耳鼻と臨床
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44 巻, 4 号
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  • 土屋 睦子, 伊藤 信輔
    1998 年 44 巻 4 号 p. 329-334
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    重心動揺検査は眩暈症例を扱う臨床の場で普及しているが、従来の方法では必ずしも鋭敏に異常を検出することはできない。そこで眩暈を主訴に久留米大学耳鼻咽喉科を受診した70名の患者を対象に、頭振あるいは体位変換を負荷した重心動揺検査を行い、これらの負荷によって異常が検出されやすくなるか否かを検討した。その結果、良性発作性頭位眩暈症では頭振や体位変換運動負荷を行った際に、メニエール病 (頭振眼振あり) では頭振負荷を行った際に、椎骨脳底動脈循環不全症では体位変換運動負荷を行った際に、それぞれ動揺が増す事が明らかにされた。
  • 渡邊 健一, 野中 学, 小坂 和己, 嘉村 恵理子, 青木 秀治, 八木 聰明, 大秋 美治
    1998 年 44 巻 4 号 p. 335-337
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    母斑細胞母斑は外耳道良性腫瘍の約20%を占めるが、外耳道骨部に発生した症例は比較的稀である。われわれは外耳道骨部の母斑細胞母斑の一症例を経験した。生検により確定診断に至り、外科的に摘出した。外来で経過観察中であるが、再発は認められていない。
  • 竹本 直子, 吉原 俊雄
    1998 年 44 巻 4 号 p. 338-341
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    ステノン氏管の損傷は、顔面外傷に伴うことが最も多く、外唾液瘻を認めるか、受傷直後の縫合処置によって唾液嚢腫を形成し、発見されることがある。
    症例は36歳男性で交通事故の際、窓ガラスで顔面を損傷し、外唾液瘻を示し、画像診断上ステノン氏管の部位にガラス片を認めた。
    本症は、損傷部位や程度によって口腔内から手術する場合と外切開を必要とする場合、さらに耳下腺機能を廃絶させる処理を選択せざるを得ないことがある。今回の症例は頬部皮膚外切開術によりガラス片を摘出後ステノン氏管の再建を行い、狭窄することなくステノン氏管の機能を保存しえた。さらに過去に報告された31症例を検討し、若干の考察を加えた。
  • 白根 誠, 佐藤 英治, 上田 勉, 山根 哲実
    1998 年 44 巻 4 号 p. 342-345
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    唾液腺症は通常両側耳下腺のびまん性腫脹として発症する、慢性再発性の非炎症性疾患群であり、その症例の多くに内分泌異常や代謝異常を合併するとされている。
    今回われわれは、これまでの多くの報告と異なり、何等全身的な合併症を有さず、一側耳下腺の限局性腫脹として発症し、当初良性腫瘍を疑った唾液腺症の一例について、文献的考察を行った。
  • 渡邉 昭仁, 野平 久仁彦, 片山 昭公
    1998 年 44 巻 4 号 p. 346-350
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    われわれ耳鼻咽喉科も顔面骨骨折の新鮮例を治療する機会は少なくない。その際に術後眼球陥凹をおこさないように注意し治療しなければならない。さらに眼球陥凹がおこった場合には治療しなければならないこともあると思われる。
    顔面骨骨折新鮮例における診断、治療時に頬骨の転位・眼窩内壁骨折に注意することを再確認した。さらに2例とまだ症例数は少ないが、外傷後陳旧性眼球陥凹症例の治療方法として頭蓋外板を眼窩内に移植することで術後顔貌は比較的満足する結果を得た。
  • 千々和 圭一, 森 一功, 坂田 一成, 中島 格
    1998 年 44 巻 4 号 p. 351-359
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1986年から1996年までの11年間に当科で初治療を行った耳下腺悪性腫瘍35例を対象として、生存率、死因、局所再発、頸部再発を検討した。
