酸化ジルコニウム(IV)水和物-活性炭(ZrO
2・H
2O-A.C)複合体を合成し,ヒ酸イオンに対する複合体の吸着能を研究した。複合体はつぎの方法で調製した。ZrOCI
2・8H
2Oの所定量(2.2~11g)を水(50ml)に溶解し,粒状活性炭(50ml;22.5g)とをまぜ合わせ,混合物を160℃で加熱し水と塩化水素を蒸発した。加熱生成物は活性炭上の添着物をZrO
2・xH
2Oに加水分解するため水洗し.110℃ で乾燥した。用いた石炭系粒状活性炭はFe1。8%,CaO.47%,NaO.13%を含有し,さらに活性炭にFe
2O
3.xH
2Oを添着した生成物はヒ酸イオンの吸着量を活性炭より増大したが,吸着剤としての再生は不可能とみられる。一方,ZrO
2・H
2O-A.C複合体は水酸化ナトリウム溶液と塩酸によって再生できた。ZrO
2・HaO-A.C複合体によるヒ酸イオンの吸着は,ヒ素(III)イオンが吸着剤の固体表面における触媒作用でヒ素(V)イオンに酸化されてから,酸性~ 中性溶液で行なわれた。Na
+,K
+,Cr
-,NO
3-,SO
42-などはヒ素(V)イオンの吸着に影響を与えないが,Mg
2+とCa
2+はヒ素(V)イオンと不溶性塩を生成してヒ素(V)イオンの吸着量を若干増大し,PO
43-はその吸着によってヒ素(V)イオンの吸着容量を減少した。カラム試験において,ヒ酸イオンの破過点は入口のAs
2O
3濃度50mg/l のとき330l/l(12.4gAs/z吸着剤)であった。第2回目のRunにおけるヒ素の吸着容量は第1回目のRunにおけるより約25%減少するが,その後の吸着容量は10回までのくり返しにおいては減少しなかった。
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