耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
Print ISSN : 0447-7227
ISSN-L : 0447-7227
42 巻, 6Supplement3 号
選択された号の論文の33件中1~33を表示しています
  • 山口 陽生, 津田 邦良, 進 武幹, 杉原 甫
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 887-892
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ブタ喉頭粘膜より, 別個に単離された上皮細胞と線維芽細胞を用いて, コラーゲン・ゲル三次元培養法に空気暴露を組み合わせ, われわれは粘膜固有層を含む喉頭粘膜の再構築に成功した. 上皮細胞は再構築された粘膜固有層の上で5-8層に重層化し, 良好な分化を示した. このモデルでは, 再構築粘膜固有層の線維芽細胞と空気暴露が重要であるが, 特に線維芽細胞がhepatocyto growth factorを産生, 放出している可能性が示された. 加えて, 線維芽細胞の上皮への直接接触, あるいはコラーゲンの生理的再配列などの影響も考えられた. この培養系が喉頭の正常分化や疾患の研究のために有用であると考えられる.
  • インボルクリンを中心として
    草場 靖, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 893-897
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ヒト重層扁平上皮の分化のマーカーであるインボルクリンを用いて, 正常喉頭上皮と, 癌や異型上皮などの喉頭病変を生じている上皮に対して, 細胞分化の検討を行った. インボルクリンの染色性は, 扁平上皮癌や異型上皮では, 正常上皮とは明らかに異なった分布と染色性を示した. また, BrdUの取り込みを細胞増殖の指標として, インボルクリンとの二重染色を行い, 細胞の分化と増殖との関係を検討した. 癌細胞の一部には, インボルクリン陽性細胞にBrdUの取り込みがみられ, このことは細胞の増殖と分化の相反性に乱れがあることが示唆され, 癌細胞の特異性のひとつと思われた.
  • 杉本 俊彦, 松瀬 敏章, 梅崎 俊郎, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 898-903
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下動態の評価を目的とした食道VTR検査には, バリウムやハイトラスト (R)(気管支造影剤) などの液体造影剤が用いられていた. これらの造影剤の物理的性状は嚥下のしやすさに影響を及ぼすと思われるが, 嚥下物の粘性についてはこれまで考慮されていなかった. そこで, われわれはコンドロイチン硫酸ナトリウムを非イオン性血管造影剤に添加することにより粘性を調節し, 粘性の嚥下動態に与える影響を検討した. その結果, 粘性が高い造影剤は, 咽頭クリアランス負荷を増大し下咽頭流入速度を低下させるため下降期型誤嚥の検出に有効とおもわれた. 逆に粘性が低い造影剤においては, 咽頭クリアランス負荷が減少するものの下咽頭流入速度を速めるため挙上期型誤嚥の検出に有効であると考えられた.
  • 佐藤 慎太郎, 大田 健司, 津田 邦良, 山田 昇一郎, 大谷 信二, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 904-907
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    一般に悪性黒色腫は手術, 化学療法, 免疫療法を組み合わせる集学的療法が必要といわれている. 手術に関しては, 5cm以上のsafety marginをっけた拡大切除が原則であるが, 鼻腔では解剖学的な面や患者のQOLを考えると積極的な拡大切除は施行困難である. 今回われわれは, 鼻腔原発の悪性黒色腫の2症例を経験し, いずれの症例も手術療法を行いさらに追加治療として1症例はβインターフエロンの局注を, 他の1症例についてはDAV療法 (DTIC・ACNU・VCR) を行つた. free marginが充分とれない鼻腔原発の悪性黒色腫には追加治療は必須である. 化学療法, 免疫療法を併用することで治療成績の改善を期待し治療したのでここに報告した.
