日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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25 巻, 5 号
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  • 石井 和彦
    1963 年 25 巻 5 号 p. 267-275
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    第II報において, 供試した牛乳由来コアグラーゼ陽性菌株のうち, おもに牛乳性状の差異に基づいて選出した7菌株によって因子血清を作成し, 供試菌の型別を行なった成績を報告した. その際得られた因子血清は, 7菌株中若干の菌株に対して共通の抗体因子を有するものであった. そこで今回は, 供試菌のうち, Oeding の因子血清に全く反応しないもの6株, および同血清に反応するが, それ以外に独自の抗体を所有することが確かめられたもの1株, 計7株を選んで, 抗血清を作成し, これを7菌株で複吸収して得られた因子血清によって, 供試菌の型別を行ない, その抗原因子分布の型を対照菌株群のそれと比較した. その結果を要約すると, 次の通りである. 1. 7種抗血清を当該菌株以外の菌株で1~2回吸収することによって, 当該菌株のみに反応する5つの因子血情(II)が得られた. 2. この5種因子血清をもって, 牛乳由来コアグラーゼ陽性菌162株の型別を行なった. その結果, 162株中152株(93.8%)がA群よりF群に至る6群に分けられた. また各群は, それぞれさらに若干の型に細分することができた. 3. 牛乳由来コアグラーゼ陽性菌株の抗原因子型は, 牛乳由来コアグラーゼ陰性菌株および家畜由来菌株のそれに比較して, 著しく異なることが認められた. 4. 両種の因子血清(I)および(II)による型別の成績を比較した. その結果から, 両者の間には関連があるものと考えられる.
  • 大島 寛一, 三浦 定夫
    1963 年 25 巻 5 号 p. 277-287_4
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 久葉 昇
    1963 年 25 巻 5 号 p. 289-297_2
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
  • 大越 伸, 鈴木 直義, 友田 勇
    1963 年 25 巻 5 号 p. 299-313
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    著者らは,さきに,肝・腎障害および貧血を主徴とする犬の諸種疾患に低血清透析性 Ca 状態の傾向を認め, 生体防衛反応における低血清透析性 Ca 状態の意義を究明する目的から, 実験的肝障害時のその状態について検索を試みて報告した. 今回, 低血清透析性 Ca 状態において, 生体が生命保全のために示す生体防衛反応の意義を, 貧血症について, 臨床的および実験的に検索した. その結果は, つぎのとおりである. 1) 犬鉤虫症の臨床例における血清透析性 Ca および血清総 Ca 値は, 健康値に比較して, 著名な低下を示した. 2) 犬鉤虫子虫の人工感染を試みたところ, 鉤虫保有成犬に感染(重感染)した場合, 血液所見と同じく, 血清透析性 Ca および血清総 Ca にも認め得べき動態は観察されなかった. 幼犬が感染(初感染)した場合には, 血清透析性 Ca および血清総 Ca は感染後急激に低下し, その後は漸増する傾向を示したが, これは貧血の発現過程とほとんど平行していた. 3) 多量の一回瀉血と, 少量の長期連続瀉血を行なった犬および家兎では, いずれの場合も血清透析性 Ca および総 Ca の変動は, 貧血の過程とほとんど同じ傾向を表わした. 4) 一方, 強度の貧血を呈し, 死の転帰を取った鉤虫子虫人工感染幼犬および瀉血家兎では, すべて血清透析性 Ca および総 Ca は, 著名かつ急激な低下を示した. 以上の結果から実験的鉤虫感染および瀉血時においては, 貧血の憎悪にともなって, 血清透析性 Ca および血清総 Ca の低下を認めた. したがって低血清透析性 Ca 状態と貧血は, 感染防禦力の立場において, 密接な関係を有するものと推察された.
  • 山内 昭二
    1963 年 25 巻 5 号 p. 315-322_4
    発行日: 1963/10/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    3例の老令牛(28年, 21年, 17年)の卵巣を組織学的に研究し, それらに共通する組織学的形質を認めた. 供試前におけるこれらの動物の性的症状に関する臨床的観察が不完全なものもあったため, 組織学的所見の意義を充分に考察することはできなかった. 正常な発育卵胞または原始卵胞は, いずれの卵巣にも見いだされない. 3例中で最も若い動物において, 卵胞の輪郭を示すものが少数認められたが, 卵細胞は変性しており, かつ卵胞は閉鎖過程を示していた. このことから, 17年以上の牛では, 卵細胞はほとんど消失しているものと考えられる. 卵胞の消失に伴い, 卵巣は本質的には支質性組織のみから成る. とくに最高令牛の卵巣では, この傾向が強く, ほとんど完全な線維体の様相が示されていた. 3例中2例において, それぞれ一側の卵巣に嚢腫の発育が認められた. 最高令牛の嚢腫腔には, 白色ゼリー状物質が, また17才牛のそれには, 無色の液体が満たされていた. これらの嚢腫が, ホルモン活性を有していたかどうかは不明である. 全例の卵巣において,卵胞様構造が両側性に認められた. 卵胞様構造の個々の大きさと発現の頻度は, 本報告の3例においては, 高令のものほど, いずれも大であるように思われる. 本報告に記載された卵胞様構造は, 梁柱の発達形式に従い, 2型に分類され, その一つは顆粒細胞腫, 他は嚢胞腺腫と見なされる. 比較的大形の顆粒細胞腫には, 大小のコロイド小体がきわめて多数認められる. この小体は, コロイドの累積によって, 形が増大して行くように思われる. 組織科学的検索の結果, この小体は脂質をも含む一種の多糖類であることが明らかにされた. コロイド小体は, 梁柱組織中に確実に位置して見いだされる. 顆粒細胞腫には, もう一つの特徴的形質, すなわち花冠様構造が認められる. この場合の花冠様構造の多くのものは, 梁柱の横断面であることが明らかにされた. 従って, このものは, 本来の Call-Exner 小体とは, 本質において明らかに区別されるべきものと考えられる. 一方, 本来の Call-Exner 小体と認められるものをもつ卵胞様構造もまた存在する.
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