日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
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41 巻, 1 号
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  • 花田 道子, 下田 和伸, 富田 真市, 中瀬 安清, 西山 保一
    1979 年 41 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Seven 6-day-old SPF piglets from one litter were inoculated intranasally with cell-free sonicated extract of Bordetella bronchiseptica four times every day for 64 days. Distilled water-inoculated and non-treated piglets were used as control animals. The cell-free sonicated extract was obtained from B. bronchiseptica strain L3, phase I, which contained a high level of heat-labile toxin. All the piglets were slaughtered for necropsy at 70 days of age. Various degrees of atrophy of the nasal turbinates in the maxillary sections were grossly observed in them. Lesions similar to those of swine atrophic rhinitis were found microscopically: rarefaction of the turbinate bone, degenerative changes of bone cells, proliferation of osteoblasts and osteoclasts, thickening of the periosteum, cell infiltration in the lamina pvropria, and hyperplasia of the nasal epithelium. Effects of the extract were also observed in other organs. The results suggest that the heat-labile toxin of B. bronchiseptica may be responsible for the development of atrophic rhinitis in the piglets.
  • 渡部 恂子, 尾形 学
    1979 年 41 巻 1 号 p. 9-17
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    ウマ, ウシおよびと畜場下水から分離されたAcholeplasma株の生物学的および血清学的性状を, 既知のAcholeplasma菌種と比較した. Acholeplasma laidlawii種に属する株は血清学的に不均一で, そのうち数株はA. oculi 19L株と発育阻止試験で交差があった. 今回調べた株のうち, A. granularum, A. axanthum, およびA. modicumに属する株の生物学的ならびに血清学的性状は特微的であり, またそれぞれの標準株と同一の性状を示した. 上記の3菌種の性状は互いに異なり, またA. laidlawiiおよびA. oculiの性状とも明らかに異なっていた. ウマ由来のH23M株と同一であった4株は, 未分類であるが, 血清学的および生物学的に既知のAcholeplasma菌種と異なっており, genus Acholeplasmaの新菌種とすべきであると思われる.
  • 佐々木 真敬, 宮園 裕子, 稲田 七郎
    1979 年 41 巻 1 号 p. 19-30
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    幼犬5頭を用いて挙手動作の調教を連日行ない, 挙手動作の主働筋である上腕二頭筋より筋電図を3~4日間隔で記録した. 筋電図は一般に, 動作に対応する持続性活動電位と, それに先行する疎な活動電位に区別された. 前者の潜時, すなわちpremotor time (PMT)は調教の進展と共に短縮しかつ一定となり, 調教の成果が明らかに認められた. その過程は無反応期, 遅反応期, 移行期, 完成期に区別され, 完成期におけるPMTは平均で119~358 msecであった. また, 調教の一時休止によって, PMTの延長ならびにバラツキの増大が認められた. 後者の潜時, すなわちpreceding potential latency (PPL)は9~1135 msecの広い範囲に分布したが, 15 msecにmodeをもつ群, 75 msecにmodeをもつ群および150 msec以上の群の3群に大別された. 視覚遮断, 挙手の合図に伴う音の遮断の実験によって, 75 msecにmodeをもつpreceding potentialの発現は聴覚入力に, 150 msec以上のものは視覚入力に依存すると推測された. これらの結果から, 挙手反応の運動プログラムは調教初期では主に視覚, 完成期に近づくにつれて聴覚に依存するようになると考えられた. また, 調教の出来の良い動物では早く完成期に達するほか, PMTが短かく, そのバラツキも小さく, あるいはpreceding potentialが完成期に消失するなど, 個体の調教適性が挙手反応時の筋電図パターン上に多面的に反映された.