    全体の3年生存率は64%であり、T別の3年生存率はTaで100%、Tbでは47% であった。主な病理組織型別の3年生存率は腺癌では65%、粘表皮癌では60%、腺様嚢胞癌、悪性混合腫瘍では100%であった。さらに原発巣の手術法の検討から、腫瘍が浅葉に限局し顔面神経への浸潤がないT1、T2症例は顔面神経を保存した浅葉切除術で十分であり、顔面神経に浸潤するT2症例では顔面神経本幹からの合併切除が、T3以上の症例は顔面神経本幹からの合併切除と全摘術以上が必要であることが分かつた。頸部の処理法の検討から、N0症例でも上頸部以上の頸部郭清術が必要と考えられた。また術後の放射線治療、化学療法は有効と考えられた。
  • 坂本 菊男, 森 一功
    1998 年 44 巻 4 号 p. 360-363
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    1978年から96年までの19年間に本院で治療を行った粘表皮癌の初治療例21例について、その臨床的特徴と治療成績とを検討した。全体での3年生存率は66%であった。粘表皮癌の扁平上皮癌成分の分化度に関しては、全例高分化型高悪性度タイプであり、分化度と治療成績との関連性については検討できなかつた。高分化型の悪性度の高いもの、浸潤性に増殖しているもの、切除範囲が不十分と思われる症例は、放射線治療を行うべきである。また、化学療法と組み合わせた集学的治療の検討が必要である。
  • 橋口 一弘, 荒木 昭夫, 小川 浩司, 泰地 秀信, 田中 寿一, 斉藤 晶, 大築 淳一, 増田 隆正, 丸山 毅, 池田 美智子, 大 ...
    1998 年 44 巻 4 号 p. 364-375
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    アレルギー性鼻炎患者に対するペミロラストカリウム (アレギサール®) の臨床効果について検討した。スギ花粉症患者では、スギ花粉飛散 (20個/cm2/日以上の飛散) 前から投与した症例を初期投与群 (以下予防群: 35例) 、スギ花粉飛散後の有症状の患者に投与した症例を治療投与群 (以下治療群: 12例) とし、鼻症状などを点数化し評価した結果、花粉飛散初期では予防群の方が治療群に比べ、有意に軽く、初期治療投与の有効性が認められた。予防群での有効性は、「著効」23%、「中等度効果あり」43%、治療群での全般改善度は、「著明改善」17%、「中等度改善」25%であった。通年性アレルギー性鼻炎患者の鼻症状などの推移では内服を続行することにより改善度合は高まる傾向がみられた。全般改善度では、「著明改善」15%、「中等度改善」8%であった。安全性評価対象94例中、副作用は2例に認めた。以上より、アレギサール®はアレルギー性鼻炎に有用な薬剤であると考えられた。
  • 大久保 公裕, 後藤 穣, 八木 聰明, 田中 晃, 吉田 博一, 馬場 廣太郎, 鈴木 重剛, 大橋 晋吾, 服部 康夫, 滝沢 竜太, ...
    1998 年 44 巻 4 号 p. 376-389
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2013/05/10
    ジャーナル フリー
    スギ花粉症に対するアレギサール®の臨床効果をスギ花粉20個/cm2/日以上の飛散前から投与した飛散前投与群、飛散開始から投与した飛散後投与群に分けて検討した。
    解析対象90例の鼻症状および日常生活スコア、Symptom Score (SS) および Symptom-Medication Score (SMS) の検討では、くしゃみ、鼻汁、SSおよびSMSは飛散開始時において飛散開始4週未満前に投与した群の方が飛散後投与群より有意に低値であった。鼻閉に関しては、飛散開始時には差がなく、飛散開始8週後にて飛散前投与群の方が飛散後投与群より有意に低値を示した。
    最終全般改善度は飛散前投与群で「中等度効果」以上52%、飛散後投与群で「中等度改善」以上47%であった。
    安全性評価対象129例中2例に軽度の副作用を認めた。
    以上より、スギ花粉症に対してアレギサール®は有用な薬剤と考える。
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