  • 鷲崎 政治, 前原 法文, 草場 靖, 澤津橋 基広, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 908-911
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    上顎に発生した脂肪肉腫の報告は, 稀であり本邦において数例を認めるのみである. なかでも円形細胞型の組織像を呈するものは最も予後不良であり短期間に不幸な転帰を取るものが多いとされている. 今回われわれは上顎脂肪肉腫円形細胞型の1例を経験したので, 文献的考察を加えて報告する. 症例は50歳男性. 頻回なる生検にて確定診断に至り, 放射線治療, 化学療法施行したが腫瘍の縮小は認められず遠隔転移を来たし, 多剤併用の化学療法にても効果無く不慮の転帰をとった. また, 本症例は上皮性腫瘍である鼻腔内乳頭腫と間葉系腫瘍である上顎脂肪肉腫の両者が混在した稀な症例である.
  • 杉本 俊彦, 前原 法文, 江崎 秀夫, 島津 倫太郎, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 912-916
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頭頸部外科領域においては, 大血管が腫瘍または手術により損傷されることがあり, その末梢に存在する中枢神経系への血流の維持という観点から, また特に内頸動脈では走行部位の特殊性からその対応について苦慮することが多い. 今回われわれは, 上顎癌治療後の内頸動脈破裂症例に対し, 離脱式バルーンカテーテルを用いた血管内手術を施行し良好な結果を得たので報告した.
    離脱式バルーンカテーテルを用いた血管内手術は塞栓効果が高いとされる. しかし, 術前の閉塞試験をはじめ血管造影・脳血流シンチ・術中のMatas試験・脳波モニターなどを施行し, 塞栓術施行前の十分な脳血流評価を行いさらに塞栓術による合併症の可能性を十分に検討することが血管内手術を施行する上で重要であると考えられた.
  • 鷲崎 政治, 百田 統洋, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 917-920
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳下腺原発のHodgkin病は, 本邦においては極めて稀とされている. 今回, われわれは耳下腺に原発したHodgkin病の1症例を経験した. 手術による摘出標本にて確定診断を得て, 術後放射線照射にて良好な臨床経過を得ている. 症例は, 70歳女性. 約10年前よりの耳下腺腫瘤が増大したために来院した. 耳下腺悪性腫瘍を疑い, 右耳下腺全摘術を施行した. 病理組織検査にて, Hodgkin病の診断を得たため術後放射線照射を 46.4Gy施行後, 約4年間再発を認めず, 現在外来経過観察中である.
  • 溝上 宏幸, 大谷 信二, 津田 邦良, 進 武幹, 山崎 文朗, 中野 盛夫
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 921-924
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    耳下腺原発のepithelial-myoepithelial carcinomaの1例を経験した. 本腫瘍はしばしば局所再発や遠隔転移を認め, low-grade malignant tumorと考えられている. 病理組織学的に上皮細胞と筋上皮細胞の両者の性格を有する腫瘍細胞が混在して認められ, 病理診断には免疫染色が有用であった. 一部で被膜外浸潤を認めたが, 術後15カ月間, 再発や転移などの所見は認めていない.
  • 松尾 博道, 山口 陽生, 前原 法文, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 925-928
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    唾液腺腫瘍の中で血管内皮腫は極めて稀とされている. 今回われわれは耳下腺の血管内皮腫の1例を経験した. 症例は76歳男性で, 近医耳鼻咽喉科にて左耳下腺腫瘍を疑われ1993年10月12日当科紹介受診した. 左耳下部に56×60mmの弾性軟の腫瘤を触知したが圧痛, 発赤なく顔面神経麻痺, 開口障害も認めなかった. CT, シンチグラムなどで耳下腺腫瘍と診断し11月17日左耳下腺全摘術を施行した. 病理診断ではlow grade malignancyを示す血管内皮腫と診断された. 術後2年半経過したが, 再発の兆しはない. 本邦における耳下腺原発例は極めて稀で, その臨床像や病理学的特徴について文献的考察を加え報告した.
  • 高木 誠治, 梅崎 俊郎, 草場 靖, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 929-932
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    64歳男性の舌, 口腔底に生じた多発難治性潰瘍の1例を報告した. 初回の生検で結核症と診断し内服治療を行ったが無効であった. そのため確定診断と治療を兼ねて, YAG-laserを用いて病変の切除生検を行つた. その病理組織所見から, 真菌の一種である南米型分芽菌症 (South American Blastomycosis) と診断された. 本症はわが国では非常に稀な疾患であるが, 口腔咽頭粘膜や頸部リンパ節が主な病変部位であり, 舌・口腔粘膜の潰瘍性あるいは肉芽腫様病変の鑑別診断の一つとして念頭におくべき疾患と思われた.
