日本臨床免疫学会会誌
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14 巻, 3 号
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  • 高木 弘, 打田 和治
    1991 年 14 巻 3 号 p. 245-251
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
  • 有本 保文, 坪井 一彦, 西尾 晃, 飯田 優
    1991 年 14 巻 3 号 p. 252-257
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    糖尿病における補体変動の意義を知るために糖尿病患者72名(細小血管症を合併しない糖尿病[F群] 35名,糖尿病性網膜症[R群] 14名,糖尿病性腎症[N群] 12名,糖尿病性腎症透析患者[DHD群] 11名),健常者[H群] 25名の補体フラグメントC4d, iC3b, Bbを測定した.その結果,次のごとき結果が得られた. F群およびR群ではC4d, iC3b, Bb共にH群に比し有意に高値を示し, classical pathway, altemative pathway両経路の活性亢進が示唆されたが,両群間に有意差はみられなかった. N群では, F, R群に比しC4d, iC3bの有意な高値がみられclassical pathwayを介した補体活性の亢進が腎症の成り立ちになんらかの関与をしている可能性が示唆された. DHD群でも,両経路の活性亢進が示唆されたが, C4d, iC3bはN群に比し低かった.
  • 岡野 哲郎, 三森 経世, 秋月 正史
    1991 年 14 巻 3 号 p. 258-266
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    蛍光抗体法で特徴的な染色様式を示す自己抗体をSLE患者血清中に見いだし,症例名より抗Na抗体と命名した.抗Na抗体は日常検査で用いるHEp-2細胞の20~30%と反応し散在型斑紋(varigated speckled)染色を示した.各細胞周期での抗Na抗体の染色様式はS/G 2期:微細顆粒による斑紋染色,分裂期:粗な顆粒状の離散型斑紋染色(discrete speckled),分裂後期から終期:収縮環の染色,であった.
    抗Na抗体は動物の胸腺細胞可溶性抽出分画を用いた二重免疫拡散法では検出されなかった.
    抗Na抗体は抗PCNA抗体と同様に細胞周期に関連した物質を認識するが,それぞれの対応抗原は異なっていた.抗Na抗体は,散在型斑紋染色を示す血清の83%に認められ, 9.5%の抗PCNA抗体陽性頻度より高頻度であった.
  • 石塚 俊晶, 鈴木 王洋, 原 まさ子, 広瀬 立夫, 針谷 正祥, 日高 利彦, 川越 光博, 中村 治雄
    1991 年 14 巻 3 号 p. 267-275
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    腎症を合併した活動期全身性エリテマトーデス(SLE)患者4例に対して,抗DNA抗体選択的免疫吸着療法を施行し,その臨床的および免疫学的効果を検討した.血漿吸着器は鐘淵化学製SL-01カラムを用い, 1回2.5lの血漿処理量にて, 4回を1クールとし,同一患者に1~2クール施行した.全例において,血中抗DNA抗体価が1~2クール終了時には施行前値より著明に低下し,尿蛋白量も施行直後より低下傾向を示した.クレアチンクリアランスは,本治療施行後2例において改善を示し,残りの2例は不変であった.また,本療法を施行しなかったSLE症例と比較して,蛋白尿の改善期間が短い傾向が認められた.しかし,併用したプレドニゾロン量が少量であった2症例(それぞれ18mg/日, 20mg/日)においては,治療効果は一過性であった.これは,自己抗体産生細胞活性を十分に抑制できなかったためと思われる.本療法を施行する際には十分量のステロイド剤ないし免疫抑制剤を併用する必要があると考えられた.
  • 市川 幸延, 清水 宏明, 吉田 美代子, 有森 茂
    1991 年 14 巻 3 号 p. 276-286
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    シェーグレン症候群(SS),全身性エリテマトーデス(SLE),および慢性関節リウマチ(RA)患者の末梢血B細胞に発現するCD5抗原やinterleukin-2 receptor(IL-2R), transferrin receptor (TfR)などの活性化抗原を2-color flowcytometryにより測定した.
