視と嚥下圧測定の同時記録検査 (Manofluorography) を施行した. 高齢正常者は若年正常者と比較して, 咽頭通過時間と中咽頭通過時間が有意に延長し, 食道入口部通過時間は延長し食道入口部の弛緩は遅れる傾向にあつた. 高齢者は舌の食塊運搬能の低下, 食道入口部の弛緩の遅れ, 食道入口部の開大性の低下などにより, 嚥下に時間を要する実態となつていると考えられた.
    高齢の咽喉頭異常感症患者においては, 造影剤の粘性がある程度高まると, 食道入口部通過時間が有意に短縮していた.
  • 林 伊吹, 林 与志子, 宇野 功, 藤原 裕樹, 高橋 宏明
    1997 年 43 巻 5 号 p. 666-672
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下を観察する際, 嚥下開始の指標を決定するために, 舌骨上筋群表面筋電図を用いることが多い. これは, 被験者に非侵襲的であるため, 有用な方法とされている. しかし, 舌骨上筋群表面筋電図と実際の筋の活動とが, どのように関わつているかを確認する必要がある. 著者らは甲状舌骨筋とオトガイ舌骨筋に電極を刺入して得た筋電図と, 舌骨上筋群表面筋電図を同時記録し比較検討した.
    嚥下の際に, 舌骨上筋群表面筋電図波形上, 2つの波形変化を認めた. 最初におこる小さい振れと, それに続く大きい振れである. 前者をEMG1, 後者をEMG2とした. 筋電図の比較により, EMG1はオトガイ舌骨筋の活動開始点と, EMG2は甲状舌骨筋の活動開始点と強い相関を認めた.
    この結果より, 舌骨上筋群表面筋電図は嚥下開始の指標を決定でき, EMG1は嚥下第一期の開始を, EMG2は嚥下第二期の開始の指標を表すものと考えられた.
  • 粘性の相違と嚥下量について
    鈴木 康司, 土田 みね子, 堀口 利之
    1997 年 43 巻 5 号 p. 673-679
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは正常な一回嚥下の行われる最大量 (最大一回嚥下量) を機能的に測定し, 物性の変化に対するこの最大一回嚥下量の生理的意義について検討した.
    対象は正常成人および嚥下障害を伴わない咽喉頭異常感症の成人患者24人で, 被験者に水, 2%スルーソフトS (キッセイ薬品工業社製食品増粘剤) を10ml毎の漸増法にて一回嚥下させ, その量を測定した. これを繰り返し嚥下試行量-一回嚥下量曲線を作成し最大一回嚥下量を決定した.
    嚥下試行量-一回嚥下量を作成した際に, 嚥下試行量の増加に伴い一回嚥下量は平坦化し, 最大一回嚥下量は規定された. また嚥下物の粘性の増加に伴い, 最大一回嚥下量は減少した. 嚥下試行量が最大一回嚥下量を上回つた際に実際の一回嚥下量が減少する症例が散見され, これについて考察を加え理想的な嚥下試行量-一回嚥下量曲線を提唱した.
  • 川崎 篤, 福田 宏之, 中川 秀授, 神崎 仁
    1997 年 43 巻 5 号 p. 680-683
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれは嚥下時における喉頭閉鎖機構を知るため声帯の運動を中心に嚥下時の喉頭内腔の状態をbolusの通過とともに観察した.
    嚥下時における喉頭内運動を観察するうえでその解剖学的位置関係と動態から前額面からの観察が利にかなつた観察方向と考え, digital subtraction systemを使用し前額面からの観察を試みた.
    今回の観察結果は以下のとおりである. 1. 前額面から観察することで挙上運動と閉鎖運動また下降運動と開大運動という嚥下時に現われる2次元の喉頭内運動を動的に観察することができた. 2. 声帯, 仮声帯両レベルの閉鎖開大の時間的関係は仮声帯, 声帯レベルの順に閉鎖し, また開大は声帯, 仮声帯レベルの順に開大を認めた. 3. bolusの通過と声帯, 仮声帯両レベルにおける喉頭閉鎖の持続時間の関係から嚥下時の気道防御のうえで仮声帯レベルにおける閉鎖の重要性が示唆された.
  • 斎藤 和也
    1997 年 43 巻 5 号 p. 684-685
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
  • 大前 由紀雄, 北原 哲, 田村 悦代, 小倉 雅實, 唐帆 健浩, 井上 鐵三
    1997 年 43 巻 5 号 p. 686-689
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    誤嚥改善の目的で声帯内注入術を実施した10症例の嚥下機能を, 術前後の食道造影検査で比較し, 注入術の効果と限界を検討した. 10例中8例では術後に誤嚥が消失したが, 2例では依然として誤嚥が観察された. 術前後の喉頭閉鎖のタイミングが比較できた8例中7例では有意に喉頭閉鎖のタイミングが早くなつていた. また, 咽頭クリアランスは, 10例中7例で改善していた. 一方, 誤嚥の改善が得られなかつた2例は, 注入術によつて喉頭閉鎖のタイミングは改善したものの, Bolusの円滑な移動や駆出力の障害のため咽頭クリアランスが不良で術後も下降期主体の誤嚥が観察された. このことから, 声帯内注入術は, 喉頭閉鎖を補強し, 咽頭クリアランスを改善する効果をもたらすが, 嚥下運動の他の因子に障害がある場合はその効果に限界があり, 術前の正確な嚥下機能評価の重要性が再認識された.
  • 山下 弘之, 倉富 勇一郎, 熊本 芳彦, 山本 智矢, 冨田 吉信, 小宮山 荘太郎
    1997 年 43 巻 5 号 p. 690-695
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下障害症例28名に対し輪状咽頭筋切断術を行つた. 21名 (75%) に嚥下の改善が見られた. 喉頭挙上術を行つた症例と行わなかつた症例間では改善率に有意差は無かつた. 喉頭外傷の改善率が最も良く, 脳血管障害がこれに次いだ. 筋萎縮性側索硬化症では4例中2例に改善が見られ, 進行性球麻痺では2例中1例に改善が見られた. 胸部疾患症例の結果は良くなかつた. 1例に喉頭全摘術を, 他の1例には喉頭閉鎖術を行つた. 65歳未満の症例の成績は良好であつた. すなわち, 13例中12例 (92%) に改善が見られた. しかし, 65歳以上の症例では, 15例中9例 (63%) の改善にとどまつた. 二群間には5%未満の危険率で有意差が見られた. 輪状咽頭筋切断術は65歳以上の症例に対しては効果があまり期待できない.
  • 1997 年 43 巻 5 号 p. 696-701
    発行日: 1997/09/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
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