  • 恒富 今日子, 安達 朝幸, 松瀬 敏章, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 933-936
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 今回われわれは, 難治性口腔咽頭潰瘍を主訴としたWegener肉芽腫の1例を経験した.
    2. 診断には抗好中球細胞質抗体 (C-ANCA) の測定が有効であった.
    3. Wegener肉芽腫は難治性口腔咽頭潰瘍の鑑別疾患として念頭におく必要がある.
    4. 生検, 菌検, 血液検査などで確定診断がえられないような口腔咽頭潰瘍に対しては, 診断的治療として本症を念頭においたステロイドの投与が必要と思われた.
  • 大田 健司, 津田 邦良, 前原 法文, 山口 陽生, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 937-940
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれが経験した口腔内verrucous carcinomaの4症例の概要と文献的考察を加え報告した. verrucous carcinomaは, 臨床的, 病理組織学的に悪性度は低いとされているが, その病理組織の特異性により, 確定診断は困難であり, 臨床像を十分に検討し, 充分な摘出標本による組織診断が必要と思われた. 治療は根治的切除術が最良の方法であり, われわれは, Nd-YAG laserを用い切除術を施行し良好な治療成績を得た.
  • 高木 誠治, 梅崎 俊郎, 草場 靖, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 941-945
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    43歳男性の口腔小唾液腺由来の多形腺腫で, 局所再発を繰り返すうちに肺転移をきたした1例を報告した. 局所再発部位ならびに肺転移巣の根治切除術を施行したが, 1年7カ月後 (初回手術から8年3カ月後) に, 再発した肺転移巣からの直接浸潤によると考えられる心タンポナーデにて死亡した. 本疾患は良性疾患とされているが時に悪性変化することや, 遠隔転移をきたした症例も報告されておりこの腫瘍の取り扱いには注意を要する. 特に初回治療において, 被膜損傷による局所再発を防ぎ腫瘍の完全摘出を行うことが重要であると考えられた.
  • 恒富 今日子, 百田 統洋, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 946-949
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1. 11歳男児の鼻腔内に発生した血管平滑筋腫の1例を経験した.
    2. 本邦の鼻咽腔に発生した血管平滑筋腫はわれわれが渉猟しえた範囲では25例であつた.
    3. 本症の治療に関しては外科的治療が最良であり, 鼻咽腔における本症の手術にあたつては, 出血量の軽減と視野の確保が重要であると思われた.
  • 津田 邦良, 小路丸 篤, 前原 法文, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 950-952
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    口蓋扁桃乳頭状肥大症の3例を報告した. 症例1は10歳の男児で習慣性アンギーナを主訴とした. 症例2は12歳の女児で同じく習慣性アンギーナを主訴とした. 症例3は12歳の男児で嚥下障害を主訴とした.
    いずれの症例も口蓋扁桃は表面に乳頭状の隆起が多数認められた.
    病理組織学的所見はいずれの症例も口蓋扁桃の表層は多層化した扁平上皮で被服され, リンパ濾胞の腫大, 胚中心の拡大, 実質内の結合組織の増生が著明に認められたが, 通常の慢性扁桃炎との相違はなかつた.
    本疾患の成因としては, 先天性素因説が有力であるが, 症例3において家族内発症が確認され, その説が支持されたが, 他の2症例では家族内発症はなく単発発症であった.
  • 澤津橋 基広, 津田 邦良, 前原 法文, 杉本 俊彦, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 953-955
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    結核は抗結核薬の発達, 予防医学の発達により, 以前より激減していると言われているが耳鼻咽喉科領域においても今もなお, 無視することのできない疾患の一つである. 今回われわれは診断が困難であつた咽頭粘膜下結核の1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する. 本症例では咽頭粘膜には病変認めず, 粘膜下に腫瘤を形成していたため, 当初咽頭結核よりも腫瘍性病変が考えられため. 確定はリンパ節生検により行われ, 治療にはINH, RPF, SMの併用が有効で6カ月間要した.