    全B細胞の百分率は健康人22例と比べてSLE 15例では有意に高値で, primary(I°-) SS 17例, secondary (II°-) SS 20例, RA 24例でも高値を示した. CD5+ B細胞百分率はI°-SSとRAで高値を示したが, SLEでは有意に低率であった.一方,全B細胞中に占めるCD5+ B細胞の百分率はII°-SS, RA,およびSLEで有意の低値を示した. II°-SSではprednisolone (PSL)投与量とCD5+ B細胞百分率との間に負の相関を認めた.
    IL-2 R+ B細胞はきわめて少数で,いずれの疾患群でも測定感度以下であった.しかし, TfR+ B細胞の百分率はRAを除くすべての患者群で有意に高率であった.さらに, TfR+ B細胞百分率はPSL投与量と正の相関を示すことから, TfR+ B細胞の増加は疾患活動性を反映すると考えられた.
    全B細胞, CD5+ B細胞, TfR+ B細胞のいずれもRA患者でのみ比例的に増加傾向を示した.
    今回の成績はRA, SS,あるいはSLE患者では全B細胞中に占めるCD5+ B細胞の百分率が高値であるという従来の報告を支持しなかった.また,私たちの成績はB細胞に対する活性化刺激は個々の疾患によって異なる可能性があり,少なくともSSやSLEではCD5抗原はB細胞の活性化抗原ではないことを示唆している.
  • 加藤 芳郎, 今村 明, 上島 紳介, 小林 秀夫, 水谷 泰子, 三原 英嗣, 毛受 弘親, 加藤 良一, 小栗 隆
    1991 年 14 巻 3 号 p. 287-293
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は19歳女性.精神錯乱,行動異常が数日で急速に進行し,某精神科病院へ入院.けいれん発作,白血球減少をきたし当科転院した.顔面および手掌の紅斑,手,足関節の関節炎を認め,血清検査でn-RNP抗体128倍陽性.抗DNA抗体とSm抗体は陰性であった.メチルプレドニゾロン1日1g 3日間投与のパルス療法を, 3コース施行し,さらにプレドニゾロン40mgの後療法を継続した.その結果,精神症状は消失し,日常生活に支障ないまでに改善したため退院し,経過観察中である.本症例では1982年ARAのSLE分類基準を満たすが1), MCTDとの鑑別が問題となった.本症例と同様に,精神症状を主症状とするCNSループス様疾患と診断された報告では,抗核抗体のうち,抗n-RNP抗体のみが高値陽性の症例が散見され,精神症状を主とするSLEまたはMCTDでは,血清学的にも特異な様式を示すとも考えられ,診断にあたって注意が必要と思われた.
  • 下田 勝広, 斉藤 貴生, 中村 彰, 桑原 亮彦, 掛谷 和俊, 木下 忠彦, 重光 祐司, 小林 迪夫
    1991 年 14 巻 3 号 p. 294-299
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    食道癌患者30例(切除例21例,進行切除不能例9例)の入院時末梢血単核球をrlL-2と培養し,培養後のLAK活性および細胞増殖能を測定することにより,食道癌患者の免疫能をrIL-2に対する感受性の面から検討した.食道癌患者末梢血単核球のLAK活性,細胞増殖能は健常者に比べ有意に低値であった.単核球より単球を除去した非付着性細胞をrIL-2と培養したところ,全単核球を培養したものに比べ, LAK活性,細胞増殖能ともに明らかに高値を示した.また,末梢血リンパ球数(L)と単球数(M)の比(L/M)を算定したところ,食道癌患者においては早期胃癌患者に比べ有意にL/Mが低下していた.以上より,食道癌患者末梢血単核球のrIL-2に対するLAK誘導能,細胞増殖能は低下していることが示されたが,単核球中に占める単球の割合が多いことがその一因であり,リンパ球機能自体はある程度保たれていることが示唆された.
