耳鼻と臨床
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55 巻, 3 号
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視点
原著
  • - neoadjuvant chemotherapy の有用性 -
    千々和 秀記, 進 武一郎, 梅野 博仁, 中島 格, 鈴木 弦, 早渕 尚文
    2009 年 55 巻 3 号 p. 97-103
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/01
    ジャーナル フリー
    1989 - 2005 年に久留米大学病院で根治治療を行った下咽頭扁平上皮癌一次治療例 208 症例 (stage III 42 例、IV 166 例) を対象とし、治療方法および neoadjurant chemotherapy (NAC) の有用性について検討を行った。NAC の有無で生存率を比較した結果、NAC を行った症例の 3 年生存率は 62%、行っていない症例では 63%であった (p = 0.7)。喉頭温存治療を行った症例のうち、レーザー + 化学放射線治療の 5 年局所制御率は 89%と最も良好であり、今後は適応を拡大していく必要があると考えられた。NAC による原発巣、頸部リンパ節の奏効率はそれぞれ 53%、38%であった。奏効度別の生存率は CR、PR 症例が NC 症例に比べ良好であった (p = 0.001)。NAC は予後を推測する指標として有用であり、治療方法を選択するための補助療法としても有用な治療と考えられた。
  • 古後 龍之介, 山内 盛泰, 力丸 文秀, 檜垣 雄一郎, 冨田 吉信
    2009 年 55 巻 3 号 p. 104-111
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/01
    ジャーナル フリー
    1972 年から2004 年までに九州がんセンター頭頸科で入院時原発不明頸部転移癌を疑い一次治療を行った 81 症例中扁平上皮癌症例 51 例を対象に検討した。初回治療開始前に原発巣が判明した症例が 12 例 (24%)、初回治療開始後に原発巣が判明した症例が 9 例 (18%)、原発巣が最終的に不明な症例が 30 例 (59%) であった。判明原発巣は下咽頭梨状陥凹が 8 例、中咽頭口蓋扁桃が 7 例と多かった。転移リンパ節の個数は下咽頭癌で多く、転移リンパ節の大きさは上咽頭癌で大きい傾向があった。原発不明頸部転移癌の中で、初回治療開始後に原発巣が判明した症例の方が、最終的に原発巣が不明な症例に比べ、予後が良い傾向があり、初回治療前の原発巣の入念な検索が重要である。また、治療は頸部郭清術を施行した症例の 3 年生存率 (56 %) が、施行しなかった症例の 3 年生存率 (25%) より良好で、頸部郭清術による頸部転移巣の制御が重要である。
  • 上薗 健一, 安松 隆治, 中島 寅彦, 瀬川 祐一, 詠田 眞治, 庄野 禎久, 佐々木 富男, 小宗 静男
    2009 年 55 巻 3 号 p. 112-119
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/01
    ジャーナル フリー
    両側頸動脈小体腫瘍 (carotid body paraganglioma : CBP) の 2 例を経験した。症例 1 は 42歳、男性で両頸部腫瘤のため、頸部造影 CT ・ MRI を行ったところ両側頸動脈分岐部直上に均一に造影される腫瘤が認められた。CBP を疑い、血管造影検査を行ったところ頸動脈分岐部に  ‘blush’  状の腫瘤濃染像を認め CBP と診断した。まず、腫瘍径の大きい右側の経皮的血管腫瘍塞栓術を施行した上で腫瘍摘出術を行った。腫瘍は主要血管と剥離可能であり、血管バイパス ・ 置換等を必要としなかった。手術による合併症はなく、術後経過は良好であった。その後、左側の腫瘍摘出術も施行した。症例 2 は 40 歳、男性で嗄声と誤嚥を主訴に受診した。頸部造影 CT ・ MRI ・ 血管造影検査で両側頸動脈分岐部に腫瘤を認めた。神経症状を呈している右側の腫瘍に対して、経皮的血管腫瘍塞栓術を施行した上で摘出術を行った。腫瘍は内 ・ 外頸動脈と剥離可能であった。無痛性の頸部腫瘤を認めた場合、炎症性 ・ 転移性リンパ節腫脹とともに本疾患を鑑別疾患として念頭に置く必要がある。血流豊富な腫瘍であり、安易な穿刺吸引細胞診検査は危険性を伴う。根本的な治療は手術による摘出であり、増大して手術リスクが大きくなる前の早期手術が勧められる。
  • 高橋 宏尚, 兵頭 政光, 比野平 恭之
    2009 年 55 巻 3 号 p. 120-126
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/09/01
    ジャーナル フリー
    オロパタジンのスギ花粉症に対する効果を、愛媛大学および関連病院で 2005 年 1 月から 5 月まで調査した。対象患者は 58 例で、初期療法群と、飛散後投与群の 2 群に分けて検討した。評価はアンケート形式で行い、3 大症状 (くしゃみ、鼻汁、鼻閉) と quality of life (QOL)、症状投薬スコア (symptom medication scores) を検討した。初期療法群ではくしゃみが有意に改善していた。飛散後投与群では、3 大症状および QOL が投与 2 および 4 週後に改善していた。QOL は 2 群とも有意に改善していた。副作用としては眠気が 1 例に認められた。これらの結果は、スギ花粉の飛散前後におけるオロパタジン投与の有用性を示唆するものであった。
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