  • 佐藤 慎太郎, 津田 邦良, 山口 陽生, 大谷 信二, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 956-959
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    症例は頸部膿瘍を主訴に来院した38歳の男性で, 既往歴として同様の頸部膿瘍を約20年前に二度来しており, 今回当科にて食道造影の結果左下咽頭梨状窩瘻と診断された, 外科的に瘻管摘出術を施行する際, 瘻孔への術前のピオクタニン注入と術中のFogartyカテーテルの挿入により, 瘻管を確実に同定し盲端となつていた甲状腺左葉とともに摘出した. 現在まで頸部膿瘍の再発を認めていない.
  • 安達 朝幸, 梅崎 俊郎, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 960-964
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    中咽頭に原発した極あて稀な腺扁平上皮癌の1症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 症例は63歳の男性で, 右前口蓋弓に25×20mmの表面不整な腫瘍性病変を認め, 生検の結果, 腺扁平上皮癌と診断した. 外科的切除を施行したが, 約2年後にリンパ節転移を来たし, 放射線治療を行ったが死亡した. 腺扁平上皮癌の発生機序, 病理組織学的および臨床的特徴について考察を加えた.
  • 鷲崎 政治, 安達 朝幸, 梅崎 俊郎, 草場 靖, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 965-968
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    喉頭に発生した顆粒細胞腫は稀な疾患であり, 本邦報告例も7例を認めるのみである. 今回われわれは声帯に発生した顆粒細胞腫を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.
    症例は47歳男性. 咽喉頭異常感を主訴に来院した. 入院時局所々見では右声帯膜様部のやや披裂軟骨声帯突起寄りに米粒大の結節性病変を認めた. 表面は平滑で粘膜上皮により被覆されていた.局所々見から声帯嚢胞あるいは粘膜下腫瘍を疑い, 1992年2月19日ラリンゴマイクロ下に腫瘤摘出術施行した. 摘出標本は白色充実性で, 病理組織学的に顆粒細胞腫と診断された. 術後は, 音声も良好で3年6カ月経過した現在再発は認められていない.
    顆粒細胞腫は, 稀に再発や悪性の臨床経過をとるものもあるとの報告もされており, 充分な経過観察が必要と思われた.
  • 小路丸 篤, 山口 陽生, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 969-972
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    咽喉に発生したspindle cell squamous carcinomaの1症例を経験した. 症例は54歳女性で, 喉頭の喉頭蓋喉頭面から声帯にかけて腫瘍を認め, 生検にて扁平上皮癌との病理診断を得たため喉頭全摘出術を施行した. 摘出標本のHE染色にて, 紡錘形細胞癌と扁平上皮癌成分の間に移行像があり, 免疫組織学的染色と電子顕微鏡による検討にて紡錘形細胞は上皮由来と判明した. 以上より, 本症例をspindle cell squamous carcinomaと診断した.
  • 上坂 宏, 前原 法文, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 973-976
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    40歳男性と88歳男性に生じた喉頭嚢胞の2症例について報告した. 両者とも披裂部に限局しており, ラリンゴマイクロサージャリーにて嚢胞摘出術を施行した. 嚢胞の内壁を覆う上皮は前者は線毛円柱上皮, 後者は線毛上皮であり, 2症例とも病理診断は貯留嚢胞であつた.
  • 成川 圭太, 大田 健司, 深浦 順一, 柳 榮採, 前山 忠嗣, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 977-981
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    片側性反回神経麻痺に対する音声改善手術の治療成績を空気力学的検査値 (MPT, AFR) を用いて, 42症例を対象として検討した. 施行した手術は経皮的声帯内注入法が22例, 甲状軟骨形成術1型が15例, および両術式の併用が5例で, ほぼ全例で術式によらない良好な治療成績がみられた. 2例が悪化例として捉えられたが, いずれも検討内容に問題点があるためで, 多角的に評価すれば改善傾向を認める症例であった. 今後の検討はより詳細に行われるべきであり, 指標としては音響分析, 聴覚印象、声帯の萎縮や固定位置などが必要と考えられた
  • 特に外科的治療の適応についての考察
    深浦 順一, 杉本 俊彦, 梅崎 俊郎, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 982-986
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    炎症に伴う嗄声発症後の発声の悪習慣による機能性仮声帯発声症例に対して, CO2、レーザーによる両側仮声帯切除術を行い, 良好な結果を得たので報告した. 症例は51歳男性で, 仮声帯肥厚は軽度であつたが, 発声時に仮声帯が正中まで内転し, 振動していた. 両側仮声帯切除術直後より音声の著明な改善をみた.