  • 張 蘇平, 平野 隆雄, 村島 直哉, 廣瀬 俊一, 北川 龍一, 奥村 康
    1991 年 14 巻 3 号 p. 300-306
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    肝硬変症患者血清中の免疫複合体(IC),とくにC3ネオアンチゲンに結合するC3b結合免疫複合体(C 3b-IC)とiC 3b/C 3dg結合免疫複合体(iC 3b/C 3dg-IC)の産生,およびそのクリアランスに重要な役割を担っている補体リセプター(CR 1), factor Iおよびfactor Hの動態について検討した.肝硬変症患者血漿中において,高率にC 3b-ICが検出されたがiC 3b/C 3dg-lcは正常人,慢性肝炎患者との間に有意な差は認めなかった.また,肝硬変患者において,補体リセプター(CR 1)と血漿factor Hは高値を示したが, factor I値はコントロール群と比較して低値を示した(p<0.01).このことは,肝硬変患者において免疫複合体(IC)の異常産生,そのクリアランスに重要な補体C3カスケードのメカニズムの異常の存在が推測された.すなわち, factor I値の低値による機能不全のためC 3b〓C 3dgへの変換が障害され,それを補うためCR 1, factor Hの産生充進として働いていることが推察される.このように肝硬変患者におけるC3カスケードの異常評価の検討をすすめることは,肝障害時における補体系動態の解析に重要であることが示唆された.
  • 菊池 正俊, 高橋 知香子, 中園 清, 村澤 章, 小澤 哲夫, 佐藤 健比呂, 中野 正明, 荒川 正昭
    1991 年 14 巻 3 号 p. 307-312
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    Leukocytoclastic vasculitis (LV)を合併し,低用量methotrexate (MTX)療法が有効と考えられた慢性関節リウマチ(RA)の1例を経験したので報告する.症例は52歳の女性で,昭和57年より多関節痛が出現し,近医でRAと診断された.その後,金療法, d-penicillamine (D-PC), Lobenzaritなどの治療を受けたが症状増悪するため, 62年6月,当院に紹介され入院した.両側手指はムチランス様変形があり,後頭部に皮下結節を認めた.検査所見では, CRP強陽性, RAHA高値を認め,血沈は1時間値168mmと著しく亢進していた. D-PCとprednisoloneの併用療法で経過を観察していたが, 10月25日頃より両下腿に掻痒,灼熱感を伴う皮疹が出現し,補体蛋白の減少が認められた.皮膚生検の結果, LVと診断された.低用量MTX療法開始後,関節痛は徐々に改善し,皮疹も1ヵ月ほどで消退した.
    同療法は, LVなどの関節外症状においても有効性が示唆され,注意深い管理のもとでは,今後さらに試みてもよい治療法と考えられた.
  • 症例報告と文献的考察
    倉恒 弘彦, 大山 摩佐子, 金山 良男, 野島 順三, 服部 英喜, 森田 隆子, 田川 進一, 待井 隆志, 向井 徹, 近藤 一博, ...
    1991 年 14 巻 3 号 p. 313-320
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    10年以上もの長期間にわたり全身倦怠感,微熱,関節痛などを主とする諸症状に苦しむ30歳の女性が来院した.他院では,ステロイドや免疫抑制剤なども投与されていたが,寛解・増悪を繰り返していた. 6ヵ月以上続く全身倦怠感,微熱,咽頭痛,リンパ節腫脹,筋力の低下,筋痛,頭痛,関節痛,思考力・集中力の低下などが認められ, Holmesらの診断基準に従い, chronic fatigue syndrome (CFS)と診断した.ウイルス抗体価の検索では,麻疹,水痘ヘルペス,単純ヘルペス, EBウイルスが軽度高値で,ヒトヘルペスウイルス-6 (HHV-6)の抗体価は, 2,560倍ときわめて高値を示した.しかし,末梢血単核球を用いたPCRの検索ではHHV-6特異的配列は認められず,本例におけるHHV-6の関与は明らかでない.リムルステストは陽性で,エンドスペーシー,トキシカラーともに高値を示した.また, NK活性は, E/T比10対1, 20対1ともにきわめて低値を示した.一方, NK細胞の指標であるCD57は末梢血単核球中19.7%と正常であったが, CD16は2.3%と明らかに減少していた.このCD16異常とNK活性の障害に関しては今後の検討が必要である.治療としては,ステロイドを減量し,精神療法を中心に行ったところ,約2週間後より解熱傾向があり, 1ヵ月後には頭痛,嘔気,全身倦怠感などの諸症状とともに微熱も軽減し退院した.以後約1年間,症状は軽減したまま外来に通院していたが最近,頭痛と意識障害をきたして近医に緊急入院した.