  • 平野 紀夫, 宮嶌 宏彰, 藤原 公策
    1979 年 41 巻 1 号 p. 31-40
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウス肝炎ウイルス抗体陽性率の高い繁殖コロニーの4週齢マウス糞便から, 物理化学的性状がコロナウイルスのそれに一致するウイルスが分離された. このコロニーではセンダイウイルス抗体陽性率も高かったが, 肝炎の発病例は見られなかった. 分離ウイルスはDBT細胞でよく増殖して細胞病原性を示したが, 離乳マウス接種により致死的肝炎をおこすためにはコーチゾン処置が必要であった. 補体結合反応および螢光抗体法により分離ウイルスは強毒株MHV-2と交差反応を示したが, DBT細胞による中和試験では分離株とMHV-2株との間に抗原的差異が見られた.
  • 中村 光孝, 井上 睦
    1979 年 41 巻 1 号 p. 41-51
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    精液貯溜腫を認めた雄鶏17例及び健康鶏のほか本病以外の鶏病例を含む28例を主として病理組織学的に検索して以下の結果を得た. 臨床的に本症の発見は困難で, 肉眼剖検上も, 病変の指摘は困難であった. 指摘できる場合, 精巣上体のみに白色, 砂粒状, 大小不同の点状ないし粟粒大の微小硬固塊状物を容れた膨隆を認めた. 病理組織学的に最も本症を特微づける病変は, 精巣輸出管における精子凝集塊の存在である. この精子凝集塊は, 精細管内で造られ, 精巣網を経て輸出管に集積し, ここに石灰化にまで至る各種病変が認められた. 精巣及び精巣上体間質には非炎症性の変化がみられた. しかし, 精巣上体管, 精管には殆んど変化がみられなかった. 本症は雄鶏に37.8%という高率に発生し, 180日齢以降の雄鶏にのみ見られ, しかも加齢と共に病変の程度が重くなり, 他の特定の疾病に随伴して発生することはなく, 品種との関係もみられなかった. 原因論について ,以上の結果から本症を老化の一事象と考える. また病名には, 精液貯溜腫(Spermatocele)が適当と考える.
  • 呉 守一, 白井 弥, 佐藤 常男, 百渓 英一, 鹿嶋 傅, 斎藤 隆行, 水岡 啓二, 山田 史
    1979 年 41 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    豚のカタル性胃炎41例について, 一般的染色法およびCFI法を用いて光輝細胞の検索を行い, 次のような結果を得た. 1) 豚の胃炎においては光輝細胞が出現し, 平滑筋線維の離開が光輝細胞の発生要因になるという浜崎の報告に, ほぼ一致する所見が得られた. 2) 光輝細胞は, 胃粘膜下組織に最も多数出現した. 特に浮腫性膨化部に多く, かつ種々の形態を呈するものが認められた. 3) 粘膜下組織に次いで, 光輝細胞は筋層, 特に間質結合組織内に多く出現した. 胃食道部においては, 粘膜固有層にも明瞭な光輝細胞が認められた. 腺胃部の粘膜固有層には, 少数か, または認め難かった. なお漿膜でも, 少数か, または認められなかった. 4) 4種のKECのうち, Cr-とFe-KEGは明瞭に, Cu-とHg-KECは不明瞭に認められた. 5) 豚の胃における光輝細胞は, 他の報告と同様に, Baryt水分別により観察しやすくなった. 本論文の要旨は, 第83回日本獣医学会(神奈川県相模原市, 1977年4月)において発表した. 稿を終わるに臨み, 材料採取にご協力頂いた東京都芝浦食肉衛生検査所の各位に深謝する.
  • 浅利 昌男, 深谷 幸作, 江口 保暢, 西田 司一, 鹿野 胖
    1979 年 41 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    マウス副腎皮質X帯に及ぼす種々の濃度のtestosterone, progesteroneの影響を知るために30日齢のICR処女雌マウスを用いて検討した. さらに, 卵巣摘出マウスにprogesteroneを投与してその影響をも検討し, 次の成果を得た. 1) Testosterone投与では, 2.5, 1.0, 0.5, 0.1mg投与群のすべての例で, X帯は退行過程および消失様相を呈し, その形態的特微は一部の例外を除き皮・髄質境界部での膠原線維の集積であった. 2) Progesterone投与では, 2.5mg投与群で9例中8例で, X帯は退行過程および消失様相を呈していたが, 1.0mg投与群では6例中1例のみ退行したに過ぎなかった. さらに, 0.5mg投与詳でほ全例でX帯は完全に維持されていた. 消失様相の形態的特徴は一部の例外を除きX帯細胞の空胞変性化であった. 3) 卵巣除去によって内因性の影響を除いたマウスにprogesterone 2.5mgを投与した場合, 5例中4例でX帯が明瞭に維持され, 残存していた. これらの結果から, 雌マウスX帯に対するprogesteroneの退行性効果は, ほぼ卵巣を仲介するものであり, 本質的にはandrogen性であることが示唆される.