    機能性仮声帯発声症例の治療は, 音声治療と手術的治療が考えられるが, 今回の結果から手術的治療は即時的効果が期待しえると考えられた.
  • 深浦 順一, 前山 忠嗣, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 987-994
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う声帯萎縮像と嗄声を呈した男性4例の音声治療の効果に関して報告した. 症例は60歳以上の無職の男性である. 音声治療の内容は, 1) ピッチ調節 (新しい高いピッチの確立), 2) プッシング法, 3) 呼吸訓練, 4) 全身的健康状態の改善である. 音声治療の結果, 3例において自, 他覚ともに嗄声の改善がみられ, 1例は他覚的変化はなかつたものの自覚的改善を示した.
    高齢化社会に伴い, 今後高齢者の音声に対する音声治療の必要性が高まつていくと考えらる.
  • 安達 朝幸, 梅崎 俊郎, 杉本 俊彦, 鷲崎 政治, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 995-999
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    輪状咽頭筋切断術が奏効したWallenberg症候群の1症例を報告した. 症例は53歳の男性で1990年12月脳梗塞発作を来たし, それ以後軽快しない嚥下障害を主訴に当科を受診した. MRI検査にて左延髄外側に梗塞巣を認め, VTR食道透視および嚥下圧測定検査で輪状咽頭筋弛緩不全とそれに伴う高度の下降期型誤嚥を認めた, 嚥下障害に対し輪状咽頭筋切断術が著効を示し, またこれを嚥下圧測定検査にて確認することができた. Wallenberg症候群による嚥下障害の輪状咽頭筋切断術の適応について考察をくわえた. VTR食道透視および嚥下圧測定検査を合わせて行うことは, 嚥下障害の病態生理の把握に有用であつた.
  • 島津 倫太郎, 梅崎 俊郎, 杉本 俊彦, 鷲崎 政治, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1000-1003
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    嚥下不能に近い高度の嚥下障害をきたしたForestier病の1例に対して, 頸椎削開術および輪状咽頭筋切断術を施行し, 嚥下動態が正常化した1例を報告した. 食道入口部の通過障害をきたす成因としては, 骨棘突出による機械的狭窄のみならず, 輪状咽頭筋の二次的な機能かっ器質的な異常も加わつていることが示唆された.
    高度の嚥下障害を呈するForestier病の治療に際しては積極的な手術的治療を施行することが望ましいと思われた.
  • 小路丸 篤, 百田 統洋, 梅崎 俊郎, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1004-1006
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    側頸部に発生したextra-abdominal desmoid tumorの2症例を経験した. 69歳女性と44歳男性で両者とも外科的治療を行つた, 病理組織像にて, 膠原繊維の増殖が認められたが細胞の異型や核分裂像は認められなかつた。本症は病理組織学的には良性の線維性腫瘍であり, その治療にあたっては外科的治療が有効であつた.
  • 山口 陽生, 島津 倫太郎, 前原 法文, 杉本 俊彦, 津田 邦良, 進 武幹, 米満 伸久, 杉原 甫
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1007-1011
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    褐色脂肪腫は稀な良性腫瘍であり, 構成する腫瘍細胞は褐色脂肪組織の細胞に類似している. 過去, 全領域では108例が報告されている. われわれは, 今回右側頸部に原発した褐色脂肪腫の1例を経験した. 免疫組織化学的検討にてサーモゲニンの発現を認めた. これらの症例中24例が頭頸部領域原発であつた.