    近年,欧米ではCFSに強い関心がもたれ,患者の支援組織も結成され,広くこの病態の克服に取り組んでいる.ところが,本邦ではほとんど注目されておらず,このような病態は膠原病や更年期障害,心身症などと診断されることが多いと思われる.したがって,今後適切な診断・治療を行うためにも正しい理解が必要である.
  • 萩原 恵里, 青木 昭子, 川井 孝子, 吉田 洋子, 成田 雅弘, 松永 敬一郎, 石ヶ坪 良明, 谷 賢治, 大久保 隆男, 加藤 清, ...
    1991 年 14 巻 3 号 p. 321-326
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス(SLE)の経過中に腸穿孔を合併した2例を経験した.第1例は27歳女性, SLE発症約9年後にSLEの活動性の増悪による種々の症状とともに腹部の激痛をきたした,ステロイドパルス療法にも反応せず,抗生剤投与も行ったが敗血症とDICをきたし死亡に至った.剖検による病理所見においてS状結腸に穿孔を伴う地図状潰瘍を認め,広範囲にわたる腸管壁内小動脈にフィブリノイド壊死を伴う血管炎像を認めた.第2例は34歳女性, SLE発症10ヵ月後より非特異的な軽度の腹部症状を訴え,その2ヵ月後に突然の小腸穿孔を発症したが,緊急開腹手術により経過は良好であり,外来にて経過観察となった.
    SLEの経過中に腸穿孔を合併した例は,わが国では8例しか報告されておらず,異なった経過をとった今回の2例は貴重な経験と思われ,ここに文献的考察も含めて紹介する.
  • 廣谷 淳, 森本 茂人, 今中 俊爾, 中本 康朗, 大塚 篤弘, 三木 哲郎, 荻原 俊男
    1991 年 14 巻 3 号 p. 327-332
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    DiGeorge症候群は,副甲状腺,胸腺の無~低形成および心血管系異常を主徴とし,多くは新生児期から幼児期に死亡する.われわれはDiGeorge症候群の長期生存の1例を経験した.症例は30歳男性で, 3歳より痙攣発作を繰り返した. 22歳時,低カルシウム(Ca)血症,高無機リン(Pi)血症,血中副甲状腺ホルモン(PTH)低値およびEllsworth-Howard試験により尿中Pi,サイクリックAMP (cAMP)両者の増加反応が陽性であることより特発性副甲状腺機能低下症と診断され, 1 α-hydroxyvitamin D3による治療を受けていた.本例は同時に右側大動脈弓を認め,また眼間離開,小顎,小耳症などの特徴的顔貌を示した.免疫学的には血中リンパ球数, T細胞数およびそのサブセット数は正常範囲内にあった.染色体検査は正常であった.本症例は,心血管系,免疫系の異常が軽度であったため,長期生存が可能となった不完全型DiGeorge症候群の1例と考えられた.
  • 道免 和文, 大森 房之, 岩切 龍一, 山野 裕二郎, 長野 政則, 石橋 大海
    1991 年 14 巻 3 号 p. 333-339
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    急性球後視神経炎で多発性硬化症を発症し, 10年後に混合性結合織病を合併,経過中無菌性髄膜炎を繰り返した若年女性の1症例を報告する.症例は27歳の女性. 12歳時,読書中に急に視力低下が生じ,眼科にて急性球後視神経炎の診断を受けた.プレドニゾロン投与にて軽快していたが, 2ヵ月後に頭痛,発熱,項部硬直,手指振戦が生じ入院.その後の経過も含めた臨床経過,神経学的所見,画像所見より,多発性硬化症と診断された. 20歳時に, Raynaud現象,手指の腫脹,関節痛が出現, 22歳時顔面蝶形紅斑,頚部,上下肢の筋力の低下が出現し再入院.抗nRNP抗体単独高値より,混合性結合織病の確定診断が得られた.両疾患とも自己免疫疾患と考えられているが,両者の合併例の報告は今までになく,また無菌性髄膜炎を数回繰り返して発症していることも合わせ,その発症,進展に興味がもたれたため,若干の文献的考察を加えて報告する.