  • 入谷 好一
    1979 年 41 巻 1 号 p. 69-71
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    トリプシンと数種の界面活性剤とを使用し, ヘモフィルス・パラガリナルム(HG)の赤血球凝集素(HA)の分離が行なわれた. ノイラミニデース前処理菌をトリプシン消化すると, 他の菌体抗原を混存するHAが分離した. 本HA液はニワトリに赤血球凝集抑制抗体を賦与した. しかし, 界面活性剤はHA性を失活させるため分離法として不適であった. トリプシン消化法の使用はHG-HAの性状解明に有用であると考えられた.
  • 鹿江 雅光, 井土 裕児, 花見 正幸, 戸田 光敬, 原 行雄
    1979 年 41 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    乳用雄若令肥育牛64頭について検討したところ, 肝膿瘍が18頭(28%)に, 第一胃等の損傷が33頭(51.8%)に認められ, また, 前者の13頭に第一胃等の損傷が観察された. 肝膿瘍牛ではA/Gの減少がみられた. 細菌学的には, 肝膿瘍全例からF. necrophorum phase Aに属する菌が分離され, その菌数は平均106.2/gであった. 本菌のVPI 2891株を抗原とした寒天ゲル内沈降反応では肝膿瘍牛血清のうち14例が陽性を示し, また, 凝集反応では本血清の多くが1:64から1:1024の凝集価を示した.
  • 串田 寿昭
    1979 年 41 巻 1 号 p. 77-79,81
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Trichophyton rubrumによる犬のringwormについては, さきに, 飼主の"みずむし"から感染したと考えられる症例を, わが国における最初の記載として報告したが, 今回, それと同様にやはり飼主から感染したと思われるプードルの症例を経験したので, 第2例目として追加報告する. 犬の病巣はトリミングされた腰背部に限局し, 紅斑, 落屑, 脱毛がみられた. 飼主は同菌による多年にわたる"みずむし"をもっており, 夜間犬と一緒に寝る習慣があった.
  • 大島 寛一, 内藤 善久, 清宮 幸男
    1979 年 41 巻 1 号 p. 83-85,87
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    体重9kg, 2歳の雌柴犬で, 発熱, 食欲不振, 下痢, 嘔吐を主徴とし, 多量の抗生物質その他の治療を受けたが改善を見ず, 発病後21日目に安楽死を行なった. 殺後の組織学的検査により, 強いジステンパー病巣と共に, 左肺横隔膜葉の気管枝内に, 形態学的にAspergillus sp.と考えられる菌糸塊をいれ, これから伸びる菌糸が粘膜に侵入し, 気管枝壁の壊死と強い細胞性惨出を伴う, 犬ではきわめて稀とされる真菌性気管枝炎が認められた.
  • 中沢 宗生, 景森 令克, 東 量三
    1979 年 41 巻 1 号 p. 89-90
    発行日: 1979/02/25
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    Actinobacillosisの原因菌であるActinobacillus ligniersiiの血清型を日本の牛で調べるため, と場において, 和牛の化膿病巣から174株の本菌を分離同定し, 血清型を決定した. その結果, 血清型5が主に分離され, 続いて血清型4, 1, 6, 3, 2の順であった. この成績はPhillipsの報告しているイギリスにおける成績とは, かなり異なるものであった. また, 牛から血清型3が分離されたという報告は今回が最初と思われた.
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