  • 鷲崎 政治, 高木 誠治, 津田 邦良, 草場 靖, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1012-1015
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    頸部リンパ管腫は新生児, 小児に認められる良性腫瘍であり, 成人になり発症する例はほとんど報告されていない. この稀な症例を経験し, 手術的治療により良好な経過を得た. 症例は59歳女性, 頸部腫張を主訴に紹介受診し, 触診にて左側頸部に比較的柔らかい腫瘤を認めた. エコーにて内部に隔壁を有する嚢胞状腫瘤を認めた. CTにて内部はほぼ均一で辺縁整, 境界明瞭な嚢胞性腫瘤を認めた. 全摘術施行し, 術後4年経過しているが再発を認めない. ここに頸部リンパ管腫成人発症例を提示し, 文献的考察を含めて報告する.
  • 上坂 宏, 梅崎 俊郎, 前原 法文, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1016-1019
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, 治療に非常に苦慮した小児の声門下狭窄の1症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した.
    症例は3歳の男児で, 心室中隔欠損症の閉鎖術後に喉頭浮腫のため抜管困難となり, ステロイドを使用して術後5日目に抜管された. 退院後経過観察中呼吸困難感の出現を認めたため, 当科外来を紹介受診. 声門下狭窄を認め, 手術目的にて入院となつた. 当初, T-tubeによる保存的な治療を試みたが期待するような結果が得られず, 最終的に喉頭截開を行い, 粘膜移植および声門下腔の形状に一致したコアモールド作成し, 留置することで良好な結果が得られた. 退院後33カ月の現在まで順調な経過を得ている. コアモールドの作製には歯科用印象剤 (EXAMIX (R)) が有効であつた.
  • 山田 昇一郎, 前原 法文, 杉本 俊彦, 草場 靖, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1020-1023
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    当科で経験した副甲状腺腺腫8症例について報告した. 比較的中高年の女性に多くみられ, 病型分類では骨型4例, 化学型3例, 腎型1例であつた. 診断においては副甲状腺ホルモンの測定がもつとも有用であり, 部位診断では超音波および血管造影などが有用であつた. 全例に対して手術療法を実施した結果血性Caが正常化したものは4例であつた. 5例で低Ca血症を認め内服治療を必要とした. 術後高Ca血症を示したものが1例あり, 再検査にて他の部位に腺腫を認めた.
  • 上坂 宏, 前原 法文, 溝上 宏幸, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1024-1027
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    甲状腺原発のpseudolymphomaの1例を経験した. 症例は44歳の女性で, 右甲状腺腫瘍にて, 右甲状腺半側切除術を施行した. 病理組織学的所見にてリンパ球の浸潤が見られ, さらに免疫組織学的検討によりpolyclonal patternを呈し, P状腺原発のpseudolymphomaとの病理診断を得た. Pseudolymphomaの予後は一般に良好とされているが, 稀に悪性リンパ腫へ移行する場合もあり, premalignantの疾患として観察していく必要があると考えられた.
  • 松尾 博道, 前原 法文, 津田 邦良, 進 武幹
    1996 年 42 巻 6Supplement3 号 p. 1028-1036
    発行日: 1996/11/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1982年から1993年までの12年間に当科にて取り扱つた甲状腺腫瘍168症例について臨床統計的観察を行つた. 性差は男性37例, 女性131例であり, 男性の方が悪性率が高かつた. 主訴は頸部腫瘤が118例と最も多く, 次いで嗄声12例, 咽喉頭異常感8例, 呼吸困難6例であつた. 組織型は良性では腺腫様甲状腺腫39例, 濾胞腺腫36例, 悪性では乳頭癌49例, 濾胞癌14例が主に認められた. 画像診断の有用度ではCT scanのほうがT1シンチグラムよりすぐれていた. サイログロブリン値は良性, 悪性にかかわらず測定値にばらつきが認められた. 病期別分類ではStage IVが他のStageに比べて有意に生存率が低いのが認められた. 予後判定上, UICCの病期分類は妥当であるが, 年齢, 腫瘍の大きさという単独の因子では生存率と必ずしも相関を示さず, 腫瘍の進展度という因子のみが有意差を示した.
feedback
Top