  • 浜渦 伸子, 本間 信, 寺田 達也, 徳富 研二, 森 伸一, 竹内 明輝, 橋本 喬史
    1991 年 14 巻 3 号 p. 340-347
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    びまん性食道潰瘍を伴った不全型ベーチェット病の1例を報告する.症例は59歳女性で,不全型ベーチェット病と診断され, 1年後に嚥下障害を主訴に入院.血液検査にて貧血を認め,便潜血反応陽性であった.上部消化管造影検査および食道内視鏡検査において,上部食道から下部食道にかけてびまん性の食道潰瘍を認めた.抗潰瘍薬,コルヒチン,サラゾスルファピリジンの併用投与にて効果認められず,中等量のプレドニゾロン投与により著明な改善を認めた.ベーチェット病に伴うびまん性食道潰瘍はきわめてまれである.また,その治療法は確立されておらず,本症例はベーチェット病の食道潰瘍の臨床病態を究明するにあたり貴重な1例と思われた.
  • 小池 道明, 橋本 真生, 斉藤 潔, 大沢 秀樹, 若林 芳久, 廣瀬 俊一
    1991 年 14 巻 3 号 p. 348-352
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    54歳女性.昭和49年より眼の乾燥,口渇,高γグロブリン血症を主症状とするSjögren症候群と診断されていた.平成元年2月,発熱,労作時の息切れ,疲労感を主訴に当院に入院となった,両側下肺野にvelcroラ音を認めた.また,血小板6.9×104lと減少を認め, PAIgGは184.2ng/107 cellsと高値を示し,骨髄では巨核球数の増加を認めた.また,抗核抗体1,280倍,抗SS-A抗体512倍,抗SS-B抗体4倍であった.胸部X線写真上,両側下肺野に網状細粒状の陰影を認め,動脈血液ガス分析では, PaO2 54mmHg, PaCO2 22.7mmHgと低酸素血症を呈していた.以上より, Sjögren症候群に血小板減少と間質性肺炎を合併したものと考え,プレドニゾロン50mg/dayの投与を開始したところ,血小板の増加および肺炎の著しい改善をただちに認めた.
    Sjögren症候群と血小板減少の合併は,本邦では24例報告されているが,本症例は同時に急激な間質性肺炎を認めた興味ある症例と思われる.なお,血小板減少と間質面肺炎が合併したSjögren症候群は,これまで1例も報告されていない.
  • 渡部 一郎, 佐川 昭, 天崎 吉晴, 渥美 達也, 浄土 智, 中林 透, 向井 正也, 藤咲 淳, 中川 昌一, 永尾 一彦
    1991 年 14 巻 3 号 p. 353-357
    発行日: 1991/06/30
    公開日: 2009/01/22
    ジャーナル フリー
    慢性関節リウマチ(以下RA)は,関節周囲以外の全身性の骨粗鬆症も報告されている.われわれはdual energy X-ray absorptiometry (DEXA法)を用い53例の女性RA患者の骨塩量を測定した.第2-4腰椎,橈骨幹部,全身の骨塩量を計測し,また腰椎,橈骨は正常女性対照の年齢による補正値,全身骨塩量は総脂肪量での補正値にて検討した.腰椎ではstageや活動性,検査所見との差を認めなかった.しかし橈骨骨幹部や全身骨塩量はstage IV群がstage I-III群より低下し,また握力の低下に有意に相関して低下した.検査所見では,血清学的検査との関係を認めなかったが,リンパ球サブセットのCD4細胞の減少例, CD4+CD45RA細胞の減少例, CD8+HLA・DR細胞の増加例で有意に低下することが示され, RAのosteoporosisにRAの自己免疫機転が関与することが示唆された.
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